糖尿病
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17 巻 , 4 号
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  • 池田 義雄, 斉藤 浩, 佐野 隆志, 尾林 紀雄, 種瀬 富男, 阿部 正和
    1974 年 17 巻 4 号 p. 311-315
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ラットの別出副睾丸脂肪組織 (副睾脂) 法によって測定される血中インスリン様活性 (ILA) は, 免疫反応性インスリン (IRI) と比較して100~1,000倍の高値が示される.ここでは副睾脂法によるILAのうち, インスリン抗体によっても活性を失うことのない非抑制型インスリン様活性 (NSILA) について, その5~10%を占める酸エタノール可溶性のNSILA-Sの筋肉組織と脂肪組織代謝におよぼす影響をラットの横隔膜と副睾脂によりin vitroで検討した.
    NSILA-S1.66mg/ml (推定インスリン活性値1,000μU/ml) は模隔膜へのブトウ糖の基礎とりこみに対して抑制的に作用した. また, 同時に添加したインスリン1,000μU/mlのブドウ糖とりこみ促進効果に拮抗的に働いた.
    一方, ラット副睾脂へのブドウ糖とりこみは, 横隔膜の場合とは異なり, NSILA-Sの0.16mg/ml (推定インスリン活性値100μU/ml) はインスリン100μU/mlと同等の効果を示した. そしてNSILA-Sと同時に添加したインスリンとの間にもなんら競合的阻害は認められなかった.
    なおNSILA-Sは脂肪組織の脂肪異化に対してはインスリンと同様に作用した.
    以上の成績より, NSILA-Sの生物活性とその意義について考察した.
  • 河西 浩一, 後藤 彰夫, 岡田 奏二, 石田 俊彦
    1974 年 17 巻 4 号 p. 316-327
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    本邦において報告されている54例の高滲透圧性非ケトン血性糖尿病昏睡の集計的観察を行なった. 患者の年齢は4歳から85歳にわたっていたが, 全体の70.4%は50歳以上であった. 全症例の41%は発症までに糖尿病の既往歴をもたなかったが, 24%の症例では3年以上の精尿病歴を有し, なかには長期のインスリン使用患者もあった. 入院時の主な主訴または症状は著明な脱水に伴う症状と, 意識障害, 消化器症状, 循環不全や高熱であった. 昏睡の主な誘因は感染, 手術侵襲, ステロイド投与などのストレスと, 脱水をきたすいろいろな状態などであった. 8症例に尿中アセトンの弱陽性か痕跡を認めた. 54症例の血糖値の平均は1,019mg/dlであり, 49症例の血清ナトリウム値の平均は152.9mEq/lであった. 6例に低ナトリウム血症がみられ, 血漿CO2含量と血液pHの低下を伴っていた. 40症例の血中尿素窒素値の平均は82.7m9/dlであり, 38例の血漿滲透圧の平均は383.2mOsm/lであった. 治療としては多くの症例で100~400単位のインスリンとの補液がなされていた. 意識障害の持続時間は生存例, 死亡例ともにほぼ3日であった. 死亡率は25.9%であった. 回復症例の糖尿病の経過は良好で, 食事療法のみか, 少量の内服剤やインスリンでコントロールされた. 13例の剖検症例のうち11例に膵に糖尿病性の変化を, 4例に糸球体硬化症を, 5例に脂肪肝を認めた.
  • 林 泰三, 長井 新一郎, 三杉 義潔, 山口 春雄, 田場 繁城
    1974 年 17 巻 4 号 p. 328-335
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    健常者, 糖尿病, 肝疾患において, galactoseの経口負荷, 経静脈負荷試験を施行, いずれの場合も血中NEFAの著明な低下を認めた. galactoseによる血漿IRIの変化は, 経口投与によっても, 静脈内投与によっても, glucoseの場合の如き著明な上昇はみられず, galactoseによるinsulinの遊離は認められなかった. また健常者のみについてGTTとGal. TTを比較しglucose, NEFA, IRIの変動を検討したが, galactoseによる場合は, glucoseの場合と異なる態度が観察された. それらからgalactoseによるNEFAの低下は, glucoseのそれと異なる可能性が考察された. 同一症例にてGTTとGal. TTを施行, NEFAの低下を比較したが, galactoseによる場合は速やかで, 負荷30分後既に著明な低下を来たし, 60分後最大に達し, 以後前値に復する傾向をとる. glucoseによる場合は, galactoseより遅れるが, 2時間後も逐次的な著明な低下を来たし, その低下度はgalactoseによるよりも大である. Gal. TTの際の30分後の初期のNEFAの低下には, galactoseの直接作用によることが考察されるが, 以後の低下には, 負荷後の代謝変化の影響が加わる, 即ちglucose, IRI, 更にgalactoseの代謝に関係をもつredox stateに関係する基質, 特に乳酸, ピルビン酸などの作用を考慮せねばならない. 従ってGTTでみられた逐次的な時間後の著明な低下は, insulinの遊離による影響が大きいと考察される.
  • 八杉 八郎, 水本 龍二, 本庄 一夫, 桜井 英雄
    1974 年 17 巻 4 号 p. 336-343
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    犬を用いて膵広範切除後の糖代謝と膵内分泌機能の変動を観察した. 膵切除は主膵管を損傷しないようにして全膵の50%以上の種々の割合で行なった. 膵内分泌機能検査としては経静脈糖負荷試験を行なって, 血糖および末梢インスリン値を測定し, またアルギニン負荷を行なって, 残存膵のインスリンおよびグルカゴン分泌能を観察した.
    膵広範切除後の糖代謝の変動は膵の切除量と術後経過によってこれを3型にわけることができた.
    1型, 全膵の88%以上の切除では, 術後早期より空腹時血糖は上昇し, 術後3週以内に糖尿病を発生し, 血中インスリン濃度は著明に減少していた.
    2型, 全膵の70~88%の切除では, 術後早期では正常な耐糖能を維持するが, 6週以後になってはじめて糖尿病を発生した. 末梢インスリン濃度は術後早期では軽度に低下していたが糖尿発現時では著明に低下していた. この定型的なSandmeyer型糖尿病においては, アルギニン負荷に対するグルカゴン分泌能は比較的良好に保たれていたが, インスリン分泌能は低下していた. 組織学的検査ではA細胞にはほとんど変化がみられなかったがB細胞では著明な空胞変性と数の減少がみられた.
    3型, 全膵の70%以下の切除では糖尿病の発生はみられず, 末梢インスリン値もほぼ正常に近く, 残存膵のみでよく正常糖代謝が維持されていた.
  • 松田 精
    1974 年 17 巻 4 号 p. 345-354
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎の膵内分泌機能を検討し, また膵内分泌機能と膵外分泌機能との関連を検索した. ぶどう糖負荷試験では45例中正常型5例 (11%), 境界型12例 (27%), 糖尿病型28例 (62%) であり, 何らかの耐糖能障害を有するものは89%と高率を示すが, 高度の耐糖能障害を示すものは比較的少ない. その際のインスリン反応は27例中正常型4例 (15%), 低反応型19例 (70%), 遅延型1例 (4%), 過剰反応型3例 (11%) であり, 軽度の耐糖能障害にもかかわらずインスリン反応の低下している例が多い. トルブタマイド負荷試験は6例に施行し, 5例ではインスリン反応は低下していた. アルギニン負荷試験を6例に施行し, 5例ではインスリンおよびグルカゴン反応が共に低下していた.
    以上の結果より, 慢性膵炎ではα細胞もβ細胞も共に障害されることが示唆された. 膵性糖尿病と一次性糖尿病のインスリン反応を比較すると. 膵性糖尿病で低値の傾向を認めた. 膵外分泌障害が強くなると耐糖能が低下する傾向を示すが, インスリン反応との間には一定の関係は認められなかった. 膵石症のうち小結石型のものは大結石型にくらべ耐糖能障害が強く, インスリン反応も低下しているものが多い. 糖尿病性網膜症を3例に認めた.
  • 大原 弘通, 和賀 豊, 和田 武雄
    1974 年 17 巻 4 号 p. 355-362
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の早朝空腹時gast面値は, 49歳以下 (27例) 群でも, 50歳以上 (27例) 群でもともに対応した正常対照より高い値を示した.
    糖尿病患者のtetragastrin刺激による低酸症の発現頻度は, 基礎酸分泌で42%, 最高酸分泌 (MAO) で26%を示し, 対照の6%および17%よりも頻度が高い. MAOと血中gastrin値の相関を求めると, r=-0.59で両者は有意の逆相関を示す. 糖尿病患者を正酸群と低酸群, および腎症の有無に分けて血中gastrin値を比較すると, 正酸群で腎障害のないものではgastrin高値を示したものはなく, 正酸群で腎障害を伴ったものは正常域を越えて高値を示した. また低酸群で腎障害のないものでもgastrin値は高いが, 低酸と腎障害とを合併したものでは著しい高gastrin血症を認めた. この点から, 糖尿病における高gastrin血症の誘発因子には, 低酸と腎障害の2因子が関与していることが結論される.
    糖尿病性腎症による高gastrin血症の機序を確かめるため, 腎障害の存在を組織学的に確かめた自然発生糖尿マウス (KKAy) と対照マウス (dd) の腎組織を用いてgastrin分解能を比較した. 腎組織と131l-gastrinとを温浴し, silica-G薄層chromatographによって展開してその放射活性をみると, 131l-gastrinは温浴時間の経過と共に腎によって分解されて分解物が増加するが, KKAyマウス腎のgastrin分解能は対照マウス腎よりも明らかに低く, 腎におけるgastrinの代謝が腎障害で低下するため高gastrin血症を来たすという機序を明らかにした.
  • 倉八 博之, 桜井 英雄, 佐野 万佐寿, 吉見 輝也, 深瀬 政市, 池田 正毅, 井村 裕夫, 上野 隆夫
    1974 年 17 巻 4 号 p. 363-369
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    60歳の男性で, 1968年4月下旬から5月上旬の約2週間にかけてのみ, 3回の低血糖による意識障害を起こし, その後は1974年の現在まで全く無症状に経過している “インスリン自己免疫症候群” の1例を報告する. 患者にはインスリン使用歴は全くなく, しかもWhipPleの3主徴を有し, 50gGTTでは軽度の耐糖能異常が示された. 2抗体法により測定された血中インスリンは, GTTおよび経静脈トルブタマイド1g負荷試験で前値より1000μU/ml以上を示し, 同時に患者血清にはWrightの変法で測定すると58.3mU/mlの高いインスリン結合抗体が認められた. この抗体価は3ヵ月の間に自然にかつ急速に減弱した事実が観察され, この抗体は牛よりも人および豚インスリンとの結合力が強く, 内因性インスリン抗体 (主にIgG抗体) である事が示唆された.
    患者には他に自己免疫疾患を思わせる臨床症状および検査成績はなく, 非常に減弱しているものの内因性インスリン抗体が現在も存在することは, 何らかの自己免疫的機序が働いていることが考えられる.
  • 河西 浩一, 石田 俊彦, 金津 俊太郎
    1974 年 17 巻 4 号 p. 370-378
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病昏睡を初発症状として発症した19歳の女子のbrittle diabetesの症例である. 昏睡下の入院時, 急激な発症のために脳の細胞内液と外液の滲透圧差によって生じたと思われる, 暴れまわると表現するのがもっともふさわしい四肢と躯幹の異常運動を呈した. 血糖は845mg/dlで尿中アセトンは強陽性であった. 同時に, 血清カリウム値が6.25mEq/lであったにもかかわらず, 著明な高カリウム血症性心電図変化と, それに続く頻回の心室細動と心室頻拍を示した.
    インスリン治療開始後約1週間してから, グリコゲンの蓄積によると思われる高トランスアミナーゼ塩症, 高乳酸脱水素酵素血症を伴う一過性の肝腫大, insulin edemaと考えられる一過性の尿量の減少と浮腫の出現, 昏睡後の神経障害に基づくと思われる頻回の腹部の神経痛様発作と四肢末端の異常感覚や振戦の出現などをみた. これらの症状は7~10日後にはいずれも消失した. また入院経過中, 患者はbrittle diabetesに伴うと思われる脳波異常と軽度の性格異常や自律神経障害を示した. これらの症状に対してdiphenylhydantoin 1日100mgが投与されたところ, 自律神経症状の消失をみたのみで, 脳波異常は改善されず, また血糖は上昇し, かつ不安定性も著しくなった. この耐糖能の悪化はdiphenylhydantoinのインスリン分泌障害によるものと考えられた.
  • 斎藤 毅, 佐藤 隆夫, 佐藤 徳太郎, 本間 一男, 安田 圭吾, 出村 黎子, 奥山 牧夫, 田山 澄夫
    1974 年 17 巻 4 号 p. 379-386
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    lipoatrophic diabetesの1例を経験し. その糖代謝, インスリン動態などを検討した.
    症例は25歳の女子, 生下時より全身の皮下脂肪が少なく, 24歳時に糖尿病を発見された. 入院時, 全身の脂肪萎縮があり, 筋肉の輪郭は著明でacanthosis nigricans, 肝腫大, 糖尿病性網膜症, 腱反射の減弱, 振動覚の低下などが認められた. 尿糖陽性で, 耐糖能の低下を認めたが, ケトン尿はなく, そのほかの一般検査成績にも異常はみられなかった. 血清脂質と基礎代謝率は入院時には正常で, 次第に高値となった.
    経口糖負荷試験時および, トルブタマイト静注負荷試験時の血漿IRI反応は過剰遅延反応を示した, トルブタマイド負荷試験およびインスリン負荷試験では血糖降下は殆ど認められなかった. 患者血漿をSephadexG-50カラムクロマトグラフィーにより分画したところ, 大部分が正常インスリンと同一の画分に回収された. 各種刺激に対する血漿成長ホルモンは正常範囲内の反応を示した.Louisの尿中インスリン拮抗物質は証明されず, 血中インスリン抗体価の上昇も認められなかった.
    本症例をchlorpropamideにより治療したところ, 経口糖負荷に対する血漿IRIの分泌反応は一層過剰となった. しかし, トルブタマイドに対するIRIの追加分泌は認められなかった. なった. しかし, トルブタマイドに対するIRIの追加分泌は認められなかった.
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