外来通院でのカロリー制限という食事療法のみで達成された体重減少の動脈硬化危険因子に与える影響を, 中年の男性肥満において検討した. Body mass indexは26.5±1.0から23.4±0.6kg/m
2へと, 血圧も154±7/99±6から125±4/82±3mmHgへと低下した. LDL-脂質は変化しなかったが, VLDL-コレステロール (C) は42%, TGは46%, 燐脂質は38%減少した. これらの変化に伴ってアポBは17%, アポCIIは17%, アポCIIIは21%, アポEは28%減少した.一方, HDL-Cは18%, 燐脂質は12%増加した. HDL亜分画の検討ではHDL3-Cが有意に増加した.アポAIとAII, LDL-C/HDL-Cは有意の変化を示さなかったが, アポB/アポAIは0.88±0.08から0.72±0.06へと減少した. 同時に, 経口ブドウ糖負荷後の血糖とインスリンも低下した. 以上, 食事療法のみで達成された体重減少は, 中年男性の肥満において動脈硬化に対する種々の危険因子を有効に改善した.
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