糖尿病
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21 巻 , 10 号
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  • 桑島 正道, 河野 典夫, 市原 紀久雄, 垂井 清一郎
    1978 年 21 巻 10 号 p. 881-892
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシスにおいて赤血球2, 3-ジホスホグリセリン酸 (2, 3-DPG) 濃度が減少し治療により回復することは良く知られているが, その減少機構および治療経過にそった赤血球解糖代謝についてはいまだ知られていない.そこで6例の糖尿病性ケトアシドーシス患者の流血中赤血球のすべての解糖系中間体 (1, 3-DPGを除く) とアデニンヌクレオタイド濃度を測定し, 治療前および回復期における解糖代謝の特徴を分析し2, 3-DPG濃度の変動機構を検討した.
    (1) 治療前の糖尿病性ケトアシドーシス患者の赤血球では正常対照に比しフルクトースー6-燐酸は上昇, フルクトースー1, 6-二燐酸, ジヒドロキシアセトン燐酸+グリセルアルデヒドー3-燐酸, 2, 3-DPG, 3-ホスホグリセリン酸は低下している. (2) この解糖系パターソは先天性赤血球ホスホフルグトキナーゼ (PFK) 部分欠損症のそれと極めて類似しており, 糖尿病性ケトアシドーシスに見られる2, 3-DPG濃度の低下はPFK活性の阻害にもとつくと判断される. (3) 糖尿病性ケトアシドーシスにおける赤血球PFK活性の阻害は主として血漿水素イオン濃度の上昇にもとついており, β-ヒドロキシ酪酸, アセト酢酸, インスリン, バルミチン酸などの濃度変動によるものでないことを浮遊赤血球を用いたinvitro実験系で明らかにした. (4) ヒト赤血球PFK活性が水素イオソによって阻害され, β-ヒドロキシ酪酸およびアセト酢酸によって影響を受けないことは精製酵素を用いた実験系でも確認された.
  • 富長 将人, 浜崎 尚文, 徳盛 豊, 白石 正晴, 池田 匡, 武田 倬, 安東 良博, 真柴 裕人
    1978 年 21 巻 10 号 p. 893-900
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン自己免疫例の血清とインスリン治療者血清との鑑別に血中抗a-component抗体の検索が有用であるが, single peak insulin (SPインスリン) あるいはMonocomponent Insulin (MCインスリン) 治療者血中にこれが存在するか否かが問題となる.SPインスリン治療者36例, MCインスリン治療者1例およびインスリン自己免疫例12例を対象とし, 血清に過剰のcold MC Insulinを添加してincubationの後, 125 I-a-component結合率を求めた.
    SPインスリン治療者の結合率は28.0±3.08%(mean±SD) であり, 正常血清に比し有意に高値であったが, インスリン自己免疫例では20.5±2.74%であり, 正常血清との間に差はみられなかった.SPインスリン治療者10例を対象とし, cold MC Insulinの他にcold a-componentを添加してincubateした後の血清で結合率を求めると, MCインスリンのみ添加したときの値よりさらに低値を示し, 正常血清との間に差はみられなかった.a-componentを添加することにより低下した部分はa-componentに対する抗体 (インスリンと交叉反応を示さないでa-componentとのみ反応する抗体) とみなすことができ, ほとんどのSPインスリン治療者の血中にこれが存在するものと考えられた。MCインスリンのみで治療し, 血中にインスリン抗体を認めた1例において経時的に125I-a-component結合率をみると, 治療開始4年後の血清においてわずかに結合率の上昇 (正常血清の上限以上) を認めた.
    SPインスリンが広く使用されている現時点においてもインスリン治療者血清とインスリン自己免疫血清との鑑別に血中抗a-component抗体を検索することは有用であるといえる.
  • 千葉 勉, 門脇 誠三, 井上 喜通, 森 幸三郎, 後藤 康生, 田港 朝彦, 清野 裕, 松倉 茂, 西本 政功, 野沢 真澄
    1978 年 21 巻 10 号 p. 901-906
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胃切除後の糖代謝異常におけるグルカゴンの役割りを検討する目的で, 胃全摘ラットに経口ブドウ糖負荷を施行し, その時の血糖, インスリン (IRI), グルカゴン (IRG), total glucagon (GLI) 反応を観察した.
    Wistar系雄性ラットにBillroth第1法による胃全摘を施行し, 1週間後に抱水クロラール麻酔下にてカテーテルを経口的に十二指腸まで挿入し1そこより29/kgのブドウ糖を注入した後経時的に採血した.また対照として正常ラットおよび十二指腸痩を作成したラットを用いた.ブドウ糖負荷は正常ラットでは同様の方法でカテーテルを経口的に胃内に挿入して行い, 十二指腸痩ラットでは十二指腸痩よりカテーテルを直接十二指腸に挿入して行った.
    胃全摘ラットの血糖値は糖負荷前, 負荷後ともに対照の2群に比し著明に上昇していた (P<0.01).またIRIは全経過を通じて3群の間に有意差は認められなかった (P>0.05).
    さらに胃全摘ラットのGLIは前値705±138.5pg/mlで糖負荷60分後には2,106±330.0pg/mlとなり全経過を通じて他の2群に比し著明な高値を示した (P<0.02).一方IRGも前値288±47.1pg/mlで糖負荷15分後には774±137.9pg/mlと他の2群に比し著明な高値であった (P<0.01).
    以上の事実より, 胃全摘ラットのGLIおよびIRGの過剰反応が単にブドウ糖の消化管での通過の促進のみによっては説明できないことが示唆された.さらにこの胃全摘ラットにおいて増加したIRGが胃切後の耐糖能異常に関与している可能性も推測された.
  • 上田 良成, 多々見 良三, 上田 幸生, 亀谷 富夫, 羽場 利博, 伊藤 清吾, 小泉 順二, 太田 正之, 宮元 進, 臼倉 教臣, ...
    1978 年 21 巻 10 号 p. 907-912
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    27例のケトアシドーシスを伴って発症した若年型糖尿病患者の臨床像, および膵β細胞機能と血糖値の安定性との関連性, インスリン治療開治後の膵β細胞機能の推移を検討した。患者の平均年齢 (±SEM) は13.0±0.8歳で, 全例が現在インスリン治療を受けている.血糖値の安定性は8回の空腹時血糖 (FBS) の標準偏差 (SD) とアセトン尿の有無により決めた.FBSのSDは平均50.7mg/dlで, FBSのSDが50.7mg/dl以下でアセトン尿の認められなかった症例を血糖値安定群 (A群), 他を不安定群 (B群) とした.平均年齢, 発症年齢, インスリン治療期間と投与量, Cペプチド (CPR) は, A群で各々15.0±1.1歳13, 1±1.0歳, 1.3±0, 5年, 16.4±3.5単位/日, 1.62±0.47ng/m1, B群で11.6±1.1歳6.6±1.1歳5.0±0.8年, 35.5±7.2単位/日0.49±0.05ng/mlであり, A群はB群に比し有意に年長で (P<0.05), 発症年齢が遅く (P<0.001), インスリン治療期間が短く (P<0.001), 投与量が少なく (P<0.05), CPRが高かった (P<0.05).発症年齢のピークは2~3歳, 7~8歳, 11~12歳であった.糖尿病の発症年齢とCPRはFBSのSDと有意に負の相関を示し (各々P<0.05), 発症年齢が若いほどCPRは低かった.CPRが1.16ng/ml以上では血糖値は安定, 0.45ng/ml以下では不安定で, 膵β細胞機能が血糖値の安定性に重要であった.インスリン治療期間が短いほどCPRは高く, 治療期間が2年以上ではCPRが0.50ng/ml以下の症例が出現し, 膵β細胞機能は治療開始後約2年間は残存していると考えられた.
  • 佐藤 祐造, 堀田 饒, 長嶋 誠, 角田 博信, 大原 清仁, 服部 忠和, 国枝 武英, 野村 隆英, 篠田 廣, 坂本 信夫, 松岡 ...
    1978 年 21 巻 10 号 p. 913-919
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年老化現象や動脈硬化症をはじめ種々の退行性変化の原因として注目されている過酸化脂質と糖尿病, 特に糖尿病性血管障害とその関連を追求する目的で, 糖尿病患者103名および健常者331名合計434名の血漿過酸化脂質量を八木法 (微量螢光測定法) を用いて測定, 血糖, 高脂血症および血管障害等の要因との相関関係について若干の検討を加えた.
    その結果, 糖尿病患者の血漿過酸化脂質量は5.49±0.76nmole/mlと健常者の3.74±0.13nmole/mlより有意に高値を示した (P<0.001).次に糖尿病患者における検討で, コントロール不良群の過酸化脂質量は6.39±1.21nmole/mlと良好群の4.08土0.38nmole/mlより大であったが (P<0.001), 耐糖能や高脂血症とは何ら相関関係がなかった.一方血管障害合併群 (42名) の7.69土1.65nmole/m1は, 非合併群 (55名) の3.89±0.55nmole/mlより有意に大であった (P<0.001).
    以上の事実は血漿過酸化脂質の増量が血管障害の発症, 進展に関与している可能性を支持するものである.したがって糖尿病患者の死因の過半数以上を血管障害が占めている今日, 糖尿病患者の診療においては, 過酸化脂質の定量をいわゆる臨床検査法の1つとして用いることが望ましいものと考える.
  • 勝又 一夫
    1978 年 21 巻 10 号 p. 921-928
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    トルブタマイド14C (10μCi/mg) を体重100gのラットに静注し, 体内分布を全身オートラジオグラフィーを用いて検討し, 等量を経口投与した前報の成績と比較して興味ある結果を得たので報告する.
    1.14C原子の一部は静注10分後から胆汁および尿へ排泄された.しかし胆汁中の14C原子のかなりの部分は再吸収され, 尿中へ排泄された.静注10分後にすべての消化管の壁および内容物に一過性に1℃ 原子の増加がみられ, とくに胃, 十二指腸, 空腸, 回腸に著しい.この事実は血中濃度が高くなると一時的に消化管, とくに胃, 十二指腸, 空腸, 回腸から1℃ 原子が排出される可能性を示す。
    2.胸管, リソバ, 骨髄中の14C原子は経口投与と異なり静注10分後の早期からきわめて高値となった.また実験期間中高濃度に14C原子が集積し, しかも排泄が遅延した.
    3.肺, 肝, 腎は経口投与と同様に高濃度に14C原子が分布したが, 甲状腺では経口投与でみられた高い濃度の集積はない.
    4.静注投与では経口投与と異なり, 心臓, 副腎に高濃度に黒化度の集積がみられた.心臓の14C原子の分布は興味深く, 心筋の黒化度はきわめて高く, 心腔内の血液の黒化度はほとんど認められなかった.上述の成績からトルブタマイドの生体内分布が投与方法の差によって異なる事実を明らかにし, 共通してみられた成績と合わせてトルブタマイドの膵外作用, 副作用との関連から考察を加えた.
  • 太田 正之, 羽場 利博, 多々見 良三, 上田 幸生, 上田 良成, 亀谷 富夫, 伊藤 清吾, 小泉 順二, 宮元 進, 馬渕 宏, 竹 ...
    1978 年 21 巻 10 号 p. 929-934
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病における腎の大きさを検討するため, 糖尿病71例, 正常対照群36例について, レ線的腎陰影の大きさをSimonの方法を用いてrenal ratioとして計測した.
    対照群のrenal ratioは3.11土022 (平均値土標準偏差) であり, 年齢, 身長, 体重, 糸球体炉過値, 腎血流量, PSP値との関連は認めなかった.一方, 糖尿病例のrenal ratioは3.40土0.29であり, 対照群に比し有意に (P<0.001) 高値であり, しかも罹病期間, 蛋白尿の有無には影響されなかった.糖尿病でもrenal ratioと腎機能諸項目とは関連を認めなかった.しかしrenal ratio (y) と空腹時血糖値 (x: mg/dl) とはy= 0.001x+ 3.19, r= 0.312の正の相関を示した (P<001).
    糖尿病における腎の肥大をレ線的方法により確認し, 糖尿病のコントロール状態とも関連することを認めた。糖尿病の代謝異常によるグリコーゲンの蓄積, 異常組成の基底膜産物の蓄積などが因として推測される.糖尿病性腎症との関連も含め糖尿病の腎の肥大を検索することは意義深いと考える.
  • 竹居 真知子, 中沢 道夫, 小田桐 玲子, 田坂 仁正, 平田 幸正, 三井 一高, 後藤 一彦
    1978 年 21 巻 10 号 p. 935-942
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1970年, 平田らの報告以来, インスリン自己免疫症候群の報告は20例に及んでいるが, 今回の報告例は, インスリン注射によることなく自発性にインスリン抗体を生じ, 低血糖発作を示した最年少の症例である.症例は8歳の女児で, 糖尿病の診断を受けたことがなく, インスリン注射の既往もなく, 家族に糖尿病者, 医療従事者もいない.昭和51年7月20日, 交通事故で頭部を打撲し, 日大板橋病院脳外科に2週間入院し, diphenyihydantoinなどの投薬を受けた.同年9月始めより空腹感を強く訴えるようになり, 9月24日早朝空腹時の意識消失発作が起こり, 日大板橋病院脳外科に再入院した。血糖値30mg/dl以下, ブドウ糖静注により軽快することが認められたため, インスリノーマが疑われ, 小児科に転科となった.発作は9日間続いた.血糖の日内変動で低血糖が認められ, ブドウ糖負荷試験では糖尿病型を示した.immuno reactive insuiinは高値であり, 膵組織を用いた間接螢光抗体法によりインスリン抗体が証明されたことから, インスリン自己免疫症候群の診断がなされた.低血糖発作後約1ヵ月の11月12日の空腹時血清のインスリン結合百分率は39.3%, 抽出総インスリンは620μU/ml, C-peptide immunoreactivityは5.2ng/mlと高く, インスリン抗体はIgGに属し, L鎖はkappa型が優位であった.昭和52年4月4日の空腹時血清では, インスリン結合百分率, 抽出総インスリソ, C-peptide immunoreactivityともに低値となり自然寛解を示していた.なおこの症例のhuman Ieucocyte antigenのBiocus antigenはB15, BW 54であった.
  • 松田 文子, 斎藤 公司, 高井 孝二, 坂本 美一, 葛谷 健, 吉田 尚
    1978 年 21 巻 10 号 p. 943-950
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    大腸菌, 変形菌, 黄色ブドウ球菌の感染により皮下にガス産生を来した糖尿病性壊疽の2例を報告した.症例1は42才女性, 糖尿病治療不十分の状態で左足背を火傷.2月後足背の壊疽, 蜂窩織炎が拡大し全身感染による中毒症状におちいった.蜂窩織炎は大腿から側胸まで上行し, 皮下に特有の気腫を触知し, X線上皮下ガス像を著明に認めた.壊疽部からは黄色ブドウ球菌と変形菌, コリネバクテリウムを検出した.糖尿病治療はインスリンで効を奏したが, エンドトキシンショックで死亡した.Scott丑の網膜症, び漫性, 結節性腎糸球体硬化症を合併した.下肢の全知覚鈍麻があり高度の神経障害も合併していたが末梢動脈の閉塞狭窄は認めなかった.症例2は56才男性, 20年前より糖尿病で経口剤治療下にあった.靴ずれの後左足第4趾が壊疽化し感染を合併した.X線で病巣周辺皮下にガス像を認め, 病趾切断を行ったが, 炎症が上行し全身感染による中毒症状でショック状態となった.直ちに膝下下腿切断術を行い救命し得た.壊疽部の培養から大腸菌と黄色ブドウ球菌を検出した.本症例は眼底出血続発による失明, 高度の神経障害と蛋白尿を合併していた.欧米および本邦を通じて, 糖尿病性壊疽に大腸菌, 好気, 嫌気性連鎖球菌, クレブシェラなどの感染が合併して類ガス壊疽様症状を呈した報告が21例ある.高度の神経障害を素地とし緩慢に進行するため診断が遅れがちで極めて予後不良であり, 適切な抗生剤の投与と外科的治療が必要とされ
  • 1978 年 21 巻 10 号 p. 951-957
    発行日: 1978/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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