特殊教育学研究
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31 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 高下 洋之, 杉山 雅彦
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 2 号 p. 1-11
    発行日: 1993/09/17
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    社会的引きこもりを有する児童は、しばしば不登校などの問題を併せ持つことがある。従来の行動療法では、登校行動の形成に主な関心がおかれ、そういった引きこもり行動の変容に注目されることが少なかった。本研究では、対人場面で顕著な引きこもりがみられた不登校児に対し、社会的スキル訓練を行い、引きこもり行動の変容を図った。訓練は2期に分けられ、以下の3段階のステップをふみ行われた。1)社会的相互作用の分析を通して行われる行動アセスメント、2)標的行動の選定、3)モデル提示、フィードバック、シェイピングからなる社会的スキル訓練。訓練第I期では、標的行動として自己主張行動が選定された。訓練の結果、自己主張行動が獲得され、相互作用の頻度が高まったが、相互作用の中で、対象児と他児との間の言語的やりとりが連続するようにはならなかった。そこで第II期では他者賞賛行動が標的行動とされ、訓練が行われた。その結果、他者賞賛行動が獲得され、対象児と他児との間の言語的やりとりが連続するようになり、引きこもり行動はみとめられなくなった。同時に不登校の問題も改善された。
  • 久保山 茂樹, 菅井 邦明
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 2 号 p. 13-22
    発行日: 1993/09/17
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では発達遅滞児124名の音声言語行動の諸相を把握・分析した。筆者と対象児とが歌遊び『げんこつ山』を行う場面を観察、録画した。分析には菅井(1989)の評価法を用いた。結果は5段階に分類された。A段階(35名):動作と肉声の歌の提示下で動作発信できる。B段階(67名):肉声の歌のみの提示下で動作発信できる。C段階(14名):所要時間13秒のテープに録音した歌の提示下で動作発信できる。D段階(3名):10秒のテープの歌の提示下で動作発信できる。E段階(5名):伴奏や語りの入ったレコードの歌の提示下で動作発信できる。対象児はA段階では歌わず、C段階で歌い始め、E段階で完全に歌った。E段階に至る過程には、視覚→動作系、聴覚→動作系、聴覚→構音系の順で情報処理の学習が必要であった。A、B段階では動作の提示が行動発現に必要であり、C、D、E段階では音声の提示のみで、音声言語を受信-発信できた。各段階に応じた指導について考察した。
  • 長崎 勤, 片山 ひろ子, 森本 俊子
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 2 号 p. 23-33
    発行日: 1993/09/17
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    前言語期のダウン症児に対しサーキット・おやつ場面を設定し前言語的伝達行為の指導を10ヵ月間にわたって行った。両場面のスクリプト化、構造分析によって50の基本的活動が抽出された。そのうち10の活動において対象児からの要求行動が出現するように場面が構成された。要求場面では指導者は適切な期間(5秒程度)待つことが指示された。対象児の理解のレベルは7段階で、表出のレベルは6段階で評価された。対象児は、初期には文脈の理解が困難で指導者の身体援助やモデル提示も効果が少なかった。しかし中期には言語指示の理解は困難だったものの、援助によってルーティンへの参加がスムーズになり、後期には言語指示の理解が可能になった。要求行動は初期には注視による伝達が多かったが徐々に高次化し、後期には7の要求行動がジェスチャーや発声を伴なったものへと変化していった。またこの過程は、理解の過程と関連していた。
  • 進 一鷹
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 2 号 p. 35-40
    発行日: 1993/09/17
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、点頭てんかん、低カルシウム血症、脳内出血による後遺症としての脳性まひ、精神運動発達遅滞を有する2歳7ヵ月の重症心身障害幼児に対して、身体の各部で外界の事物を操作する過程について分析した。体の部分と操作活動について分析するときは、姿勢が重要な要因として関係してくるので、姿勢ごとに検討していった。あおむけの姿勢では、手を挙げたり床に押さえつけたりして、上体のバランスをとって足で操作した。横向きの姿勢では、見上げる姿勢と見下げる姿勢があるが、操作との関係で言えば、見下げる姿勢の方が有効であった。見下げる姿勢では、目が手元にいき、手元を見ながら操作することができた。椅子座位の姿勢では、足元に教材を置くと、目で見ながら足で操作した。椅子座位の姿勢で机を前に置いたときは、手は肘を机について本児の体を支えるために、目で見ながら口で教材を操作した。結論として、人間行動の初期の段階にある重症心身障害幼児は姿勢を媒介として、さまざまな体の部分を使って外界とかかわって操作活動を高めているということが確かめられた。
  • 田畑 光司
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 1993/09/17
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児心拍数の経年変化を検討した。まず横断的検討として3歳から49歳までの216名の重症心身障害児の安静時心拍数を、年齢と寝たきりか否かという運動機能とから検討した。その結果、年齢経過にともなう心拍数の減少傾向があった。しかし、両群の構成年齢に差があったため、年齢幅をそろえた縦断的検討を行った。1歳から40歳までの重症心身障害児40名を対象に、1年毎の心拍数を寝たきり群20名(平均28.4年間)、非寝たきり群20名(平均24.1年間)について求め、比較した。その結果、心拍数の経年変化には運動機能の差異が影響を及ぼしていること、年齢段階により、その減少傾向にも相違のあるという結果が得られた。
  • 村上 由則
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 2 号 p. 47-55
    発行日: 1993/09/17
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 中村 圭佐
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 1993/09/17
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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