糖尿病
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26 巻 , 11 号
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  • 高柳 正樹, 宮本 茂樹, 中村 文子, 佐々木 望
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1081-1087
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン依存性小児糖尿病 (以下IDDM) の昏睡例4例, 外来管理症例27例および新生児高インスリン1血症1例の血中アミノ酸異常につき検討を行った.
    糖尿病性昏睡時には, 総アミノ酸 (TAA), 必須アミノ酸 (EAA), 側鎖アミノ酸 (BCAA) およびBCAAとTAAとの比 (BCAA/TAA) は著明に上昇しており, インスリン治療による血糖の正常化と平行して, すみやかに低下した.この時の血糖値とTAA, EAA, BCAAおよびBCAA/TAAとは統計上有意に相関した (P<0.01).一方血糖値とアラニン (Ala) およびアラニンと総アミノ酸との比 (Ala/TAA) との間には相関関係は認められず, 治療前には低値を示し, 血糖が正常化してのちほぼ24時間後より上昇する傾向がみられた.
    外来管理中の患児においても, BCAAおよびBCAA/TAAは空腹時血糖 (FBS), ヘモグロビンA1 (HbA1) との間に有意の相関を認めたが (P<0.01, P<0.05), 総コレステロール (T-chol), トリグリセライド (TG), 遊離脂肪酸 (FFA) との間には相関が認められなかった.外来管理症例においても昏睡症例と同様にAlaやAla/TAAはFBS, HbA1, T-chol, TG, FFAのいずれとも相関を示さなかった.
    新生児高インスリン血症では, TAA, BCAAおよびBCAA/TAAは低値を示し, diazoxideの治療による血中インスリン値の低下, 血糖のIE常化に伴い, TAA, BCAA, BCAA/TAAはIE常に復した.
    成長発育期にある小児IDDMにおいて, インスリンが中心的役割を演じているタンパク代謝を把握する事は, きわめて屯要な問題である.そのひとつの指標としての血中アミノ酸パターンの変化 (特に側鎖アミノ酸) は, 血糖, HbA1の変化ともよく相関し, ケトーシス時のみならず, 外来管理症例においても, 治療の良い指標として有川であると思われた.
  • 村上 啓治, 林 陸郎, 石川 康朗, 洪 秀樹, 西大條 靖子, 都島 基夫, 南部 征喜, 池田 正男
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1089-1095
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリノーマの診断に従来よりインスリン分泌刺激試験や分泌抑制試験が用いられているが, 診断精度や低血糖の危険性等において, 必ずしも十分な検査方法であるとはいえない.一方インスリノーマにおけるインスリン分泌のブドウ糖に対する用量反応関係は明らかにされていない.そこで今回, 2例のインスリノーマおよび健常者に注入ポンプを用いてブドウ糖注入速度を階段状に上昇させる持続静脈内投与 (step-Wise glucose infusion) を試み, 用量反応曲線を作製したところ以下の事実が認められた.
    1) 種々インスリン分泌刺激試験で, 高インスリン反応が認められなかった症例において対照に比し高反応が観察された.
    2) 用量反応曲線の左方移動が認められ, インスリン分泌刺激ブドウ糖域値の低下, すなわち腫瘍B細胞のブドウ糖認識異常がより明らかに示された症例が観察された.
    3) インスリン分泌刺激ブドウ糖域値正常例において, 低血糖域より90mg/dlまで血糖を漸増させても, 血中インスリンの漸増はみられず, 本法にても腫瘍のインスリン分泌の自律性が観察されることが示唆された.
    4) 術後の検査における用量反応曲線は健常人との間に差異を認めなかった.
    5) 以上の検査は低血糖をおこすことなく安全に行いえた.
    以上の方法で作製されたインスリン分泌のブドウ糖に対する用量反応曲線より, インスリノーマの診断に有用な多くの情報を得る可能性が示唆され, しかも安全で症例によっては非常に精度の高い検査であることが明らかとなった.
  • 本間 康彦, 堺 秀人, 三神 美和, 吉川 広, 木下 栄治, 田川 隆介, 星合 充基, 古屋 秀夫, 井出 満, 田辺 晃久, 玉地 ...
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1097-1103
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    比較的コントロール良好なインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 患者23名に, コレステロール, 750mg/日, 2週間投与し血清リポ蛋白レベルの変動を検討し, 健常者 (N=23), 老年者 (N=18), 虚血性心臓病 (IHD) 患者 (N=15) の成績と比較した.NIDDM群ではコレステロール負荷により, VLDL, LDL, HDL, HDL2, HDL3コレステロール値とも, 個人差が大きいため, 全体としては有意の変化が認められなかった.コレステロール負荷2週目の値が, 負荷前値の10%以上変化した場合を有意の変化とするとコレステロール負荷による血清LDLコレステロール値の上昇頻度は, 健常コントロール群35%, 老年者群6%, IHD群33%, NIDDM群17%で, 老年者群では, コントロール群に比較し, 有意にLDLコレステロール値の上昇頻度は低率であった.コントロール群では, コレステロール負荷で52%にHDLコレステロール値は上昇したが, 老年者群12%, IHD群7%, NIDDM群35%に上昇が認められ, 老年者群, IHD群での上昇頻度は有意にコントロール群のそれより低率であったが, NIDDM群の上昇頻度はコントロール群より低い傾向であったが, 統計学的には有意差ではなかった.これらの成績を基に, コレステロール負荷によるLDL-C/HDL-C比の上昇する頻度を計算するとコントロール群35%, 老年者群17%, IHD群53%, NIDDM群17%で, NIDDM群はコントロール群よりやや低い傾向であった.
  • 浅野 次義, 持尾 聰一郎, 桑田 隆志, 岡 尚省, 服部 進, 阿部 正和, 寺島 宏
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1105-1111
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年, 糖尿病性神経障害の治療剤として注目されている, Aldosc Reductase InhibitorのひとつとしてのONO-2235の有効性に関する実験をストレプトゾトシン糖尿病ラット (STZ-ラット) を用いて行った.
    Wistar系雄ラット (体重250g) を用い, D正常群, II) 糖尿病対照群, III) 糖尿病治療群の三群に分けた. II, III群にSTZを静注し糖尿病ラットを作製した. III群にONO-2235の2週間経口投与を行った. 有効性に関して次の4項日について検討した.1) 心電図R-R間隔の変動係数, 2) 運動神経伝導速度 (MNCV), 3) 坐骨神経の形態学的検索, 4) 坐骨神経のsorbitol含有量の測定.
    その結果は次に示すとおりである.1) 心電図R-R間隔の変動係数は対照群に比較してONO-2235治療群で有意に大きい値を示した.2) ラット (尾) におけるMNCVは対照群に比較して治療群では著明な改善を示し, 正常群と差がない結果を示した.3) 坐骨神経の総有髄神経線維密度は正常群に比較して対照群では有意に減少を示したが, 治療群では差がない結果を示した.4) 坐骨神経のsorbitol含有量は対照群に比較して治療群では有意に低値を示した.
    結論として, ONO-2235の投与によって自律神経障害の改善および体性神経障害のひとつの指標としてのMNCVの改論がみられた. また, 坐骨神経の形態学的障害も軽度にとどまっており, 坐骨神経のsorbitol含有量も対照群に比較して減少していた.
  • 長瀬 教夫, 田村 禎通
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1113-1121
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    KKマウス (KK) の体重, 血糖, 血漿IRI, 血清総コレステロールおよび中性脂肪を経時的に測定すると共にKKの心筋障害に関し, 心電図学的および病理組織学的に検討した.また, 血漿, 赤血球および心筋内のCaおよびMg濃度を測定し, KKの心筋障害の成因について検討し, 以下の成績をえた.
    1.KKは生後3週齢から耐糖能の低下, 8週齢から高IRI血症, 30週齢で高コレステロールおよび高中性脂肪血症を示した (P<0.05~0.001).
    2.KKの心電図所見としては, QRS軸の左軸偏位の程度が対照群より著しく強く (P<0.01), 左室側誘導におけるR波の振輻は低い傾向が認められた.
    3.KKの心筋の病理組織学的検討では, 生後5週齢から心外膜への石灰沈着, 16週齢から心筋線維の変性・壊死・線維化・石灰沈着などを認めた.
    4KKでは対照群に比べて心筋組織中Ca濃度の著増と赤血球および心筋組織中の濃度の減少を認めた (p<0.05~0.001).
    5.Mgを添加した飲料水をKKに与えると, 心筋内Ca濃度, 赤血球および心筋内Mg濃度が正常化し, 心外膜の石灰沈着および心筋病変の発生を抑制し得たが, 心電図所見には有意な変化を認めなかった.
    以上の研究成績からKKの心筋病変の発生にはMg欠乏が大きい役割を演じていると推察された.
  • 及川 登
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1123-1131
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    健常者162名, 糖尿病患者168名について安静時, 深呼吸時, 起立時の3つの心拍数の変動を測定し, 各検査時の正常値の設定を試みるとともに, 3つの検査法につき比較検討を行なった.心拍数の変動は後藤の瞬時心拍数連続記録装置を用い, 心拍変動の指標としては, 安静仰臥位150心拍の心拍数の標準偏差 (SDof HR), 1分間6回の深呼吸を行ないその最大変動幅の5つの平均値 (I-E diffcrcnce), 起立時の最大心拍増加数 (△HRmax) を用いた.健常者では3つの指標とも加齢とともに減少し, その分布範囲も狭くなる.各指標の対数をとると, いずれも年齢との間により強い直線回帰を示し, この表より正常範囲として90%の信頼区間を求め, その下限5%以下のものを異常とした.この値は20歳, 40歳, 60歳時点ではおのおの, I-E difference14, 9, 6拍/分, SD of HR2.07, 1.36, 0.89拍/分, △HRmax 17, 14, 11拍/分が正常値下限とされた.この基準による糖尿病患者での3つの検査時の異常出現頻度はI-E differenceでは38%, SD of HR19%, △HRmax 22%で, I-E differenceが最も鋭敏であった.健常者ではI-EdifferenceとSD of HRはよい相関を示すのに対して, △HRmaxと前2者との相関はやや弱く, △HRmaxは前2者とは異なった神経反射機構を検出していることが推察された.自律神経機能を総合的に評価する上で, 深呼吸時と起立時の2つの心拍変動を同時に測定することが有用と考えられた.
  • 横川 俊博, 小田桐 玲子, 平田 幸正
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1133-1141
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    腎不全およびケトアシドーシスのない糖尿病にみられる高カリウム (K) 血症とアルドステロン, カテコールアミンとの関連を検討する日的で, 空腹時血糖160mg/dl以下, クレアチニン・クリアランス40ml/min以上の糖尿病患者から, 高K血症と起立性低.血圧 (OH) の有無により次の4群を選んだ. (1) 高K血症とOHを有する7例 (1群),(2) 高K血症を有し, OHのない4例 (II群),(3) 正K血でOHを有する14例 (III群),(4) 正K血でOHのない7例 (IV群).I~IV群と健常対照者7例に2時間立位負荷試験を施行し, レニソ (PRA)・アルドステロン (PAC)・ノルェピネフリン (PNE)・エピネフリン (PE) の反応を検討した.立位負荷によるPNE, PE, PRA, PACの上昇値を△PNE, △PE, △PRA, △PACとし, III群のうち対照群の△PNEの平均値から2SDを差し引いた値未満の低反応群をIIIA群, 以上をIIIB群とした.I・II・IIIA群のPNE, △PNEは対照群, IIIB・IV群に比し低値であり, さらにI・IIIA群のPNE, △PNEはII群よりも低値であった.I・II群のPRA, △PRA, PAC, △PACは対照群, IIIA・IIIB・IV群に比し低値であった.PE, △PEは各群間で差がなかった.これらの結果はPRAおよびPACが低下すると, OHの有無およびPNEの低下の程度にかかわらず高K血症を呈し, PACが正常ならば, OHおよびPNEの低下の有無にかかわらず, 正K血となることを示している.以上のことから, 腎不全およびケトアシドーシスのない糖尿病にみられる高K血症の主因はレニンおよびアルドステロンの分泌低下でありノルェピネフリンの分泌低下のみでは高K血症を来たし難いと結論し得る.
  • 岡林 克典, 大槻 眞, 大木 篤, 坂本 長逸, 末広 逸夫, 馬場 茂明
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1143-1149
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病にしばしば認められる膵外分泌障害の性質とその機序を解明するために, streptozotocin (STZ) 糖尿病ラットを作製し, STZ投与後12日目の膵アミラーゼ含量の変化とセルレィン刺激に対する外分泌反応を検討した.
    糖尿病ラットの体重および膵湿重量は対照ラットに比べ小さかったが, 体重あたりの膵湿重量および膵湿重量あたりの蛋白含量は両群問で差がなかった.しかし, 膵アミラーゼ含量は, 膵湿重量あたりの含量においても, 蛋白あたりの濃度においても, 糖尿病ラットで著明に低下していた.セルレィン刺激に対する膵液分泌反応は糖尿病群と対照群で差がなかったが, 蛋白分泌反応は糖尿病群で有意に低下し, アミラーゼ分泌反応は著明に低下していた.20分間に分泌された蛋白およびアミラーゼ量を総膵含量に対する比としてみると, 糖尿病ラットと正常ラットとは差がなかった.すなわち, 糖尿病ではアミラーゼ含量 (=合成) の低下はあるが, 膵外分泌刺激に対する反応性は正常に保たれていた.
  • 高山 澄子, 笠原 督, 河原 玲子, 平田 幸正
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1151-1157
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    72歳という高齢で重症筋無力症を併発した女性糖尿病患者の症例を報告する.
    患者は, 35年間の糖尿病歴を有し, 昭和56年4月下旬, 突然, 複視を自覚し, やがて右眼瞼下垂の出現をみた.これらの症例は, 起床時は軽度で, 夕方に増悪する傾向があった.同年5月1日に当科入院し, 精査の結果, 胸腺腫を伴った重症筋無力症と診断され, 抗コリンエステラーゼ剤pyridostigmine bromideの投与を開始した.5月下旬, myasthenic crisisとともに心筋梗塞を併発した.6月中旬より副腎皮質ホルモンを併用し, 7月中毎に, 症状は改善した.しかし, 9月上旬より複視, 眼瞼下垂が再現し, 副腎皮質ホルモンの増量に対しても不応のため, 10月7日, 胸腺摘出術を施行した.術後, 一時症状軽快したが, 11月中旬より再燃したため, 12月1日より血漿交換療法を開始し, 2回施行後, すべての症状は消失した.以後, 2週間間隔の血漿交換療法と副腎皮質ホルモン, pyridostigmine bromideの併用で経過良好であったが, 昭和57年4月中旬より眼瞼下垂が出現したため, 血漿交換療法を頻回施行, さらに6月より, azathiopurineも併用, 9月には, 家庭生活が可能となった.
    経過中, 抗アセチルコリンレセプター抗体の測定を, 随時行ったが, その増減は, 臨床症状と一致し, 血漿交換療法施行後, 著しい減少を示した.
    なお, 経過中, 糖尿病のコントロールはインスリンで良好に保たれ, 細小血管症の増悪は認めなかった.
  • 大久保 慎一, 塩田 チエ子, 有田 禎二
    1983 年 26 巻 11 号 p. 1159-1165
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Wolfram (DI-DM-OA-D) 症候群は, 尿崩症・糖尿病・視神経萎縮および難聴を有する症候群である.著者らは, 本症候群の1例を経験したので報告する.
    症例は, 現在22歳の男子で, 健康な両親の第1子で同胞はいない.7歳0ヵ月, 視力低下・色覚異常を指摘された.7歳6カ月, 多飲・多尿の症状があり当院小児科受診.若年型糖尿病の診断でインスリン注射療法を開始した.8歳1ヵ月, 視力低下が更に進行し, 緑内障・視神経萎縮と診断された.13歳, 学校の検診で聴力障害を指摘され, 19歳, 高音部急墜型の感音性難聴が確認された.現在まで尿崩症の発症はないが, diabetes mellitus-opticatrophy-deafnessの存在よりWolfram (DI-DM-OA-D) 症候と診断した.患者は, 知能・2次性徴の発育は正常で, 身体発育も良好である.
    本邦では, WolframないしDI-DM-OA-D症候群として著者らが文献上調べた限り, 現在まで5例が報告されており, 著者らの報告例は本邦6例目と考えられた.
  • 1983 年 26 巻 11 号 p. 1167-1175
    発行日: 1983/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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