糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
28 巻 , 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 中埜 幸治, 金綱 隆弘, 西岡 均, 狩野 康之, 梶山 静夫, 北川 良裕, 中村 直登, 中村 義雄, 近藤 元治, 福井 巖, 荒木 ...
    1985 年 28 巻 6 号 p. 701-706
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    α-glucosidase inhibitorであるAcarbseは, 唾液および膵のα-amylaseと小腸の二糖類分解酵素に対して阻害作用を示し, glucoseの産生を遅延または抑制することが証明されている。今回, 入院中のII型糖尿病患者で, 食事療法のみでは血糖コントロール不十分な19症例を対象にacarboseの血糖日内変動に及ぼす影響を中心に検討した. 3~4週問の食事療法後もなお空腹時血糖値が140mg/dl以上あるいは食後2時間血糖値が200mg/dl以上のものに対し, 1日150mgまたは300mgのacarboseを2週間, 各食事中に経口投与した。acarbosc投与臼前および投与2週後の空腹時血糖, 食後血糖, 血中インスリンおよび血清脂質などを観察した. acarbose投与によって各食後血糖の上昇が抑制され血糖日内変動曲線下の総面積の低下が認められた. これは300mg/day投与群で著明であり, 同時に空腹時血糖の低下も認めた。インスリン分泌反応, 血清脂質, 体重などには有意な変動は認められなかつた。すなわちacarboscは血糖日内変動に好影響をもたらし, 血糖のコントロールに有用であると思われる.
  • 百都 健, 高木 顕, 八幡 和明, 涌井 一郎, 津田 晶子, 伊藤 正毅, 柴田 昭
    1985 年 28 巻 6 号 p. 707-712
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    中枢神経系や脳神経では体性末梢神経や自律神経で用いられているような潜在性の神経障害を検出する方法が確立されていない. このため, 糖尿病患者における中枢神経障害や脳神経障害は稀なものと考えられてきた.
    聴性脳幹反応 (Auditory cvoked brainslcm response: ABSR) は聴神経及び脳幹・中脳における聴覚路の活動電位をコンビューターによる平均加算法を用いて頭上皮から記録するもので, 同部位の病変の検出に有力な情報を与えてくれる検査法とされている. この方法を用いて糖尿病患者の脳神経及び脳幹・中脳の障害の有無を検討した. 対象は合併症の認められない糖尿病患者9名 (A群), 増殖型網膜症を始めとして種々の合併症を有する糖尿病患者10名 (B群) 及び年令をマッチさせた正常者60名 (C群) である. B群は, A, C両群に比し, ABSRにおけるI, III, V波潜時及びI-III, I-V波間潜時の有意な延長を示した. A, Cの両群間では上記のいずれの因子に関しても有意差は認められなかった. III-V波間潜時は3群間で有意差は認められなかった. 各波潜時, 各波間潜時と空腹時血糖・HbA1の間に有意な相関々係は認められなかった. 以上の成績から進行した合併症を有する糖尿病患者に聴神経及び脳幹に潜在的な機能障害が存在することが示唆された.
  • 三家 登喜夫, 里神 永一, 曽和 亮一, 栗山 茂司, 岡井 一彦, 森田 一, 坂本 健一, 近藤 溪, 南條 輝志男, 宮村 敬
    1985 年 28 巻 6 号 p. 713-719
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Glucagon 1mg静注負荷 (glucagon test) 時の血漿C-peptide (CPR) 反応における5分値と前値との差すなわちΔCPR5'値の意義を, 糖尿病 (DM) の治療上問題となるinsulin依存度 (insulin治療の必要性) との関連において検討した.
    ΔCPR5'値 (ng/ml) は, 健常者では4.22±0.84 (M±SE), 安定したcontrol状態にある外来通院DM患者では, I型DM (n=7) 0.23±0.08, II型DMのうちinsulin治療群 (n=29) 0.58±0.10, SU剤治療群 (n=34) 1.49±0.12, 食事療法群 (n=58) 1.69±0.12であり, I型DMやII型DMのinsulin治療群では, SU剤治療群や食事療法群に比し有意な低値であった. ΔCPR5'値は, I型DM患者では全員0.5以下であり, II型DMでinsulin治療患者29名中21名 (72%) は0.7以下であった. またΔCPR5'直が0.8を越えるとinsulin治療患者の頻度が激減していた. controlを乱しinsulin治療を目的に入院したDM患者 (n=17) において, 入院時におけるOGTT時のΣ ΔCPR120'値や, 24時間尿CPR排泄量では, 後日insulin治療より離脱できた “イ脱群” と離脱不可能であった “イ続群” とを区別することはできなかったのに対し, 入院時のglucagon testにおけるΔCPRr5'値は, イ脱群 (n=8) 1.79±0.38, イ続群 (n=9) 0.52±0.08と, 明らかに (p=0.001) イ脱群の方が高値であった.
    以上より, gluragon test時のΔCPR5'値はDM患者におけるinsulin依存度判定の指標として有用であり, ΔCPR5'値O.7ng/ml以下が, insulin治療必要性の目安となりうることが示唆された.
  • 竹越 忠美, 羽場 利博, 竹下 治生, 嵯峨 孝, 平井 淳一, 得田 与夫, 北島 耕作, 馬渕 宏
    1985 年 28 巻 6 号 p. 721-728
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病治療前後におけるリポ蛋白およびアポCとEのイソ蛋白を測定し以下の成績を得た.
    (1) 糖尿病患者 (DM群) では健常群 (C群) に比してTC, chol. rich VLDL, IDL-C, LDL-Cなどatherogenicなリポ蛋白の増加が認められた.
    (2) アポCIIはN群とDM群で有意差はなかったがアポCII, CII/CIIIとVLDL-TG間には有意の正相関 (それぞれr=0.433, r=0.461, P<0.01) が認められた.
    (3) アポCIIIのイソ蛋白の内未治療DM群ではCIII-0の有意の低下とCIII-2, CIII-2/CIII-1の上昇傾向が認められDM群ではアポCIIIのシアル化が促進している可能性が示唆された.
    (4) アポのイソ蛋白の内アポE3は未治療DM群では低値でありアポE2/E3比は高値の傾向にあった. アホE2/E3比とVLDL-TC/TG, CIII-2/CIII-1の間には有意の正相関 (それぞれr=0.396, r=0.342, p<0.05) を認め, 治療後は一部の経口剤投与例を除いてE2/E3比, CIII-2/CIII-1は低下した. ノイラミニダーゼ処理前後の検討から未治療糖尿病患者ではアポCのみならずアポEもシアル化の促進を示唆する成績が得られ, これらアホ蛋白の変化が糖尿病におけるレムナントの増加に一部関与しているものと考えられた.
  • 洪 尚樹, 堀田 饒, 角田 博信, 亀井 泉, 木村 雅夫, 深沢 英雄, 坂本 信夫
    1985 年 28 巻 6 号 p. 729-737
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脱水の顕菩な重篤糖尿病状態では, 脱水に関連してvasopressinが上昇することはよく知られているものの, その代謝異常への関与についてはあまり知られていない. 我々はvasopressinの肝に対する直接作用について, ラット摘出肝灌流実験手技を用い検討を加えてみた.
    24時間絶食の正常またはSTZ-DMラットを用い, 10mM alanine存在下でVasopressinとglucagon, insulinを適宜組み合わせて, 既報どおりの実験手技で150分間にわたり摘出肝灌流実験を行い, 経時的に灌流液を採取し諸メタボライトにつき酵素法にて測定した. 正常あるいは糖尿病状態を問わず, 0.8mU/mlvasopressinはalanine存在下でgluconcogenesisに対し直接の効果を示し, 肝糖放出を亢進せしめ, その効果は2.86×10-5M glucagonのそれにほぼ等しかった. このVasopressinにより亢進した肝糖放出は生理的濃度のinsulin 100μU/mlにより強く抑制された. また, vasopressinはketogenesisをも顕著に亢進せしめたが, この効果はacetoacctate, β-hydroxybutyrateのいずれにも認められ, 糖尿病状態でより顕著であった.
    以上我々の成績より, ケト・アシドーシスのごとき重篤糖尿病状態では, vasopressinがその代謝異常悪化の一因を担っていることが強く示唆された.
  • 櫻田 幹夫, 及川 登, 今井 信行, 依田 敏行, 豊田 隆謙, 後藤 由夫, 阿部 祐五, 菊池 宏明
    1985 年 28 巻 6 号 p. 739-745
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性自律神経障害の1つに胃排出運動障害があるが, この検査法として胃管法, アイソトープ法等が用いられているが, 日常臨床上さまざまな点で問題がある. われわれは, 超音波診断装置を用いる簡便な胃排出機能検査法 (Ultrasonic method以下US法と略す) を考案し, アイソトープ法との比較および糖尿病患者の胃排出能につき検討した. すなわちUS法は水2段階摂取による方法で, 99mTc sulfhr colloidを含む生理食塩水 (8例) および水 (5例) 500mlを用いて, US法とアイソトープ法を同時施行し2者の相関性について検討した. さらに種々の合併症を有する糖尿病患者 (55例) につき, 自律神経機能として心拍変動検査を指標として胃排出機能を検討した. US法とアイソトープ法は, 生理食塩水でr=0.977 (p0.001) 水でr=0.915 (p.0.05) で有意の正相関を認めた. また, 胃排出時間と深呼吸時心拍変動障害度 (副交感神経障害) はr=0.564 (P.0.001), 起立時心拍変動障害度 (交感神経障害) はr=0.370 (P.0.01) でそれぞれ行意の正相関を示した. 健常者の胃排出時間は, 18.1±2.2分に対し, 副交感神経障害群は22.2±5.5分, 交感・副交感両神経障害群は24.2±3.5分, 自律神経障害のない群は16.5±2.9分と糖尿病者の胃排出能は, 初期に亢進し神経障害の進展とともに遅延した. US法による胃排出機能検査は, 簡便で被検者への負担が少なく頻回に行えることなどから, 日常臨床上有用な検査法であった.
  • 穴沢 園子, 北村 信一, 松岡 健平, 岡崎 怜子, 田中 剛二, 堀内 光
    1985 年 28 巻 6 号 p. 747-753
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    妊娠糖尿病として取り上げるべき耐糖能異常の基準にっいて検討するため, 妊娠中に経口糖負荷試験 (以下OGTTと略す) を実施し, 分娩後も長期追跡できた118例を用いて, 妊娠中の耐糖能の程度を日本糖尿病学会の75g OGTT判定区分で分類し, 各区分ごとに, 周産期死亡, 巨大児, 新生児合併症, 奇形, 妊娠合併症などの産科的異常の頻度および分娩後の耐糖能の推移を調査した.
    (1) 妊娠中のOGTTの境界型中, WHOのimpaired glucose tolerance (以下IGTと略す) に相当するものは妊娠, 分娩および児の異常の頻度が正常型や他の境界型より高い傾向が見られるので, 糖尿病妊婦に準じて妊婦管理をする必要がある. 妊娠中, 糖尿病型を呈するものは, 既存糖尿病患者の妊娠, 分娩より, 奇形以外の合併症が多いので特に厳重な管理を必要とする.
    (2) 妊娠中のOGTTの判定区分が糖尿病型および境界型の中でもWHOのIGTに相当する症例は, IGT以外の境界型やIK常型に比べて, 分娩3~5年後にIGTあるいは糖尿病型を示すものが明らかに多かった.
    3 妊娠糖尿病の基準は現在未だ確立されていないが, 私どもの成績からみると, ハイリスク妊娠および早期糖尿病の2面から考えて, 日本糖尿病学会のGTT判定区分の境界型中, IGTに相当するものから妊娠糖尿病として取り扱い, 妊娠, 分娩および分娩後にわたり慎重に観察を続けて行くのがよいと考える.
  • 岩間 令道, 野村 誠, 向井 光佐子, 久保田 稔, 斎藤 雄二, 河盛 隆造, 七里 元亮, 阿部 裕
    1985 年 28 巻 6 号 p. 755-760
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    遮光, 37℃の条件下において, 現在人手可能な5種類の速効性インスリン製剤を7日間にわたり水平振盪 (130cpm) し, その物理的安定性を, 1) 混濁度 (波長540nmにおける%透過度), 2) 免疫学的活性, 3) 生物学的活性, 4) 形態学的変化, の面より経時的に検討した.
    その結果, 5製剤中4製剤において, 振盪開始後早期より%透過度, 免疫学的活性, 生物学的活性の著明な低下を認めた. また, 走査電顕微鏡による検討より, インスリン結晶と明らかに異なったインスリン凝集体が出現することを認めた. 一方, 残りの1製剤では, 振盪中7日間に,%透過度, 免疫学的活性の有意な低下を認めなかったが, 軽度の生物学的活性の低下およびインスリン凝集体の出現を7日目に認めた.
    以上の成績は, 本邦において人手可能な速効性インスリン製剤はin vitroでの, 37℃, 水平振盪という物理的刺激に対して不安定であり, insulin infusion systemにおいて使用する際には早期よりインスリン凝集現象の出現に対する厳重な注意が必要であることを示唆した. 今後, 種々の添加剤の検討あるいはインスリン自体の修飾等により, より安定したインスリン製剤の開発が急務であると考えられた.
  • 佐々木 陽, 松宮 和人, 荒尾 雅代, 堀内 成人, 長谷川 恭一, 上原 ます子
    1985 年 28 巻 6 号 p. 761-767
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    健康診断においてIRI検査を受けた糖代謝正常型および境界型のもの165名を平均6.5年間追跡し, 追跡開始時点におけるインスリン反応およびその他の因子と糖尿病への悪化との関係について検討した.
    1) Insnlin Area (IA) は血糖2時間値≧40mg/dl, WHO基準IGT, 肥満者, 男に高く, 糖尿病の家族歴のあるものに低い. 一方, insulinogenic index 30分値 (II) は2時間値≧140mg/dl, IGT, 家族歴のあるもの, 女に高かった.
    2) 糖尿病型への悪化率は全体で8.5%, 血糖2時間値, 家族歴, 肥満と有意の関係が認められた.
    3) インスリン反応との関係は, IIが低下するほど糖尿病型への悪化率が高くなるが, IAとは関係しなかった. また, II<0.5とII>0.5の2群に分けて各因子との関係をみると, 血糖2時間値の高いもの, 肥満者はIIが高くても悪化率が高くなる傾向を示した.
    4) 生命表方式による10年間の累積悪化率をみると, II≧0.5群の11.4%に対して, II<0.5群では22.4%に達した.
    以上の結果, 正常型および境界型から糖尿病型への悪化にはインスリンの初期分泌の低下が強く影響するが, インスリン分泌量とは関係しないことが明らかとなった, また, 家族歴はIIの低下と関連した危険因子であり, 一方糖代謝異常, 肥満はインスリン反応とは独立した危険因子であることが示唆された.
  • 高梨 美乃子, 高橋 良当, 三原 俊彦, 平田 幸正
    1985 年 28 巻 6 号 p. 769-774
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肥満と糖尿病家族歴を有するダウン症児に糖尿病性ケトアシドーシスを発症した症例を報告した.
    症例は14歳の男子で, 身体所見として, +40%の肥満と小奇形, 意識障害, 血圧低下, 頻脈を認め, 検査所見では, 尿糖・尿ケトン体 (2+), 高血糖, 代謝性アシドーシスを示した. 補液とインスリン療法を行い, 第34病日以降は食事療法のみで血糖コントロール可能となった. 膵島に対する自己抗体, ウイルス抗体価の上昇等は認められず, 染色体検査では, 46, XY/47, XY+21のモザイクを示した.
    ダウン症候群と糖尿病の関連について, 直接の原因は証明されていない. 欧米の統計によるとダウン症候群の糖尿病有病率は一般人日に比して有意に高く, 合併例の半数で糖尿病家族歴が陽性であった. わが国の報告例は極めて少なく, いずれも肥満か糖尿病家族歴を有するものであり, 十分な疫学的調査が望まれる
  • 有正 修道, 和田 明, 古田 嘉男, 金谷 経律, 原野 昭雄, 原野 恵子
    1985 年 28 巻 6 号 p. 775-778
    発行日: 1985/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィーによるHbA1c測定の際に, 偶然その分画に一致する異常ヘモグロビン, Hb Okayama [β2 (NA2) His→Gln] の干渉により, HbA1c測定値が43.7%と異常高値を示したインスリン非依存型糖尿病の1例を経験した. β2のHis+は, 2, 3-DPG結合部位である正電荷のクラスター構成要素の1つであるため, His+がGlnに置換することは2, 3-DPGのヘモグロビンへの結合に対して阻害的に作用する可能性があり, 本症例においても血液の酸素親和性の軽度の上昇が見られた.しかし臨床的には特に症状は認められなかった.
    血中グリコヘモグロビン濃度は, 異常ヘモグロビンのみならず, その他の種々の要因により干渉をうけて高値を示す場合があるので, グリコヘモグロビン濃度の測定値を検討する際に注意する必要がある.
feedback
Top