Sleep apnea syndrome (SAS) 28例について75gOGTTとIRI反応を検討したところ, 11例が糖尿病型, 10例が境界型を示し, 7例のみが正常型で, SASでは正常型が少ないことが明らかとなった.境界型GTTを示すSASでは, 7590GTT60分, 120分のDRI値が正常型のGTTを示すSASより高く, GTTの30, 60,120分における血糖値は正常型の血糖値より有意に高いので, 何らかのインスリン抵抗性の存在が示唆された.SAS28例の臨床的特徴と自律神経機能との関連を検討し, 以下の成績が得られた.また, 糖尿病と典型的なSASの合併例を呈示した.
1) 安静時の心電図のR-R間隔の変動係数 (CV), Schellong test, 1日尿中のadrenalin, noradrenalin値およびSASの重症度を示すapnea numberはGTTでの糖尿病, 境界, 正常型の3グループ間で差はなかった.Schellong testは3例を除いて正常であったものの, SASではCVが2・0以下を示す症例が28例中11例にみられた.
2) 糖尿病とSASの合併例11例の臨床的特徴として, すべてNIDDMで比較的軽症な糖尿病例であり, 自律神経障害の程度も軽いことが示された.従って, 糖尿病による重症の自律神経障害によってSASが生ずる可能性は我々のケースでは否定された.SASではGTTで異常を示す頻度が高く, 糖尿病とSASが密接に関連することが示唆された.
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