本研究では、公立幼稚園において個別の指導計画を含め、特別な教育的支援がいかになされているかの実態を把握するために、公立幼稚園の管轄機関である教育委員会の担当職員を対象に、障害幼児に対して市のシステムとしてどういう体制がつくられているか、および教育委員会が公立幼稚園や幼稚園教諭に対していかなる支援を行っているかを明らかにし、就学前段階での特別支援教育の体制整備に関する基礎資料を得ることを目的とし、都道府県庁所在地市・区の教育委員会37か所を対象に郵送法による質問紙調査を実施し、34市(92%)から回答があった。その結果、26市(76%)の公立幼稚園に障害幼児が在籍しており、全体の障害幼児在籍率は2.2%であった。そのうち、在籍障害児率0%が8市を示しており、最も多い市においては11.3%であった。障害幼児への具体的支援については、加配教員や介助員、非常勤教諭等の「人的支援」が12市(50%)、「研修や相談活動による教員と保護者への支援」が12市(50%)を示した。また、公立幼稚園に対して「個別の指導計画」の作成を求めている教育委員会は7市(21%)のみであった。実際に使用している個別の指導計画の書式において、子どもに対する実態把握から評価まで作成しているのは1か所のみであった。
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