特殊教育学研究
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28 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 黒田 直実
    原稿種別: 本文
    1990 年 28 巻 3 号 p. 1-9
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    右利きの中度精神薄弱児33名を対象にして手指技能と言語発達との関係を検討した。手指技能はペグボード課題とポーズ課題で評価し、言語発達はITPA(ことばの表現と理解)と言語による行動調節課題で評価した。MAによって被験者群を設定した。以下の事が判明した。1)手指技能と言語はMA3-4歳期と5-6歳期に並行して発達する。2)MA3歳期には言語理解、言語表現といった言語行動の側面と手指技能との発達的結びつきが強い。3)MA5、6歳期には言語的抽象化、一般化のあまり関与しない側面と手指技能との結びつきが強くなる。これらの結果は、MA段階によって手指技能と言語行動との結びつき方が相違していることを示唆している。このような結果に象徴機能との発達的連関、及び大脳半球の機能的非対称性という観点から検討を加えた。
  • 菅井 邦明
    原稿種別: 本文
    1990 年 28 巻 3 号 p. 11-24
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、音声言語の受信と構音の発現過程を解明することにあった。そのため菅井の音声言語行動評価法を用いて、聴覚障害児11名を3年間観察した。その結果、動作表現を触振動・動作信号で受信し、上肢で発信する段階で、動作型・順序概念とその記憶・検索機能、運動調整機能を学習した。その機能を基礎に音声言語と上肢動作発信を対応する学習段階を経て、音声言語を聞き分けその意味を知るようになった。さらに構音による音声言語の発信が出現し、高度の音響特性をもつ音声言語を聞き分ける聴覚機能を形成する段階に到達した。以上の結果から、音声言語の受信と構音の関係は、音声言語行動の形成段階により様々な相があること、また音声言語の受信には、音声以外の諸信号による受信-発信行動の学習が不可欠であることが分かった。
  • 河内 清彦
    原稿種別: 本文
    1990 年 28 巻 3 号 p. 25-35
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、肢体不自由者(児)への態度構造を解明し、得られた因子と専攻学科および性別との関連を考察するため、肢体不自由に関する54項目への回答を3学科の大学生394名に求めた。その結果に因子分析を適用し、五つの斜交因子、すなわち、「共に生きることへの拒否」「情緒不安定な性格」「社会的援助」「幸福な暮らし」「自立生活の否定」を分類した。さらにこれらは、因子間相関と因子内容により、大きく3領域(個人的関係,状態評価,社会的関係)に集約した。因子と専攻学科、あるいは性別との間で有意な関連が見られたのは最初の3因子で、とくに人間学および児童学専攻の学生は肢体不自由者を拒否したり、情緒不安定と見ることに反対するのに対し、経済学専攻学生はそれとは逆の傾向を示した。また、性差がはっきり確認できたのは一つだけであった。これらの結果については、視障者に関する研究結果と対比しながら、態度研究への意味を考察した。
  • 阿部 健一
    原稿種別: 本文
    1990 年 28 巻 3 号 p. 37-44
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    6歳から16歳までの精神遅滞児の、背筋力、握力、垂直跳び、25m走に関するデータを提出した。各ケースのデータは、CA-MA座標平面(横軸=CA,縦軸=MA)上に、運動能力レベルを示すマークによって示された。さらに、傾き0.3の線分(MA/CA=0.3,IQ=30)と傾き0.6の線分(MA/CA=0.6,IQ=60)をCA-MA座標平面上に加え、これによって、CA-MA座標平面上に位置づけられた1つのマークから、そのケースの運動能力レベル、CA、MA、さらにIQについての情報を一挙に得ることが可能となった。CA-MA座標上におけるデータの分布に基づき、運動課題別、男女別に、運動能力とCA及びMAとの関係が考察され、それぞれにおいてこの点に関する示唆が得られた。
  • 松尾 久枝, 加藤 孝正
    原稿種別: 本文
    1990 年 28 巻 3 号 p. 45-51
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    精神遅滞幼児の母子関係解明のために、質問紙による母親の養育態度と現実の母子交渉場面での発話との関連性を子供に対する拒否感に焦点を当てて検討した。対象は15名の中度・軽度精神遅滞幼児(CA:1歳4ヵ月〜5歳1ヵ月)とその母親である。養育態度は、田研・両親態度診断検査(幼児版)の母親用を実施し、「消極的拒否」「積極的拒否」の得点を算出した。母親の発話は、玩具統制下自由遊び場面での発話を分析し、養育態度と母親の発話との相関係数を求めた。その結果、「消極的拒否」「積極的拒否」態度の強い母親ほど子供の発声に対して応答的で、肯定的、共感的内容の発話を多く示した。拒否的養育態度と観察場面での拒否的発話とは一致しないとの結論を得た。拒否的態度の強い母親ほど拒否的発話をしないことがあげられよう。
  • 遠矢 浩一
    原稿種別: 本文
    1990 年 28 巻 3 号 p. 53-59
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、重度精神遅滞児に対する動作訓練法継続の効果を、20ヵ月の行動観察から検討したものである。遠矢(1988)で報告された訓練開始後、6ヵ月時の改善状態からさらに以下の行動変容が示された。1)腕あげ動作課題遂行中の問題行動生起頻度の減少傾向は維持されている。2)訓練開始後9ヵ月前後から、視線の合致頻度が減少傾向を示し、逆に一合致当りの平均時間が増加した。3)2の時期を境に、対人行動が、対象児の一方的かかわりから、他者との相互的関係形成へと変化した。また、この時期に、摂食行動における固執性が軽減し、さらに、それまで制御できなかった立ち上がり動作、膝立位静止姿勢を獲得した。遊びも活性化し、水遊び、ボール遊びなどのそれまで見られなかった行動が見いだされた。本研究により、動作訓練により獲得される自己制御能力は、訓練課題である動作制御のみならず、種々の行動面で発揮されること、及び、アイ・コンタクトと行動変容の関係性が示唆された。
  • 金 煕哲, 三沢 義一
    原稿種別: 本文
    1990 年 28 巻 3 号 p. 61-66
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 荒川 智
    原稿種別: 本文
    1990 年 28 巻 3 号 p. 67-72
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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