特殊教育学研究
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40 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 向後 礼子, 望月 葉子, 越川 房子
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 443-450
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    中・軽度の知的障害者124名と大学生128名を対象にビデオに録画された「音声」「表情(動画像)」「音声を伴う動画像(「音声+表情」)」を呈示し、感情の判断を求めた。また、表情識別能力と関連が予想される視知覚の発達との関係について検討した。その結果、以下の5点が明らかとなった。すなわち、(1)知的障害者は「音声」「表情」「音声+表情」のいずれの呈示条件においても健常者よりも低い成績を示すこと。(2)「表情」「音声+表情」の呈示条件では、知的障害者・健常者のいずれにおいても『幸福』の弁別成績が最もよいこと。(3)知的障害者では「表情」の正答数が「音声」の正答数よりも低い傾向が認められること。(4)知的障害者では<快-不快>の混同が健常者と比較して高率で認められること。(5)視知覚の発達と「表情」「音声+表情」の正答数の間に正の関連が示唆されること。
  • 河内 清彦
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 451-461
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    障害学生との交流に対する大学生の自己効力感に及ぼす障害種別の影響を判別できる尺度を開発するため、本研究では標的概念の障害種別を聴覚障害か、視覚障害か、非障害にしただけで、同一の項目からなる「障害学生との交流自己効力感汎用型尺度」(GSSEBISD)を作成した。GSSEBISDへの435名の大学生の回答結果によると、障害3条件で得られた2因子は先行研究での「交友関係」と「自己主張」の因子と完全に一致していたため、これらに基づき下位尺度を作成した。3条件での各尺度の信頼性はすべて統計的に満足できる結果であり、重回帰分析の結果も、3条件で下位尺度(基準変数)と他の尺度(説明変数)との関連パターンに相違が認められるなど妥当性が支持された。さらに援助経験の有無と下位尺度得点には関連が認められ、障害者との交流促進教育の成果を計る測度としてGSSEBISDは実用性の高い尺度であることが示唆された。
  • 山澤 清
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 463-469
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    この報告では、脳性まひのある筆者の体験をふまえ、障害者の高等教育進学への前提条件としての大学でのバリア・フリーの諸方策を述べた。具体例として、車いす使用者のために整備されたE大学教育学部の校舎について、障害者の利便性を検討した。その検討から以下の方向が得られた。(1)障害学生の利用を配慮した大学をつくるには、国際シンボルマークを掲示するための6条件(玄関、出入口、ランプ(傾斜路)、通路・廊下、トイレ、エレベーター)に準じて、施設・設備を整備していくことが基本である。(2)このように整備された大学は、健常な在学生や教職員にとって統合教育やノーマリゼーションの基礎を学びうる良好な場になる。
  • 中川 辰雄
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 471-477
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    聴覚障害児における補聴器装用下の聞こえと聴覚的理解の自己評価の実態を明らかにする目的で、通級指導教室に通う小学校4年生から中学校3年生の聴覚障害児44名を対象に質問紙による調査を実施した。質問紙は学校や家庭でのさまざまな場所や音に対する補聴器装用下の聞こえと聴覚的理解を尋ねる14の質問項目からなっていた。聴覚障害児の聞こえと聴覚的理解の回答を全体と質問項目別に分析するとともに、平均聴力レベルとの関係から検討した。その結果、さまざまな場所や音について補聴器装用下の聞こえと聴覚的理解の自己評価に差があることが明らかとなった。補聴器装用下の聞こえおよび聴覚的理解の自己評価と聴力レベルの間には明確な関係を見出すことはできなかった。
  • 宇野 宏幸
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 479-491
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    近年、行動抑制の欠如という観点から、注意欠陥多動性障害(ADHD)が理解されつつあり、今後、そのプロセスの解明が期待されている。本論文では、そのプロセスに注意の欠陥から直接的にあるいは注意欠陥によって認知処理がうまくできないために行動抑制ができない場合と、情動制御の失敗によって生じる衝動性の2つがあることを述べる。さらに、この2つのプロセスに対応するメカニズムが大脳皮質の前頭前野に存在し、これらが実行的注意の中枢で統合されていることを説明する。以上の知見をふまえて、ADHDの行動抑制障害に関して階層的な認知神経心理学的モデルを提案する。
  • 武蔵 博文, 高畑 庄蔵
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 493-503
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    対象生徒は重度知的障害であり、日常生活で乱暴な言葉・大声等の問題行動を頻発していた。そこで、positive behavioral supportモデルによりアセスメントを行い、問題行動に代替するより望ましい行動に注目する支援目標を設定した。支援ツール「ほめたよ日記」による他者記録・自己確認手続きを学校と家庭で実行した。そのうえで、状況に合わせた支援手続きを段階的に導入・移行した。支援計画は4期にわたった。保護者の記録、学校・家庭での問題行動の観察、保護者の主観的評価を指標とした。対象生徒の問題行動は低減し、記録行動は学校卒業後も1年にわたり継続した。家庭で受け入れ可能な支援手続きのあり方、家庭での問題行動を低減するまでの支援について論じた。
  • 今野 正良, 唐木 剛, 渡邊 文章
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 505-515
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    CO中毒症慢性期では再学習の重要性が指摘されているが、これまで小児の書字の再学習に関する報告は見あたらない。本対象児とは、CO中毒の事故後10か月時に出会い約4年間かかわった。この間、右眼の視力低下に対する眼科治療と並び、主訴であり特に困難を示した座標構成活動の再形成を援助した。この再形成過程について、筆記録および資料を整理して報告した。「枠の基準化」と「線分の始点と終点の抽出・構成」および「線分の各方向成分の抽出・構成」の各段階を、丁寧に進めることの重要性が示唆された。また、学習状況全般にわたり注意障害が広く認められ、学習継続時間を短くして約10分ごとに休憩を設定する配慮が不可欠であった。および、回復過程で一過性に色概念の抽象的水準での範疇的態度喪失が認められ、やがて回復に至った。
  • 柳沢 君夫
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 517-526
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、学童クラブにおける自閉症児と健常児との相互作用を促進し、健常児の障害児理解と親同士の相互理解を促すために、保育者による意図的介入を行い、その結果を検討した。1年間の自閉症児と健常児のエピソード記録の分析から、自閉症児と健常児との相互作用が増え、健常児が自閉症児に思いやりを示し、自閉症児に対する質問が出るとともに、その内容が変化したことがわかった。また、健常児の親は、自閉症児の送迎ボランティアを行い、自閉症児とのかかわりが大切であると認識し、健常児との遊びを導くようになった。自閉症児の親も健常児とのかかわりが互いの成長にとって大切であり、このかかわりを続けたいと希望するようになった。これらのことから、保育者による意図的介入の有効性が示唆され、学童クラブにおける自閉症児に対する統合保育のひとつのあり方として考えられた。
  • 長尾 秀夫
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 527-533
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 相澤 宏充
    原稿種別: 本文
    2003 年 40 巻 5 号 p. 535-539
    発行日: 2003/01/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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