特殊教育学研究
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26 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 片桐 和雄
    原稿種別: 本文
    1988 年 26 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 1988/08/27
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    聴性脳幹反応(ABR)測定によって得られる脳幹機能と「きこえ」に関する客観的資料は、重度障害児教育の分野にとっても、重要な意義をもつ。ただ、その評価法にかかわる、I-V潜時への音刺激強度の効果に関して、これまで見解の対立があった。そこで、本研究において、この基本的問題を正常耳を対象に検討した。その結果、nHL、SL両レベルで、強度の上昇に伴ってI-V潜時は延長することが認められた。これによって、画一的強度の音刺激に対する反応の潜時にもとづく従来の類型的分類法は、その妥当性に問題があることが指摘された。したがって、聴覚閾値の上昇や脳幹機能の障害を背景とした、多様な潜時延長パターンを示すことが予想される重度障害児などのABR評価にあたっては、I-V潜時の刺激強度による影響を考慮して、V波出現閾値をふまえた強度レベルでの反応の潜時評価が必要である、と結論された。
  • 近藤 裕彦, 加藤 孝正
    原稿種別: 本文
    1988 年 26 巻 2 号 p. 9-16
    発行日: 1988/08/27
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    筆者らはWISC-R知能検査について、「社会的自立に必要な能力」の評価システムにおけるスクリーニングニテストと意義づけた。そして、59名の年長自閉症児にWISC-Rの全下位検査を実施し、彼らの知能構造の分析を試みた。第一に、因子分析(Varimax法)によってKaufman(1975^<5)>)と同様の三因子を抽出した。とりわけ、I.言語理解の因子、III.転導性からの解放の因子に年長自閉症児の特異性がみとめられた。第二に、因子得点を用いたクラスター分析(Qモード)の結果、9つのクラスターが形成された。全クラスター中FIQ35以下のものが6つ、動作性優位なものが5つと多く出現した。それぞれ、a)言語能力、b)動作性能力、c)課題への適応性という三つの側面から各クラスターの反応特性を記述した。一般的に自閉症児の知能で比較的良好とされる機械的操作(「11.数唱」、「6.積木模様」、「8.組合せ」)と他の諸機能(下位検査)との関連性を検討した。
  • 加藤 哲文
    原稿種別: 本文
    1988 年 26 巻 2 号 p. 17-28
    発行日: 1988/08/27
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    3名の無発語自閉症児に音声による要求行動を形成した。訓練プログラムは、非音声的反応型(指さし)を形成した後に音声的反応型(分化発声)に移行する、場面般化、訓練効果の維持のチェックという内容からなっている。また、反応型の移行には「修正版時間遅延法」を用いた。訓練設定は、被験児の手の届かない位置に4種類の菓子を並べ、側にいる実験者が被験児の要求行動の自発に対して要求物を充足するというものであった。訓練の結果、非音声的反応型による要求行動自発の機会を十分に保証する手続き(即時対応)によって、後の時間遅延法による要求充足の留保手続きが嫌悪事態にならず、分化発声による要求行動を形成することができた。さらに、般化及び維持も2名は良好であったが、他の1名は不十分であった。このような3名の被験児の反応パタンは、各々の被験児の現在及び過去の要求行動に対する強化史の観点から考察された。
  • 位頭 義仁
    原稿種別: 本文
    1988 年 26 巻 2 号 p. 29-36
    発行日: 1988/08/27
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    通常の学級で教育を受けている軽度精神遅滞児と特殊学級で教育を受けている軽度精神遅滞児の発達・学習を比較し、その教育的処遇の参考にするために、小学校、中学校56校から選ばれた軽度精神遅滞児56人にWISC-R知能検査、S-M社会生活能力検査、自己概念評定が施行された。1年後に再検査の結果、次のことがわかった。小学校では、特殊学級で教育を受けている児童のIQ、VIQ、SQ、自己概念評定得点の増加が、通常の学級で教育を受けている児童のそれらの増加よりも有意に大きかった。中学校では、特殊学級で教育を受けている生徒のIQ、PIQ、自己概念評定得点の増加が、通常の学級で教育を受けている生徒のそれらの増加よりも有意に大きかった。本研究により、軽度精神遅滞児の発達・学習をよりよく保障する場として、特殊学級が通常の学級よりも優れていることが示唆された。
  • 成田 滋
    原稿種別: 本文
    1988 年 26 巻 2 号 p. 37-42
    発行日: 1988/08/27
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    教師研修講座に参加する特殊教育教師を被験者として実験計画、教育測定・統計の理解度に関する調査を行った。回答方法はあらかじめ選んだ21の用語について被験者が自由に記述し、その理解度の評定は5段階で行われた。本調査の結果、教師は記述統計用語については比較的理解していることが判明したが、推測統計用語については理解が不足していることがわかった。実験計画を含む教室内でのデータの収集方法についての理解も不足していることが判明した。さらに教師の教育測定・評価への理解の足りなさは、教育課程を教育目標、学習指導、習熟度評価という枠組みとして把握していないことと関連があると推測される。こうした背景には教師養成機関が実験計画や教育測定・統計を重視していない傾向があることがうかがわれた。
  • 田辺 正友, 田村 浩子
    原稿種別: 本文
    1988 年 26 巻 2 号 p. 43-52
    発行日: 1988/08/27
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    精神遅滞児は、他者の身体運動・運動動作を「みて」、「まねる」ことに弱さがみられる。本研究は、精神遅滞児の身体運動模倣の発達を、モデルとして呈示される姿勢・動作の視覚的要因および運動出力要因との関連に着目して検討し、そこから身体運動模倣を可能にさせている基礎的能力を探ることを目的とした分析的試みの一つである。モデルとした身体運動は、そのモデルのもつ視覚的「みえ」の性状から「みえ」が平面視的構造をもつ姿勢・動作と奥行視的構造をもつ姿勢・動作、運動形態から左・右腕同型と異型の姿勢・動作とに分類し設定した。その結果、視覚的「みえ」の性状および運動形態の差異によって、その模倣の獲得時期や発達の様相が異なることが明らかになった。そして、これらの結果を他の先行研究の知見とも関連させて検討し、身体運動模倣における発達的順序性についての仮説的提起を行った。
  • 栗原 輝雄
    原稿種別: 本文
    1988 年 26 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 1988/08/27
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 湯浅 恭正
    原稿種別: 本文
    1988 年 26 巻 2 号 p. 59-64
    発行日: 1988/08/27
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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