音声言語表出面に著しい障害をもつ言語発達障害の1事例に対し、voice output communication aids(以下、VOCAと略す)を使用した喫茶店での注文場面の指導と、家庭へのVOCAの貸し出しを行い、コミュニケーション行動および音声言語表出行動における変化を観察した。その結果、対象児のコミュニケーションスキルが拡大するとともに、非音声型のコミュニケーションモード(指さし・サイン・シンボル)から音声型のコミュニケーションモードへと変換がなされ、音声言語表出が可能となった。それまで、学校や施設などで先行・並行して行われていたコミュニケーション指導に加えて、VOCAを使用した伝達場面設定型の指導によって、コミュニケーション行動の拡大と音声言語表出が獲得されたことから、本研究での対象児のような事例に対しては、VOCAを使用した実用的なコミュニケーション指導が有効であることが示唆された。