糖尿病性腎症 (以下, 腎症と略す) において尿へfibronectin degradation products (以下, Fn DPと略す) が排泄されるか否かを明らかにするため, 高度な蛋白尿を有する糖尿病4例を対象に, gelatinを用い尿と血漿よりfibronectinを分離, さらに, 5%SDS-Polyacrylnide gel elctrophoresisによりその分子1量を推定した. 次に, 腎症の進展と尿Fn DP排泄率との関係を調べる目的で糖尿病64例, 健常者11例を対8象に, 24時間尿Fn DP排泄率と尿蛋白ならびに他の腎機能検査成績との関連を検討した. それらの結果, 1腎症の尿に分子量19×10
3から80×10
3のFn DPを証明し得たが血中には認められなかった. 蛋白尿が高度になるにつれ尿Fn DP排泄率は増加した (r=0.65, P<0.001), 尿Fn DPと尿β
2-microglobuln, 血清creatinine, 血清β
2-microglobulnなどとは正の相関, 血清albuminとは負の相関関係にあった.
以上より, 糖尿病者の尿へFn DPが排泄されることが明らかになり, その排泄率は腎症の進展と密接な関係にあると考えられた.
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