骨格筋は, インスリン作用および糖利用の主要な組織であることから, われわれは, ラット単離Soleus筋におけるインスリン結合および2-deoxyglucose (2DOG) の取り込みに対するインスリン作用を検討した. インスリン結合は, HepesTris緩衝液 (10mg/ml BSA, pH8: 0) にて, 標識インスリン (0.2ng/ml) および非標識インスリン (0-500ng/ml) と4.5時間, 15℃ の贈置により求めた. 100mg湿重量当りの特異的結合は, 0.2ng/mlのインスリン濃度で4.62±0.22%(平均土SEM, n瓢6) であり, 50%最大抑制を示すインスリン濃度は, 6ng/mlであった. 非特異的結合は, 全インスリン結合の30%以下であり, インスリン分解は, 16.3土2.1%(TCA法) であった.
2DOG取り込み測定にはKRPHepes緩衝液 (20mg/mlESA, pH7.4) を用い, 2mMPyruvateにて25℃, 30分間の前孵置後, 120分間インスリンと孵置した. その後30分間の2DOG取り込みを行った. なお, L-glucoseの取り込みにて単純拡散, extracellular spaceの取り込みを補正し, 特異的な2DOGの取り込みを求めた. 2DOGの取り込みは, インスリン (100ng/ml) にてbasalの2.5倍に増加し, この増加は, 糖転送およびジン酸化のVmaxの増加によるものであり, Kmの変化によるものではなかった. なお, 2DOG取り込み促進の50%最大効果を示すインスリン濃度は5ng/mlであった. ラット単離Soleus筋を用いるこの系は, 骨格筋でのインスリン受容体およびインスリン作用解明の有用なモデルであると思われた.
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