特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
Print ISSN : 0387-3374
ISSN-L : 0387-3374
46 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 樋口 和彦
    原稿種別: 本文
    2008 年 46 巻 2 号 p. 69-79
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、読み障害児の読みにおける文脈の活用について検討した。タキストスコープを使用し、ひらがな単語を呈示時間を変えて呈示し単語を同定させた。音韻変換能力を測定する試行では、文脈を呈示せずターゲットを黙読させ、文脈活用の試行では、ターゲット単語呈示の直前に整合する文脈または不整合な文脈を呈示してからターゲットを黙読させた。実験の結果、読み障害児は、2つの傾向に分かれた。3例のうちの2例は、文字列から音韻変換する能力に問題があるが、文脈を活用して読んでいた。しかし、呈示時間が長い140msにおいては、プライムなし条件よりも整合条件で正答率が下降しているという特徴があり、ターゲットがよく見えていても文脈に頼り過ぎ、過剰に反応していることが示唆された。他の1例は、音韻変換能力に問題がみられず、文脈を活用して読んでおり、他の要因を検討する必要がある。
  • 川住 隆一, 佐藤 彩子, 岡澤 慎一, 中村 保和, 笹原 未来
    原稿種別: 本文
    2008 年 46 巻 2 号 p. 81-92
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、視覚聴覚二重障害を有する一超重症児を対象として、日常的にほぼ唯一観察可能な下顎の不随意的微小運動と心拍数変動を手がかりとする取り組みの妥当性を検討することである。本研究の第1期23セッションにおいては、初期の観察に基づき不随意的運動へのフィードバック場面を設定した。すなわち、顎の動きに伴ってスイッチが作動し、一定時間音楽に伴うスピーカーの触振動が両手に伝わるようにすると、顎の動きの増加がみられた。第2期17セッションにおいても、音楽やかかわり手の声が触振動刺激として両手に与えられると、第1期と同様、顎の動きの増加傾向がみられた。第2期では、触振動刺激が与えられている期間の心拍数変動にも着目した。その結果、一過性反応は見いだされなかったが、持続性反応として平均心拍数が上昇あるいは下降方向に推移することがみられた。以上の結果より、最重度障害児の不随意的運動に着目し応答的環境を設定することには一定の意義があることが見いだされた。
  • 山岡 祥子, 中村 真理
    原稿種別: 本文
    2008 年 46 巻 2 号 p. 93-101
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、HFPDD児・者をもつ父母の障害の気づきと障害認識の相違を明らかにすることを目的とし、父母80組を対象に質問紙調査を行った。その結果、診断前後とも父母の障害の気づきと障害認識に有意な違いがあった。診断前、母親は父親よりも子どもの問題に幼児期早期から気づき深刻に悩んでおり、受診に対しても能動的であった。しかし、成長に伴い問題は解消すると考える傾向は父母で相違がなかった。診断時において、告知は父母どちらにも精神的ショックを与えていたが、障害認識は父母で違いが認められた。母親の多くは肯定・否定の両面的感情をもち、障害であると認めたのに対し、父親の多くは否定的な感情のみをもち、障害を認めにくかった。診断後は父母とも1年以内に障害を認めたが、母親は父親よりも積極的に障害を理解しようとしていた。
  • 中山 奈央, 田中 真理
    原稿種別: 本文
    2008 年 46 巻 2 号 p. 103-113
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、小学校高学年におけるAD/HD児の自己評価と自尊感情を定型発達児との比較から明らかにすることを目的とした。調査では、子どもの自己認知尺度(Harter,1985)をもとに作成された日本語版自己認織尺度(Tanaka,Wada,&Kojima,2005)を使用した。自己評価とは特定領域(学業、運動、容貌、社会性、振る舞い)に関する自身の能力や適性に対する評価をいい、自尊感情とは人間としての全体的な自己の価値をいう。調査の結果、AD/HD児は、振る舞いと社会性において、定型発達児よりも低い自己評価を行っていた。加えて、AD/HD児および定型発達児において、各領域の自己評価が自尊感情に与える影響について検討した。その結果、定型発達児では運動を除く全領域の自己評価が自尊感情に影響していたのに対し、AD/HD児では自尊感情に影響を与える領域が学業と容貌のみであり、定型発達児よりも少なかった。
  • 及川 康, 宮崎 眞
    原稿種別: 本文
    2008 年 46 巻 2 号 p. 115-124
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    病弱養護学校に在籍する心身症などの行動障害をもつ児童生徒は、学校場面や授業場面で多くの困難を抱えている。これらの行動問題に関しては、近年、知的障害教育や軽度発達障害教育の分野で行動論的立場からのアプローチが紹介され、その有効性が検証されている。しかし、病弱教育ではそのような実践は今のところ報告されていない。そこで、今回、病弱養護学校という場で、授業参加行動に困難を示す生徒を対象に、行動論的アプローチを実施した。具体的には、機能的アセスメントにより得られたデータをもとに「授業参加行動を促すカリキュラム介入計画」を立案し、実践した。その結果、対象生徒の行動が変容したことが明らかになった。以前は授業参加行動に困難を示していた生徒が、反抗的行動が低減し、課題従事行動も徐々に増えてきた。これらのことから、機能的アセスメントを通したカリキュラム介入は一定の有効性を示したと考えられる。
  • 小林 秀之
    原稿種別: 本文
    2008 年 46 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 2008/07/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
feedback
Top