キシリトールが栄養補給の目的で比較的大量に投与され始め, 最近その副作用が問題となっているが, その一つにlacticacidosisがある. 本論文はキシリトール投与が, グルコースと比較し1acticacidosisを引き起し易いか否かをマニトールを対照として比較検討したものである.
9頭の麻酔犬に, PCO
2をコントロールしながらキシリトール, グルコースおよびマニトールを7.6mM/kg/hの割合で4時間注入した. その間, 血糖, 血中キシリトール, 乳酸, ピルピン酸を測定し, IL-meterによりpH, PCO
2, PO
2を計測した. キシリトール注入では, 血中キシリトール値は500mg/100mlまで上昇したが, 血糖は有意の上昇は示さず, 乳酸は前値0.67mM/lから頂値4.3mM/lと有意の増加を示した. ピルビン酸も有意の上昇を示し, L/Pratioは, 10分以降で有意の増加を示した, 一方グルコース注入では, 血糖は400mg/100mlまで上昇し, 乳酸は有意の増加を示したが, ピルビン酸は有意の増加を示さなかった. 対照の意味で, マニトール注入を試みたが, 血糖, 乳酸, ピルビン酸値に何ら変化はみとめられなかった. ガス分析では, キシリトールはpH7.39から7.29と有意の低下を示し, HCO
3-, も23.9mM/lから18.7mM/lと有意の低下を示した. グルコース, マニトールではpH, HCO
3-共に有意の変化はみられなかった. 乳酸の上昇, pH, HCO
3-の低下から, グルコースよりもキシリトール投与にlacticacidosisを起し易いといえた.
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