糖尿病
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27 巻, 11 号
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  • 葛谷 信貞
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1145-1146
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 優性遺伝を仮定した場合
    古庄 敏行, 吉丸 博志, 小坂 樹徳
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1147-1156
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン依存型糖尿病IDDMとHLAとの間にみられる関連の遺伝学的メカニズムを解明するため, 連鎖平衡を仮定し, IDDM発現の確率を遺伝子型値として, 遺伝子型分散に占めるepbtasis分散の割合 (VI/VG) を推定した. ただし, ここではIDDMを優性遺伝形質と仮定し, 浸透度も考慮した. また著者らはすでに, 本研究と同じ資料を用いIDDMを劣性遺伝形質と仮定して同様の分析を試みているが, 一部に計算ミスがあったので, これは訂正した結果も合わせて示した. その結果, VI/VGの推定値は, IDDMを優性と仮定した場合も劣性と仮定した場合も等しく, また浸透度の影響はほとんど受けず, IDDMとHLA-Bw54で1/2. 3, IDDMとHLA-DYTで1/2.7, IDDMとHLA-DRw4で1/3.5であった. これらの値は遺伝子座間epistasisの存在を意味しているが, 0からの差を統計的に検定することはできなかった. 関連の原因が連鎖不平衡であるのか, それともepistasisであるのかを決定することは, まだなお困難である.
  • 北野 則和, 田港 朝彦, 瀬野 倫代, 石田 均, 西 重生, 武村 次郎, 津田 謹輔, 清野 裕, 松倉 茂, 池田 正毅, 井村 裕 ...
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1157-1162
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ラ氏島細胞膜抗体 (ICSAb) の検出法には間接螢光抗体法や1251-protein A法があるが再現性や定量化, 多量の検体処理等に不十分な点を残していた. 今回, 著者らは抗原として125I標識wheat germagglutinin (125I-WGA) と結合させたラットラ氏島細胞膜蛋白を用いたIcsAbの検出法を開発した. 単離したラ氏島に125I-WGAを結合させた後NP40とsonicationにより可溶化し抗原とした. この可溶化ラ氏島細胞膜抗原と被検血清をincubationした後, 熱非働化ホルマリン固定staphylococcus aureus CowanI株 (SAC) またはウサギ抗ヒトIgGおよびIgM Immunobeadsを用いてB. F分離を行った. 125I-WGAのラ氏島への結合はN-Acetylglucosamine (GlcNAc) の添加により除去され, 125I-WGAはラ氏島細胞膜のGlcNAcを含む糖鎖と特異的に結合していることが示唆された. すなわち, 本抗原はGlcNAcを含む糖鎖を有する細胞膜糖蛋白であると考えられた。B. F分離にはImmunobeadsがSACに比し非特異結合が低く, さらにICSAbをIgGとIgMに区別して測定することができた. ICSAbの検出に関しては本法を用いた場合にもICSAbはインスリン依存性糖尿病 (IDDM) の発症初期において高率に検出され, この場合IgG型がIgM型より高率であった. 本法は多量の検体処理に適し, 今後, 本法を臨床へ幅広く応用することにより糖尿病におけるICSAbの意義がより明らかにされるものと期待される.
  • ビタミンの消化管からの吸収に及ぼす可溶性食物線維の影響
    土井 邦紘, 松浦 省明, 河原 啓, 田中 力, 馬場 茂明
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1163-1168
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    食物線維には食後血糖上昇抑制作用の他に, 血清コレステロールの低下作用がある. しかもこの作用は不溶性より可溶性の食物線維が優れているとする報告が多い. そしてその作用機序として現在食物に含まれているコレステロールあるいは胆嚢から分泌された胆汁酸を吸着あるいは取り込んで糞便中へ排泄することが考えられている.
    このように胆汁酸の腸管循環が断たれることによって血中コレステロールが低下するとすれば, 消化管の吸収に胆汁酸を必要とするものは, その吸収が阻害される恐れがある. そこで今回, 血中コレステロールの低下作用が優れている可溶性食物線維 (glucomannan) の消化管からの吸収に及ぼす影響を観察した. 対象は健常者6名とType II糖尿病者5名とである. 方法はビタミンE (Tocopherol Acetate, 500mg) とB12 (Mecobalamin: 3000γ) を早朝空腹時に試験食 (646 Kcal) とともに服用させた後, 経時的に血中濃度をそれぞれ測定し, glucomannan (3.9g) 添加時と比較した.
    その結果脂溶性ビタミンEの消化管からの吸収率は明らかにglucomannanの添加により抑制されたが (8時間値の健常者の血中上昇率は147.1±11.5%から117.8±4.9%に抑制, P<0.0125), 水溶性ビタミンB12では消化管からの吸収抑制はみられなかった. なお糖尿病者で施行した脂溶性ビタミンA (10,000単位) もビタミンEと同様の結果であった.
    以上の結果は単回投与であり, 必ずしも長期間の経過観察結果とは一致しないが, 少なくともこのような可溶性食物線維を投与する場合には十分な注意が必要である.
  • 鎌田 章栄, 佐藤 幸裕, 松井 瑞夫
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1169-1176
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    駿河台日大病院小児科にて小児糖尿病と診断され, インスリン依存性糖尿病 (以下IDDMと略す), インスリン非依存性糖尿病 (以下NIDDMと略す), 化学的糖尿病 (以下chemicl DMと略す) に病型分類された2歳から16歳までの91名を対象とし, それぞれの病型ごとに網膜細小血管異常につき検討した. なお, 従来の小児糖尿病の網膜細小血管異常に関する報告では明確な病型分類を行った報告は見あたらない.
    対象はIDDM33例, NIDDM37例, chemicalDM21例であり, 半年から1年に1度検眼鏡検査および原則として学童期以上に螢光眼底造影を施行した. さらに病型ごとに糖尿病コントロール状態, 年齢, 罹病期間, 年齢と罹病期間の相乗効果との関係についても検討を行った.
    検眼鏡所見では主にIDDMに異常を認めた. 螢光眼底造影ではIDDMとNIDDMはchemical DMに比して異常出現率は有意に高率であった. 糖尿病コントロールとの関係ではIDDMの検眼鏡検査における異常出現率はgood contro 1群は有意に低率であった. 年齢に関しては16歳以上のNIDDMでは螢光眼底造影における異常出現率は有意に高率であった. 罹病期間との関係ではIDDMの検眼鏡所見およびNIDDMの螢光眼底造影検査で異常出現率は罹病期間の延長と共に有意に増加した. 年齢と罹病期間の相乗効果に関してはIDDMの検眼鏡所見およびNIDDMの螢光眼底造影検査で認められた.
  • 古庄 敏行, 丸山 博, 岸 邦和, 外村 晶, 沖 博憲, 川 明
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1177-1185
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    若年発症インスリン依存型糖尿病に関する細胞遺伝学的研究のため, C-バンド, G-バンドおよび高精度染色体分染法による染色体分析を試みた.
    (1) 若年発症インスリン依存型糖尿病患者12人およびその対照群 (非糖尿病) 12人について, C-バンドパターンの分析を試みた結果, 第9番染色体で長腕ヘテロクロマチン欠失 (9qh-) は若年発症インスリン依存型糖尿病群で, 2人見出され, その頻度は2/12=0.1667土0.1076で, 対照群のそれの0/12=0に比べ, 高いが, 両群の差は統計的有意水準に達しなかった.
    なお, 若年発症インスリン依存型糖尿病群で見出された9qh-の2人は, いずれもアレルギー症状を呈し, このうち1人は罹病期間が8年と長いにもかかわらず, ICAが陽性である.
    C-バンドパターンの生物学的意義は (a) C-バンドの変異は正常変異 (異形性) で, この部分は遺伝的に不活性で表現型に影響を及ぼさない.また, この部分には塩基の繰り返し配列をもつDNAが存在している, と考えられている.他方,(b) 分子遺伝学的には, 繰り返し配列が染色体の組み換えを起こす機会を与える. あるいは酵母で染色体の端方に繰り返し配列があり, それが重大な働きをもつのではないかなどの説があり, 必ずしも解明されていないが, 本研究では, 若年発症インスリン依存型糖尿病-9qh-免疫異常とあ間に遺伝的関連性を示唆する傾向を示した.
    (2) 若年発症インスリン依存型糖尿病患者4人について, G-バンドおよび高精度染色体分染法による染色体分析を試みたが, いずれも染色体異常はみられなかった. 1個のバンド当りの平均遺伝子数は25~165個と考えられるので当然の結果とも思われる.
  • 川 明, 古庄 敏行, 吉丸 博志, 勝目 卓朗
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1187-1193
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病 (以下NIDDMと略す) 14名および健康対照群12名について, 染色体のC-パンドパターンの分析を行った. また対象としたNIDDM患者から3名を任意に選び, G-バンドの分析と高精度染色体分染法による核型分析をも試みた.
    NIDDM, 対照群のいずれにおいても, C-バンドパターン型は多様であり, 各パターン型のそれぞれの頻度間に統計学的有意差はみられなかった. またインスリン依存型糖尿病 (以下IDDMと略す) 患者12名中2名に検出されたC-パンド陰性はNIDDM, 対照群のいずれにおいても証明されなかった.
    G-バンド法および高精度染色体分染法による核型分析のいずれにおいてもNIDDMに特異な染色体異常は証明されなかっ
  • 登録5年後の成績, とくに登録時諸因子と死亡率, 死因との関係
    三原 俊彦, 大橋 博, 平田 幸正
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1195-1206
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    76年1月から12月までの1年間に東京女子医大糖尿病センターを受診し, 一定の調査項目の完備した糖尿病患者1,629名について5年間にわたりprospectiveに追跡調査を行ったところ, 登録5年後の生存者1,442名, 死亡者184名, 生死不明者3名であり, 生死に関する追跡率は99.8%であった. 登録5年後の生命予後を不良とした登録時状態として, 糖尿病30歳未満発症, 肥満度90%未満, 収縮期血圧200mmHg以上, 拡張期血圧110mmHg以上, インスリン治療, 朝食前血糖200mg/dl以上, 血清コレステロール150mg/dl未満および300mg/dl以上, 血清中性脂肪300mg/dl以上, 血清尿素窒素30mg/dl以上, 血清尿酸10mg/dl以上, 神経障害, Scott IIIa以上の網膜症,(+++) 以上の蛋白尿などであった. とくに, 登録時に神経障害, 網膜症, 蛋白尿のすべてを有したものの予後は不良であった. 5年間に死亡した184名の死因の第1位は悪性新生物であり, ついで脳血管障害, 虚血性心疾患, 糖尿病性腎症の順であったが, 糖尿病若年発症者, 登録時肥満者, 高血圧, 高コレステロール血症, 高中性脂肪血症, 高尿素窒素血症, 高尿酸血症, 神経障害, 網膜症, 蛋白尿を有したものでは, 他の群に比し死因として悪性新生物の割合は少なく, 糖尿病性腎症, 虚血性心疾患, 脳血管障害など血管障害の割合が増大した.
  • 高桜 英輔, 牧野 博, 寺田 康人, 辻 博
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1207-1213
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Brittle diabetesの中には強化インスリン療法やCSIIにても厳格なコントロールを長期間維持することが困難な症例が少なくない. 今回, 重症のbrittle型糖尿病の1例に持続腹腔内インスリン注入法 (CIPII) を試み, 良好な血糖制御を得ることができたので報告する.症例は57歳の男性で31歳で急激に糖尿病を発症し, 49歳で胃亜全別術を受けてからは1日3回の速効型・中間型インスリンの混注にもかかわらずケトアシドーシスや低血糖昏睡にて入院を繰り返している患者である. 今回, 網膜症の進行と下肢のしびれのため入院した.まず強化インスリン療法, CSIIを施行したが, それぞれの連続6日間のM値は117.8土36.2 (Mean±SD), 43.7±20.4と血糖のコントロールは不十分であり, CIPIIへ導入した. CIPIIにおける安定期での連続6日間のM値は5.4±1.2, 血糖の日内変動は75~180mg/dlとnear nomlal glucoregulationを維持し得た. CIPn施行中のfree IRIの日内変動は食前追加注入後急峻なピークを形成しており, 健常人のインスリン分泌パターンに近似していた. CIPII導入後3ヵ月を経過した現在, 外来通院中であり, 網膜症, 下肢のしびれの改善がみられた. CIPIIは従来のインスリン療法では安定した血糖制御が困難なbrittle型糖尿病に試みてみる価値がある.
  • 植田 太郎, 小野 弘, 迫 康博, 梅田 文夫, 渡辺 淳, 井口 登与志, 楢崎 健次郎, 久富 昭孝, 井林 博
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1215-1222
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれは既に報告した多嚢胞卵巣 (PCO) を伴うインスリン (Ins) 抵抗性糖尿病症例の8年後の臨床経過と, 本例にみられる持続性の高遊離インスリン (FIRI) 血症の病態について若干の検討を加え報告する.
    症例は27歳, 女性.19歳時職場検診で糖尿病と診断され, 1ヵ月後よりIns治療が開始されるも, 当初より著明な抵抗性を示した (最高360U使用). 高度の網膜症により失明.acanthosis nigricans (-), 脂肪異常 (-), PCOは模状切除により以後正常月経周期が持続している。本例には当初低力価ながらIns受容体抗体 (AIRA) が検出されたが, 約6ヵ月の経過で消失し, 抵抗性も自然寛解に至った. 以後4年間は内服剤, その後6ヵ月間は食事療法のみにて比較的安定したコントロールを維持したが, 急性腎盂腎炎罹患時ケトアシドーシスを発症し, Ins治療が再開された.今回入院時AIRAは陰性.本例では当初より血漿FIRIが高値であり, 早朝空腹時 (Ins注射前) のFIRIは62~130μU/mlの高値を示した. Ins50mU/minの持続注入後120~150分の恒常FIRIレベルは370μU/mlの異常高値に達した. 血漿および尿CPR値より本例の高Ins血症は大部分外因性Insに由来すると考えられる。ITT, Ins抑制試験では依然Ins抵抗性を認め, 赤血球125I-ins結合能は低下し, 受容体数の減少が示された. 以上より本例に観察されるFIRIの慢性的高値は, 標的細胞におけるInsクリアランスの障害が関与していると推定される.
  • 岡田 奏二, 宮井 陽一郎, 佐藤 公明, 正木 善告, 太田 善介, 武田 偉, 依田 忠雄
    1984 年 27 巻 11 号 p. 1223-1225
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of the present study was to examine the relation between ICSA, which is detected early in the course of IDDM in childhood, and the complement system. From among 90 children with IDDM occurring before 15 years of age who participated in summer diabetes camps in two populous districts of western Japan, 21 patients whose onsets of the disease were less than one year prior to the camps were chosen for study. ICSA was detected by the original method of Lernmark. C3 and C4 blood levels were determined by the immunodiffusion technique. Student's t-test was used for statistical analysis of the data.
    Of the 21 patients 11 were ICSA-positive and the remaining 10 were negative for ICSA. The ICSA-positive patients had a mean blood C3 level of 63.6±8.9mg/dl (SD) which was lower than that of the ICSA-negative patients (76.6±13.3mg/dl)(p<0.02). The mean C4 blood level of the ICSA-positive patients (20.5±5.3 mg/dl) was lower than that of the ICSA-negative patients (31.8±9.0mg/dl)(p<0.01). These findings suggest the possibility that complement-dependent antibodymediated cytotoxicity may play a role in the pathogenesis of IDDM in childhood.
  • 1984 年 27 巻 11 号 p. 1227-1240
    発行日: 1984/11/30
    公開日: 2011/08/10
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