糖尿病
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27 巻 , 6 号
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  • 森 英樹, 大竹 邦夫, 北村 新三
    1984 年 27 巻 6 号 p. 653-661
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    血中インスリン, ブドウ糖を2変数とする定係数微分方程式モデル, いわゆるAckermanモデルの一部に修正を加え, インスリンのコンパートメントを2つに分割したモデル (3次系モデル) に基づいて, 糖尿病患者を含む134例の経静脈ブドウ糖負荷試験時の血中ブドウ糖, 血中インスリンの経時データの動態解析を行った. 細胞外腔とは別のコンパートメントに移行したのちそこではじめてインスリンがブドウ糖の組織摂取に影響を与えると仮定することによって, Ackermanモデルによる解析の際にみられたパラメータ値の生理学的矛盾, 符号の正負逆転が解消し, 数値の極端なバラツキもなくなるとともに, モデルに対する適合率も上昇した (94%). 3次系モデルと, Ackermanモデルの両モデルに共通して適合した108例について, 推定されたパラメータ値を比較した. また, ブドウ糖とインスリンの平衡状態値と目される空腹時と糖負荷後120分時の測定値とパラメータとの関係を検討した. その結果, 3次系モデルはAckermanモデルに比べると生理学的により妥当性の高い形でパラメータ同定がなされており, 糖尿病の病態や耐糖能異常の指標として有用性が高いと考えられた.
  • 関 淳一, 藤井 暁, 小嶋 善春, 魚井 孝悦, 山本 雅規, 和田 正久
    1984 年 27 巻 6 号 p. 663-669
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    初診時未治療のインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者90例について治療開始前の体重変動と糖尿病の病態, とくに食事療法に対する効果との関連について検討した. 対象のうち, 治療開始前の3ヵ月間に明らかな体重減少のなかったもの (I群) は33例, 治療開始前3ヵ月の体重減少の程度が平均3kg/月未満のもの (II群) は40例, 3kg/月以上のもの (III群) は17例であった. I, II, III群の治療開始時FBSは168.1±41.6 (Mean±SD), 230.8±60.8,300.4±49.9mg/dl, HbAIc値は, 5.2±1.3, 7.5±1.9, 9.1±2.1%と各々I, II, III群の順に高く, また50g-OGTTにおけるΣIRI/ΣBSは逆にI群 (0.19±0.17), II群 (0.09±0.07), III群 (0.02±0.01) の順に低い傾向がみられた.食事療法に対する初期効果は1群では治療開始前のFBSやHbAIc, ΣIRI/ΣBSのレベルに関係なく全例が有効と判定されたが, 無効例の占める率はII群 (30.0%), III群 (64.7%) の順に高かった. そしてこれらIIIII群では, とくに治療開始時すでに標準体重を下廻り非肥満となっている例に無効と判定される例が多い傾向がみられた. 以上, これらの成績はNIDDM患者において治療開始前の体重変動がそれまでの代謝異常の程度を把握するのに有用であるばかりでなく, 食事療法の効果を予測する上で, 重要な情報を提供する場合の少ないことを示すものと考えられる.
  • 紀田 康雄, 吉川 隆一, 安田 斎, 畑中 行雄, 小林 伸行, 山下 真木夫, 繁田 幸男
    1984 年 27 巻 6 号 p. 671-677
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれは, 糖尿病患者における自律神経障害の程度を, より早期から定量的に把握するため, ベッドサイドにて容易に行える心拍数の変動を指標とした各種自律神経機能検査を行い, 感度および問題点を比較検討した.
    検査としては, これまで迷走神経機能の指標として有用性が報告されている安静時の心電図RR間隔の変動率 (以下CV) や, 深呼吸時 (E/I Ratio), 起立時 (30: 15 Ratio) のRR間隔の比を用いた.
    感度の点では, CVが, 起立性低血圧を示さず, 交感神経機能は正常と考えられる糖尿病群においても, 同齢対照群に比べ有意な低下 (P<0.05) を示し, 比較的軽症の自律神経障害に対しても, 評価の可能な指標と考えられた. しかし, 再現性には問題があり, 反復測定により検討することが望ましいと考えられる.
    また, いずれの検査法も, 有意な日内変動は示さなかった.
    一方, 起立性低血圧を有するものは, 交感神経障害のみならず, 広範なニューロパチーが存在するものと考えられ, 比較的自律神経障害の進んだ患者の選別には, Schellong Testが有用であった.
  • 中村 日出子, 川井 紘一, 藤田 敏郎, 板倉 光夫, 小出 義信, 久貝 信夫, 山下 亀次郎
    1984 年 27 巻 6 号 p. 679-688
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれは, 最近3例の高C1性アシドーシスを呈した糖尿病患者を経験したので, その臨床像および原因に関する検討を行った, 3例とも, 10年以上の糖尿病歴をもち, 高血圧, triopathyを併発, 腎機能は中程度以上に障害されている進行した糖尿病患者であった. 症例1は, 先端巨大症を合併しており, 入院時より存在した高Cl血症は下垂体腺腫摘出後もつづいた. 症例2は, 入院時にはアシドーシスはなかったが入院中に高Cl性アシドーシスを呈した. その誘因として, spironolactoueの投与, 溶血によるK負荷, 浮腫の改善による循環血漿量の改善などが考えられた. 症例1, 2, ともに酸性尿, 高K血症, 低レニンおよび低アルドステロン症等を呈し, 既にSebastianらにより報告されている尿細管性アシドーシスtype IV (以下RTA typeIVと略す) の特徴をそなえていた. 両者とも60mEq/day-100mEq/dayの重曹投与によりアシドーシス, 高Cl血症ともに改善した: 症例1には0.2mg/dayのfludrocortisone投与を試みたが, アシドーシスは改善しなかった. 症例3のアシドーシスは, acetazolamide (Diamox (R)) 投与が明らかな誘因であり, 低K血症を示し, RTA type IVとは異なるものであったが, 同じ腎機能異常を基礎として生じたものと考えられる. RTA type IVを呈しやすい状態にある患者にacetazolamideを投与する際には, 電解質バランスに十分注意する必要があることを示す1例であった.
  • 畑中 裕司, 石川 和夫, 川崎 富泰, 窪田 伸三, 高木 潔, 丹家 元陽, 吉村 幸男, 老籾 宗忠, 馬場 茂明
    1984 年 27 巻 6 号 p. 689-695
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    健常者78名と糖尿病患者52名を対象として, レーザードップラー皮膚血流量計 (PLDF) を用い, 起立負荷前後の手指皮膚毛細血管血流量 (PBF) の変化を, 糖尿病性自律神経障害の評価に応用した.PLDFは2mWのHe-Neレーザーを使用し, PBFを直接的, 連続的, 非観血的, しかも簡便に測定しうるものである.起立負荷によるPBFの反応型を4群に分類し, Response Time (RT), Orthostatic DysreactionRatio (ODR) を指標として設定した.
    健常者では, 95%が基本反応型を示したのに対し, 糖尿病患老では, 回復遅延型: 27%, 不完全回復型: 23%などの異常反応型が有意に増加した.健常老のRTは, 15.3土5.7sec (mean±SD) であった.RTと運動神経伝導速度および感覚神経伝導速度との問には, 共に有意の負の相関が認められた.ODRと起立負荷前後における血圧変動 (△BP) および脈拍数変動 (JP) との間にも同様の負の相関が認められ, 自律神経障害の強い症例にODRの異常出現頻度が高かった.糖尿病性自律神経障害によると考えられる自覚症状の有無と, RTおよびODR値にそれぞれ有意差があり, 自覚症状を有する症例で一層のRT延長, ODRの低下を認めた.
    以上, 糖尿病性自律神経障害の判定にPLDFによるPBF, その反応パターンが利用される可能性を示した.
  • 前川 聡, 小林 正, 大角 誠治, 渡辺 修明, 繁田 幸男
    1984 年 27 巻 6 号 p. 697-705
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    骨格筋は, インスリン作用および糖利用の主要な組織であることから, われわれは, ラット単離Soleus筋におけるインスリン結合および2-deoxyglucose (2DOG) の取り込みに対するインスリン作用を検討した. インスリン結合は, HepesTris緩衝液 (10mg/ml BSA, pH8: 0) にて, 標識インスリン (0.2ng/ml) および非標識インスリン (0-500ng/ml) と4.5時間, 15℃ の贈置により求めた. 100mg湿重量当りの特異的結合は, 0.2ng/mlのインスリン濃度で4.62±0.22%(平均土SEM, n瓢6) であり, 50%最大抑制を示すインスリン濃度は, 6ng/mlであった. 非特異的結合は, 全インスリン結合の30%以下であり, インスリン分解は, 16.3土2.1%(TCA法) であった.
    2DOG取り込み測定にはKRPHepes緩衝液 (20mg/mlESA, pH7.4) を用い, 2mMPyruvateにて25℃, 30分間の前孵置後, 120分間インスリンと孵置した. その後30分間の2DOG取り込みを行った. なお, L-glucoseの取り込みにて単純拡散, extracellular spaceの取り込みを補正し, 特異的な2DOGの取り込みを求めた. 2DOGの取り込みは, インスリン (100ng/ml) にてbasalの2.5倍に増加し, この増加は, 糖転送およびジン酸化のVmaxの増加によるものであり, Kmの変化によるものではなかった. なお, 2DOG取り込み促進の50%最大効果を示すインスリン濃度は5ng/mlであった. ラット単離Soleus筋を用いるこの系は, 骨格筋でのインスリン受容体およびインスリン作用解明の有用なモデルであると思われた.
  • 遠山 杏子, 田島 平一郎, 厨 直美, 池田 喜彦, 森 正孝, 辻畑 光宏, 三宅 清兵衛, 長瀧 重信
    1984 年 27 巻 6 号 p. 707-713
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    四肢末梢の感覚障害および下肢の脱力を伴ったインスリノーマの1例に, 電気生理学的検索および神経l筋生検を施行したので報告する, 症例は27歳の女性で, 意識喪失発作を主訴とし, 家族歴: 既往歴に特記事項を認めない. 入院時両下肢に垂足と遠位筋とくに伸筋に軽度脱力を認めた. 膝蓋腱, アキレス腱反射は消失していた. また手袋-靴下状の感覚異常, 足関節より末梢は痛覚と振動覚の低下がみられた. 針電極筋電図で脱神経電位が認められた. 右正中神経の運動神経伝導速度および右腓腹神経の感覚神経伝導速度は軽度低下していた. 左腓骨神経の運動, 右正中および右尺骨神経の感覚神経の活動電位は誘発されなかった. 短腓骨筋の組織像は神経原性変化を示した. 腓腹神経の生検標本において, 大径有髄線維が軽度ながら減少し, Schwann cell clusterが認められた.
    これらの所見は軸索変性を主とするものと考えられる.
    インスリノーマの摘出後, 上下肢の感覚異常の改善, 神経伝導速度の改善が認められ, 末梢神経障害がインスリノーマによる低血糖のために起こったことが示唆される.
    本例は, 本邦におけるインスリノーマにみられた末梢神経障害時の, 電気生理学ならびに神経一筋生検を施行しえた第1例として報告した.
  • 森 豊, 浅野 由起雄, 荒井 義章, 東門 美代, 松尾 史郎, 木下 牧子, 斉間 恵樹, 酒瀬川 裕, 加藤 彰一, 中村 雄二, 岸 ...
    1984 年 27 巻 6 号 p. 715-721
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性合併症の中で自律神経障害は多彩な臨床像を伴って発現するが心臓血管系の神経調節機構の異常について多くの研究が報告されている. 1975年Lloyd-MostynとWatkinsの報告以来, 自律神経障害を伴う糖尿病患者の心呼吸停止発作が注目されてきたが, 本邦では3例の報告をみるにすぎない. 彰れわれは14年の罹病歴を有する55歳男性のインズリン依存性糖尿病患者で自律神経障害が主因と考えられる呼吸停止発作を8回繰り返し救命しえた症例を経験したので若干の考察を加え報告する. 本例の呼吸停止発作の誘因としては従来報告されている麻酔, 薬物, 呼吸器感染等による呼吸障害の関与も疑われ, かつ突然発症を特徴とした. さらに本邦報告の3症例と異なり呼吸停止後, 心停止が出現したのは計8回の発作中1回のみであり呼吸停止が主の病態であると考えられた.
  • 1984 年 27 巻 6 号 p. 723-738
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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