高浸透圧性非ケトン性昏睡4名, 糖尿病性ケトアシドーシス6名, 乳酸アシドーシス1名, 健常者7名の血漿アミノ酸を分析し次のごとき結果を得た.
1. 高浸透圧性非ケトン性昏睡では血漿総アミノ酸量は2448±931μM (平均値±SD) であり健常者2744±297μMよりやや低値であり, 特にarginine, taurine, serineは血中濃度, モル比ともに低値 (有意) でありglycagenic amino acidが低くornithineは血中濃度のみ低かった.phenylalanineは濃度, モル比ともに高値であり, glutamic acidは血中濃度のみ高かった.
2. 糖尿病性ケトアシドーシスでは血漿総アミノ酸量は3196±678μMとやや高く, 特に必須アミノ酸量が有意に高い.個々のアミノ酸ではleucine, isoleucine箸のketogenic amino acidとglutamic acid, α-aminobutyric acid, valine等が濃度, モル比ともに高く, histidine, proline, glycine+citrullineは濃度の み高く, taurineは濃度, モル比ともに低値であった.serineはモル比のみ低かった、
3. 乳酸アシドーシスは1名であるが, 健常者の平均値±3SD以上の高値を示したアミノ酸はlysine, histidine, threonine, serine, asparagine, glutamine, proline, glycine+citrulline, alanine, α-aminobutyric acid, valine, methionine, isoleucine, leucine, phenylalanine, tyrosineであり, なかでも10倍以上の増加を 示したものはα-aminobutyric acid, alanzne, prolineである。これに反しarginine, aspartic acid, glutamic acid, taurine等のアミノ酸には著変がみられなかった。
これら糖尿病昏睡中に含まれる三疾患は各々の発症機構の相違を反映してアミノ酸代謝にも特徴的変化のある事を示している.
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