糖尿病
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24 巻 , 8 号
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  • 高橋 千恵子, 高取 悦子, 林 正雄, 福田 雅俊
    1981 年 24 巻 8 号 p. 791-798
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性網膜症が悪化しても気づかず, 硝子体出血による視力障害の出現で初めて来院する者も多い. 1966年11月から1976年12月末までに当糖尿病センターを受診した1962名の確実な糖尿病患者中60名の硝子体出血者について臨床的な検討を行った. 60名中, 初診時既に硝子体出血を有していた者32名 (53.3%), 初診時Scott II bで初診後1年未満で硝子体出血を来した者13名 (21.7%) で両者で45名 (75%) を占めていた. この45名の硝子体出血者の頻度は2.3%で, 男2.3%, 女22%で性差はなかった. 硝子体出血までの推定罹病期間は, 男11.9±1.2年, 女8.1±1.2年で女に有意に短かかった. 硝子体出血の頻度は罹病期間の延長に伴い増加した.初診時および初診1年未満の硝子体出血者では来院までの治療の有無治療の方法の相違により硝子体出血までの罹病期間に有意差を認めなかった.
  • 七里 元亮, 河盛 隆造, 鮴谷 佳和, 新居 貞雄, 久保田 稔, 久保田 昌詞, 阿部 裕
    1981 年 24 巻 8 号 p. 799-808
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    比較的厳格な基準で選択した不安定型糖尿病患者4症例に, 人工膵島によるインスリン療法, 携帯型インスリン注入システムによる静脈内インスリン注入療法および皮下インスリン注入療法を試み, 平均血糖値, SchlichtkrullのM値, Mean Amplitude of Glycemic Excursions, 低血糖発症頻度を指標とし, それぞれの血糖制御状態を現行インスリン療法のそれと比較した.
    1. 人工膵島により静脈内にインスリンを個体特性に一致し投与することにより, 低血糖の発症をみることもなく, 安全に, かつ生理的に近づけた血糖制御を行いえた.
    2. 人工膵島より得た個体特性に一致したインスリン注入量, 注入パターンを記憶した携帯型インスリン注入システムを用いた静脈内インスリン注入療法により, 人工膵島適用時に近い良好な血糖制御を行いえた.
    3. 携帯型インスリン注入システムによる皮下インスリン注入療法時には, 血糖日内変動, 日差変動は大となり, 不安定性を示した.不安定性の程度は現行インスリン療法の二相性インスリン朝夕2回皮下注時にやや優る程度であった.
    以上, 人工膵島や携帯型インスリン注入システム静脈内注入療法に比し, 携帯型インスリン皮下注入療法や現行インスリン療法時において不安定性を認めたことは, 不安定性の原因の1つとして経皮的インスリン投与時のインスリンのneedとsupplyの時間的ズレが大いに関与している可能性を示唆しえた.したがって, 不安定型糖尿病のインスリン治療時には, 現時点では人工膵島より得た成績をもとにインスリンのneedとsupplyの時間的, 量的ズレの起こらぬよう, インスリン製剤の選択と投与法の工夫が必要であると考えられた.
  • 葛谷 健, 松田 文子
    1981 年 24 巻 8 号 p. 809-816
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病の病型すなわちインスリン依存型 (I型) と非依存型 (II型) にによって近親者ににおける糖尿病の頻度が異なることが欧米で報告されているが, わが国では類似の研究が乏しい. そこで本研究を行なった. またII型糖尿病について, 既往最大肥満度および子供の数と糖尿病の家族歴陽性率との関係についても調査した.
    自治医科大学受診中の確実な糖尿病患者のうち家族歴を詳しく聞きえた671例を対象とし, 両親同胞子供のいずれかに糖尿病を有するものの比率を家族歴陽性率とした.病型の分類は, 真にインスリン依存性と考えられるもののみを1型とし, 判定困難なものは病型不明とした. 全集団を諸指標で小集団に分け, 家族歴陽性率を比較した.
    全体の家族歴陽性率は42% (282/671) で本邦の他報告より高率であった. I型の家族歴陽性率1は25% (12/48), 遜型のそれは43% (251/580) であり (p<0.02), 50歳未満発症例に限るとこの率はI型27%, II型48%となり有意差は著明となった (p<0.01). 推定発症年代によって家族歴陽性率にに有意差はなかったが, 親における糖尿病陽性率は発症年代の若い群ほど高かった. II型糖尿病の中では, 既往最大肥満度が高度のものほど家族歴陽性率は低くなる傾向があり, とくに30歳未満発症の過去に肥満のないII型糖尿病では家族歴陽性率は78%と高かった. 40歳以上発症のII型糖尿病女性について, 子供の数の多少にによって家族歴陽性率が異なるという現象はみとめられなかった.
    II型糖尿病の家族歴陽性率がI型よりも高率であるという傾向は, 全発症年代でみとめられ, II型においては糖尿病発症における遺伝の関与がとくに大きいと思われる. 高度肥満は遺伝的素因の乏しいものにも糖尿病を発症させる可能性がある. 妊娠, 出産は肥満に比し, 糖尿病発症因子としての重要性は少ないと思われる.
  • 久保田 正幸, 柳生 史登, 河西 浩一
    1981 年 24 巻 8 号 p. 817-824
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    TCID50103/0.1mlに調整したEMC virus M variantをDBA/2系のオスおよびメスマウスの腹腔内に0.5ml投与し, 接種後経時的に2mg/g weightの糖負荷テスト, 空腹時IRI, H-E染色による膵組織所見について検討するとともに, 肝細胞膜インスリン受容体の経時的変化を観察した.
    (1) 接種3日後より耐糖能異常がみられ, 接種7日後には著しい耐糖能異常を呈したが, 接種14日後には耐糖能の改善がみられた. その後接種5ヵ月後まで耐糖能異常は持続した. メスマウスの耐糖能異常は同時期のオスマウスに比べ軽度であった.
    (2) 空腹時IRIは接種7日後まで有意の変化を示さなかったが, 接種14日後には著明な低下を示した.
    (3) 膵ラ氏島には細胞配列の乱れ, 細胞変性, 核萎縮, 血管増生がみられたが, 全期間を通じて単核球の浸潤はみられなかった.
    (4) 肝細胞膜インスリン受容体への125I-insulinの特異的結合は接種3日後には著明に低下していたが, 接種7日後には接種前値に回復していた. HA-LCのaffinity constantは変化しなかったが, 接種3日後のLA-HCのaffnity constantは有意に低下していた. 同時にインスリン受容体数も接種3日後には著明に低下していたが, 接種7日後には改善がみられた. この実験結果よりウイルス接種初期にインスリン受容体はウイルスにより直接の障害をうけるものと思われた.
  • 久保田 正幸, 河西 浩一
    1981 年 24 巻 8 号 p. 825-833
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン受容体への125I-insulinの特異的結合におよぼす抗インスリン抗体の影響について検討した.
    実験は次の4群についておこなった: I群: 1251-insulin (1) と抗インスリン抗体 (1-ab) との90分孵置後ヒト胎盤膜インスリン受容体 (R) 加30分孵置. II群: IとI-ab, Rの同時120分孵置. III群: IとRとの120分孵置後I-ab. 加90分孵置. W群: RとI-ab30分孵置後1回洗浄し, I加120分孵置.
    実験結果としてI-abへの125I-insulinの特異的結合は1群, II群, IV群で阻害がみられたが, W群はI, II群より阻害率は軽度であった. これらの結合阻害は添加する1-ab価との間に正の相関を示した. また結合阻害率はインスリン抵抗性糖尿病患者の極期血清>寛解期血清>ステロイド糖尿病患者血清の順であった. I-abを添加することでRからの125I-insulinのDissociation率は増加した. I-abおよびRをScatchard分析しそれらのAfnnity Constant (A・C) を求めると, インスリン抵抗性糖尿病患者の極期のI-abのA・Cは寛解期のA・Cに比し低下していた. 一方I-abを添加するとRのA・Cも対照に比し低下しており, 同時にR数の減少もみられた. さらにA・Cを指標としてRとI-abとの関係を同一次元でみると, Rへの125I-insulinの結合阻害をもたらすI-abは主にHigh Afnnity-Low Capacityの部分であり, また結合阻害されるRの主な部分はLow Affinity-High Capacityの部分であった.
  • 佐藤 祐造, 坂本 信夫, Lars Hagenfeldt, John Wahren
    1981 年 24 巻 8 号 p. 835-842
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病の運動療法のメカニズムを解明し, 適応と選択を追求する目的で, 糖尿病者および健常者の運動時の代謝動態を肝静脈カテーテル法を用いて検討した.
    コントロール不良インスリン依存性糖尿病者と健常者各6例を対象とし, 自転車エルゴメーターでVo2max40%の運動を60分間行わせた. 安静時の糖尿病群の血糖, FFA, 総ケトン体はいずれも健常群より高値を示した. FFAは両群とも運動中不変か軽度の増加傾向を示し, 運動終了5-20分後急激に増加し・以後漸減したが, 糖尿病群では健常群よりも60-100%高値を保っていた. 肝よりのケトン体放出は, 両群とも運動中から増大, 運動終了後にさらに増加し, 特に糖尿病群でのketogenesisは持続的に充進していた. 血中ケトン体は運動中両群ともほとんど変動しなかったが, 運動終了後両群とも急激に上昇し, 糖尿病群では60分後にもなお上昇傾向を示した. 一方対照群では正常範囲内の変動であった.
    以上, 肝静脈カテーテルを用いた検討成績から, 糖尿病患者では運動中だけでなく運動終了後も持続的に肝におけるケトン体生合成が充進しており, 血中ケトン体レベルも終了60分後まで増加傾向にあることを見出した. この事実は糖尿病者に運動を指導する際, インスリン量の減量よりも軽食を補給すべきであるというような運動終了後の代謝動態にも配慮すべきであることを示唆しているものと思われる.
  • 高橋 良当, 新城 孝道, 小田桐 玲子, 田坂 仁正, 平田 幸正
    1981 年 24 巻 8 号 p. 843-852
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Noonan症候群は, 低身長, 翼状頸, 外反肘などTumer症候群に似た身体特徴をもち, しかも正常染色体型を示す疾患群である. 私共は, 糖尿病とうつ病を合併したNoonan症候群の1例を経験したので報告する.
    症例は20歳の男性. 低身長と口渇を主訴に来院. 生下時体重2500g, 成長は遅れ, 12歳時, 急に元気がなくなり不眠を訴え, うつ病と診断され抗うつ剤の投与をうけた. 20歳時, 口渇, 多飲多尿がみられ, 糖尿病の疑いから当科に入院した. 糖尿病や低身長などの家族歴はない. 身長148.5cm, 体重41・3kg, 両眼隔離, 内眼角贅皮, 小眼球, 被髪部低位, 楯状胸などを認め, 心雑音は聴取せず, 精のう腺と前立腺の萎縮小陰茎, 小睾丸を認めた. 知能指数 (I. Q.) は48, 染色体は46-XY, ヒト白血球抗原 (HLA) 型はAg, 10, Bw40, 51, 手掌紋の総指隆線数は190以上, 猿線と腕三叉高位を認めた.
    甲状腺, 副腎皮質機能は正常, 血中テストステロン. ヒト絨毛性ゴナドトロビン (HCG) テストは正常. 黄体形成ホルモン刺激ホルモン (LH-RH) テストで, 卵胞刺激ホルモン (FSH) の過大反応が認められ, 100gブドウ糖負荷試験は糖尿病型で, 成長ホルモン (GH) の増加傾向が認められた.
    本症例の糖尿病合併の機序は不明であるが, うつ病はNoonan症候群の-徴候と考えた. 本邦でのNoonan症候群95例の集計と照合しながら, Turner症候群との比較検討を行った.
  • 織部 安裕, 川口 憲司, 佐野 雅之, 原 寛, 江口 一彦, 池辺 聡悟, 鵜沢 春生
    1981 年 24 巻 8 号 p. 853-860
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性壊疽6例の臨床像とプロスタグランディンE1静注の効果について報告した. 対象者の年齢は41-74歳で60歳以上が4例であり, 男性1例女性5例であった. 糖尿病の罹病期間は2-27年でうち5例は10年以上であった. いずれの症例にも網膜症やニューロパチーを認め, 誘因としては血糖コントロールの不良, 外傷, 知識不足による創の不適切な処置などが考えられた. 細小血管症との関連が注目されている血小板機能のうち, 血小板凝集能は2例において明らかな亢進がみられ, β-Thromboglobulinは全例が高値を示した. 治療法としては従来の保存療法に加え, プロスタグランディンE1の点滴静注が有効であると考えられた.
  • 小泉 順二, 川崎 英, 上野 秀明, 藤田 恭子, 能登 稔, 織田 邦夫, 馬渕 宏
    1981 年 24 巻 8 号 p. 861-866
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Disopyramideは近年開発されたキニジン様作用を持つ抗不整脈剤である.最近, われわれは本薬剤により血糖が低下し, 耐糖能異常が改善した症例を経験し, その投与中および投与後のインスリン分泌を検討した.
    症例は56歳の女性で, インスリン治療を受けていたが, 今回, 右眼硝子体出血のため入院した.入院中, 心室性期外収縮を認めるようになり, Disopyramide 300mg/dayが投与された.本薬剤投与後8日目の早朝空腹時血糖値 (FBSと略) は, レンテインスリン16単位の使用で147mg/dl, で, 14日目にはFBS85mg/dl, 朝食後2時間血糖51mg/dlと血糖は低下した.以後, レンテインスリン6単位でコントロールされ退院した.退院後も, FBSは111mg/dlとコントコールされた.期外収縮も認めないためDisopyramideを中止した.中止後, 血糖は上昇し, レンテインスリン12単位でFBSは195mg/dlとコントロール不良となった.Disopyramide 300mg/day投与中の509 OGTTでは耐糖能の明らかな改善が見られ, CPR反応もほぼ正常範囲であった.本薬剤中止後の509 OGTTは悪化し, CPR反応も低下した.経過観察中に体重や腎機能の変動はなかった.他に血糖低下作用を有する薬剤の投与がなかったことなどより, 本例の耐糖能の変化は, Disopyramide投与によるものと考えられた.また, 本薬剤の血糖低下作用はインスリン分泌と関係があると推察された.Disopyramide使用に際し, 糖代謝に及ぼす影響を十分に考慮する必要があると思われる.
  • 1981 年 24 巻 8 号 p. 867-873
    発行日: 1981/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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