糖尿病
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18 巻, 2 号
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  • 第2報視神経所見について
    宮崎 栄一, 森井 文義, 山下 秀明
    1975 年 18 巻 2 号 p. 101-104
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    自然発症糖尿病KKマウスの視神経を電子顕微鏡的に観察し次の結果をえた.
    軸索の浮腫様変化, 軸索内のミトコンドリアの膨化, 崩壊傾向を認め, 視神経内毛細血管では基底板の肥厚と内皮細胞の活動性変化を認めた. グリア細胞, 血管周辺細胞には著変を認めなかった. 固定法の再考および例数を増やし, 更に研究を進めねばならぬが, 網膜, 視神経共に毛細血管の基底板に肥厚を認めた事は注目に値するものと考える.
  • 筋肉・脂肪・肝組織への糖取込みに対する遊離脂肪酸の影響
    冨田 基治
    1975 年 18 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ラットを対象として筋肉, 脂肪および肝組織への糖取込みにおよぼす各種遊離脂肪酸の影響をWarburg検圧計を用いin vitroで検討した. 各組織, incubation mediumのglucose濃度およびalbuminbcund fatty acidの濃度により糖取込みに対する影響は異なる.
    glucose濃度を200mg/dlとし, これにラット血中遊離脂肪酸濃度に近似したalbumin bound fatty acidを添加した場合, 筋肉で糖取込みは抑制され, 一方, 上記の脂肪酸濃度を10倍に増加した場合には亢進した. 脂肪組織では前者で亢進, 後者では亢進する程度が少ない. 肝組織では前者で抑制, 後者で亢進した.
    また, glucose濃度を100mg/dlとし, これにラット血中遊離脂肪酸濃度に近似したalbumin bound fattyacidを添加した場合, 筋肉で糖取込みは抑制され, 上記の10倍濃度の脂肪酸添加では抑制される傾向が少なくなっている. 脂肪組織では脂肪酸濃度にかかわらず抑制がみられ, 肝組織では糖の放出がみられるが, 高濃度の脂肪酸添加では糖の放出の減少がみられる. なお, glucose濃度200mg/dlで高濃度の脂肪酸添加で肝トリグリセライド量は増加した. 必須脂肪酸であるリノール酸, アラキドン酸の各組織への糖取込みに対する影響は特異的である.
    以上の結果より遊離脂肪酸の各組織への糖取込みに対する影響はglucose濃度と遊離脂肪酸濃度との相対関係によるものと思われる.
  • 佐藤 祐三, 長嶋 誠, 角田 博信, 井口 昭久, 堀田 饒
    1975 年 18 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    本邦では従来比較的稀とされていた糖尿病性壊疽の6症例を報告するとともに, 本邦報告243例について若干の文献的考察を試みた.
    本症の臨床的特徴は,(1) 50歳以上の高齢者,(2) 罹病年数の長い症例,(3) 耐糖能およびコントロール不良例に多くみられること,(4) かなり進行した糖尿病性網膜症, 腎症などの細小血管症および虚血性心筋障害, 高血圧症などの動脈硬化性血管障害さらに糖尿病性神経障害の合併頻度が高いこと,(5) 誘因として火傷, 小外傷, 白癬症があげられること, 等々である. これらの諸因子は無論それぞれ独立したものではなく相互に関連し合って壊疽の発症, 進展に寄与するものである. すなわち本症の発症の基盤には四肢末端の細小血管症および中小動脈の動脈硬化症による血管障害性因子が最重要視されるが, 糖尿病性神経障害による影響も無視し得ず, さらに感染の合併も壊疽の発症, 進展を複雑に修餓する点重要である. したがって本症の発症機転および臨床的対策の根本的解決には, これら複雑に錯綜する諸因子が血管障害を中心として究明されねばならない.
  • 清野 裕, 田港 朝彦, 後藤 康生, 倉八 博之, 桜井 英雄, 中根 憲一, 池田 正毅, 井村 裕夫
    1975 年 18 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Ungerらは糖尿病者にアルギニソを投与した際の膵グルカゴン反応は過剰であることを見出し, 膵ラ氏島のα細胞の機能亢進が糖尿病の病態の重要な一因であることを指摘している, しかし糖代謝異常をきたしやすい他の病態時におけるグルカゴン分泌に関しては殆んど知見が得られていない. そこで各種内分泌疾患, 慢性肝炎および肥満症にアルギニンを投与しその際のグルカゴンならびにインスリン反応を正常者と対比した. なおアルギニンは10%1-アルギニン溶液を45分間点滴静注し, グルカゴンの測定には膵グルカゴンにほぼ特異的と考えられる抗血清30Kを用いた. 正常人の空腹時グルカゴン値は84pg/mlでアルギニン投与後10分 (205pg/ml), 45分 (298pg/ml) を頂値とする2相性の反応が認められた. クッシング症候群では空腹時グルカゴン値の上昇と共にアルギニンに対する著明な過剰反応が認められた. 甲状腺機能低下症, 慢性肝炎, 肥満症でもグルカゴンは過剰反応であったが. 空腹時グルカゴン値は正常者に比し特に変化は認めなかった. 甲状腺機能亢進症のグルカゴン反応は正常者と殆んど変わらなかった. 一方インスリンはクヅシング症候群, 甲伏腺機能低下症, 慢性肝炎で著明な過剰反応であったが, 甲状腺機能亢進症ではきわめて反応が不良であった. このようにアルギニンに対するインスリンならびに膵グルカゴン反応の異常が生ずる理由やその意義は不明であり, 更に詳細に検討すべき課題と考える.
  • 浅野 喬
    1975 年 18 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    キシリトールが栄養補給の目的で比較的大量に投与され始め, 最近その副作用が問題となっているが, その一つにlacticacidosisがある. 本論文はキシリトール投与が, グルコースと比較し1acticacidosisを引き起し易いか否かをマニトールを対照として比較検討したものである.
    9頭の麻酔犬に, PCO2をコントロールしながらキシリトール, グルコースおよびマニトールを7.6mM/kg/hの割合で4時間注入した. その間, 血糖, 血中キシリトール, 乳酸, ピルピン酸を測定し, IL-meterによりpH, PCO2, PO2を計測した. キシリトール注入では, 血中キシリトール値は500mg/100mlまで上昇したが, 血糖は有意の上昇は示さず, 乳酸は前値0.67mM/lから頂値4.3mM/lと有意の増加を示した. ピルビン酸も有意の上昇を示し, L/Pratioは, 10分以降で有意の増加を示した, 一方グルコース注入では, 血糖は400mg/100mlまで上昇し, 乳酸は有意の増加を示したが, ピルビン酸は有意の増加を示さなかった. 対照の意味で, マニトール注入を試みたが, 血糖, 乳酸, ピルビン酸値に何ら変化はみとめられなかった. ガス分析では, キシリトールはpH7.39から7.29と有意の低下を示し, HCO3-, も23.9mM/lから18.7mM/lと有意の低下を示した. グルコース, マニトールではpH, HCO3-共に有意の変化はみられなかった. 乳酸の上昇, pH, HCO3-の低下から, グルコースよりもキシリトール投与にlacticacidosisを起し易いといえた.
  • 稲垣 勝則, 増戸 尚, 若山 栄司, 渡辺 斌
    1975 年 18 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性神経障害のうち, 振動知覚を定量的に測定する新しい方法について検討し, 糖尿病患者と, 健常者について比較検討した. 従来のvibrometerを使用した測定法と比較して, 本法は, 振動検出部が直接被験部に接する振動部であるため, 被験部での直接の振動を測定できること, 振幅の変化を駆動源の振動発生装置のダイヤルに頼ることなく振動pick-upで測定できること, 接触圧力を測定できること, 被験部との接触により生じる不定振動を除去できることなどより, 従来の測定法の欠点を補っている点で, vibrometer使用の振動覚検査法より客観的で, 正確であると思われる. 振動覚測定条件を決定するため予備実験を行い, 振動数250c/s, 接触圧力250g, 皮膚温28~32℃が至適振動条件と考えられ, 測定はこの条件下で行った. 年齢の増加にともない, 振動覚閾値は上昇するが, 糖尿病群と健常群では, その点を考慮に入れても糖尿病群では閾値の上昇を認め, 健常群との問に明らかに有意差を認めた. また, 糖尿病群について, 振動覚閾値と他の検査との相関を検討した. 振動覚閾値と罹病期間で, 29歳未満, および59歳未満の二群で有意の相関が認められたが, 60歳以上の群では, 明らかな相関は認められなかった. また, FBS, 総コレステロール値, 中性脂肪値については有意の相関は認められなかった.
  • 高取 悦子, 小田桐 玲子, 杉本 智惟子, 高橋 千恵子, 劉 瑞恵, 林 正雄
    1975 年 18 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    確実な糖尿病患者97例について, 良好なコントロールを維持している時期に行った100g経ログルコース負荷後の血中インスリン反応を糖尿病性網膜症の有無により比較した.
    その結果, グルコース負荷後の血糖曲線は両群間でよく類似し相異を認めなかったが, 血中インスリン反応は, 網膜症を有する群において, 網膜症を有しない群に比べ, グルコース負荷後の各時点で有意に低反応であった. また初診時空腹時血糖値別および推定罹病期間別にみた血中インスリン反応は, 網膜症を有する群においても, 網膜症を有さない群においても, それぞれの群の中のものについてみると, 有意な差を認めなかった.
    以上, 網膜症を有する群で認められた血中インスリンの低反応は網膜症と同様の血管障害が膵ラ氏島に起ったためか, また血中インスリンの低反応のものに網膜症が発症しやすかったのかはなお不明である.
  • 石井 正二, 大根田 昭, 板橋 博, 堀米 賢, 千葉 正道, 甲斐 之泰
    1975 年 18 巻 2 号 p. 149-155
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    glybuzoleの膵グルカゴン分泌に対する効果をみるため, 6頭の麻酔犬を用い, 開腹下に上膵十二指腸動脈に91ybuzole 100mgを10分間に注入した. 膵静脈血中の血漿インスリンは3分で164.0±30.6より352.3±99.3μU/mlと上昇した. 血漿グルカゴンは1.34±0.12より6分後に0.92±0.18mμg/mlと低下し, 注入終了後は徐々に増加した. 6頭のうち3頭の犬では, 他のsulfonylurea剤との比較を行うため, その後40分間隔でtolbutamideとglibenclamideを注入したが, glybuzole 100mgはtolbutamide 200mg, glibenclamide lmgよりも膵グルカゴン分泌を強く抑制した.
    2) 5人の成人型糖尿病患者について, 約1ヵ月間のglybuzoleによる治療を行い, その前後にアルギニン負荷試験を行って, 膵グルカゴン反応の変動をみた. 塩糖値は治療前に比し, 治療後に空腹時を含め全時間で有意に低下した. この際の膵グルカゴン値は空腹時, 5分および20分値に, 治療後の有意の低下がみられた. これはsulfonamide剤の長期投与により, アミノ酸による膵グルカゴン分泌が抑制されることを示唆する.
  • Cellulose PowderによるGlucagon Free Plasmaの作成とその利用
    吉田 隆司, 豊島 博行, 野中 共平, 垂井 清一郎
    1975 年 18 巻 2 号 p. 156-163
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    免疫活性膵グルカゴン (IRG) 値を健常人の空腹時血漿につき測定する場合, 膵グルカゴンに特異性の高い抗血清30Kを用いても, かなりのバラツキを示す. この理由として, 個々の血漿中にIRG以外に血漿固有の抗原 (グルカゴン), 抗体 (30K) 阻害因子が存在し, これがIRG測定値を見掛け上高くしている可能性が考えられる. この因子による影響を除外する意味で, 個々の被検血漿にセルロース粉末を添加し, 内因性グルカゴンを吸着除去して得られたglucagon free plasma (GFP) を使用して, 標準曲線を描き, これを用いてIRG値を測定した. 健常者14例の空腹時血漿IRG値はGFPを用いない場合, 78~630pg/mlの範囲で, 平均223土154pg/ml (平均値±標準偏差), 用いた場合, 12~96pg/mlの範囲にあり, 平均37±23P9/ml, また膵全別患者の空腹時IRG値は, GFPを用いない場合, 62~190Pg/mlと0にならないが, 用いた場合, ほぼ0となり, より真に近いと思われる他が得られた.
  • 臨床検査所見による糸球体病理組織所見の推定
    荒木 躋
    1975 年 18 巻 2 号 p. 164-173
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    一次性糖尿病患者40例を対象に, 臨床検査所見と腎糸球体病理所見の関連性について, 多変量解析法を用い, 多次元的に分析した. 変量として臨床検査所見14項目と糸球体組織所見3項目 (結節性病変, びまん性病変および細動脈硬化症) を用いた. 腎組織は生検によるもの14例, 剖検によるもの26例である.
    成績: 1) 主成分分析の結果, 臨床検査所見14項目のうち9項目 (尿蛋白, PSP試験, 浮腫, BUN, 血清総蛋白, 血清α2-グロブリン. 血清A/G比, 糖尿病性網膜症および収縮期血圧) は組織所見3項目と共に第1主成分に属し, 腎症と強い関連性を認めた.
    2) 重回帰分析法を用いて14項目の臨床検査所見より, 各組織所見ごとの重篤度を推定する線型一次結合を導いた。それぞれの重相関係数は結節性病変0.841 (p<0.001), びまん性病変0.904 (p<0.001) および細動脈硬化症0.752 (p<0.05) であった.
    3) 正準相関分析法を用いて, 臨床検査所見より組織所見の程度を総合的に推定すると, 92.5%の一致率でもって, 1) びまん性病変のみのもの2) びまん性病変に軽度の結節性病変を伴うもの, 3) びまん性病変および結節性病変の著しいものに分けて推定しうることを認めた.
    以上の成績は. 糖尿病性腎症の病態や組織所見の程度を臨床検査所見から推定し, 予後判定にも大いに役立つものと考えられる.
  • 難波 経彦, 八木 龍次, 橋詰 直孝, 福田 健, 磯貝 庄
    1975 年 18 巻 2 号 p. 174-180
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳, 男性, 事務員. 慢性腎炎, 軽症糖尿病, 肝障害として治療を受けていた患者に, 昭和47年1月, 感冒様症状出現やがて腹部膨満感を伴い, 入院サルファ剤, 合成ペニシリン剤などを使用したが, 微熱, 咳徽などは軽快せず, 同年6月18日, 出血性胃炎による吐血あり死亡した. 生前, 診断し得なかったが, 剖検でCryptococcosisであった. 肺, 肝, 腎, 膵, 胃などに菌を認めたが, 特に興味ある所見は膵で, 菌は主に数多くのラ氏島内に集中しており, 内分泌細胞は壊死に落ち入り大部分が消失していた. しかし, 糖尿病状態は入院前後で急激な増悪はみられなかった. インスリン分泌反応を検討していないのでこの理由は考察し難いが, インスリン分泌能が低下していたとすれば, 食欲不振ならびに腎障害によるインスリン寿命の延長などの関与が推察される. 一次性糖尿病にfungus (Cryptococcus) によるinulitisが合併したと思われる本症例は極めて稀なものといえよう.
  • 1975 年 18 巻 2 号 p. 181-194
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 18 巻 2 号 p. 199
    発行日: 1975年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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