糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
23 巻, 12 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 桑島 恵一, 藤井 靖久, 藤田 洋, 松浦 昭久, 村田 欣也, 森 俊雄, 吉田 良一, 吉野内 猛夫
    1980 年 23 巻 12 号 p. 1081-1087
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    愛媛県における糖尿病患者の死因の実態をみる目的で, 広く全県下の症例を集計するため, 愛媛県医師会全員を対象にアンケート調査を実施し, 1977~79年の3年間に県内125医療機関 (45病院, 80医院・診療所) から得た1次性糖尿病死亡例385例 (男193例, 女192例) の死因について検討を行った.
    死因順位は, 脳血管障害 (21.0%) についで心疾患 (20.3%) が多く, この両者で41.3%を占め, 以下感染症 (15.6%), 悪性新生物 (13.5%), 腎疾患 (12.2%), 消化器疾患 (6.2%), 糖尿病昏睡 (5.5%), 低血糖 (0.8%), その他 (4.9%) の順位であった.
    死亡場所により死因頻度に特徴があり, 病院死亡例と医院および自宅死亡例とでは明らかな相違がみられた.病院死亡例の死因順位は, 悪性新生物 (17.4%), 心疾患 (17.0%), 脳血管障害 (15.8%), 腎疾患 (15.8%), 感染症 (15.4%) の順となり, 医院および自宅死亡例では脳血管障害 (30.4%), 心疾患 (26.1%), 感染症 (15.9%), 悪性新生物 (6.5%), 腎疾患 (5.8%) である.悪性新生物, 腎疾患は病院死亡例では高頻度であるが, 医院および自宅死亡例では明らかに少ない。脳血管障害, 心疾患はいずれの場所の死亡例でも主要な死因であるが, とくに医院および自宅死亡例では高頻度で, この両者で死因の56.5%を占めた.
  • 河原 玲子, 雨宮 禎子, 古守 知典, 平田 幸正
    1980 年 23 巻 12 号 p. 1089-1094
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    名の比較的軽症の糖尿病患者と10名の正常対照群に100gブドウ糖経口負荷試験を行ってHbAI, 2, 3DPG, 血清無機リンの変動を観察した.
    (1) 糖尿病患者におけるHbAIは糖負荷後全例において徐々に増加した.前値と180分値との差は平均0.67%の増加でStudent t-testで有意であった (p<0.01).これはブドウ糖投与後の高血糖がHbAIの生成を促進したと推測され, HbAIの生成機構の一部に急速反応が加わっている可能性が示唆された.
    一方正常対照群のHbAiは糖負荷後も変動をみとめなかった.
    (2) 糖尿病患者では糖負荷後のIRIは低反応で, 血清無機リンの低下は僅かであった.そして2, 3DPGは9名中7名に増加した.
    一方正常対照群では糖負荷後IRIの増加に伴い血清無機リンは低下し, そして2, 3DPGは有意に低下した (p<0, 05).
  • 神田 勤, 大槻 真, 馬場 茂明, 中村 幸二, 上松 一郎
    1980 年 23 巻 12 号 p. 1095-1100
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病 (DM) における空腹時血清アルカリフォスファターゼ (ALP) アイソザイムを分析し, 小腸性ALP (i-ALP) 検出率と病態との関連を検討した.健常人 (N群) 50名を対照とし, DM患者286名 (このうち20例は入院時尿ケトン体陽性) において, 入院時と入院2週間後の早朝空腹時血清を試料として用いた.更にDM昏睡9例のALPアイソザイムの変化も観察した.i-ALP検出率はN群で10.0%, DM全体で26.2%であった.286例のDM患者のうち73.8%はi-ALPを検出しなかった (I群).他の例ではi-ALPを入院時検出したが17.1%は2週間のDM治療により消失した (II群).残る9.1%は入院時, 入院2週間後ともi-ALPを検出したが (III群), III群はすべて血液型B・Oで分泌型の例であり, N群のi-ALP検出率と等しかった.血液型B・Oの非分泌型と血液型A・ABの群ではi-ALP検出率はN群とDM群の間に差がなかったが, 血液型B・Oで分泌型の群ではN群 (20.0%) に比し, DM群 (63.9%) で著明に高かった.一方II群はI群に比し, 入院時未治療であるか, control不良例が多かった.またi-ALP検出率がDMケトーシスで35.0%, DM昏睡で55.6%と糖尿病の悪化に比例して上昇することおよびDM昏睡ではinsulin治療により短時間にi-ALPが消失することから, DMにおけるi-ALPの出現には遺伝的背景 (血液型B・Oで分泌型) とともにinsulin欠乏に基づく糖尿病の代謝異常が関与していると思われた.
  • 白石 正晴, 安東 良博, 真柴 裕人
    1980 年 23 巻 12 号 p. 1101-1108
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン治療糖尿病者では, 高HDL-chol1esterd血症が認められると言われている.そこで, その成因を検討する9的で, 糖尿病者82名, 健常対照50名を対象にして, 血清LCAT活性について注目し検討を行った.その結果次のような成績を得た.
    1.インスリン治療者では, 男女とも, 経口血糖降下剤服用群, 食事療法単独群, 健常対照と比較して血清HDL-cholesterolの高値が認められた.
    2. インスリン治療者の血清LCAT活性, 血清fねctional LCAT rateは, 男女とも, 他の群と比較して差は認められなかった.
    3. インスリン治療者の女では, 他の群に比較して血清Triglycerideの低値が認められた.
    4. インスリン治療者の女では, 血清HDL-cholesterolレベルとfractional LCAT rate, そして血清HDL-cholesterol/total cholesterol比と血清LCAT活性, fractional LCAT rateと負の相関が認められた.
    以上より, インスリン治療者の高HDL-cholesterol血症は, 男女とも血清LCAT活性を介するものではなく, 女の場合は, 外来性インスリンによって高められたLPL活性を介して, TG-rich lipoproteinからのHDLの合成が高められたものと推定された.
  • 斎藤 行世, 佐藤 恒明, 丸浜 喜亮, 菊池 仁
    1980 年 23 巻 12 号 p. 1109-1115
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    末端肥大症を伴う糖尿病患者 (35歳, 男) に1年以上にわたる頑固な下痢が認められた.本症例の糖尿病は重症 (初診時空腹時血糖286mg/dl) でインスリン治療に抵抗した.下垂体摘除後も1日数回の下痢は不変であった.糞便脂肪は28.39/日と脂肪吸収障害を認めたが, 軽度の低コレステロール血症以外に栄養状態の低下はなく, 膵外分泌機能および血中VIPも正常であった.
    消化管運動検査では, 胃排出能 (アセトアミノフェン吸収法) は明らかに促進しており, 上部消化管通過時間も20分 (ラクツロースー水素ガス法, 正常;93土41分, mean土2SD) と著明な短縮を認めた.また, 全消化管通過時間は34時間 (単一糞便-標示物質法, 正常: 54土12時間) と若干短縮していた.空腹時に経時的に測定した血中モチリンは異常な高レベルで変動を示し, テストミール負荷後にはやや低下した.
    本症例の下痢の真の原因は不明であったが, 全消化管とくに上部消化管の運動亢進を介して発生していると考えられた.これは従来われわれの検討してきた糖尿病性神経障害による消化管障害とは機構が異なっていた.血中モチリンの異常高値が本症例の下痢に何らかの関係をもつかもしれない.
  • 気腫性腎盂腎炎63症例の集計
    青木 伸, 工藤 守
    1980 年 23 巻 12 号 p. 1117-1129
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病に合併した気腫性腎盂腎炎の1例の報告と, 本症例を含めた過去63症例の臨床像の考察を行った.患者は42歳の糖尿病の既往歴のある女性で, 昭和54年5月発熱と, 右腰部痛を主訴として某病院を受診した.その際高血糖と尿ケトン体陽性を指摘され, 糖尿病性ケトアシドーシスの診断のもとにインスリン治療および輸液を受け糖尿病のロントロールは良好となったが, 抗生物質の投与にもかかわらず解熱せず, 右腎腫瘤を指摘され精査のため当科入院となった.入院時腹部単純写真にて右腎腫瘤に一致したガス像が認められた。種々の検査にてガスは腎実質を主体として存在し気腫性腎盂腎炎と診断した.逆行性腎盂造影では上部尿路に閉塞は認められず, 点滴静注腎盂造影では左腎機能は保たれており, 右腎は感染による組織破壊が高度と考えられた.抗生物質にも反応せず腎摘出術を施行した.術中感染腎から採取したガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ二酸化炭素が検出された.摘出腎の病理組織では重篤な感染による腎組織の高度の破壊が認められた.摘出腎から採取した組織片の細菌培養ではE. Coliが純培養で認められこれが起炎歯と思われた.術後患者は良好な経過をたどり, 糖尿病はレンテインスリン12単位にてコントロールされた.気腫性腎孟腎炎の63症例の検討の結果, 本症には糖尿病の合併が極めて高く, 治療法としては保存的療法よりも腎摘出等の外科的療法が優れていると思われた.
  • 清水 智江, 河原 玲子, 雨宮 禎子, 新城 孝道, 大森 安恵, 平田 幸正
    1980 年 23 巻 12 号 p. 1131-1136
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    家族性高脂血症 (WHO丑b型), 女子糖尿病の1例に飲酒が誘因となって乳糜血清を呈するほどのgross hypatriglyceridemiaがみとめられたので報告する.
    患者は61歳女, 家族に糖尿病, 眼瞼黄色腫, 高脂血症がみとめられている.30代より飲酒し, 46歳で糖尿病を発症し, 55歳からスルポニルウレア剤で治療された。59歳に糖尿病の増悪, アルコール性肝炎, 著明な内因性高トリグリセライド (TG) 血症を呈したため当センターにはじめて入院した.食事療法, 禁酒により糖尿病, 肝炎, 高TG血症は改善した.しかし高コレステロール (CH) 血症は常に持続していた.1971年1月頃から再度の飲酒, 食事療法の乱れで, 全身倦怠感とともにTG 2,961mg/dl, CH 736mg/dl, 乳糜血清がみとめられ第2回入院となった.入院時眼瞼黄色腫, 糖尿病性網膜症Scott II, 心肥大, 肝腫大があり超低比重リボ蛋白コレステロール (VLDL-CH) 647mg/dl, レシチンコレステロール・アシル・トランスフェラーゼ (LCAT) 活性は407.4uといずれも高値であり, 高比重リポ蛋白コレステロール (HDLCH) は11mg/dlと減少をみとめた.食事療法, 禁酒にてわずか1~2週間の経過でTG, LCAT活性, HDL-CHの正常化を認めた.
    本症例は, 糖尿病に原発性脂質代謝異常を合併したもので飲酒により, 肝でのTG合成亢進のため生じたと推定された.
  • 竹越 忠美, 亀谷 富夫, 追分 久憲, 井村 優, 竹内 伸夫, 篠崎 公秀, 西野 知一, 上田 幸生, 宮元 進, 馬渕 宏
    1980 年 23 巻 12 号 p. 1137-1145
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    末梢動脈閉塞症, 心筋梗塞を有する糖尿病患者でIII型高リポ蛋白血症を呈した症例を経験したので若干検討を加えて報告する.
    患者は68歳, 男, 左下肢痛と間欠破行を主訴として来院した.約10年の糖尿病歴を有しており昭和46年前壁下壁梗塞の診断のもとに入院し糖尿病状態はアセトヘキサマイド500mg/日によりコントロールされた.しかしその後数回心不全状態となり入, 退院を繰り返している.昭和53年7月頃よりコントロール不良とな'りインスリン治療に切り換えたが上記主訴を認め昭和54年1月29日入院となった.入院時コレステロール303mg/dl, 中性脂肪393mg/dl, アガーロス電気泳動ではbroad beta bandが確認された.超遠心法による血清リポ蛋白分画の脂質組成ではVLDL-cholesterol 113mg/dl, VLDL-cholesterol/VLDL-triglyceride0.43, VLDL-cholesterol/total triglyceride 0.302とIII型高リポ蛋白血症の診断基準に合致した.カロリー制限食とインスリン治療によりリポ蛋白電気泳動縁はIII型よりIIb型に変化した.Postheparin lipolytic activityは肝性triglyceride lipase, 肝外性lipoprotein lipaseとも正常であった.
    等電点ゲル電気泳動によるVLDL分画中のアポ蛋白EのIsoformではApoE-II/E-III ratioは0.74でUtermannらのApoE-NDに相当し家族性III型高リポ蛋白血症は否定的であったがこのような症例に食事または糖尿病など他疾患による負荷が加わるとIII型高リポ蛋白血症を呈するものと考えられた.
  • 1980 年 23 巻 12 号 p. 1147-1159
    発行日: 1980/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top