特殊教育学研究
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25 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 寺田 信一, 小池 敏英, 松野 豊, 堅田 明義
    原稿種別: 本文
    1988 年 25 巻 4 号 p. 1-11
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    重症心身障害者(重障者)のなかで、主に視覚応答行動が乏しいとされたものに対して、閃光視覚誘発電位(VEP)を中心に対光反射・視覚応答行動の3指標を検討することより、重障者の視覚受容過程について考察した。VEPでは、成分が確認できない例や、確認できても頭皮上分布において後頭部あるいは中心部のみに出現する例が存在した。3指標の関連より、視覚応答行動がみられないとされた重障者においても、対光反射が存在しVEPは確認できない例が13例、対光反射・VEPともに出現する例が11例認められた。前者では、皮質への視覚情報の伝達が不明瞭であると推定された。これに対し、後者では皮質への伝達は仮定でき、高次処理過程または応答行動表出過程における障害が示唆された。重障者の視覚受容過程を評価する上で上述の3指標の有効性を指摘した。
  • 小笠原 昭彦
    原稿種別: 本文
    1988 年 25 巻 4 号 p. 13-19
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    Duchenne型進行性筋ジストロフィー(DMD)患児では知能障害のあることが知られている。本研究ではこの点についてWISC-Rを用いて検討した。対象は、全国15ヶ所の国立療養所に入院中のDMD197例、年齢6〜16歳、入院期間1年未満〜11年、障害度1〜8である。その結果、平均FIQは67.8±19.4であり、その分布は70台をピークに低い側へ偏っていること、VIQは70.2±19.4、PIQは75.2±18.2でありPIQが有意に高いこと、年齢および障害度との関係はないこと、入院期間が長くなるにつれIQが低下する傾向がうかがわれること、下位検査では算数、符号の成績が低いことが明らかになった。知能障害の原因については、これまでの研究成果とあわせて「一次的」なものと考えられた。また、WISCでのIQと大きな差がみられた。その要因については今後の検討課題である。
  • 冷水 来生
    原稿種別: 本文
    1988 年 25 巻 4 号 p. 21-28
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    小学部3年から6年までの聴覚障害児65名を対象に助詞を中心とした文理解の発達をみる課題を実施した。その結果、聴覚障害児は単文において不完全文より完全文の方で理解がよかった。この傾向は、完全文に記憶負荷がかかる条件でも認められた。"が"格の理解は、"は"格の理解に先行した。直接目的語が動詞に近い方が理解がよかった。誤答の分析から、文頭の有生の名詞が動作主と解される傾向がみられた。これらの点を、普通児における先行研究との比較において検討した。授受構文においては、文末の名詞が与格または対象格と解される傾向が認められた。これらの傾向に関して新たな仮説を提起した。
  • 中司 利一
    原稿種別: 本文
    1988 年 25 巻 4 号 p. 29-42
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    SD法を使用して、日本と韓国の大学生が肢体不自由児に対してどのようなイメージを持っているか研究した。対象とされた言葉は「肢体不自由児」と比較のための「健常児」、「老人」、「孤児」、「精神薄弱児」、「盲児」の6概念であった。調査対象は日本は2か所の大学生317名と韓国は3か所の大学生105名である。その結果、日本では肢体不自由児はやや遅いが強く陽気な存在であるというイメージが持たれていた。しかし、昔からの誤ったイメージが他の障害児に対してまだ一部残されていることも明らかにされた。また、韓国の大学生との比較では韓国の大学生が主としてマイナスの方向の形容詞でイメージをつくっているのに対し、日本の大学生はプラスマイナス両方向の形容詞でイメージをつくっている点に違いがあった。さらに、イメージの変化を調べるために前研究と比較したところ、肢体不自由児は幾分変化しているが盲児のイメージは変化していないことがわかった。
  • 西島 衛治, 佐藤 平
    原稿種別: 本文
    1988 年 25 巻 4 号 p. 43-48
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は教室の利用現状や教室設計に関する要求などを調査、分析し、将来のこれらの教室の設計上の基礎的資料を得ることを目的とした。その結果、次の点が明らかになった。1)個別指導が多く、個室の要求度が高い。また、小グループを指導する場合もあるため、2〜3人の児童を指導する部屋も必要である。教室内に設けられた各室の設置率から、プレイルーム・観察室・父母相談室などが高い頻度であり、教室設計において検討すべき諸室であろうと考えられる。2)教室の設計に対する要求や教室の平面状況から、従来の普通教室型の教室でなく、治療教育をふまえた教室設計を行うことが必要であることがわかった。
  • 藤金 倫徳
    原稿種別: 本文
    1988 年 25 巻 4 号 p. 49-55
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、発声および発語のほとんどない子どもに、固執行動・固執変容行動を媒体として利用し、要求言語行動を獲得させることを試みた。つまり高頻度行動である固執行動・固執変容行動の連鎖構造の中に低頻度行動である要求言語行動を組み込むことを行った。また、この連鎖構造を日常の適切な刺激と連鎖させることにより般化が生じるのではないかと考えた。この結果、不適切だと考えられていた固執行動・固執変容行動を媒体として、要求言語行動がスムーズに形成されたばかりか、刺激般化、場面般化も生じた。この要因として、(1)高頻度行動の連鎖構造の中に標的行動を組み込んだこと、(2)その結果として、標的行動が複数の機能をおびたことが考えられる。
  • 嶋谷 宗泰
    原稿種別: 本文
    1988 年 25 巻 4 号 p. 57-61
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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