歳以下発症IDDM32例を対象に, どの様な因子が, 発症後の残存膵B細胞機能傷害に関連するかについて, OGTT時の血中Cペプチドの最高値と基礎値の差 (ΔCPRmax) を指標として, 重回帰分析にて検討した.32例の男女比は, 11/21, 平均発症年齢 (Mean±SE) は, 17.4±0.9歳, 平均罹病期間 (Mean±SE) は, 3.4±0.4年であった.膵B細胞機能に影響を与える可能性のある変数としては, 性, 糖尿病の家族歴, HLA, 発症年齢, 罹病期間, ICA, 発症形式, 肥満歴, 季節性, 血糖コントロール状態を選んだ.重回帰分析の結果, 回帰モデルは有意で (P=0.018), 取り込まれた変数は, 季節性, 発症年齢, ICA, HLADR4, 家族歴であり, IDDM発症後の膵B細胞機能の残存性は, 以上5つの変数の影響を受けている可能性を示唆した.これよりこれらの因子は今後, IDDMの成因の解明, 治療を行っていく上で考慮せねばならない因子と考えられた.
抄録全体を表示