聴覚障害児の発話の自己修正の特徴から,発話モニタリング過程を考察した。聴取可能な程度の発話明瞭度をもつ聾学校在籍児42名と,小学校4年児20名に,4コマの線画の説明を求め,自己修正サンプル729個を得た。聴覚障害児と健聴児とで,自己修正の度数や構成に著しい違いは認められなかった。聴覚障害児では,適切な表現への言い直し(Aa)のための中断は,語の終了後に生起する傾向があったが,誤りの言い直し(EL)や中断後に新しい文節を付加する言い直し(Ab)のための中断の多くは,語の途中で生起した。1文節当たりの平均持続時間が健聴児と比べ長い聴覚障害児では,Abを示す者が多かった。健聴児では,自己修正の各タイプの中断の多くは語の終了後に生起した。以上より聴覚障害児で効果的な発話モニタリングが確認された。語内中断を伴う自己修正については,被修正箇所の検出過程及び構音の特徴との関連で考察した。
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