愛媛県における糖尿病患者の死因の実態をみる目的で, 広く全県下の症例を集計するため, 愛媛県医師会全員を対象にアンケート調査を実施し, 1977~79年の3年間に県内125医療機関 (45病院, 80医院・診療所) から得た1次性糖尿病死亡例385例 (男193例, 女192例) の死因について検討を行った.
死因順位は, 脳血管障害 (21.0%) についで心疾患 (20.3%) が多く, この両者で41.3%を占め, 以下感染症 (15.6%), 悪性新生物 (13.5%), 腎疾患 (12.2%), 消化器疾患 (6.2%), 糖尿病昏睡 (5.5%), 低血糖 (0.8%), その他 (4.9%) の順位であった.
死亡場所により死因頻度に特徴があり, 病院死亡例と医院および自宅死亡例とでは明らかな相違がみられた.病院死亡例の死因順位は, 悪性新生物 (17.4%), 心疾患 (17.0%), 脳血管障害 (15.8%), 腎疾患 (15.8%), 感染症 (15.4%) の順となり, 医院および自宅死亡例では脳血管障害 (30.4%), 心疾患 (26.1%), 感染症 (15.9%), 悪性新生物 (6.5%), 腎疾患 (5.8%) である.悪性新生物, 腎疾患は病院死亡例では高頻度であるが, 医院および自宅死亡例では明らかに少ない。脳血管障害, 心疾患はいずれの場所の死亡例でも主要な死因であるが, とくに医院および自宅死亡例では高頻度で, この両者で死因の56.5%を占めた.
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