小学2年における漢字読字・書字困難のリスク要因を検討するため、漢字読字・書字テストおよび基礎スキルテスト(特殊音節テスト、単語連鎖テスト)と言語性短期記憶テストを行った。対象は、小学2年児童3,454名であった。リスク成績を10パーセンタイル以下とし、CHAID分析を行った。漢字読字の重度低成績を有意に高く示した児童は、特殊音節テストと単語連鎖テストがともにリスク成績を示した者や、特殊音節テストと言語性短期記憶テストがともにリスク成績を示した者であり、オッズ比は最大16を示した。漢字読字困難のリスク要因として、特殊音節表記の読み書きスキルやひらがな単語の流暢な読み・検索スキルの不全が指摘された。漢字書字の重度低成績者は、漢字読字がリスク成績を示す者に多く、オッズ比は最大49を示した。以上より、漢字学習困難に対する支援として、小学2年の段階で、リスク要因を早期に評価し、その軽減を図る指導が効果的であることを指摘した。
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