特殊教育学研究
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32 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 冨永 良喜
    原稿種別: 本文
    1994 年 32 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、1名のRett症候群児の手の常同運動に及ぼすビデオフィードバック訓練の効果を検討することである。ビデオフィードバックシステムは、タッチセンサプレートとVTRからなり、それらはマイクロコンピューターに接続された。訓練条件は3条件;(1)援助なし、(2)援助あり左腕手自由、(3)援助あり左腕補助であった。被験児は、手でプレートに触り、TVをつけるように求められた。その結果、徐々に援助なしでプレートを触ることができるようになり、それにつれて手の常同運動は減少した。左腕補助の効果は常同運動が頻繁に生起していた時のみみられた。次に、反転試行が実施され、タッチ動作は顕著に減少した。再び援助なし試行になると、タッチ動作は復帰した。また、訓練セッションでは、タッチ動作のパターンが変容していった。これらの結果から、ビデオフィードバック訓練はRett症候群児の手の常同運動に効果的な指導法である可能性が示唆された。
  • 福島 智
    原稿種別: 本文
    1994 年 32 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    盲ろう児の言語発達における基本的諸問題について、先行研究の整理を通して検討した。盲ろう児の発達遅滞は、第1にあらゆる外部情報の不足、第2に言語的経験の不足、第3に知的・情緒的発達の遅滞という三つの層からなる構造を持っていると思われる。そして、これら三つの層の遅滞を克服するためには、とりわけ、第2の層に関わる困難に取り組むことが重要だと考える。また、触覚を用いた探索行動と、「身振り語」の使用は、初期の言語発達を促進する上で、本質的な要因だと考える。次に、盲ろう児の言語発達における「読み」の教育の意義と困難さについて述べたが、これまでのこの分野の研究はほとんど行われていない。盲ろう児に対する「読み」の教育は想像力の発達と密接な関連を持っている。そして、「読み」の教育は、次の諸点を考慮しつつ構想されるべきだと考える。それらは、1.「読み」の理解を助けるための手段、2.「読み」の素材、3.素材と盲ろう児の経験との関係、4.盲ろう児の経験の質、についてである。
  • 村上 由則, 斎藤 美麿
    原稿種別: 本文
    1994 年 32 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    6名の喘息児において、ピークフローの測定と身体状況の主観的報告の記録、行動観察を7ヵ月から19ヵ月間実施した。-1SD以下を示す日について、身体状況に関する主観的記述と行動観察の内容を比較検討した。その結果、正常な呼吸機能の水準と測定値・主観的症状の両者とも異常を示す水準との間に、測定値上は異常でも主観的には異常を認知できない水準が存在することが明かとなった。この水準は、病状が不安定であるほど広いことも確認された。異常を主観的には認知していなくても、行動全般や観察者への対応の変化が観察されることが多いことも分かった。このような変化は、子ども達が病状悪化に起因する何らかの情報を受信してはいるが、その情報に病状悪化の「信号的意味」を付与できるまでには至っていないことを示唆する。このような知見から、主観的症状と対応させた客観的指標の活用が、自己管理能力を獲得させる上で効果的であることが推測された。
  • 佐竹 真次, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    1994 年 32 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    すでに「これなあに?」という言語表現を獲得している1名の自閉症児を対象として、新たに「教えてください」という言語表現を学校生活の日常的な場面でマンド・モデル法を用いて訓練した。標的行動が形成され、他の日常生活の場面にも有効な般化が成立した。行動の維持も長期にわたって確認された。また、「教えてください」の行動と「これなあに?」の行動はそれぞれ訓練された状況と類似の状況においてのみ般化が成立し、その境界を越えての般化は成立しにくかった。「教えてください」の行動は「問題解決のための手順に関する教示を要求する機能」として生起し、一方、「これなあに?」の行動は「目前の対象物の名称等に関する教示を要求する機能」として生起していることから、両者の機能的な差異が明らかに示された。
  • 山内 慎吾, 甲村 和三, 小笠原 昭彦, 牛田 洋一
    原稿種別: 本文
    1994 年 32 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    気管支喘息児では、健常者に比べ、感情の不安定、対人関係の不全など自己意識上の問題傾向が先行研究で見出された。患児自身がこうした問題傾向をどのように改善しようとしているかについて検討するため、感情不安定な事態での適応行動を、怒り・いらだちの事態を前提とした25項目の質問紙により調査した。健常中・高・大学生を含めた因子分析の結果、「身体不調」「気晴らし」「攻撃性」の3因子が抽出された。喘息児では、「身体不調」「気晴らし」の2因子は健常群と大きな差はなかったが、「攻撃性」因子で健常群より著しい傾向を示していた。喘息群では、先の研究でも認められた社会性の未成熟を示す傾向が再確認できた。喘息児の療育においては、対人関係の活性化や適切な自己表現能力を養う指導の必要性が示唆された。
  • 周 平
    原稿種別: 本文
    1994 年 32 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 松本 廣
    原稿種別: 本文
    1994 年 32 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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