糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
23 巻 , 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 竹越 忠美, 金 敬沫, 宮元 進, 井村 優, 竹内 伸夫, 篠崎 公秀, 西野 知一
    1980 年 23 巻 3 号 p. 183-192
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の高比重リポ蛋白 (HDL) コレステロールを測定し, 血管障害 (macroangiopathy andmicroangiopathy) との関連性につき検討し以下のごとき成績を得た.
    1. 糖尿病患者では健常者に比してHDLコレステロール (以下HDL-Cと略す) は有意に低値を示した (P<0.001). 一方, 総コレステロール (TC) は糖尿病患者では有意に高く, HDL-C/TCで比較するとより明確に有意差がみとめられた (p<0.001).
    2. 肥満例は非肥満例より有意にHDL-Cは低値を示した. 非肥満群のみで比較しても糖尿病者は健常者に比してHDL-C/TCは低い (P<0.01).
    3. 糖尿病性血管合併症を有する群では, 有しない群に比してHDL-C/TCは有意に低い (P<0.001).
    4. 糖尿病の治療法別にみるとHDL-Cは経口剤使用群で有意に低かった (Pく0.01).しかしHDL-C/TCでみると食事療法群 (p<0.001) でもインスリン使用群 (p<0.01) でも健常者に比して有意に低値であったが各群間での差は認めなかった.
    5. HD-C/TCとTGの間には有意の逆相関がみとめられたが, 年令, 性, 罹患期間, 血糖, コレステロール,α-トコフェロール, フィブリノーゲンなどとの間に有意の相関はなかった.
    6. 網膜症の進展にともない血小板凝集能亢進例はその比率が増加するがHDL-C/TCは減少する傾向が認められた.
  • 小沼 富男, 大平 誠一, 武部 和夫
    1980 年 23 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者34名の超低比重リポ蛋白, 低比重リポ蛋白, 高比重リポ蛋白に含まれるピタミンE (VLDLVit. E, LDL-Vit. E, HDL-Vit. E) を螢光法にて測定し, 正常対照者と比較するとともに, 糖尿病患者の血糖コントロール状態, 血管合併症, 治療法, 罹病期間との関連性につき比較検討した.
    血漿総Vit. E (T-Vit.E) は糖尿病群が1.58±0.10mg/dl (mean±SE) で対照病群の1.30±0.07mg/dl より有意 (p<0.05) に高値であった.VLDL-Vit.EのT-Vit.Eに対する割合は糖尿病群が対照群より有意 (p<0.01) に高値であり, HDL-Vit. Eの割合 (%HDL-Vit.E) は糖尿病群が25.6±1.5%で対照群の34.8±2.1%より有意 (p<0.01) に低値であった. 対象より高脂血症例を除外すると, T-Vit.Eは両群間で差が消失したが,%HDL-Vit.Eは糖尿病群が28.4±2.0%で対照群35.3±2.4%より有意 (P<0.01) に低値であった. 糖尿病群についてみると, 血糖コントロール不良群は良好群より, 血管合併症を有する群は非合併群より, HDLVit. E及び%HDL-Vit. Eは低値であり, 特に%HDL-Vit. Eにその傾向が強かった. インスリン治療群のHDL-Vit. E,%HDL-Vit. Eは食事単独群及び経口血糖降下剤群より有意に低値であった. 罹病期間とVit. Eとの間には一定の傾向はみられなかった.
    以上の事実はHDL-Vit. E, 特に%HDL-Vit. Eが糖尿病性血管障害に深く関与している可能性を支持するものである.
  • 河原 玲子, 雨宮 禎子, 笠原 督, 平田 幸正
    1980 年 23 巻 3 号 p. 201-208
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    未治療時の糖尿病患者43名のヘモグロビンAICと血糖値との関連について検討し次の結果を得た. 1) 未治療糖尿病患者のHbAICは11.18±2.27%で健常対照群の5.32土0.63%に比し有意に高値であった (p<0.001)。2) 未治療患者のHbAICは同時に測定した空腹時血糖値と正の相関があった (r=0.51, p<0.001). 3) 未治療患者のHbAICはその前後1ヵ月以内に行ったOGTTの血糖1時間値および2時間値とそれぞれ正の相関関係があった (r=0.39, p<0.05, r=0.42, p<0.02).
    次に未治療患者43名のうち治療1ヵ月後に再びHbAlcを測定した19名と, すでに治療を行っていたがコントロール不良のため食事療法よりSU剤に変更した2名と, SU剤よりインスリンに変更した4名計25名において治療開始または治療変更直前と1ヵ月後のHbAICの推移を検討した. 1) 糖尿病の治療を開始して1ヵ月後のHbAICの低下は, 血糖を同程度に低下させた場合には食事療法, SU剤, インスリン治療のいずれも同じ程度にみとめられた. 2) 糖尿病の治療によるHbAlcの低下は網膜症のある場合にはない場合に比してよりゆるやかであった。しかしその差は推計学的に有意ではなかった.
    以上未治療糖尿病患者のHbAICはその時の高血糖の状態をよく反映した。糖尿病の治療によるHbAICの低下は治療方法により異なることはないが網膜症のあるものはないものに比べて緩慢であった.
  • 松浦 省明, 広瀬 良和, 河原 啓, 住ノ江 啓子, 竹田 文彦, 上野山 林造, 土井 邦紘, 馬場 茂明, 西川 和典
    1980 年 23 巻 3 号 p. 209-217
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近, 糖尿病治療としての食物線維の有効性が注目されている. そこで我々は, コンニャク塊茎より精製されたglucomannan (以下GMと略す。) を用いて糖代謝および脂質代謝に及ぼす影響を観察した. また一部GMとgalactomannan (guar gum以下GGと略す。) について比較検討を行った.
    その結果, 509経ロブドウ糖負荷試験 (以下OGTTと略す。) において, GMを前投与することにより, 血糖及びインスリンの低下傾向が健常群及び糖尿病群で認められ, またその頂値も若干遅延ぎみであることから, GMの作用機序は食物の吸収遅延が示唆された. GGをGMと比較する目的で, それぞれ同量 (2.69) を前投
    GGをGMと比較する目的で, それぞれ同量 (2.69) を前投与してOGTTを行ったが, GG前投与のOGTTにおいて, 健常者群ではGM前投与と同じく血糖, インスリンの低下傾向が認められたが, 糖尿病群では, 血糖, インスリン共に変化が認められなかった.
    膵グルカゴン (IRG) は健常群, 糖尿病両群においてGM, GGによる有意な変化は認められなかったが, 腸管グルカゴン (GLI) は多少抑制される傾向が認められた.
    GM (3.9gまたは7.8g/日) の長期投与観察では, FBSの低下, インスリン量の減量あるいはインスリンより内服剤治療への切りかえが可能な症例が一部に認められた. 一方血清コレステロールに関しては一旦低下 (20日でp<0.1) 後再上昇する傾向が認められた.
    血中胆汁酸値はOGTTにより上昇する傾向が認められたがGM前投与により低下した.
    以上より, GMは他の食物線維と同様に, 糖尿病治療の補助的手段として有効であることが示唆された.
  • 水野 信彦, 小川 正, 石田 正矩, 岡田 究, 馬場 茂明
    1980 年 23 巻 3 号 p. 219-226
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン治療糖尿病患者に認められるPP結合抗体の産生機転並びに抗体特異性を明らかにする目的で以下の検討を加えた. インスリン製剤中のimmunoreactive PPは, specific radioimmunoassayで測定し, PP結合抗体は正常ヒト30例, 糖尿病患者181例 (インスリン非治療75例, インスリン治療106例) を対象にPEG法, ゲル炉過法, specific radioimmuno-precipitation法を用いて検討した. 高度に精製されたインスリン製剤 (monocomponent insulin等) 以外の製剤中には, 2.5~1,700pg/unit insulinのimmunoreactive PPが認められた. PP結合抗体はインスリン治療例に限りその22%(106例中24例) にみられ, しかもインスリン長期使用例 (5年以上) ほど高率に認められた. PP結合抗体のimmunoglobulinclassはすべてIgGに属していたが, そのlight chain typeは, bitypic pattern (κ, λ 両型) とmonotypicpattern (κ 型またはえ型) を呈する抗体が認められた. またPP結合抗体の種属特異性はbPPに対してhPPよりも明らかに強い親和性を示す種属特異性の高い抗体 (77%) とbPPと同様にhPPにも強い親和性を示す種属特異性の低い抗体 (23%) に分類された. これら抗体のうち特に後者の抗体は, 生体内で内因性hPPと結合反応を示し, PPの生物作用として知られている膵酵素分泌抑制や胆のうからのビリルビン排泄抑制作用等に影響を与え, 食物摂取後の消化吸収機構に何らかの異常をひき起こす可能性が示唆された.
  • 太田 妙子, 島 健二, 沢崎 憲夫, 下村 泰樹, 田中 彰, 田畑 真佐子, 西野 友善, 田中 亮一, 熊原 雄一
    1980 年 23 巻 3 号 p. 227-233
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    成人発症型糖尿病患者15人で, コントロール前, 及びコントロール約1~2ヵ月後に, 糖負荷試験, アルギニン試験, インスリン負荷試験を施行し, それぞれ血糖, C-ペプチド, グルカゴンの反応性の変化を検討した.
    過血糖に対してコントロール後は, 耐糖能の改善とC-ペプチド分泌の増加ΣCPR前130土34ng・min/ml, 後276土56ng・min/ml (P<0.05) が認められた. グルカゴンの抑制性は治療前後とも認められず, 又gut-glucagon-like immunoreactivity (GLI) も有意な変化を示さなかった.
    アルギニンに対するグルカゴンの反応性は治療後やや低下したが前後とも正常範囲内での変動であった. 一方ペプチドの分泌増加総量ΣCPRでは前32土28ng・min/ml, 後133土21ng・min/ml (p<0, 01) と治療後有意の増加を示した.
    これら過血糖, アルギニンに対する反応性の変化は, ほぼ既報のそれらと一致していた. インスリン低血糖時の血中グルカゴンは治療前では基礎値よりの上昇が認められなかったが, 治療後では基礎値130±11pg/mlから明らかに上昇し, 90分値頂値176土14pg/mlに達した. 又分泌増加総量ΣGIも前1158±556pg・min/ml, 後3318土795pg・min/mlと有意の上昇を認め (p<0.05), 糖尿病の膵A細胞の血糖変化に対する反応性の障害は膵B細胞と同様, 一部可逆性であることが明らかとなった.
  • 七里 元亮, 河盛 隆造, 鮴谷 佳和, 村田 貞史, 菊池 幹雄, 山崎 義光, 野村 誠, 新居 貞雄, 阿部 裕
    1980 年 23 巻 3 号 p. 235-244
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    人工膵β細胞を用い, 3例の糖尿病性ケトーシス患者, 1例の糖尿病性昏睡患者の治療を試みた.
    血糖値と血糖の変化率にもとづき算出された治療開始時のインスリン注入率は, 24.2~140.6m U/minであった. 血糖値は平均血糖降下率96土8mg/100ml・hrで低下, 低血糖の発症をみることもなく5~8時間後に100~170mg/100mlとなった.その間のインスリン投与量は26~40U/8hrsと少量であった.
    遷延性ケトーシスを示した1症例を除き, 血漿3-OHBA値は8時間以内に正常域に低下した. 遷延性ケトーシスを示す場合には, 血糖降下率も低く, インスリン注入プログラムのパラメーターを変換, インスリン注入量を増加する必要があると考えられた.
    以上, 人工膵β細胞による糖尿病性ケトーシスや昏睡患者の治療成績は, いわゆるインスリン少量持続注入療法の有用性を確認しえた. 血糖値をmonitoringし, 刻々変化する病態を把握し, インスリン注入プログラムのパラメーターを変換, インスリン注入量を調節しうる人工膵β細胞は, 血糖の最適および適応制御が可能であり, 治療機器として臨床的に非常に有用と考えられた.
  • 大森 安恵, 嶺井 里美, 佐中 真由実, 横須賀 智子, 平田 幸正
    1980 年 23 巻 3 号 p. 245-250
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    私たちはすでに正常妊婦の胎盤膜成分を用いたインスリンの分解系について観察し, 濃度依存性であるとともに, temperature sensitiveであることを報告した. 今回は糖尿病妊婦の胎盤膜成分によるインスリンの分解を正常妊婦のそれと比較した.
    対象は妊娠前から糖尿病の存在した12名の糖尿病妊婦で, 妊娠38~40週の分娩時に得た胎盤を用いた. 糖尿病妊婦は1名のみ食事療法で他はすべて妊娠中インスリン治療がなされた. 妊娠中のコントロールは良好であった.
    胎盤膜成分は, Posnerの方法で10g5ペレットを作製し, 2回洗浄したものを用いた. インスリンの分解は前回報告した方法に従いrebinding法, TCA precipitation法, immunoreactivity法およびgel-chromatography法によって観察した. 満期産の正常妊婦から得た膜成分と, 膜成分を用いず125I-insulinのみを孵置したものを対照とした.
    125I-insulinは正常妊婦胎盤膜成分より, 糖尿病妊婦胎盤膜成分によって, より大きく分解されることが認められた. すなわち糖尿病では, 5分で平均21.7%, 40分, 53%, 90分で70%が分解され, 正常妊婦では5分で平均8.7%, 40分34.3%, 90分48.2%で, 両者における分解の程度の差は, 各時点で明らかに有意であった. 糖尿病で子宮内胎児死亡をおこした1例では, 正常対照の分解率と差を認めなかった.
    胎盤膜成分のインスリン分解系は, 胎盤におけるインスリンの組織濃度を調節する役割を果たしていると考えられるが, なぜ糖尿病で分解系が多いかは明らかでなく, 今後更に検討を要する.
  • 小泉 順二, 太田 正之, 渡辺 彰, 若杉 隆伸, 多々見 良三, 上田 幸生, 上田 良成, 亀谷 富夫, 羽場 利博, 伊藤 清吾, ...
    1980 年 23 巻 3 号 p. 251-259
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシスの治療中に著明な低リン血症を認め, それが昏睡の遷延及びショック状態に何らかの影響を及ぼしたと思われた2症例を経験した. また, 最近, 我々が経験した他の4例の糖尿病性ケトアシドーシス例の血清リンに関しても若干の考察を加え報告する.
    症例1.19才男, 糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡で入院, 入院時, 血糖425mg/dl, 尿ケトン体 (2+) pH7.34重炭酸13mEq/lとアシドーシスは軽度であったが深い昏睡を認めた. 血清リンは0.7mg/dlと著明に低下していた. 入院後, 血糖はコントロールされたが意識は回復せず, 第2病日, リン酸イオン9mEq投与により血清リンは1.3mg/dlと上昇し入院後約32時間で意識は回復した. 上肢の筋肉痛, 脱力感を認めた. 第6病日の脳波でhypofUnctionが疑われたが第38病日に正常化した.
    症例2. 38才女, 糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡で入院, 入院後ケトアシドーシスは改善し意識回復するも敗血症性ショックと思われる状態出現し第8病日死亡した. 血清リンは入院時の3.3mg/dlより第3病日には0.4mg/dlと著明に低下し, 第6病日に認められたジャクソン型けいれん発作は0.4~0.7mg/dlの持続する低リン血症の影響と考えられた. 剖検では急性腎不全と軽度の脳神経細胞の変性が認められた.
    糖尿病性ケトアシドーシスで昏睡の遷延やショックなどを伴う例では頻回に血清リンを測定し, リンの補給を考慮すべきである.
  • 持尾 聰一郎, 浅野 次義, 服部 進, 阿部 正和, 川上 憲司
    1980 年 23 巻 3 号 p. 261-264
    発行日: 1980/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    In diabetic patients, orthostatic hypotension is often found as one expression ofautonomic dysfunction. We therefore studied the impairment of the autoregulation of the cerebral circulation in diabetics with orthostatic hypotension.
    The subjects consisted of 20 controls and 7 patients with diabetic orthostatic hypotension. Rheoencephalography was used to estimate the cerebrovascular resistance (CVR). That is to say, we measured the anacrotic section of the rheoencephalograrn from its initial rising point to its top, and then calculated its relative part towards the single cardiac cycle. This parameter provides information on vascular tone and cerebral resistance. The cerebral blood flow (CBF) was calculated by dividing the mean arterial blood pressure (MABP) by the CVR. The changes in CVR and CBF between the supine and tilting positions were analyzed quantitatively by using the following dysautoregulation indices (DAI):
    DAICVR=-Change in CVR (%)/Change in MABP (mmHg)
    DAICBF=-Change in CBF (%)/Change in MABP (mmHg)
    The DAICVR was +0.60±0.73 in diabetics and -0.63±0.73 in controls, suggesting a significant increase in CVR in diabetics (p<0.01). On the other hand, the DAICBF was-1.34±0.32 in diabetics and-0.40±0.75 in controls, suggesting a significant decrease in CBF in diabetics (p<0.01).
    The above results indicate that the autoregulation of the cerebral circulation may be impaired in diabetic orthostatic hypotension.
feedback
Top