特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
Print ISSN : 0387-3374
ISSN-L : 0387-3374
31 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 今川 民雄, 古川 宇一, 伊藤 則博, 南 美智子
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、家庭において障害を持つ子供の養育の主たる担い手である母親の意識に焦点を当て、(1)その配偶者との関わりについての認知的構造、(2)子供の治療・教育についての社会への期待の構造、(3)それらの構造と子供の障害の種別との関連、の3点を明らかにすることを目的とした。調査は質問紙によって行われた。子どもの障害と対象数は自閉25名、精神発達遅滞50名、視覚障害46名、聴覚障害57名、肢体不自由53名であった。結果は次の通りである。(1)母親の認知全体を因子分析したところ、主要な因子として「自己の評価」、「夫への期待」、「夫への評価」について別々に2因子ずつ計6因子が抽出され、配偶者との間に葛藤の存在する可能性が指摘された。(2)社会への期待を数量化III類によって分析したところ、消極的、前向き、中間的の3つの態度群に分かれ、消極的態度群がさらに3つに分化していることがわかった。(3)因子分析と数量化III類による結果に基づき、障害の類種についての判別分析をしたところ、各障害ごとに誤判別の生じ方に異なる特徴がみられ、母親の意識が、子どもの障害の特徴に対応する家庭での実際の養育行動や、養育者を取り巻く家庭の状況などを媒介として形成されてくる可能性が考察された。
  • 大井 学
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    重度精神遅滞児の非指示身ぶりによる要求伝達において、子供の伝達、大人の解釈の提供、子供の受容という最小限の交渉が不成立となる機構を2つの観点から検討した。1つはターンの交替過程のどこで不成立となるか、もう1つは両者の伝達行動の特徴の影響である。その結果、最小限の交渉が不成立となる事態は、ターンの交替過程のどこでそれが生じるかにより、3つのタイプに区別された。それぞれのタイプの出現頻度には子供による偏りがみられ、それには応答を期待するかどうか、応答を無視するかどうかについての、子供側の伝達行動の違いが関連していた。また、子供の伝達行動の違いは全般的な発達差と関連することが示唆された。また大人の応答に共通性があり、要求身ぶりに対する即時充足や注視などが重度精神遅滞児に対する応答に固有な問題であることが示唆された。また子供が答えられないのに、なぜ大人が言語で確認を求めるのかという疑問が残された。
  • 長沢 正樹, 森島 慧
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    音声言語の模倣能力がある自閉症児に、指導者の指示で提供者のもとまで行き、「〜下さい」と要求し、受け取った物を指導者まで届ける御用学習訓練を行った。最初に、日常場面での自発的要求訓練を行った。この訓練では、指導者の指示で提供者のもとに行き要求する行動連鎖を自発的行動になるよう配慮し、本児が直接要求した訓練者とは別の訓練者のもとに行かせ、「〜下さい」と要求させた。また、「〜下さい」という言語反応をマンドとして機能化させるため、要求した物とは違う物を与え、「違います。〜下さい」という言語行動を訓練した。結果は次の通りであった。(1)自発的要求訓練により、指導者の指示に従い提供者に言語要求し、要求物を受け取り指導者に届けることができた。(2)自発的要求訓練では、要求した物と違う物を手渡されると、「違います。〜下さい」という言語行動を獲得できた。しかし、その後の(3)御用学習訓練ベースラインの不一致条件では、「違います。〜下さい」が全く言えなかったが、御用学習訓練により、不一致条件でも「違います。〜下さい」と言って要求することができるようになった。このことは、御用学習訓練での、「〜下さい」という言語行動は、指導者の要求を提供者に伝える情報伝達行為と考えられ、自発的要求に基づくマンドとは異質の機能を持つことを示唆している。(4)訓練者、要求物、訓練場所を変えた般化訓練でも、指示された物を要求する言語行動と、指示された物とは異なる物を手渡されたとき「違います。〜下さい」という言語行動が認められた。
  • 谷 浩一
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    運動障害を有する子どもに対する訓練の目的の一つは、適切な「移動動作」を獲得させることにある。動作訓練では、ある一つの姿勢を保持するための訓練課題を設定し、自体操作能力を向上・獲得させることで、この目的を達成しようとしている。今回、この動作訓練(タテ系動作訓練)の方法により脳性マヒ児1名とダウン症児1名に訓練が実施され、自体操作能力と「移動動作」能力との関連が検討された。訓練の結果から、一つの姿勢を保持するための課題処理が達成されるにつれ「移動動作」能力が向上していくことが認められた。そして、上体、腰、下肢に重力に応じた垂直方向の力が入れられるようになることと、坐位-立位間の垂直方向の「移動動作」能力とが関連していること、バランスとり能力の獲得・向上が床面上での水平方向の「移動動作」能力と関連していることの二点が推察された。
  • 伊藤 友彦
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 内田 一成
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
feedback
Top