ロービジョン(LV)者の読書に際して、LVの見え方に応じた文字サイズを推定するための研究の動向について報告した。文字サイズの推定は、従前から行われていた機能評価モデルから、行動評価モデルへと変遷してきた。なかでもLegge,Ross,and Luebker(1989)が提案したMNREADテストは、行動評価モデルのなかでも、他の同様のテストよりも信頼性があるとされ、世界的に利用されているテスト法である。小田・Mansfield・Legge(1998)が日本語に翻訳し、日本のリハビリテーションを中心に用いられてきた。MNREADは、臨界文字サイズ(CPS)等の臨床上有用なデータを提供する。それらのデータは、各眼疾患の読書の困難さの特徴を明らかにし、有効な支援の根拠を提供してきた。日本語の行動評価モデルの今後の課題として、(1)小学生の読書評価、(2)漢字構造の特性、(3)CPSの解釈および(4)LV以外の領域での活用、の4点を指摘した。
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