特殊教育学研究
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42 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 大野呂 浩志, 大竹 喜久, 柳原 正文, 藤井 聰尚
    原稿種別: 本文
    2004 年 42 巻 2 号 p. 85-95
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    11名の軽・中度知的障害就労者と彼らの職場の同僚との間で展開されているやりとりの頻度や機能、目的、適切性を調査した。さらに、知的障害就労者のやりとり参加行動を引き出す同僚のやりとり開始行動、および知的障害就労者の応答行動に随伴して起こる同僚のやりとり参加行動についても分析した。これらのデータは、職場内のさまざまな場面や状況との関係から分析された。その結果、知的障害就労者は、食事・休憩場面や出勤場面において、同僚以上にやりとりに参加していたことが見いだされた。同僚のやりとり開始行動はさまざまであったが、知的障害就労者はそれらに適切に応答していた。さらに、同僚も、知的障害就労者のやりとり開始行動に適切に応答していた実態が見いだされた。
  • 王 一令, 鷲尾 純一
    原稿種別: 本文
    2004 年 42 巻 2 号 p. 97-111
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、中国語を母語とする聴覚障害児(者)の音韻および韻律聴取能力を調べるための語音聴力検査法の開発を試みた。これは3つの検査からなっている。(1)音韻聴取検査: 単母音/a/、あるいは/i/を含むCV音節で平坦音調(第一声)の1文字単語20個から構成された。(2)四声聴取検査: 音韻が同一で四声の異なるCV音節1文字単語24個(6音韻×4種類の四声)から構成された。(3)イントネーション聴取検査:同一音韻連続で肯定表現と疑問表現を表す2語文(2文字動名詞)4組から構成された。これらの検査語・文について、音響的特徴を明らかにした。また、本検査法を中国天津市に在住する正常聴力を有する小学校児童(低学年)と聴覚障害を有する大学生に適用して、学童を対象としても利用できること、および聴覚障害児(者)の音韻聴取能力および韻律聴取能力を体系的に分析できる検査法として利用できる見通しを示した。
  • 高畑 庄蔵, 牧野 正人
    原稿種別: 本文
    2004 年 42 巻 2 号 p. 113-122
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、自閉症生徒1名を対象として、学校と福祉施設との連携をもとに、Aリネン会社における校外現場実習から卒業後における作業行動と不適切行動の経過を検討することを通して、学校と福祉施設の実践的な連携のあり方を探ることを目的とした。また、卒業後へのスムーズな移行のために、卒業時に関係機関の担当者を招いて「個別の移行会議」を試行的に実施した。対象生徒は支援開始前、校内外への飛び出し、大声でのエコラリア、落書き等の不適切行動が頻発し、持続的な作業が非常に困難な状況にあった。実践の結果、おむつたたみ業務では安定して業務に従事することができたが、洗濯機操作業務ではA社の要求水準を満たすことができなかった。行動障害のある自閉症の対象生徒にとって、学校から卒業、そして職場への移行にはかなりの適応能力が求められる。移行支援の要となる学校と福祉施設との連携のあり方について、「環境的アプローチ」と「個人へのアプローチ」の観点から考察した。
  • 安川 直史, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    2004 年 42 巻 2 号 p. 123-132
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、情緒障害通級指導学級において、小学校6年生の自閉性障害児に個別教育計画による余暇指導を行った。そのなかで、小学校段階における余暇指導のあり方について検討した。5年生までの段階で獲得した移動スキル(片道10分程度の目的地までの移動)、自己管理スキル(3時間程度のタイムマネージメント)、電話スキル(公衆電話を用いた定時連絡)を一人で余暇をすごすための基礎条件とした。これらのスキルが今回獲得した公共プール利用スキル、バス乗車スキルと連鎖することで「一人で水泳に行く」ことが可能となった。小学校段階での余暇指導としては、応用行動分析による学習方法の定着、生活に機能するための基礎条件の確立、中学校進学後や将来のライフスタイルを想定した目標設定が必要であることが示された。さらに余暇スキルの獲得を優先課題として位置づけ、基礎条件スキルとの関連性を明確にし、日常生活への般化までを見通した個別教育計画の必要性について論じた。
  • 芦澤 清音, 浜谷 直人
    原稿種別: 本文
    2004 年 42 巻 2 号 p. 133-144
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、多様な生徒が在籍する中学校知的障害児学級の担任への支援方法として、発達臨床の専門性から問題解決を目的としたコンサルテーションを実施し、このような支援方法が、知的障害児学級の多様なニーズをもつ生徒に対して適切な教育を構築し、生徒の発達の保障と生活への参加を可能にするうえでどのような効果があったかを検討した。論文では、コンサルテーションのプロセスの説明、典型的な2事例の紹介および実施した全事例のまとめを行い、担任からの評価の分析と合わせて本取り組みの意義と課題について考察を行った。その結果、発達臨床コンサルテーションは、生徒の発達像を理解するうえで特に有効であり、生徒の多様なニーズに担任が応えていく力量形成につながること、担任が将来同様の問題に直面した場合の解決能力を高める予防的機能を強くもったことが示唆された。また、担任の立場や状況などにより効果が異なることも明らかになった。
  • 小笠原 恵, 唐岩 正典, 近藤 伸一郎, 櫻井 千夏
    原稿種別: 本文
    2004 年 42 巻 2 号 p. 145-157
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、儀式的行動により、福祉施設におけるさまざまな活動への参加が困難となっている自閉症者1名に対して、施設職員が研究者と協力体制を組むなかで、行動のアセスメントおよび支援プログラムの計画・実施を行い、その有効性を、生活スタイルの変化、実際性および適切性、長期的な維持の観点から検討することを目的とした。アセスメントの結果より、対象者の儀式的行動が多く生起し、かつそのことが他の生活に大きな影響を与える場面を、積極的介入場面として特定した。この場面においては、儀式的行動の生起する前後の対応を操作した。積極的介入以外の場面においては、職員との適切なかかわりを増やした。その結果、儀式的行動に要する時間が短縮され、他の活動への参加が増加した。また、対象者についての記録から生活スタイルの質的な変化の分析を行ったところ、対象者の活動への参加、表情、コミュニケーション機会について、ポジティブな変化が示された。この変化は、1年4か月以上維持された。支援を実施した職員全員による支援プログラムの評価でも、100%の効果が認められた。これらのことより、用いたアセスメントおよび支援プログラムの実際性と適切性が示唆された。
  • 武田 鉄郎
    原稿種別: 本文
    2004 年 42 巻 2 号 p. 159-165
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 野口 幸弘
    原稿種別: 本文
    2004 年 42 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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