糖尿病におけるβ-エンドルフィン様免疫活性 (以下β-EpLIと略す) の分泌動態を明らかにする目的で, ストレプトゾトシン (以下STZと略す) 30mg/kgあるいは60mg/kg投与により糖尿病ラットを作成し, 門脈血漿および組織中インスリンおよびβ-EpLI濃度を測定した.
STZ 30mg/kgおよび60mg/kg投与群の門脈血漿インスリン濃度は, 対照群に比べて有意の低下を示した.門脈血漿β-EpLI濃度は, 両群ともに対照群に比べて有意の増加を示した.
膵組織中のインスリン濃度は, 両群ともに対照群に比べて有意に低値を示したが, 膵組織中β-EpLI濃度は有意の増加を示した.しかし, STZ 30mg/kgおよび60mg/kg投与群の下垂体組織中のβ-EpLI濃度は対照群に比べてほとんど変化を示さなかった.一方, インスリン処置群の門脈血漿β-EpLI濃度および膵組織中のβ-EpLI濃度は, ST名30mg/kgおよび60mg/kg投与群ともに対照群とほとんど差を示さなかった.
以上の成績から, STZ糖尿病ラットにおける門脈血漿β-EpLIの増加の一部は膵に由来すると考えられた.また, STZ糖尿病ラットにレンテインスリンを連日投与した群の門脈血漿β-EpLI濃度が対照群のそれと近似した値を示したことから, STZ糖尿病ラットにおける門脈血漿β-EpLI増加は, インスリン作用の不足に基づく二次的現象であると考えられた.
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