徳島文理大学研究紀要
Online ISSN : 2432-4248
Print ISSN : 0286-9829
96 巻
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原著論文
  • 藤崎 ちえ子
    2018 年 96 巻 p. 1-8
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    本研究の目的は小学校の校長・教頭(副校長)と一般教師のバーンアウト傾向とエゴグラム自我状態による性格 傾向との関係を調査することでバーンアウト対策に活かすことである。エゴグラムの結果FC値は校長一般教師の順に低くAC値は教頭一般教師の順に高かった。バーンアウト因子は「情緒的消耗感」と「達成感の後退」の全体において校長・教頭が一般教師より高かった。さらに校長ではCPNPはバーンアウトの値との負の相関校長と教頭ではACは正の相関がみられ性格傾向とバーンアウトの相関関係は職位によって異なることがわかった。し たがって性格傾向によるバーンアウト対策は職位を考慮して立てて行く必要があると思われる。

  • 早川 佳奈美, 上田 伊佐子, 森田 敏子
    2018 年 96 巻 p. 9-22
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー

    研究目的は先天性心疾患を持つ児の母親の苦悩からの立ち直りについて健康理論に基づく意識の拡張および愛着形成に至る心理的特徴を明らかにし看護介入への示唆を得ることである。先天性心疾患を持つ児の母親5 名を対象に半構造化面接を行った。意識の拡張は例えば【病名を知った混乱と混沌】【我が子に会えた喜び】【手術をめぐる混乱】【危機を脱し新たな生き方の始動】の局面があり5 事例とも最終的に次の一歩を踏み出し成長していた。 母親の愛着形成は自責の念治療をめぐる迷い将来の不安愛着の発露幸福感へと変化していたが出生後の 危機的段階からすでに形成されていた。これは愛着形成時期を限定したDrotarの仮説モデルとは異なっていた。この ことから看護職者は我が子が先天性心疾患と分かったときから母親の心理的苦悩に寄り添い心理的成熟を支援する看護介入の必要性が示唆された。

  • 川東 美菜, 藍場 元弘, 戎谷 友希, 河野 友晴, 柳澤 幸夫, 橋田 誠一
    2018 年 96 巻 p. 23-33
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー

    【背景】食後高血糖改善を目的に食後の運動が推奨されている。しかし高齢や運動機能に問題があり積極的に運動を行えない人が多く存在する。そこで我々は電気刺激療法による筋肉運動に着目し食後の血糖値およびインス リン分泌の抑制効果について検討を行った。【方法】対象者は健常な女子学生9 名(年齢:20.8±1.3 歳BMI:22.5 ± 3.2 kg / m 2)。それぞれ安静20 分間電気刺激(EMS)および20 分間トレッドミルによる歩行運動(TM)を行い75 g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)後の血糖値とインスリン分泌を検討した。【結果】血糖値は安静時と比較しEMSおよびTMで同程度の低下傾向がみられた。インスリン分泌量も同様にEMSはTMと同程度またはそれ以上の低下傾向を示した。【結論】EMSはTMと同じような食後血糖値およびインスリン分泌の抑制効果が確認できた。 EMSはTMよりも簡便かつ低い運動強度で実施できるため十分な運動が行えない対象者への適用が期待される。

  • 河野 友晴, 沼田 聡, 藤本 侑希, 黒田 暁生, 安田 哲行, 宮下 和幸, 坂本 扶美枝, 片上 直人, 松岡 孝昭, 松久 宗英, ...
    2018 年 96 巻 p. 35-44
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー

    【目的】膵島関連自己抗体(IAAGADAIA-2A)の検出は1 型糖尿病の診断や発症予知に極めて有用であるが各 抗体で陽性率の高い時期が異なり1 種の抗体測定では陽性者を見落としてしまう。そのため3 種の抗体を測定す ることが1 型糖尿病の診断精度向上のために重要となる。そこでIA-2Aの高感度測定法(ICT-EIA法)を開発し開発済みのIAAGADA測定法と共に長期罹病若年性1 型糖尿病患者血清の測定を試みた。 【対象】若年発症1 型糖尿病患者76 人年齢19 ~46 歳罹患期間11 ~40 年全例インスリン治療者で尿中C-ペプチド陽性者は3 名。血清中のIAAGADAIA-2AをICT-EIA法を用い測定した。 【結果】今回開発したIA-2A測定系は従来のELISA法の100 倍高感度であった。次に長期罹病若年性1 型糖尿病患者ではIAA 60.5%GADA 47.4%IA-2A 10.5%であった。またいずれかの抗体陽性率は77.6%であり30 年以上の罹病患者においても64.3%と高い陽性率を認めその診断的意義が高いことが示された。

  • 藍場 元弘, 川東 美菜, 河野 友晴, 戎谷 有希, 藤本 侑希, 橋田 誠一
    2018 年 96 巻 p. 45-56
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    【目的】食後高血糖は放置すると糖尿病を発症しやすく心血管疾患のリスクとなるため早期に改善しなくてはならない。食後血糖値の上昇は食品の食する順番によって抑制できることから簡便な指導法として広く導入されてきた。そのため本論文ではより効果的な食べる順番について検討を行った。【方法】 健康な学生を対象としご飯タンパク質野菜を用い摂取内容を変え実施した。摂食後血糖値と尿中インスリンを測定し食べる順番の効果を評価した。 【結果】野菜やタンパク質をご飯より前に摂取することにより血糖上昇の抑制がみられた。また尿中インスリン量はタンパク質の摂取により増加し野菜の摂取も尿中インスリン量が増加傾向となった。 【結論】タンパク質を多く含む食品や野菜をご飯の食べる前に摂取することにより食後高血糖が抑制されることが示された。また炭水化物以外の摂取でもインスリンの分泌が増加する可能性が示唆された。

  • 戎谷 友希, 橋田 誠一, 柳澤 幸夫, 川東 美菜, 藍場 元弘
    2019 年 96 巻 p. 57-64
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    本研究は骨格筋電気刺激前の分岐鎖アミノ酸(BCAA)摂取が電気刺激中のエネルギー代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。健常男子学生14 名を対象にBCAAまたはプラセボを摂取した後電気刺激を周波数20Hzで10 分間実施した。その結果BCAA摂取において血中乳酸濃度の有意な低下を認め呼気ガス分析では酸素摂取量が有意に増加を示した。また遅発性筋痛に関して翌日2 日目のNRS(痛みの評価指数)が有意に低値を認めた。呼吸交換比血圧心拍数には両条件間で有意な差を認めなかった。これらの結果よりBCAAの摂取 は通常の運動時と同様に電気刺激時においてもエネルギーの供給源となり蛋白分解を抑制し蛋白合成を促進する等の効果を示す可能性が示唆された。

研究報告
  • 退院支援における医療ソーシャルワーカーの果たすべき役割 妻への依存度が高い透析患者の自宅退院へ向けてのソーシャルワーク実践を通して
    宮原 和沙
    2018 年 96 巻 p. 65-70
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    人は何らかの疾病や障がいを持つことになっても可能な限り自分らしく生活し最期の時まで生きたいと望むものである。本研究の目的は妻への依存度が高い血液透析患者の退院支援における医療ソーシャルワーカーが果たすべき役割について考え今後のよりよい支援へ繋げていくことである。 医療ソーシャルワーカーが退院支援を行う過程で患者の真のニーズ把握を誤ると例えば他の専門職が各自の本来の役割を果たすことが難しくなる等患者や家族にとって本当に必要な支援が行えなくなり他職種連携もスムーズにいかない状態に陥る。それは結果的に患者や家族に害を及ぼすことになりかねない。だからこそ医療ソーシャルワーカーの果たすべき役割の一つとして患者の真のニーズを把握し患者や家族に対し必要な支援を他の専門職とスムーズに連携しながら行うことが重要である。

  • 橋口 清美, 上田 伊佐子, 森田 敏子
    2018 年 96 巻 p. 71-84
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    研究目的は椅子から立ち上がる高齢患者を介助する際の看護師に負荷が少ない方法を動作解析によって導き出し看護教育への応用可能性を見出すことである。方法は準実験研究とし三次元動作解析装置と床反力計で計測した。動作開始時に前方の下肢関節を伸展して介助すると腰部に負荷が大きい前傾姿勢になり股関節膝関節足関節のモーメントピークが一致せず関節にかかる負荷が分散できなかった。動作開始時から前方膝関節を屈曲する姿勢で介助すれば動作中の重心を低くでき下肢モーメントが大きくなり腰部の負荷が軽減できた。膝関節を屈曲した姿勢で重心移動を行えば股関節膝関節足関節のモーメントピークが同じ瞬間になり下肢にかかる負荷が分散できた。看護師に負荷が少ない方法として動作解析による教育の可能性が見出された。

  • 黒澤 良輔, 新井 瑞季
    2018 年 96 巻 p. 85-92
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)への支援を充実させるためには適切なアセスメントが欠かせない。一方個別知能検査K-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children)はKABC-ⅡとなりLuriaの脳機能モデルに加えCHC理論に基づく解釈が可能となる等多くの改訂が行われた。そこで調査対象者に自閉スペクトラムをスクリーニングするための自己記入式質問紙AQ-J-16 調査を実施し①カットオフポイント以上の者3 名②カットオフポイント未満の者4 名に分けさらに③既にASDと診断を受けている者1 名を加えて3 群に対してKABC-Ⅱを実施しその得点を分析することによってKABC-ⅡによるASDのアセスメントの有効性を検討する こととした。その結果(1)群別の下位尺度得点の特定の優位・劣位傾向や得点間の特徴的なディスクレパンシーは確認できなかった。(2)調査対象者の認知総合得点にはあまり差がなかった一方習得総合得点には大きな差が認められ個々の認知能力に応じた周囲からの働きかけによって潜在的な能力の発揮や知識の獲得には大きな差が出ることが示唆された。今後の課題としてクラスター分析等の新しい分析方法の導入や認知機能間の補完や関連を明らかにしていく必要性を指摘した。

  • ―不登校ぎみの児童の事例を通して―
    秦 裕也, 藤崎 ちえ子
    2018 年 96 巻 p. 93-100
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿は通級に通う不登校ぎみの小学校1 年男児のプレイセラピーの事例を通してセラピールームでの児童の行動化への対応と課題を検討したものである。児童は発達の緩やかさから学校での劣等感を抱えそれがセラピーでの攻撃行動に表現されていたと思われる。またセラピー経過の途中より母親の恋人との問題が浮上し児童の攻撃行動が学校での人間関係だけでなく家庭の問題とも関係している可能性が考えられた。しかしセラピストは「受容的な関わり」に捉われたあまり攻撃行動に対して明確な枠組みで制限を加えることができなかった。そのためなかなか攻撃行動は収まらなかったと思われる。事例を通して限界を超えた行動に対しての明確な枠を設けることの重要性を検討した。

  • 藤本 和賀代
    2018 年 96 巻 p. 101-108
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー

    最近の結婚式スタイルは多種多様である。中でも人気が高いのは屋外でおこなうガーデンウェディングである。解放的でアットホームな雰囲気が魅力であるガーデンウェディングではゲストとの距離が近く語らう時間も長い。そのため花嫁のドレスは締め付けが少なく動きやすいスタイルが理想的ではあるが美しくまた着用者の好みも満たす必要もある。 それらの条件を満たすドレスとイメージを合わせたブーケブートニアまでトータルにデザイン縫製し完成させ た。また作品はNDKファッションショーにて発表し努力賞をいただいた。

  • 岡林 春雄
    2018 年 96 巻 p. 109-116
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    平成30 年度に心理学では,国家資格の養成制度がスタートする。そのような中で,心理学教育をあらためて考える必要が出てきた。科学としての心理学の歴史,そして,これまでに心理学に起こった資格制度の絡む混乱を検討することによって,心理学教育にあたっては,①応用型の学力観をもち,学習者に向き合い,人間教育を忘れずに行うこと,②心理学理論が出てくる背景を方法論とともに理解し,自分の都合での勝手な解釈・判断を排除すること,③学習者の主体性を重視し,学習者が成長するきっかけを与える教育をすること,④大学前教育(高校教育等)で心理学を行う場合,心理作用のメカニズムに言及し,学習者の人間関係のさらなる向上を目指す教育が必要である,といったことが提起された。

  • 宇都宮 由依子, 橋田 誠一
    2018 年 96 巻 p. 117-122
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    【背景】身体活動(運動と生活活動)は生活習慣病を予防し,健康を維持・増進する効果があるため,広く推奨されてきた。また,厚生労働省からは健康づくりのために,運動強度(METs)や量(Ex)の基準が示されて来た。そこで,身体活動量の指標であるMETsを,筋肉形成のための指標にも活用できれば,さらに活用用途が増えることが予想される。 【目的】超高感度成長ホルモン測定法を用いて,運動負荷強度や運動内容による成長ホルモンの分泌動態の変化について検討する。 【対象と方法】本学在籍の健常な学生7 名に対し,運動強度(METs)の異なる運動を実施した。運動前後の血中及び尿中成長ホルモン濃度は高感度成長ホルモン測定法を用い測定した。 【結果】成長ホルモンは運動強度(METs)が高い方が多く分泌される傾向があることがわかった。また,筋肉に対して刺激のある運動がより多くの成長ホルモンを分泌していた。これらのことより,METsを指標とした運動の選択により,筋肉形成のために重要な成長ホルモン分泌を増やせる可能性が示された。

  • ~高知県幡多郡三原村を事例に~
    浜畑 優人, 南 育広
    2018 年 96 巻 p. 123-134
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    本論では高知県が推進する集落の維持・再生を目的とした取り組みである集落活動センター事業について三原村の集落活動センターを事例にその成果を述べるとともに今後の課題について提言する。 筆者は三原村の集落活動センター「やまびこ」に対する聞き取り調査から(1)移住促進活動についてはインターネットを活用しより分かりやすい情報提供を行うこと。(2)カフェの運営に関しても雇用契約などをより厳密化し自主的なカフェへの運営参加を進めていく行うこと等の課題があること。(3)これらの課題を解決するとともにより住民の集落活動センターへのかかわりを深め住民主体の地域づくりを進めていくことが重要であることを主張する。 キーワード:集落活動センター 三原村 集落維持

  • ―簡易質問紙によるスクリーニング(SDQ)の有効性の検討―
    久米 紗生, 松本 有貴
    2018 年 96 巻 p. 135-141
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    近年通常クラスの中にも特別な支援を必要とする子が増えていることを受け「気になる子」への配慮の重要性が認識されている。本研究では保育者の気になる子どもを早期発見・早期支援につなげるためにどのような方法があるのか対応ができるのかを探ることを目的とした。方法として子どもの軽度発達障がいのスクリーニング に使用されている質問紙SDQを利用し幼稚園・保育所・認定こども園の保育者に調査を行った。5 つのカテゴリー (向社会性多動性情緒面行為面仲間関係)を性別(男・女児)と園別(幼稚園・保育所・認定子ども園)に分け数値(スコアの平均値)をそれぞれ比較し検討した。その結果幼稚園で各カテゴリーに高い数値が見られること「気になる子」は年齢が上がるほどその行動が保育者の目にとまりやすくなることが明らかになった。それにより「気になる子」の支援にどのような対応があるのかを考察した。

  • ―認知行動療法のグループプログラムの効果的な担い手として―
    南谷 則子, 松本 有貴
    2018 年 96 巻 p. 143-150
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    思春期の不登校の子どもを抱える保護者を対象に認知行動療法を用いたストレスマネジメントプログラムを作成 しグループワーク形式で実施してきた。メンタルヘルスの改善や生活の質(QOL)の効果が検証されたのでさらに「認知行動療法に基づく不登校親支援プログラム(CBT-P/NA)を全国的に普及させるために多くのファシリ テーターを養成することを目指している。 本稿では認知行動療法に対する知識がない援助者に対しても効果的なファシリテーター養成講座の在り方を検証した。認知行動療法の原理の理解やスキルの獲得保護者に対するカウンセリングやコンサルテーションのスキルの改善等の面において自記式質問紙の結果自己効力感の著しい向上が見られた。7 リッカート方式で回答を求めた養成講座への満足度の高さや自由記述の分析からもファシリテーター養成講座の有効性は認められた。

  • ―感性的デッサンが絵を変容させる―
    仁宇 暁子
    2018 年 96 巻 p. 151-160
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    本研究は従来の美術系大学の受験のための「視覚的なデッサン」とは異なる「感性的なデッサン」を行うことで芸術家の絵がどのように変容するかをさまざまに実験することを通して芸術における石膏デッサンの新たな価値の発見を目指したものである実験では徳島および台湾の芸術家とともに像を直感で描いたり像を布で覆ってその感触を描いたり感性優位なデッサンを重ねそこから新たな絵の創造を試みた。 結果的に本研究の実験に関わった芸術家の作品は感性的石膏デッサンと自らの絵の行きつく方向やコンセプトとの相乗効果によってより精神性の高い創造的な絵に変容していった。その変容の内容は(1)感性的石膏デッサンは古いものを打ち破り新しい作品を生む(2)感性的石膏デッサンは抽象も具象の作品も創造する(3)感性的石膏デッサンは自らを客観的に可視化し自らも作品も成長させるの3 点で説明できた。

  • 水野 貴之, 文谷 政憲, 前田 淳史, 箕田 康一
    2018 年 96 巻 p. 161-168
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    理工学部では体験教育支援センターを設置し,学生が学ぶ意義を認識し,意欲や目的意識を持って専門教育を受ける動機付けをし,企業との連携から社会で役立つスキル,愛郷心,社会貢献の心を育てる目的で様々なテーマを立てて活動を行っている。本研究はナノ物質工学科の学生とバイオグループの教員が協力して行った。企画から官能試験(試飲会),アンケート調査,学術的な基礎実験,調合実験など最初の段階から多くの学生が参加しており,ユニークなノンアルコールワインの開発につながった。最終的にたどりついた製造方法は既存の方法とは異なり,培養全体を通してアルコール度数が0.5%を超えないという特徴がある。また,桑やオリーブの葉を粉末化したものを使用する点,そして超微粉砕技術を取り入れている点など新規技術を導入している。そして成果として実際に販売に結びついている点や現在も発展的な研究が継続している点を中心に報告する。

総説
  • 森田 敏子, 上田 伊佐子
    2018 年 96 巻 p. 169-183
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    本論は看護の原理と“癒し”の看護を育成する必要性について論じたものである。今日,看護教員は看護学の基礎となる育成に努力し卒業生を輩出している。臨床では新人看護職員研修において看護実践力が身に着くよう努力されている。新人看護職員研修が努力義務化され7 年経つが,看護師の看護実践力が向上しているとは言い難い。看護師は病気に苦しむ患者に寄り添っていないどころか,“癒し”の看護は行われていない。“癒し”は心情の能力であるが,心情の能力は愛とか慈悲で説かれる人間関係の心の平穏と調和をもたらし,患者と看護師の人格の核心に触れる看護である。心身ともに苦悩する患者を救済する看護実践者の育成には,看護の原理である知識・技術・態度の3 要素と人命の尊厳や人権尊重,自律尊重など倫理的看護実践を基盤に据え,心身ともに苦しむ患者に共感的に寄り添う“癒し”の看護の育成が不可欠になる。

  • 鍛冶 博之
    2018 年 96 巻 p. 185-196
    発行日: 2018/09/09
    公開日: 2019/02/20
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    本稿の目的は,筆者がこれまでの研究活動で取り組んできたテーマである「パチンコホール企業改革に関する史的研究」の成果を整理しつつ,パチンコ産業研究の現状と課題を明らかにし,今後の研究活動の方向性を示すことである。本稿は,筆者自身のパチンコ産業史研究の中間報告としてのみならず,学術分野におけるパチンコ産業研究の深化の必要性を強調する役割も担う。第1 章ではパチンコホール経営の現状について数値を活用しながら概観する。第 2 章から第5 章では筆者の研究活動の成果と位置づけを試みる。第6 章では本稿での考察を踏まえて,今後の研究活動の課題と展望に言及する。

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