本研究は、「動物」に関する漢字が読めない精神遅滞児7名に対し、その読字行動を獲得させることを企図して行ったものである。そのため、刺激提示時間を一定に設定し得るスライドプロジェクター及び「福島大学式Behavior Modification Apparatus,Type I」を使用し、刺激制御のための分化強化を伴う「同時視覚-視覚見本合わせ法」による実験を施行した。その結果、7名中2名に位置偏好が見られたが、それの消失とともに正反応生起率の上昇が認められた。第1ベースライン期間の正反応生起率は、対象児によって異なるが、第2ベースライン期間では、いずれの対象児も100%となった。すなわち、本方法は精神遅滞児に対し読字行動を獲得させるのに有効であることを示している。
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