糖尿病
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26 巻 , 8 号
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  • 富名腰 徹, 若杉 英之, 澄井 俊彦, 梅田 文夫, 井林 博
    1983 年 26 巻 8 号 p. 815-821
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    一次性糖尿病症例におけるPFD試験成績の低下所見が膵外分泌機能の障害に基づくか否かについて, PA8A吸収試験を併用すると共に肝・腎機能を検索し, また血中PABA濃度を測定して検討を加えた.その結果,
    1) II型糖尿病53症例 (血清クレアチニン<2mg/dl) のPFD試験成績は平均 (M±SD) 67.8±13.8%で, 健康対照群82.8±4.6%(n=16) に比して, 慢性膵炎確診症例66.3±11.9%(n=21) と同様に有意の低下 (p<0.001) を示した.
    2) 次にII型糖尿病ではPABA吸収試験も同様の有意低下を示し,[PABA-PFD] 値は平均12.5±6, 4%(n=29) で, 慢性膵炎確診症例 (20.3±5.1%, n=10) とは異なり, 対照群 (8.8±3.0%, n=7) に比し, 有意差を認めなかった.
    3) II型糖尿病のPFD試験成績はPSP試験 (15分値) およびクレアチニンクリアランスと有意の正相関 (r=0.68および0.61) を示した.これら腎機能に比し, 肝機能 (GOT, GPT) の影響は著明でなかった,
    4) PFD試験時の血中PABA濃度は健康対照群に比べII型糖尿病では2時間目以降に高値傾向を示し, 特に腎機能障害併発症例では有意の高値を認めた.更に, PABA吸収試験時の血中濃度測定結果は, 糖尿病症例においてPABAの吸収障害がみられないことを示唆した.
    以上の成績は, II型糖尿病症例においてしばしばPFD試験成績の低下が認められるが必ずしも膵外分泌機能障害を反映するものではなく腎機能障害の併発に基づく場合のあることを示すものである.
  • 大橋 誠, 関 淳一, 佐藤 利彦, 山本 雅規, 藤井 暁, 和田 正久
    1983 年 26 巻 8 号 p. 823-831
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者296例につき, 超音波DoPPler法を用いて下肢末梢血管障害 (Periphcral vascular disease, 以下PVD) の頻度を調べると共に, 若干の心・血管危険因子並びに糖尿病の臨床像との関連につき検討した.PVDと判定された例は34例 (11.5%) で, 男女比はほぼ2: 1であった.そのうち壊疽, 間欠性破行などの臨床症状を有していた例は4例 (1.5%) にすぎず, 大部分 (88%) は明らかな症状を伴っていなかった.PVDの頻度は加齢とともに増加したが, 特に70歳を境に著明に上昇する傾向がみられ, 70歳以上の男子では最も高率で35.7%6に認められた.心・血管危険因子のうち, 高血圧, 高中性脂肪血症, 既往における肥満がPVD (+) 群で有意に高率であったが, 高コレステロール血症, HDL-コレステロール/総コレステロール比低値, 喫煙, 飲酒習慣とは有意の関係は認められなかった.PVD (+) 群とPVD (-) 群において, 血糖のコントロール状態, 糖尿病の治療法に差はなかった.しかしScott分類III以上の網膜症, 持続性蛋白尿を有する例はPVD (+) 群に高率であった.心電図上虚血性変化を有する例はPVD (+) 群とPVD (-) 群の間で差はなかったが, 既往に脳血管障害のある例, 下肢動脈石灰化のみられる例は, PVD (+) 群に有意に高率であった.略同様の方法による西欧の例と比較すると, 著者らの対象におけるPVDの頻度は, その約2/3に相当し, 比較的軽症で年代別頻度よりみて進行も緩徐な例の多い傾向が推測された.
  • 沢田 健
    1983 年 26 巻 8 号 p. 833-843
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近インスリン分泌におけるプロスタグラソディン (PG) の役割が注目されているところから運動時の種々のホルモン動態と血中PGの変動について検索した.IDDM6名, NIDDM8名, 健常者7名に自転車エルゴメーターによる3 stage, 45分間の運動負荷を行い, 運動前, 運動後15′, 30′, 45′, 終了後15′の5回, 肘静脈より採血しPlasma中のimmunoreactive-PGE like material (i-PGE), immunoreactive-6-keto-PGFlike material (i-6-keto-PGF), 血糖, IRI, IRG, HGH, コルチゾールの測定を行い以下の成績を得た.なお, PGの測定はRIAにて行った.
    1) 血中i-PGEは, 健常群とIDDM群において運動により有意な低下を認めたが, NIDDM群では有意な変動を認めなかった.
    2) 血中i-6-keto-PGF 値は, 健常群とNIDDM群において運動により有意な低下を認めた.しかし, IDDM群には有意な変動を認めなかった.
    3) 血糖値は3群ともに運動により有意な低下を認めた.
    IRI値は正常群のみ運動により有意な低下を認めた.
    IRG値はNIDDM群のみ運動により有意な低下を認めた.
    コルチゾール値はIDDM群のみ有意な低下を認めた (健常者は1名のみ検索).
    HGH値はNIDDM群でのみ有意な上昇を認めた.
    以上の結果より, IDDMにi-6-keto-PGF また, NIDDMにi-PGEの代謝異常が考えられ, 一部のcounter-regulatory hormoneと, このPG代謝異常との関連が示唆された.
  • 中村 勤
    1983 年 26 巻 8 号 p. 845-852
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病におけるglycosylatcd serum protein (GSP) とglycohemoglobin A1 (HbA1) および白内障摘出水晶体におけるglycosylatcd lens protein (GLP) について, 測定およびin vitroの実験を行い, それらの臨床的意義について検討した.
    (1) GSPとHbA1: GSPは血清をトリクロル酢酸処理後, thiobarbituric acid法にて, HbA1はCorning HbA1 kitにて測定した.糖尿病群 (93例) と健常群 (23例) のGSPの値は各々1.00±0.19, 0.75±0.085HMFnmoles/mg protcinで, 前者で有意に (p<0.001) 高値を示した.またGSP, HbA1は各々過去1~3週間前の, 過去1~3カ月前の平均空腹時血糖値と最も良い正の相関 (r=0.641, p<0.001;r=0.748, p<0.001) を示した.In vitroではGSP値はブドウ糖濃度およびincubation時間依存性に増加した.
    (2) GLP: GLPは水晶体をリン酸ナトリウムbuffcrにてsoluble lens protcinとしGSPと同様にして測定した.糖尿病性白内障群 (10例) と老人性白内障群 (18例) のGLP値は各々1.64±0.43, 0.79±0.235HMFnmoles/mgprotcinで, 前者で有意に (p<0.001) 高値を示し, in vitroではGLP値はブドウ糖濃度およびincubation時間依存性に増加した.
    以上より, GSPはHbA1よりも短期の血糖コントロールの指標として, GLPは糖尿病性白内障の成因の一部として, 臨床的意義があるものと考えられた.
  • 後藤 義則
    1983 年 26 巻 8 号 p. 853-860
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン依存型糖尿病 (以下IDDMと略す) における代謝異常の原因はインスリン分泌の絶対的減少と言われているが, 他方末梢組織のインスリン感受性についての検討は少ない.著者は小児のIDDMについて末梢組織のインスリン感受性の指標として単核白血球へのインスリン結合 (インスリン受容体レベル) を測定し, 末梢組織のインスリン感受性の観点から病態を検討した.対象は未治療のIDDM患児6名, 治療中のIDDM患児10名, 対照健康小児10名である.これらの小児について早朝空腹時の末梢単核白血球のインスリン受容体レベルをGavinらの方法を少量の試料用に改良した著者らの方法で測定した.インスリン受容体レベルは対照群1.91pg/106 cells, 未治療IDDM患児群1.43pg/106 cells, インスリン治療IDDM患児群1.56pg/106 cellsで対照群と未治療群との間にのみ有意差 (P<0.05) が認められた.小児のIDDM患者ではIDDM動物モデルに見られるようなインスリン受容体レベルの上昇が認められず, 小児IDDMにおけるインスリン作用の低下にはインスリン受容体の適応的調節の欠如も関与している可能性が示唆された.
  • 豊田 長康
    1983 年 26 巻 8 号 p. 861-868
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    妊娠時の糖代謝の特徴の1つとして, インスリンに対する抵抗性の増大があげられるが, その機序を解明する日的で, 妊娠後期ラットより調製した単離脂肪細胞を用いて, インスリンのグルコース酸化捉進作用およびインスリン受容体について検討した.インスリンのグルコース酸化促進作用は, 37℃60分間に (1-14C) グルコースより発生する14CO2の量を, インスリン受容体は, 37℃60分間または24℃90分間に結合する125I-インスリン量を, それぞれ各種濃度のインスリン存在下で測定することにより求めた.単位脂肪細胞数あたりのグルコース酸化作用は, インスリン非存在下および存在下とも妊娠ラットのほうが非妊娠ラットに比し有意に低下していた.125I-インスリン結合率については37℃および24℃の両条件下とも各種濃度のインスリン存在下で両ラットの間に有意差は認められなかった.結合率測定中のインスリンの分解率についても両ラットの問で有意差は認められなかった.
    以上の成績により, 妊娠後期ラットの単離脂肪細胞ではグルコース酸化作用に関してインスリン抵抗性が認められるが, それは主としてインスリンに対するresponsivenessの低下によるものであり, しかも, インスリン受容体の数および親和性に有意の変化が認められず, 妊娠時のインスリン抵抗性がインスリン受容体以後 (postreceptor) の過程の変化により生じていることが示唆された.
  • 佐々木 陽, 上原 ます子
    1983 年 26 巻 8 号 p. 869-877
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の死因の最近の動向を明らかにするために, 1975~1979年の5年間に大阪府下で報告された死亡診断書の調査を関係行政庁の許可を得て行い, すでに報告した1960~1974年間の15年の成績と併せ, 過去20年間の推移として観察した.
    1) この20年間, 糖尿病死亡者の老齢化が著しく, 最近5年問の65歳以上の割合は男61%, 女72%を占める.また, 平均死亡年齢は全体として年次的に上昇傾向が明らかであるが, 結核, 肝硬変を原死因とするもの, 昏睡・ケトージス, 糖尿病性腎症を合併するものは平均年齢が著しく低かった.
    2) 糖尿病を除く原死因の分布は, 循環系の疾患が20年間持続的に増加し, 50%を占めるに至った.この内訳は脳血管疾患が最も多いが, 最近5年間はやや減少を示している.一方, 心疾患は増加傾向が著しく, 脳血管疾患との差は僅少となった。また, 肝硬変の増加も注目された.
    3) 原死因糖尿病のものの2次死因として記載されている糖尿病性腎症は年々増加し, その他の腎疾患を含む腎合併症の総数は18%に達した.
    以上, わが国の糖尿病患者の死因は, この20年間かなりの変化がみられたが, 欧米と比較するとその死因分布には大きな差がみられ, 糖尿病の合併症, 経過になお少なからぬ差のあることが示唆された.
  • 野手 信哉, 野津 和巳, 平田 正名, 八板 郎, 中村 輝久, 鍋谷 登, 久野 昭太郎, 桜美 武彦
    1983 年 26 巻 8 号 p. 879-884
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    地域集団検診で得られた血清につき, 膵島細胞抗体 (lslet-CellAmtibody;ICA) の検出を試み, 日本人一般集団での陽性率について欧米諸国の報告と比較検討した.対象は島根県中山間地域での住民検診受診者1,125名 (男性520名, 女性605名) で, ICA陽性例は6例 (陽性率0.5%) であった.その6例の内訳は, 男性3例 (それぞれ33歳, 64歳, 72歳), 女性3例 (それぞれ45歳, 53歳, 57歳) であり, 男女別の陽性率は, 男性0.6%, 女性0.5%でほとんど性差はなかった.ICA陽性の6例は, そのいずれもがこれまでに糖尿病と確定診断されておらず, 今回の検診受診時, 尿糖陰性, 血糖値正常域内であり, さらに臨床所見からも多飲, 多尿などの症状はなく, 糖尿病は否定的であった.今回の検診受診者中には, インスリン治療中の糖尿病例が2例, 経口血糖降下剤使用中ないし食事療法中のものが11例あったものの, それらはいずれもICAは陰性であった.
    ICA陽性6例について他の自己抗体を検索したところ, 45歳女性例が, 抗甲状腺抗体陽性, 72歳男性例が抗核抗体陽性であったが, リウマチ因子は6例とも陰性であった.抗甲状腺抗体陽性の症例は, び漫性甲状腺腫を有し, 橋本病が疑われた.また, ICAは6例とも膵島がび漫性に螢光を発する, いわゆるclassical patternであり, その抗体価は, 抗甲状腺抗体陽性の1例のみ10倍希釈で陽性, 他の5例は, 5倍希釈以下であった.
  • 1983 年 26 巻 8 号 p. 885-902
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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