糖尿病
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29 巻 , 4 号
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  • 工藤 幹彦, 石戸 浩之, 熊坂 義裕, 中畑 久, 武部 和夫
    1986 年 29 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病者のライソゾーム酵素の逸脱を細胞膜透過性の1つの指標と考え, collagen分解酵素であるclastaseを合成基質saccinyl-(L-alaninc) 3-p-nitroanilideを用い測定し, 合併症との関連で分析した. 血清clastase様活性 (elastase-like activity, ELA) 測定: 糖尿病群0.073±0.018/hr (M±SD), 非糖尿病群0.062±0.012/hr糖尿病群に有意に高値であった, 食餌療法群0.068±0.020/hr, 経口剤群0.071±0.014/hr, インスリン群0.080±0.016/hr非糖尿病群と経口剤群, 非糖尿病群とインスリン群に有意差がみられた. 尿蛋白陽性群0.082±0.015/hr, 尿蛋白陰性群0.068±0.017/hrで有意に尿蛋白陽性群に高値を示した.網膜症の有無別, 程度別に分け検討した.網膜症のないもの0.070±0.018/hr, 単純性網膜症0.075±0.018/hr, 増殖性網膜症0.079±0.014/hrであり, 3群間に有意差はなかった. 血清ELAとHbA1cの単相関, 偏相関分析では有意性はなかった. 白血球内ELA測定: 糖尿病群4.68×10-3±1.85×10-3/hr/μg protcin (M±SD), 非糖尿病群5.56±10-3±1.76×10-3/hr/μg proteinであり有意に糖尿病群に低値であった.
    このように糖尿病では血中ELAが高く, 白血球内ELAが低かったことより, 生体組織のelastase活性が低いことが考えられる. 腎糸球体においてelastase活性が低下し, Collagen分解が低下しているとすると, 糸球体基底膜の肥厚, ひいては腎症の発生につながると考えられた.
  • 司馬 清麿, 田中 明, 高木 優美子, 中條 やえ子, 陳 螢村, 宮野 龍美, 若林 哲雄, 杉山 博通, 内村 功, 前澤 秀憲
    1986 年 29 巻 4 号 p. 301-306
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病の血中アポ蛋白代謝の特徴を知るために, 血清アポC-IIとアポEを測定し, 血清脂質とその他の因子との相関を検討し, また健常対照群と比較した.
    II型糖尿病患者男性54名一食事療法群29名, 経口薬療法群12名, インスリン療法群13名一および健常対照群男性54名を対象とした.
    糖尿病群では, アポC-IIとアポEはともに総コレステロール (TC), トリグリセリド (TG) と正相関を示した. アポC-IIとアポEも互いに正相関を示した. 健常群も糖尿病群と同様な正相関を示した.
    糖尿病群のアポC-IIとアポEはいずれも対照群より有意高値であった. しかし, TCとTG両者正常の糖尿病群では, アポC-IIとアポE値は対照群と有意差を示さなかった. TCとTG両者あるいはその一方かが高値である糖尿病群では, アポC-IIとアポEはともに高値であり, 特にTG高値群でアポC-IIとアポEは著高を示した.
    以上より, 糖尿病群における血清アポC-IIとアポE値の上昇は高TG血症, したがってVLDLおよびその中間代謝産物への代謝過程においてなんらかの代謝異常が存在し, アポC-IIとアポE高値の要因と考えられた.
  • 景山 茂, 伊藤 景樹, 大野 誠, 斎藤 茂, 鶴岡 明, 池田 義雄
    1986 年 29 巻 4 号 p. 307-311
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    発症早期のI型糖尿病11例 (年齢13~34歳, 男5例, 女6例) に対して人工膵島を適用した. この成績に基づいて, その後速効型インスリンと中間型インスリンの組み合わせによるインスリン療法を行い, かつ, 全例に血糖自己測定を併用してきめ細かなインスリン量の変更を行って, 厳格な血糖制御を試みた.
    この結果, 11例中4例はインスリン投与量が1日10単位以下の寛解となり, このうち2症例は53か月および11か月を経過してなお寛解状態にある. 11例中3例はインスリン投与量が1日11~20単位の不完全寛解となり, このうち1例は47か月を経過してなお寛解状態にある. 発症から人工膵島適用までの期間は, 寛解4例中3例では2週間以内, 不完全寛解3例中2例では1か月, 非寛解4例ではいずれも2か月以上であった.
    以上の成績から, 1型糖尿病の早期に人工膵島を適用し, それに引き続く強化インスリン療法を行うことにより, 寛解導入率を高め, かつ, 寛解持続期間を延長することが可能であることが示された.
  • 木村 敬子, 小田桐 玲子, 笠原 督, 平田 幸正
    1986 年 29 巻 4 号 p. 313-317
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG) 活性は, 近位尿細管上皮の障害の程度を示すという. 今回, 試験紙法にて尿蛋白陰性の外来通院中のインスリン依存型糖尿病 (IDDM) 24例を対象とし, 9ヵ月間にわたり3ヵ月ごとに血液のHb-A1cと尿中NAG活性を同時に測定した. その結果 (1) 第1回測定時, IDDMと健常者 (n=20) の尿中NAG活性はそれぞれ19.96±5.38, 2.15±1.41 (U/l), NAG指数は12.68±11.27, 3.67±0.97 (U/gCr)(M±S.E.) となり, NAG活性, 指数ともにIDDMでは健常者に比べ有意に高値であった (P<0.001). 空腹時血糖値とHb-A1cの間に有意な相関を認め (r=0.44, P<0.05), またHb-A1cと尿中NAG指数の間に有意な正の相関関係が認められた (r=0.66, P<0.001). (2) IDDM24例についてHb-A1cと尿中NAG指数の3ヵ月ごとの推移をみると, 一定の傾向を示さず平行関係は認められなかった. ただし, 初回測定から9ヵ月後まで常にHb-A1cが7%2以下を示した4例では, NAG指数も9ヵ月目の1例を除き常に正常値に近く推移したことは, IDDMにおけるNAG指数測定の重要性を示すものと考えたい. 以上より, 尿蛋白陰性のIDDM24例における尿中NAG指数は, Hb-A1cと推計学的に相関するといえた. しかし, Hb-A1cの上下の動きの大きい症例についての9ヵ月間のfollow-upでみる限り, 尿中NAG指数とHb-A1cとは必ずしも完全に平行して推移するものとはいえなかった.
  • 小口 修司, 竹下 栄子, 狸塚 隆, 内田 光子, 松本 宏治郎, 加野 象次郎, 入 久巳, 谷山 松雄, 丸山 博
    1986 年 29 巻 4 号 p. 319-329
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン自己免疫症候群6例に出現した抗インスリン抗体 (自己抗体) の性状を, インスリン治療糖尿病患者13例のもの (異種抗体) と比較した.
    自己抗体の免疫グロブリンのクラス, タイプは, 2例がIgG, kappa型のみ, 3例がIgG, kappa型優位, 1例がIgG, lambda型優位であった. Scatchard plotsにより得られたブタインスリンに対する結合親和性は両群とも2相性を呈した. IgG, kappa型優位の自己抗体のグロブリン画分のhigh affiity siteの親和定数は, ブタ, ウシ, 半合成ヒト, ヒト膵抽出インスリン間で差がみられず, しかも異種抗体に比し低値であった. IgG, kappa型優位の自己抗体2例のIgG (kappa) およびIgG (lambda) 画分のブタインスリンに対する結合親和性は, グロブリン画分のものと変わらなかったが, 異種抗体では画分により異なる親和性を示した. また, IgG, lambda型優位の自己抗体では, IgG (lambda) 画分の大部分がhigh affinity siteに, IgG (kappa) 画分がlow affinity sitcに由来していた. 解離速度定数に関しては, 自己抗体, 異種抗体および各画分の間に有意な差はみられなかった.
    以上の結果より, 自己抗体においても, 免疫グロブリン・クラス, タイプ, 結合親和性にheterogeneityの存在することが明らかとなった.
  • 佐藤 祐造, 早水 サヨ子, 白石 三思郎, 坂本 信夫, 山之内 国男
    1986 年 29 巻 4 号 p. 331-337
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    運動療法の長期効果に検索を加える目的でeuglycemic insulin clamp法を用いて, 肥満糖尿病者および単純性肥満者のトレーニング前後におけるインスリン感受性の変動に検討を加えた.
    対象は肥満糖尿病患者5例 (肥満度: 136.8±5.8%), 単純性肥満者7例 (144.4±7.0%), 鍛練者10名 (95.4±1.4%) および健常非肥満対照者18名 (94.9±1.8%) である. この中, 肥満糖尿病者および単純性肥満者各4例, 合計8例には4~8週間, 1,000~1,600kcalに食事制限の上, 1日ジョギング2km走または, 最低1万歩の歩行を行わせ, トレーニング前 (pre), 後 (post) で比較した.
    肥満糖尿病者, 肥満者のグルコース代謝量 (M) はそれぞれ, 3.67±0.33, 3.01±0.21mg/kg/minといずれも対照群の7.46±0.22mg/kg/minより有意に (p<0.001) 低値であり, 一方鍛練者のMは11.63±0.65mg/kg/minと対照群に比して有意に (p<0.001) 大であった. Mと肥満度との間にはr=-03.883と有意の (p<0.001) 負の相関関係が認められた. 血糖値差の影響を除いたMCRでも同様の成績が得られた. トレーニングにより肥満者の体重は6.1±1.2kg減量し (p<0.005), Mはpreの3.17±0.20がpostには4.00±0.35mg/kg/minと約26%増加した (p<0.05). MCRもpreの2.70±0.31がpostには4.20±0.55ml/kg/minと約56%増加した (p<0.01).
    以上の事実は適切な食事療法に加えて運動療法の長期実施を行えば肥満糖尿病者, 肥満者で低下しているインスリン感受性が改善することを裏付けている.
  • 天野 和彦, 横野 浩一, 播 穣治, 八十 新治, 米澤 一仁, 志伊 光瑞, 今村 諒道, 馬場 茂明, 大柳 善彦
    1986 年 29 巻 4 号 p. 339-345
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Alloxan糖尿病やI型糖尿病の発症機構に活性酸素の関与が指摘され, 特にsuperoxidc radical (O2-) をscavengeする酵素であるsuperoxidc dismutasc (SOD) の糖尿病発症における重要性が示唆されるようになった. そこで, I型糖尿病のモデル動物であり, 膵ラ島炎 (insulitis) や膵ラ島に対する自己抗体の存在するNODマウスの赤血球内SOD活性と, islet cell surface antibody (ICSA) 力価を経時的に測定し, SODのI型糖尿病発症における病因論的意義について検討を加えた.
    今回, 赤血球内SOD活性の測定に用いたNitritc法は, 従来のcytochrome法に比して約10倍の感度を有し, その回収率, 再現性とも良好であった. この方法にて測定したNODマウスのSOD活性は対照のICRマウスに比して, 常に高値を示し, 6週齢において最も高い活性, 8,328±760U/mgproteinを, 8週齢において最低の活性, 6,579±670U/mg protenをおのおの示した. ICSA力価の測定は, ハムスターインスリノーマ細胞 (In-111 cell) を抗原に用いたProtein A radioligand assayにて行った. その結果, 7週齢と11週齢に高値を示し, その後, 加齢に伴い減少した. NODマウスにおける赤血球内SOD活性とICSAの動きを比較してみると, 6~9週齢でSOD活性が急激な変動を示したのに遅れて, 11週齢にICSA力価が高値を示した.
    以上より, NODマウスにおいては膵ラ島炎が出現する時期に赤血球内SOD活性が急激に減少し, 次いでICSAが高値を示した. SOD活性の変動は, superoxide radicalの動きを反映していることより, I型糖尿病の発症に活性酸素のひとつであるsuperoxidc radicalがなんらかの影響を及ぼしている可能性が示唆された.
  • 鶴岡 明, 松葉 育郎, 森 豊, 佐々木 温子, 山田 治男, 種瀬 富男, 池田 義雄
    1986 年 29 巻 4 号 p. 347-351
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    膵島細胞膜抗体 (Islet cell surface antibodies: 以下ICSAと略す) を, より簡便に検出できるマイクロプレートを使用した間接螢光抗体法を開発した. この新しい方法を従来の方法 (Tube法) と比較し, その再現性について検討した. 抗原側細胞として, ヒト膵島B細胞株 (JHPI-1) の単層培養系を用いた. JHPI-1を96穴マイクロプレートにて使用前16~48時間培養し, 単層培養系を作製する. これに4倍希釈された血清を入れ, 37℃1時間インキュベート後, 20倍希釈したFITC標識抗ヒト家兎血清を加えた. 洗浄後, 落射型螢光装置付き倒立顕微鏡にてICSAを検出した. この方法は従来の浮遊細胞を用いるLernmarkの原法に準じたICSAの検出の結果との比較にて, 両者の問には, 良好な相関を認めた (P<0.01). また, この方法における検出者間およびアッセイ間における再現性は極めて良好であった (P<0.01).
    なお本法によるIDDM患老101名中のICSA陽性者は39名に認められ, その出現率は38.6%であった. この方法は, 検体を大量に処理できるところから, ICSAのスクリーニング検査としても有用と考えられる.
  • 佐々木 嵩, 中川 昌一
    1986 年 29 巻 4 号 p. 353-359
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    モノコンポーネント半合成ヒトインスリン (SHI) と精製ブタインスリン (PPI) を原料としたActrapid, NPH, Monotard製剤注射後の皮下からの吸収を初回インスリン治療患者36名で比較検討した.
    1) Actrapidインスリン8単位注射後の血中IRI上昇にはSHIとPPIで大差はなく, 注射後2時間が頂値となった. この時の血糖降下は両インスリンでほぼ差はないが, 3時間ではSHIがPPIより大きかった (p<0.01). インスリン12単位では注射後30分, 1時間の血中IRIおよびその前値からの増加分 (ΔIRI) または4時間までのΣΔIRIでみてもPPIよりSHIが大きかった (p<0.05). それに伴って注射後1時間から4時間までの各時点の血糖値もSHIで低かった (p<0.05).
    2) NPHインスリン注射後の日内血糖変動と血中IRIの推移にはSHIとPPIで差はなかった.
    3) Monotardインスリン注射では注射直後の血中IRIの立ち上りはSHIで早く, PPIはむしろ昼食後と夕食前で頂値となった (p<0.05). しかし日内血糖変動には両インスリンで差を認めなかった.
    以上の成績よりSHIの皮下からの吸収率は, 中間型インスリンではブタインスリンと等しく, 速効型では速く, 血糖降下も大きかった. ヒトインスリンとブタインスリンとでは製剤型によってbioavailabilityがやや異なることが示唆された.
  • 森 豊, 須甲 松信, 横山 淳一, 松葉 育郎, 鶴岡 明, 佐々木 温子, 野村 幸史, 信田 隆夫, 奥平 博一, 西村 正彦, 種瀬 ...
    1986 年 29 巻 4 号 p. 361-367
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    I型糖尿病自然発症モデルであるNODマウス (non-obese diabetic mouse) に対し生後30日, 60日より免疫抑制剤サイクロスポリン (Cs) 25, 15, 2.5mg/kgを隔日に生後160日まで経口投与し予防効果を検討した. 非投与群は生後160日において18匹中12匹 (67%2) が糖尿病を発症した. 病理組織像では著明な膵リンパ球浸潤に伴う膵ラ氏島の破壊が認められ膵インスリン含量も糖尿病発症マウスにおいて著明に低下していた. これに対しCs投与群は生後16o日においても血糖の上昇は認められず, また膵リンパ球浸潤もほとんど観察されなかった. さらに生後160日において一部のCs投与群マウスに対し休薬実験を行ったところ生後280日まで経過を追うも糖尿病の発症を認めなかった. 次に耐糖能障害出現後のマウスに対しCs 25mg/kgを隔日に35日間投与し治療効果を検討した. 10匹中8匹 (80%2) のマウスに血糖値の上昇と耐糖能障害の悪化を認めた.
    以上の結果よりCsはNODマウスにおける明らかな糖尿病発症予防効果を示したが, 耐糖能障害出現後のマウスに対する治療効果は認められないことを明らかにした.
  • 森川 節子, 石戸 宏之, 宗像 博美, 平塚 任
    1986 年 29 巻 4 号 p. 369-373
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病の血糖コントロールに伴って一過性の遠視化の認められた2症例について報告する. 症例1は糖尿病罹病5年の53歳男性で, 入院して, 食事療法と運動療法を開始したところ, 入院後1週間程して眼鏡の合わないことに気づき, 当眼科を受診した. 入院17日目の屈折検査では持参の眼鏡の度数より右3.5D, 左3.75Dの遠視化が認められた. 症例2は糖尿病罹病3年の56歳女性で, 入院して3日ほどして眼鏡の合わないことに気づいた. 入院18日目の屈折検査では持参の眼鏡より右2.0D, 左1.75Dの遠視化が認められた. 2症例とも, 遠視化は徐々に改善され, 退院後の屈折検査では, 持参の眼鏡の度数に近い屈折力となった.
    血糖コントロールに伴い遠視化し, その遠視化が改善される機序について, 文献的に考察を加えた.
  • 1986 年 29 巻 4 号 p. 375-388
    発行日: 1986/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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