本研究は、情緒障害特殊学級に在籍し知的障害を伴う自閉症児が、通常の学級での交流生活においてよりよい適応をしていくために、情緒障害特殊学級での自立活動(当時は養護・訓練)の時間において、特定の機能をもたない習慣化された反復的常同行動である独語行動の軽減を目的に、自己管理訓練を試みた実践である。指導プログラムの作成と実施にあたっては、通常の学級の児童や学級担任からの聞き取り調査を行い、対象児の独語の機能分析を実施した上で、対象児が発した独語行動の有無を、ビデオ映像やテープレコーダーの録音から弁別する訓練と、喋らないで学習することを約束し、実行に移せたか否かを確認する言行一致訓練を実施した。その結果、(1)独語行動の有無に関する弁別訓練では、ビデオ映像よりテープレコーダーによる声の弁別のほうが有効であった、(2)言行一致訓練では、対象児が無発声で学習課題に従事する時間を増やすことができ、指導プログラムとして効果的であった、(3)情緒障害特殊学級および通常の学級におけるプローブから、テープレコーダーが対象児の独語行動を制御する弁別刺激になったこと等が明らかになった。また、上記の指導プログラムにおける社会的妥当性を、通常の学級児童のアンケート調査から検討した結果、その指導効果における妥当性も明らかになった。
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