特殊教育学研究
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40 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 藤金 倫徳
    原稿種別: 本文
    2002 年40 巻1 号 p. 3-12
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    音声による要求言語の獲得は、発達障害児の重要な指導課題のひとつである。本研究では、他者の音声モデルを模倣できない子どもに、いかにして音声による要求言語を形成するかという点を検討した。実験1では、子どもを遊ばせた設定で、子ども自身の音声をプレイバックした結果、プレイバックした音声の生起確率が高まり、子ども自身の音声を利用する方法の適用可能性が示唆された。このことに基づいて、実験2では、子どもの音声を利用した要求言語形成について検討した。具体的には、対象児から採取した単音の音声をつなぎ合わせることで人工的に言語音を作成して、さらにそれを子ども自身が非言語的に要求している場面のビデオに録音したものを観察させる方法(人工セルフモデリング)である。その結果、子どもは、音声による要求言語が獲得できた。さらにこの方法は、獲得したことばの般化促進の技法としても利用できることが示された。
  • 阿部 晶子, 斎藤 佐和, 遠藤 邦彦
    原稿種別: 本文
    2002 年40 巻1 号 p. 13-23
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、老年者における/ba/と/wa/の同定能力とフォルマント遷移の弁別能力との関係を、実験的に解明することを目的とした。老年者18名と若年者16名を対象とし、フォルマント遷移を一定の間隔で変化させた/ba/から/wa/に至る刺激連続体を用いて、同定課題実験と弁別課題実験を行った。その結果、(1)老年者では、/ba/と/wa/のカテゴリー判断の精度、フォルマント遷移の弁別能力がともに低下していること、(2)カテゴリー判断の精度とフォルマント遷移の弁別閾には、中等度の相関があることが明らかにされた。このことから、老年者の/ba/と/wa/の同定能力の低下には、フォルマント遷移の弁別能力の低下が関わっていると考えられた。また、カテゴリー境界の位置とフォルマント遷移の弁別閾には、高い相関があることが示された。
  • 白澤 麻弓, 斎藤 佐和
    原稿種別: 本文
    2002 年40 巻1 号 p. 25-39
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    手話通訳に求められる作業内容を明らかにするため、日本語から手話への同時通訳を「訳出率」「訳出の時間的側面」「日本語から手話への変換」「訳出された手話表現」の4つの側面から分析した。この結果、訳出率は通訳者によって約50〜90%程度と幅があるが、いずれも重要語を選択的に通訳していた。また、原文と訳出表現の間のタイムラグは、通訳者によって1〜4秒と差があり、この差は語単位か句・文単位かの処理単位の違いによるものと考えられた。日本語から手話への変換過程では、「言い換え」「付加」「分割」などの操作が加えられており、特に「圧縮・統合」や「省略」の量は、全体の訳出率と深く関係していた。訳出された手話のバリエーションを調べたところ、いずれの通訳者も辞書形が70%を占めており、区切れの表示の明確さや言いよどみの量は手話の見やすさに影響しているものと思われた。
  • 小島 道生, 池田 由紀江
    原稿種別: 本文
    2002 年40 巻1 号 p. 41-49
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    生活年齢および精神年齢を統制したダウン症者15名と非ダウン症者16名を対象に、感情理解の特徴と感情の自己制御との関係について検討した。まず、感情理解として、感情の規定因に関する知識と表出を統制すべき感情とその場面に関する知識について実験的に検討した。その結果、これら2つの要因について、ダウン症者と非ダウン症者で違いは認められず、生活年齢は関係なく、知的能力と関係あることが示唆された。また、社会的場面における感情の自己制御について、他者評定による調査を行った。その結果、ダウン症者と非ダウン症者に違いは認められず、性差もなかった。次に、感情の自己制御と感情理解の関係について検討するために、ピアソンの積率相関係数を算出した。その結果、表出を統制すべき感情とその場面に関する知識についてのみ、感情の自己制御と有意な相関が認められた。したがって、ダウン症者と非ダウン症者の感情の自己制御には、表出を統制すべき感情とその場面に関する知識が関係していることが示唆された。
  • 黄 淵煕, 細川 徹, 阿部 芳久
    原稿種別: 本文
    2002 年40 巻1 号 p. 51-60
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    言語障害通級指導教室におけるLD児の指導に関する実態調査を行った。その結果、現行制度上は通級による指導の対象ではないLD児が通級指導を受けている実態が明らかにされたが、その数は通級児童全体の6.8%に過ぎなかった。またLD児に対する指導内容としては、「課題に取り組む意欲や自己有能感を高める内容」と「発音の改善や、コミュニケーション能力を高めるための内容」が重視されていた。通常学級との連携に関しては、ほとんどの通級指導教室の担当によって相談・助言が行われていたが、その内容には限界があることがわかった。また、指導内容と助言内容について因子分析により、通級指導教室での指導内容と通常学級との連携の仕方には6つのパターンがあることが示された。
  • 安川 直史
    原稿種別: 本文
    2002 年40 巻1 号 p. 61-69
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、情緒障害通級指導学級において対人関係スキルの獲得を目指したSSTを試み、ボールゲーム場面での「あたたかいメッセージ」の指導を通してその効果を検討した。ボールゲーム場面での「あたたかいメッセージ」を言葉メッセージ、ボディーメッセージ、タッチメッセージ、そして他者からのメッセージに対する適切な応答の4つのカテゴリーに定義し、これらの表出頻度を増加させることをねらいとした。指導計画は、他者や教師の介入の多い設定からフェイドアウトする手順により、ボールゲーム場面の中での社会的スキルの定着化を図った。指導の結果、対象児6名のうち4名の児童については「あたたかいメッセージ」の表出頻度が増加し定着化が確認できた。一方、2名の児童は表出頻度に大きな変容はみられなかった。教示の段階での学習態勢や理解が十分でないと行動化に結びつけることは困難であり、個々のニーズにあわせた課題設定や支援が今後の課題となった。
  • 窪田 隆徳, 藤野 博
    原稿種別: 本文
    2002 年40 巻1 号 p. 71-81
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    音声言語表出面に著しい障害をもつ言語発達障害の1事例に対し、voice output communication aids(以下、VOCAと略す)を使用した喫茶店での注文場面の指導と、家庭へのVOCAの貸し出しを行い、コミュニケーション行動および音声言語表出行動における変化を観察した。その結果、対象児のコミュニケーションスキルが拡大するとともに、非音声型のコミュニケーションモード(指さし・サイン・シンボル)から音声型のコミュニケーションモードへと変換がなされ、音声言語表出が可能となった。それまで、学校や施設などで先行・並行して行われていたコミュニケーション指導に加えて、VOCAを使用した伝達場面設定型の指導によって、コミュニケーション行動の拡大と音声言語表出が獲得されたことから、本研究での対象児のような事例に対しては、VOCAを使用した実用的なコミュニケーション指導が有効であることが示唆された。
  • 石川 丹
    原稿種別: 本文
    2002 年40 巻1 号 p. 83-88
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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