糖尿病
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23 巻 , 10 号
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  • 竈門 敬二
    1980 年 23 巻 10 号 p. 913-921
    発行日: 1980/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症の発症・進展におよぼす, 臨床諸因子の影響を, 推計学的手法をもちい検討した. 腎糸球体組織所見を明らかにし得た40症例について, 臨床検査所見11項目と腎糸球体組織所見3項目による正準相関分析を行った. その結果, 臨床検査所見11項目の線型一次結合に基づいて計算した臨床評価点から推定した組織所見と, 腎糸球体顕微鏡所見とが, 90%の合致率を持つことを認めた.
    この成績を基礎として, 外来通院患者220症例について, 平均5.2年の期間における経過観察を行った結果, 血糖コントロール状態が不良であるほど, 腎糸球体病変が早期より発症, 進展している事を認めた. さらに, この観察期間における腎糸球体組織所見の経年推移をもとにして得られた推移確率行列から, マルコフ過程により, 糖尿病性腎症の予後予測を行った. 血糖, 血圧, 肥満そして糖尿病罹病期間が, 腎糸球体病変の発症, 進展に関与し, 実地臨床上是正可能な因子の検討が腎症の進展阻止にとって重要であると結論された.
  • 尾崎 史郎, 門田 悟, 中川 昌一
    1980 年 23 巻 10 号 p. 923-929
    発行日: 1980/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年血中に存在し, インスリン抗体により抑制されないインスリン様物質 (NSILA-s) が血清中より精製され, その測定にはbioassayのかわりにradioreceptor assay (RRA) が開発されている.今回我々はNSILA-sの類似物質であるsomatomedin Cがヒト胎盤細胞膜のインスリンレセプターと結合し, インスリンと拮抗する性質を有することより, ヒト胎盤細胞膜より可溶化したインスリンレセプターを使用し, レセプターアッセイを行い, NSILA-sの測定法を開発した.ヒト血漿より粗精製したNSILA-sはラット副睾丸脂肪細胞を使用したbioassayではインスリン活性値は6.3~8.6mU/mg平均7.1mU/mgであり, 最終的に3550倍に精製された製品であった.又インスリンレセプターアッセイをもちいた測定では8.8mU/mgの活性を有し, 生物学的活性値とほぼ一致した.
  • 佐々木 陽, 上原 ます子
    1980 年 23 巻 10 号 p. 931-935
    発行日: 1980/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Keenらによって提案された新しい糖尿病の診断基準の妥当性を長期生命予後から検討した.対象は疫学調査で食後尿糖陽性のためにOGTTを受けた501名で, 検査後10年間その生死を追跡し, baseline時の新基準による診断区分と10年後の相対生存率との関係をみた.normal (F<140mg/dl, 2HR<140mg/dl) およびIGT 1 (F<140mg/dl, 2HR140-200mg/dl, Keenらの定義による“IGT”) の生存率は一般人口のそれと変らなかった.一方, diabetic (F≥140mg/dl, 2HR≥200mg/dl) の相対生存率は59.5±11。0%で有意の低下を示した.以上の3群に加えて, 原著で定義されていない次の2群についても検討した.すなわち, IGT2 (F<140mg/dl, 2HR≥200mg/dl) およびIGT 3 (F≥140mg/dl, 2HR<200mg/dl) で, その相対生存率は, それぞれ106.8±11.1%および50.3±23.7%となり, IGT 3の生命予後はdiabeticのそれに近い.
    なお, 糖尿病の診断をF≥140mg/dlのみ, もしくは2HR≥200mg/dlのみで行った場合についても検討した.その相対生存率は, それぞれ66.2±10.1%および84.3±8.3%となり, 前者は有意の低下であった.
    以上の結果から, 診断のための基準値を従来より高く設定した新基準は, 長期生命予後からみた場合も適切であると考えられた.また空腹時値は2時間値よりも生命予後との関連性が強いことが見出された.
  • 佐藤 徳太郎, 小熊 司郎, 吉永 馨
    1980 年 23 巻 10 号 p. 937-942
    発行日: 1980/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    非糖尿病19例, 糖尿病21例の腎糸球体を分離しその酸水解物についてアミノ酸分析を行った.非糖尿病群では蛋白尿や高血圧の有無によってアミノ酸組成の変化は認められなかった.糖尿病群では非糖尿病群に比してhydroxyproline, hydroxylysine, glycineなどの含量が有意に増加し, その増加は結節性病変を示す群で特に著明であった.hydroxyproline含量とhydroxylysine含量をもとに得られた糸球体の基底膜成分と線維性コラーゲン成分とを算出するとその比は約2: 1で基底膜成分が多く両成分で総蛋白の約30%を占めていた.糖尿病群では組織学的変化に関係なく両成分の比は約1: 1であった.光顕的に変化の認められない例およびび漫性変化を示す例では両成分の和は糸球体総蛋白の約50%を占め, 結節性病変例では約90%に達していた.非糖尿病群と糖尿病群の腎糸球体hydroxyprolineとhydroxylysine含量はr=0.918と高い正の相関を示しながら連続性をもって分布していた.以上のことから糖尿病群の腎糸球体で増加する成分はアミノ酸組成の点からはほぼ類似しており, び漫性病変を示す例と結節性病変を示す例との間にも差異はないものと推測された.
  • 吉田 途男
    1980 年 23 巻 10 号 p. 943-952
    発行日: 1980/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糸球体基底膜物質の定量は主に形態学的手法が用いられているが少数の糸球体しか検討できないため, サンプリングによる偏りを生ずる可能性があることや, また基底膜の厚さの測定が煩雑である等の問題がある.
    今回, 非糖尿病患者30名, 糖尿病患者41名から剖検時に得られた腎のホルマリン固定標本より, 糸球体を単離し, 糸球体基底膜コラーゲン量 (Type IVコラーゲン) の指標として糸球体のHydroxyproline (以下Hyproと略す) 量を化学的に定量しその変化に及ぼす糖尿病の影響を検討した.
    1) ホルマリン固定腎より得られた糸球体のHypro量は, 同一腎の新鮮標本より得られた糸球体のHypro量と, ほぼ同一の値であり, ホルマリン固定腎から得られた糸球体が, 新鮮標本と同様に化学分析に使用し得ることを認めた.
    2) 3-Hydroxyprolineと4-Hydroxyprolineの微量標本での分別定量をgas chromatography/massspectrometryを用いて行い, その比を求めたところ, 糖尿病患者;0.079±0.019 (mean±SD, n=24) 非糖尿病患者;0.089±0.032 (n=12) であり, このことから糸球体Hyproのうち, 77~88%は, 基底膜コラーゲン由来と推定することができ, 糸球体Hypro量の測定が, 基底膜コラーゲンの指標となることの妥当性が確認された.
    3) 非糖尿病者の腎糸球体は, 33~85歳の間で糸球体径, Hypro量の有意の変化を示さなかった. 糖尿病者腎糸球体は, 非糖尿病者腎糸球体に比し, 径の増加と, 3.5倍のHypro量の増加を認めた.
    4) 糸球体Hypro量は, 臨床的に糖尿病腎症の重症度に比例しており, また血糖コントロール状態や治療法からみた糖尿病の重症度にも関連していた.
    5) 糸球体Hypro量は組織学的に検索したびまん性病変, 結節性病変と有意に相関しており, Hypro量からびまん性病変の程度と, 結節性病変の有無を推定し得た.
    以上, 本方法は糖尿病腎症を化学的に, 適確に評価することができ, 剖検腎標本を用いたretrospectivestudyさらに腎生検標本を用いたprospectivestudyに有用と考えられた.
  • 安賀 昇, 辻 容一, 橋本 重夫, 仙波 恵美子
    1980 年 23 巻 10 号 p. 953-958
    発行日: 1980/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    53歳の男性に発生した典型的な糖尿病性骨関節症 (Charcot関節) について報告した. 病変は右の舟状骨, 楔状骨よりはじまり, 次々と進展, 約10ヵ月の経過で右足関節以下の全面的な破壊となった. その全経過をレ線学的に詳細に追求できた。それをもとに, 骨病変進展の機序について考察を加えた.
    電気生理学的検査では末梢神経伝導速度の著明な遅延を認め, ことに下肢の知覚神経の伝導は導出されなかった.
    下肢の神経の病理学的検索では, 有髄神経, 無髄神経ともに線維密度は著減し, ときほぐし線維法では観察したすべての神経線維に節性脱髄や軸索変性所見が顕著であった. 電子顕微鏡でも軸索やシュワン細胞の変化がいちじるしかった. 神経内血管に細小血管症が認められた. これらの変化は他の糖尿病性神経障害の生検例と比べて非常に高度のものであった.
  • 1980 年 23 巻 10 号 p. 959-989
    発行日: 1980/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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