心拍数変動で区分した交感.副交感神経障害と低血糖時のglucagon (IRG), pancreatic polypeptide (PP), epinephrine (PE), norepinephrine (PNE) 分泌反応との関連を検討するため, 健常者7名, 糖尿病者21名 [自律神経障害のない者 (A群) 8名, 副交感神経障害のみの者 (B群) 6名, 交感・副交感両障害の者 (C群) 7名] にインスリン負荷試験 (0.12U/kg/h) を行った.健常群と糖尿病者各群間で血糖降下速度や最低血糖値には差がなかった.インスリン注入停止後の各種ホルモンの分泌増加面積を比較すると, ΣΔIRGは健常群, A, B, C群おのおの2210, 1888, 1248,844Pg・min/m
lで, 健常群に比較してB・C群で低下傾向を示した.ΣΔppは健常群, A, B, C群おのおの10684, 10861, 3855, 2469pg・min/m
lで, 健常群に比較してB, C群は有意に低反応であった.ΣΔPEは健常群4.95ng・min/m
l, A群6.87, B群6.62, C群1.22であり, C群は他の3群いずれよりも有意に低値であった.ΣΔPNEは健常群, A, B, C群それぞれ3.36, 3.09, 2.24, 1.15ng・min/m
lで, C群は低反応傾向であった.
以上の結果から, 心拍数変動で評価した心臓交感・副交感神経障害と膵・副腎髄質の内分泌とは密接に関連しており, 心拍数変動の成績は腹部臓器の交感・副交感神経障害を評価する指標になり得るものと考えられる.
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