表出言語を持たない重度精神遅滞児との相互交渉を促進する方法のひとつとして、指導者の行動解読能力を高めることが考えられる。本研究では、このような意図で指導者教育プログラムを試作し、障害児教育未経験者である学生を対象に検討した。訓練群には、訓練用ビデオに対して「状況情報」、「一般的な行動情報」、「対象児の情報」を与え、訓練プログラムを実施した。また、その有効性をみるために訓練前後(1,2年次末)に判断用ビデオを見せて、判断を求めた。その結果、要求行動場面は2年次の方が判断の一致率が有意に高く、非要求行動場面では4秒呈示の判断の一致率が有意に低かった。また、訓練によって短時間の判断が高まること、要求行動として判断する傾向が強まることが示唆された。但し、判断用ビデオの被写体が共通だったため、学習効果も懸念された。そのため、被写体を変えて再度検討したところ、先の内容を支持する結果となった。
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