特殊教育学研究
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29 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 加藤 哲文, 井上 雅彦, 三好 紀幸
    原稿種別: 本文
    1991 年 29 巻 2 号 p. 1-13
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    2名のコミュニケーションの乏しい自閉症児間で、ボーリングを遂行させるためのプログラムを作成し、実施した。ゲームを構成している言語性及び非言語性の要素を組み合わせた行動連鎖を形成するために、プロンプトや時間遅延手続きを用いた。その結果、まず第1に、2名の役割を構成する行動連鎖を個々に形成し、第2に、各々の役割を自発的に交代させることを形成し、第3に、指導者が不在の状態でも自発的にゲームを遂行させることに成功した。以上のような複雑な行動連鎖を形成することが、ゲーム遂行の基本的条件である「ルール理解」を促進したと考えられる。また、指導場面に無関係な評定者による評定結果は、指導後のゲーム場面において、自閉症児が相互作用を頻繁に示すようになったと判断した。このことから、本プログラムは、社会的にも妥当な指導プログラムとその手続きであったといえる。
  • 原島 恒夫, 吉野 公喜
    原稿種別: 本文
    1991 年 29 巻 2 号 p. 15-24
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    右大脳半球が上位中枢聴覚処理機構の中でどの様な役割を担っているのかについては、まだ良く解明されていない面が多い。本研究では、右大脳半球損傷後に難聴を訴えるようになった2症例に対し、標準純音聴力検査、語音聴力検査、聴性脳幹反応(auditory brainstem response,以下ABR)検査、両耳分離聴検査(dichotic listening test,以下DLT)と聴性中間潜時反応(auditory middle latency response,以下MLR)検査を行った。その結果、DLTでは左耳の成績の著しい低下、MLRでは右大脳半球側の振幅減少を認め、本2症例の右大脳半球損傷による中枢性聴覚障害の可能性が示唆された。
  • 佐藤 正幸, 吉野 公喜
    原稿種別: 本文
    1991 年 29 巻 2 号 p. 25-32
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    従来の研究において、2つの音声刺激が連続していることを感じるにはその2つの音声刺激間の休止時間が最低2ms必要であることが報告されている。本研究では、聴覚障害児における母音/i/、/u/及び2種の純音の時間順序系列の識別を調べ、聴覚障害児が時間順序を正確に聴取識別し得る最小の休止時間を指標とする時間順序識別時間閾を検討した。その結果、最初に呈示された音のみを正確に識別するのに必要とされる休止時間は母音系列では健聴児で2ms、聴覚障害児で12.7〜20ms、純音系列では健聴児で14ms、聴覚障害児で17.9〜20msであった。
  • 梅永 雄二, 前川 久男, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    1991 年 29 巻 2 号 p. 33-44
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    自閉症児・者の就労を促進するためには、就労前の適切な職業能力評価が重要な課題の一つと考えられる。この職業能力において、自閉症児・者の職業能力を見いだすため、精神薄弱児・者との比較により各職業能力の得点を元に因子分析を行い、自閉症児・者の職業能力がどのように分類されるか検討し、さらに個別検査別に自閉症児・者と精神薄弱児・者の能力の相違を分析した。因子分析の結果、精神薄弱児・者では「言語理解の因子」「手腕の運動能力の因子」及び「知覚的体制化の因子」が抽出されたが、自閉症児・者においてはこれらの因子の他に「社会生活能力の因子」と「作業能力の因子」が抽出された。また、各個別能力評価において「言語理解能力」を必要とするものにおいては自閉症児・者は精神薄弱児・者に比べ低い能力を示したが、「つながりのある運動機能能力」及び「言語理解を含まない知覚的体制化能力」においては、自閉症児・者の方が、高い能力を示すことが認められた。すなわち、自閉症児・者は視覚的情報を頼りとする単純作業にその職業能力の特性があるが、情報を系列的に処理していく能力は不得手であることが示された。
  • 七木田 敦
    原稿種別: 本文
    1991 年 29 巻 2 号 p. 45-51
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    精神遅滞児(56人)を対象に、どのような練習スケジュールが、運動スキルの獲得を可能にする運動スキーマの形成に有効なのかを検討した。実験は、おもちゃの自動車を用いる位置決め課題を、(1)固定的に単一運動課題のみ練習する固定条件群と、さらに、(2)運動課題の練習を完全に多様にしたランダム条件群、そして、(3)ある程度構造化したブロック条件群に分け、その後の転移課題での成績を比較した。その結果、練習中のパフォーマンスではランダム条件群の成績が向上していくが、転移課題ではブロック条件で練習した群が、有意に成績が安定していた。以上のことから精神遅滞児では、練習スケジュールにはブロック条件という構造化を施すことが運動学習での情報処理を入念にするため、運動スキーマの形成を促すということが示唆された。
  • 宮武 宏治, 高原 望
    原稿種別: 本文
    1991 年 29 巻 2 号 p. 53-67
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は長期のCTI (Child Teacher Interaction)を分析するための方法を詳しく検討し、同時に、その分析方法に基づいて、重度・重複障害児に対する教師の教育課題の設定の特徴を考察することを目的とした。手続きとして、連絡帳の記述内容をデータとし、記述テーマによって単位化し、記述内容を『所見』『所感』『かかわり』の3要素で分析した。量的分析の結果に基づいて3要素の質的分析を行い、子どもの行動の予測性、教師の教育課題の設定の特徴が明らかにされた。3要素の関係は粗から密への変化を繰り返す。密な関係にある時の方が仮説検証的関係が進行している可能性が高い。仮説検証的関係は情緒的関係と相補的関係にあり、心理的に強いインパクトがあって、何らかの情緒的な体験をすることによって課題解決意欲が高まった時に深まることが示唆された。
  • 渡辺 勧持, 大島 正彦, 小沢 温, 稲垣 貴彦
    原稿種別: 本文
    1991 年 29 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 高橋 智
    原稿種別: 本文
    1991 年 29 巻 2 号 p. 75-84
    発行日: 1991/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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