糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
20 巻, 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 1) 正常および糖尿Rat肝HMG-CoA Reductase活性と血中Cholesterol値に対する脂質摂取と飼料摂取量の影響
    岩崎 良文, 向野 栄
    1977 年 20 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    非糖尿および糖尿ratに糖質食 (デキストローズ75%, カゼイン20%, ビタミンとミネラル5%) と脂質食 (デキストローズ30%, カゼイソ20%, ビタミンとミネラル5%, corn油20%, 難消化性線維25%) を投与し, 肝のcholesterol合成酵素のβ-hydroxy-β-methylglutaryl CoAreductase活性と血中cholesterol値の測定を行った. 動物は朝8時より夕6時まで自由に摂食させた. 実験期間の5日間の飼料の摂取量は飼料の種類, 動物の処理の有無にかかわらず約60力質リーであった. 一方, 強制摂食で4日間76カロリーを投与した非糖尿, 糖尿ratでも同様に測定した. 非糖尿動物では, 60, 76カロリーのいずれも脂質食群が糖質食群に対して高活性を示した. また他の実験条件が同一の60, 76カロリー群を比較すると力悌リー群が高活性を示すものが多かった. 糖尿動物では, やはり60, 76カロリー両群とも脂質食群の酵素活性が高値を示すものが多かった. 60, 76カロリー群間で, 他の実験条件が同一のものを比較すると76カロリー群が高活性を示すものが多かった. 非糖尿, 糖尿両動物群とも, すべて酵素の日内変動を認めた. 次に糖尿と非糖尿動物で他の実験条件が同一のものの酵素活性を比較すると, 非糖尿群で高い活性を示すものが多かった. 日内変動で最高の活性を示す時刻に血中cholesterol値を測定したが, 酵素活性の変動と無関係にいずれも有意の変動を示さなかった.
    このような脂質と摂取力ロリーの増加による肝のHMGCoA reductase活性の変動の機序について考察するとともに, 肝におけるcholestero1合成増加が血中のcholestero1値に反映しない原因についても検討した.
  • 富長 将人, 平田 幸正
    1977 年 20 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン自己免疫症候群6例とインスリン自己免疫抗体を有するが低血糖発作のみられない8例, 計14例および市販インスリンによる治療をうけている糖尿病患者14例の血清蛋白について1251-a. componeat結合率を求めた. いずれの場合も全例において正常者の血清蛋白よりも高い結合率を示したが比較的大量のcold Monocomponent Insulin (MCインスリン) を添加してincubationの後125ra-component結合率をみると正常者では24%以下であるのに対しインスリン治療者では14例中13例で27%以上であった. 一方, インスリン自己免疫血清では14例中13例で24%以下で, 1例のみ27%であった. またMCインスリン治療でインスリン抗体を生じた1例では22.1%であった. 以上から市販インスリン使用例では抗a-compone厩特異抗体を産生するのに対しインスリン自己免疫例およびMCインスリン治療例では抗a-component特異抗体を産生しないと考えられた. また従来の市販インスリンよりMCインスリンへ転換した患者血清においてはMCインスリンへの転換後1年間の観察では125I-a-component結合率でみる限り抗a-component特異抗体の減少傾向は認められなかった.
  • 第1報: Diphenylhydantoinのインスリン分泌抑制効果より見たNaのインスリン分泌における役割
    石橋 不可止, 浜崎 暁子, 柴田 好彦, 内藤 泰雄, 川手 亮三
    1977 年 20 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    膵β細胞からのインスリン分泌にはCaとともにNaが重要な役割を果たしていると考えられているが, その機序についてはまだ推測の域を出ていない. 一方, 従来からインスリン分泌を抑制することが知られているDPHがNaおよびCaのinfluxを抑制する作用があることが神経細胞において認められている. そこでわれわれはラット単離ラ氏島のperifusionを用いてDPHのインスリン分泌抑制効果におよぼすNaおよびCa fluxの影響について検討し次のごとき成績を得た.
    1) DPHはreversibleに且つdose-dependentにブドウ糖によるインスリン分泌を抑制する. 2) OuabainおよびgramicidinはDPHによるインスリン分泌の抑制を解除する. 3) A 23187および11.8mEq/LのCaもDPHによるインスリン分泌の抑制を改善する.
    以上の成績はDPHによるインスリン分泌の抑制がNa net uptakeの増加およびCa influxの増加により改善することを示している. Malaisseらはインスリン分泌にCa influxの増加が必要であることを主張しておりHellmanら, CorkeyらはCa uptakeにNaの存在が必要であることを示唆する成績を得ている. 今回のわれわれの成績はDPHによるNa uptakeの低下が2次的にCa influxを抑制している可能性を示すものでありブドウ糖によるインスリン分泌がCaの増加によって惹起されるにはNa net uptakeが重要な因子になっていると考える.
  • アンケート調査による
    三原 俊彦, 平田 幸正
    1977 年 20 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病治療の方法と心筋硬塞の早期死亡率との関係についてみる目的で昭和48年1月1日より昭和50年6月30日までの間に心筋硬塞発作を起こした糖尿病患者について全国の日本糖尿病学会々員2584名に対しアンケート調査を依頼した. 446名 (379機関) より回答を得, 心筋硬塞の発作後糖尿病を発見された35症例および糖尿病治療法不明の2症例を除いた452症例 (471発作) の心筋硬塞について集計しつぎの結果を得た. 糖尿病患者の心筋硬塞発作時年令のピークは60才代にあり, 男/女比は全体として2.2であった. 発作後4日以内死亡の早期死亡率は食事療法単独群15%, 治療放置群13%, 経口剤療法群23%, インスリソ療法群28%であり, 食事療法単独群, 治療放置群に比し経口剤療法群およびインスリン療法群の早期死亡率は高かった. また, 発作後1ヵ月の時点での累積死亡率は, インスリン療法群において48%であり, これは, 経口剤療法群 (31%), 食事療法単独群 (26%), 療放置群 (22%) に比し有意に高かった. 糖尿病罹患年数が5年以上の群および心筋硬塞発作時年令が70才以上の群において早期死亡率が高かった. 経口剤の種類と発作後4日以内死亡の早期死亡率との関係についてみると, SU剤単独使用群, SU剤+BG剤併用群, BG剤単独使用群の各群問に有意差はみられなかった. 発作後4日以内死亡症例の死因としては, 左心不全が最も多くついで心室細動であった.
  • 北室 文昭, 稲中 義幸, 池田 宜幸
    1977 年 20 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病の合併症として, アミオトロフィーと, Charcot jointは比較的稀なものであるが, 両者の合併は極めて稀なものである.
    自験例は63才の女子で, 16年間にわたってインスリン療法を続けていたが, poor controlであった. 3年前より筋力の低下を来たし, 歩行, 起ち上りが困難となった. 近位筋に萎縮が著明で, 筋電図では近位筋において筋原性の変化を示した. 筋生検像では, いわゆるscattered atrophyの像を呈した.
    この患者はさらにその後, 左足背に無痛性腫脹を来たし, レ線において第1趾中足趾節関節にCharcot joint様変化を示した. この変化は後に第2, 第3趾にまで波及するとともに, 骨・関節変化は著明となった. その後, 第4趾尖に壊疽を生じ, 二次的に第4趾骨の融解をも来たした.
    糖尿病に対するコントロールと, 第4趾中足骨掻把により足背の腫脹は軽快, 第1-第3趾骨・関節レ線像にも改善をみた. 筋力もある程度回復し, 歩行・起立等が可能となった.
  • 後藤 彰夫, 河西 浩一, 岡田 奏二, 石田 俊彦, 川村 攻, 仁科 喜章, 町田 周治, 柳生 史登, 大藤 真
    1977 年 20 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    岡山県における小児糖尿病患者の疫学的調査を行うため, 県下の内科・小児科を標榜する全医療機関と, 小, 中, 高等学校ならびに特殊学校ヘアンケートを郵送した. アンケートの回答率は医療機関51.6%, 学校関係90.0%(特殊学校は高令者を含むため除外した) であった. アンケートの回答をもとに個別調査を行い以下の結果を得た.
    昭和50年12月現在, われわれが把握し得た症例数は21例, うち男10例, 女11例であった. 発症頻度は小児10万人あたり約7人で, 小, 中学生だけに限ると5.2人であった. 発症年令にはとくにピークは認められなかった. 発症の季節は, 検尿によって発見された者を除くと, 秋から冬にかけての発症が多かった. 21例中7例は検尿により発見されている. 残り14例はなんらかの自覚症状を訴えて受診しており, うち4例は昏睡状態であった.
    病型では16例が若年型, 5例が成人型と考えられ, 成人型では全例に遺伝歴, 肥満歴が認められたが, 若年型ではそれらを有しないものが8例, 感染症にひきつづいての発症が2例あり, 秋, 冬の発症ともあわせて, ウイルス感染を契機とした糖尿病の発症が示唆される.
    治療面では, インスリン注射が15例, 経口剤投与と食餌療法のみがそれぞれ3例であった.
  • 水野 信彦
    1977 年 20 巻 1 号 p. 42-55
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    125I-insulin (以下Inと略す) を用いた二抗体法によるIgG, A, M-In結合抗体ならびにIn結合抗体のlight chain typeの微量測定法を開発し, さらにIn結合抗体の持つ特性について検討した. 測定系は, 希釈検体血清 (IgG抗体測定=1: 16, IgA=1: 4, IgM=1: 1, κ型, λ型=1: 16) を50μ1, 第二抗体 (抗ヒトーγ=1: 4, 抗ヒトーα=1: 4, 抗ヒトーμ=1: 2, 抗-k,-λ=1: 2) を200μ1にすることによって第二抗体の消費を最少にとどめ, 比較的高感度で精度, 定量性, 特異性にすぐれていた. 本法によるIn結合抗体測定でIn治療糖尿病者72例中61例 (847%) に, 抗甲状腺剤投与中の甲状腺機能充進症155例中3例 (1.9%) にIgGln結合抗体が証明され, IgA, M-ln結合抗体は認められなかった. 1ightchaintypeは, In治療糖尿病者45例中43例 (95.5%) はκ, λ 両型を示し, κ型, λ型単独症例は各1例 (2.2%) のみで, 甲状腺機能充進症に伴った. 自己免疫症候群の1例はκ型を示し, 抗体の性状に差異が認められた.
    次にIn結合抗体と諸種nativeInおよびヨード化Inなどとの親和性を検討すると, ほとんどの症例では諸種nativeInと種々の反応性を示したが, 61例中7例 (11.5%) ではnativeIm (非翼一・ド化In) とはほとんど反応性を示さず, ヨード化Inに強い反応性を示した. またこの7症例の血中抗体結合immunoreactiveInは11.2μU/mlから213μU/mlにみられることより, これら7症例に認められる結合抗体はヨード化操作により抗原性の変化したInに対する特異なIn結合抗体であると考察される.
  • 特に, D-, L-methionine methyl sulfonium chloride, ureaおよびethyleneureaの効果について
    香川 昌平, 野村 早苗, 小林 邦夫, 津村 洋子, 伊勢 久代, 高嶋 隼二, 松岡 瑛
    1977 年 20 巻 1 号 p. 56-65
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    有機水銀化合物, ヨード酢酸アミドなどが膵B細胞膜上のSH基と反応してglucose刺激に際して, インスリン分泌増大を惹起する. D-, L-methionine methyl sulfonium chloride (MMSC) がinvivo, in vitr. においてSH基反応性のアルキル化剤としての機能をもちうるか否かについて検討し, あわせて尿素, エチレン尿素, ニコチン酸アミドの作用について, ラット膵灌流法をもちいて検討した.
    200mg/mlのMMSC溶液0.2mlをマウスに静脈注射した後, 24時間飽食群, 絶食群のマウスの血糖値には対照に比しいずれも高値を示し, 耐糖能の低下を認めた. ラットに9体重あたりMMSC2mgを静脈注射した際にも, 血糖値, インスリン値の一時的上昇がみられた.
    ラット膵灌流により, 10mMMMSCは16.7mMglucoseの併用刺激で一過性のインスリン分泌増大を惹起し, また10mMMMSC前灌流により, 16.7mMglucose刺激によるインスリン分泌は抑制された. 10mM MMSC前灌流後, 20mM尿素, エチレン尿素の灌流により, 16.7mMglucose刺激によるインスリン分泌の回復がみられ, また10mMMMSC+20mMニコチン酸アミドの前灌流後の16.7mM glucose刺激によるインスリン分泌の初期相よりみて, ニコチソ酸アミドの防禦的効果などがみられた. さらに, P-chloromercuric benzenesulfonic acidは10mM MMSCにより前灌流した膵に対してインスリン分泌増大効果を示した.
    以上より, MMSCは膵B細胞膜にSH基に反応するアルキル化試薬の性質をもち, 尿素などのインスリン分泌回復効果もまた, SH基のインスリン分泌への関与を示唆している.
  • Prediabetesへのアプローチ
    佐々木 陽, 鈴木 隆一郎, 堀内 成人, 松宮 和人, 荒尾 雅代
    1977 年 20 巻 1 号 p. 66-75
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Prediabetesへのアプローチの試みとして, 巨大児を分娩した母親について種々の面から検討した. 対象は大阪府下吹田保健所管内で生下時体重4, 0009以上の児を分娩した母親284名で, 分娩1年後に検査を行った.
    この対象は肥満傾向が強く, また糖尿病の家族歴の頻度は19.8%に達した. これは糖尿病家系における糖尿病の頻度に近い. また流産・死産・巨大児分娩の既往のあるものが多くみられた.
    糖代謝異常者の割合は対照群ととくに差はみられなかったが, 糖耐能の低下は母親の年令, 児の生下時体重, 児の出生順位, 妊娠中毒症, 糖尿病の家族歴, 巨大児分娩の既往などとの関連がみられた.
    インスリン分泌機能をGTTにおけるIRI面積と血糖面積の比 (ΣIRI/ΣBS) を指標としてみると, 糖代謝正常群においてもこの比の低下傾向がみられ, インスリン分泌の低下が示唆された. またこの比の低下は母親の年令, 児の出生順位, 流産・死産・巨大児分娩の既往と関連することが見出された.
    以上の検討の結果, 巨大児を分娩した母親はすでに濃厚にPrediabetesとしての特性を備えていると考えられた.
  • 清野 裕, 田港 朝彦, 後藤 康生, 井上 喜通, 門脇 誠三, 服部 正宏, 森 幸三郎, 加藤 譲, 松倉 茂, 井村 裕夫
    1977 年 20 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    末端肥大症, 成長ホルモン単独欠損症にアルギニンを投与し, その際のグルカゴン反応を観察し, 成長ホルモンのグルカゴン分泌に及ぼす影響につき検討を加えた. 末端肥大症の空腹時グルカゴン値は正常者に比し明らかに上昇しており, アルギニンの投与によっても著しい過剰反応がみられた. また末端肥大症を明らかな糖尿病を合併する群と非糖尿群に分けてその反応を比較すると糖尿病を合併する群においてより過剩な反応を示す傾向がみられたが, 非糖尿病群との間に有意の差は認められなかった. 成長ホルモン単独欠損症においてもグルカゴン値は正常小児に比し空腹時より著しく上昇しており, アルギニンに対しても著明な過剰反応を示した. 509経口糖負荷時には正常者ではブドウ糖投与後グルカゴンは抑制されるが, 末端肥大症では低下しなかった. すなわち糖尿病群ではグルカゴン値はむしろ上昇する傾向を示し. 非糖尿病群でもブドウ糖による抑制はほとんどみられなかった. 以上の事実をまとめてみると, 成長ホルモン過剰症である末端肥大症ではグルカゴン分泌の充進が認められ, アルギニンに対して過剰反応を示し, ブドウ糖による抑制も不良であった. この傾向は耐糖能低下群においてより顕著であり, 糖尿病状態によりα 細胞の機能尤進がより著明になるものと推測される. またGH単独欠損症においてもグルカゴンは過剰反応を示すことから, 膵A細胞機能はGHの直接作用のほか, GHにより影響される種々の因子が関与している可能性が推測された.
  • 金綱 隆弘, 長谷川 弘之, 中島 一益, 平海 良雄, 大高 剛, 千丸 博司, 牧野 邦雄, 高森 成之, 滝野 辰郎, 葛谷 覚元
    1977 年 20 巻 1 号 p. 82-89
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    正常人では, ブドウ糖, トルブタマイドなどによるインスリン分泌刺激時のIRI反応は坐位に比べ右側臥位で強いことがわかった. そこで日常繁用される経口GTT時にこのように強いIRI反応をもたらす要因を追求するため正常者に以下の検討を行った.
    1) 100g経口GTT30分後の胃排出能, 血糖の上昇, IRI反応はいずれも坐位より右側臥位で強くみられた. 2) 259静脈内GTT10分前にatropine (0.5mg), propranolo1 (5mg) などを投与すると坐位と右側臥位の間でIRI反応の差はみられなくなり, 一方pilocarpine (7mg), trimetoquino1 (0.1m9) などの前投与で両体位間の差がよくみられた. 3) 坐位において25g静脈内GTT10分前にatropine (0.5mg), pilocarpine (7mg) の前投与を行ってもIRI反応は無処置の場合とで差をみない.4) 25g静脈内GTT10分前にvasopressm (10単位) を投与すると坐位, 右側臥位共にIRI反応が強く抑制され, また坐位において耐糖能の低下が強くみられた. 5) regularinsulin (4単位) 静注後の血中IRIの減衰曲線は坐位と右側臥位の間で差をみない. 著者らは以前, 左側臥位100gGTTでは血糖上昇, IRI反応が遅延し, トルブタマイド試験では右側, 左側臥位共に強いIRI反応を認めている.
    これらの成績から経口GTTのとき体位によるIRI反応の差をもたらす要因として, 胃排出機能, 副交感神経, 交感神経β受容体の関与が示唆された. 一方体位の差による膵血流量の差, インスリン分解能などは考慮する必要がないものと考えられる.
  • 久保田 奉幸, 豊田 隆謙, 工藤 幹彦, 藤谷 浩, 北原 明夫, 古沢 文夫
    1977 年 20 巻 1 号 p. 90-97
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン自己免疫症候群の1例を1年有余観察した. 本症候群にみられる低血糖様発作は昭和50年3月8日から4日連続しておこったがその後は全く臨床症状が消失した. 低血糖発作は絶食試験, トルブタマイド試験で誘発されず患者血清にはインスリン抗体の存在が確認された. インスリン結合抗体価はエタノール沈澱法で10.8%(B/T%) と言う微量のものであったが, ゲル源過法, セパラックス電気泳動法, ディスクゲル電気泳動法および螢光抗体間接法でインスリン抗体は確実に存在することが明らかであった. この抗体のL鎖はkappa, lambda型である点が従来の報告と一致しない. しかし患者は高血圧として治療をうけておりインスリン注射をうける機会は全くないことが確められている.
    インスリン結合抗体価をAndersenの2抗体法で定量するとその値は48.1μU/ml. インスリンであり発症後3, 4ヵ月目の値はそれぞれ56.2, 49.7であった. 5ヵ月目から次第に減少しはじめ, 6ヵ月目には5.0μU/ml・インスリンとほぼ消失し, 1年目は2.0μU/ml. インスリン以下と言う低値であった. 同時に測定したC-ペプチドは発症時5.2ng/mlと高値を示したが4ヵ月以降は0.9から1.3ng/mlの間にあった. 本例は一過性にインスリン抗体が出現し発症後5ヵ月以降, 急速に抗体が消失した症例と考えられる.
  • 6症例における経験
    鮴谷 佳和, 河盛 隆造, 大角 誠治, 吉川 隆一, 七里 元亮, 繁田 幸男, 王子 亘由
    1977 年 20 巻 1 号 p. 98-105
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    膵摘犬を用いた基礎的検討にもとづき, 4例の糖尿病性ケトーシス患者, 1例の高滲透圧非ケトン性昏睡患者, 1例の糖尿病性昏睡患者の計6例にインスリン少量持続注入療法を試みた. 平均インスリン投与量8.8±3.3 U/hr (Mean±S. E. M,) により, 血糖値は平均血糖降下率115±21mg/dl・hrの割合で低下し, 全例において治療開始10時間以内に安全に回復した. また, ケトン体陽性例においてもケトン体は治療開始前4.33±1.10mM/1が3時間以内に消失し, 従来の大量療法に比し遜色のない効果を認めた. なお, 血清カリウム値は治療前43±0.4mEq/1が3.3±0.2mEq/lと有意に低下し, したがって治療前値の低い場合にはインスリン少量持続注入療法時においてもカリウム剤の補給が必要であると考えられた.
  • 馬場 泰忠, 西元 英明, 甲斐 元朗, 瀬戸山 史郎, 中馬 康男, 尾辻 省悟
    1977 年 20 巻 1 号 p. 106-108
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Rheological changes in the blood flow and in the blood cell themselves may contribute to the appearance and evolution of diabetic retinopathy. In relation to the sludging phenomenon of erythrocyte in diabetes mellitus, surface electric charge (SEC) and membrane N-acetylneuraminic acid (NANA) were measured. The SEC and NANA levels of erythrocyte were determined by the colloid titration and by Warren's thiobarbituric acid method, respectively.
    The SEC levels of erythrocyte were significantly lower in diabetics without retinopathy (group A)(5.94±0.39×1017/ml packed cell, N=25)(P<0.01) than in controls (6.38±0.45, N=15) and in diabetics with retinopathy (group B)(5.70±0.27, N=17)(P<0.05) than in group A.
    The membrane NANA levels of erythrocyte were also significantly lower in group A (0.32±0.10 ttmol/m/ packed cell, N=25)(P<0.05) than in controls (0.39±0.09, N=15) and in group B (0.28±0.05, N=17)(P<0.05) than in group A.
    It may be conceivable that the above results contribute to the solution of rheological changes of blood in diabetes mellitus.
  • 1977 年 20 巻 1 号 p. 118-129
    発行日: 1977/01/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top