特殊教育学研究
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41 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 菅佐原 洋, 吉光 清, 山本 淳一
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 367-375
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は、発達障害をもった人々がコンピューターの情報検索を使用することができる条件を評価することであった。研究Iで著者らは、発達障害をもつ対象者が、マウスの使用スキルを獲得可能かどうかを検討した。研究IIでは、著者らは、コンピューターでの情報検索反応を評価し、彼らのエラーパターンを分析した。研究IIIで著者らは、コンピューターと冊子の情報の条件を比較した。そして、われわれは、対象者が冊子とコンピューターのどちらかを自由に選択できる条件を設定して、選択率を評価した。その結果、マウスを訓練したことで、対象者はみなマウスの操作スキルを獲得することができた。研究IIでは、対象者の半分が付加的なトレーニングなしで情報を探索することができた。自由な選択の状態では、対象者は有意にコンピューターを選択した。これらのデータは検討され、発達障害をもつ人々が、コンピューターでの検索を好むことが推測された。これらの結果は、情報化社会における発達障害の情報へのアクセシビリティとQOL (quality of life)の観点から議論された。
  • 小笠原 恵, 櫻井 千夏
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 377-386
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    問題行動の減少を図る方法として、機能的コミュニケーション訓練法の有効性が挙げられている。この方法においては、問題行動の機能を正確に見極めることが重要となる。本研究においては、そのための方法として先行事象の操作場面におけるアセスメントを行った。そのうえで、情報提供者によるアセスメントと記述的なアセスメントとの結果の比較と、導き出された仮説に基づいた機能的コミュニケーション訓練を行った結果の2点から、先行事象の操作場面におけるアセスメントの有効性について検討した。その結果、3種類のアセスメントから導き出された仮説には差異がなかった。また、その仮説に基づいた機能的コミュニケーション訓練において、問題行動と形成しようとするコミュニケーション行動との間に機能等価性が成立し、2つの行動に置換がみられた。これらの結果より、先行事象の操作場面におけるアセスメントより立てられた仮説の妥当性が示唆された。また、今後、このアセスメントの日常環境場面への導入、実験的な機能分析との比較、多様な事例における検討が課題として残された。
  • 保坂 俊行
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 387-393
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    重度・重複障害児の心理過程の把握のために、生理心理学的手法が有効とされている。生理指標である心拍値による心的内面の分析を学校場面における学習評価に応用するために、快の情動行動として笑顔の表出がみられる一事例を対象に、パルスオキシメーターにより測定された心拍変動と働きかけにより生起する笑顔との関連が検討された。併せて、期待に関する心理的発達に効果があるとされる、快刺激を随伴する呼名の継続が、学校場面においても有効であるか、行動指標と心拍変動から分析された。その結果、パルスオキシメーターから得られた心拍変動に、働きかけに対する定位的減速反応や能動的二相性反応に近い反応がみられ、重度・重複障害児の心理過程の把握のための生理指標として利用可能であると考えられた。また、学校場面においても、ある程度一定した手続きで働きかけを継続することは、期待に関する能動性の付加に有効であることが、一過性心拍反応からの分析により示唆された。
  • 廣瀬 由美子, 加藤 哲文, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 395-403
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、情緒障害特殊学級に在籍し知的障害を伴う自閉症児が、通常の学級での交流生活においてよりよい適応をしていくために、情緒障害特殊学級での自立活動(当時は養護・訓練)の時間において、特定の機能をもたない習慣化された反復的常同行動である独語行動の軽減を目的に、自己管理訓練を試みた実践である。指導プログラムの作成と実施にあたっては、通常の学級の児童や学級担任からの聞き取り調査を行い、対象児の独語の機能分析を実施した上で、対象児が発した独語行動の有無を、ビデオ映像やテープレコーダーの録音から弁別する訓練と、喋らないで学習することを約束し、実行に移せたか否かを確認する言行一致訓練を実施した。その結果、(1)独語行動の有無に関する弁別訓練では、ビデオ映像よりテープレコーダーによる声の弁別のほうが有効であった、(2)言行一致訓練では、対象児が無発声で学習課題に従事する時間を増やすことができ、指導プログラムとして効果的であった、(3)情緒障害特殊学級および通常の学級におけるプローブから、テープレコーダーが対象児の独語行動を制御する弁別刺激になったこと等が明らかになった。また、上記の指導プログラムにおける社会的妥当性を、通常の学級児童のアンケート調査から検討した結果、その指導効果における妥当性も明らかになった。
  • 望月 葉子, 向後 礼子
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 405-414
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    事例研究を通して、表情識別訓練プログラムの効果とその維持に関する検討を行った。訓練は予備セッションとそれに続く7つの訓練セッション、ならびに訓練後の効果測定のための査定セッションから構成されている。また、訓練セッションでは表情写真を用いて、「幸福」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」の4感情を弁別するために、カードを使って「自己教示」を習得し、習得した自己教示を外顕的なものから内潜的なものに移行することが求められた。対象は、軽度知的障害のある25歳の男性。予備セッションにおける感情識別のための検査では正答率は健常平均より低く、感情間に混同が認められた事例であるが、訓練後の査定では正答率の向上と混同の解消が認められ、1か月後、6か月後の再検査においても、ほぼ同程度の効果を維持していた。
  • 有川 宏幸
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 415-424
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    「指示待ち行動」が顕著にみられる自閉症児1名に対し、買い物行動に連鎖する補助的スキルとして、小遣い帳記入スキルの獲得を試みた。しかし指導場面で獲得したスキルを家庭へ導入すると同時に、小遣い帳記入時の「指示待ち行動」の問題が顕著になった。そこで家庭での小遣い帳記入時における「指示待ち行動」の改善のために、母親の言語援助方法の内容を操作し、加えて時間遅延法を導入した。その結果、小遣い帳記入に多くの言語指示を必要としなくなったため、指導場面でのスキルの獲得のみならず、スキルの使用を家庭において可能にするためには、家族への介入の必要性も同時にあることが示された。さらに今後、「指示待ち行動」が顕著にみられる自閉症児に対して、指示を待たずに行動を生起させるための条件とは何か、また周囲の者たちが指示を出さなくすることを可能にする条件とは何かといった、双方の観点から詳細な検討の必要性があることが示唆された。
  • 澄井 友香, 長澤 正樹
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 425-432
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    訓練開始時11歳10か月の自閉症の児童に対して、自発的に清掃する清掃スキルの獲得を目的として訓練した。訓練には、活動手続きが理解できるよう絵カードによるセルフマネージメントとそのための訓練を導入した。さらに、活動への動機付けを高めるために、分割したトークンを使用した。約3か月の訓練の結果、対象となる児童は清掃活動のマネージメントと清掃活動を自発的に行うことができるようになった。この結果から、清掃活動の獲得にセルフマネージメントが有効であったことが考察された。
  • 金子 陽子
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 433-437
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 吉利 宗久
    原稿種別: 本文
    2003 年 41 巻 4 号 p. 439-448
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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