IDDM患者の微少な膵B細胞機能を評価するために, 高感度CPR測定法を確立し, 本測定法を用いてIDDM患者21名のグルカゴン刺激試験時のCPR反応を検索した.
高感度CPR測定法: 被検血清3m
lを倍量のエタノールで抽出, 蒸発乾固した後に, 10分の1量のassay bufferに再融解, さらにTrichlorotrifluoroethane0.5m
lを加えて遠心分離し, 得られた水溶層0.1m
lをradioimmunoassayに用いた.本測定法の最小検出濃度は0.03ng/m
l, intra-およびinterassayの変動係数は, それぞれ, 5.4, 9.4%であった.
高感度測定の結果, IDDM患者21名のうち12名にはグルカゴン刺激に対し明らかなCPR反応が認められ (前値: 0.24±0.16, 頂値0.47±0.20ng/m
l), 9名にはCPR反応は認められなかった (前値0.09±0.05, 頂値0.09±0.06ng/m
l).これら2群の臨床的特徴のうち, ヘモグロビンAlcと血糖コントロール不安定性の指標である10個の空腹時血糖値の標準偏差は後者で有意に高値であった (それぞれ, p<0.05, p<0.01).さらに, グルカゴン刺激試験時のCPR反応面積と空腹時血糖の標準偏差との間には有意の相関が認められた (r=-0.84, p<0.001).
これらの成績から, 現行のCPR測定法では残存B細胞機能がないとされる症例の中にも微少なB細胞機能の存在することが明らかとなり, それが血糖コントロールの安定化に寄与しているであろうことが推測された.
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