糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
33 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 花房 俊昭
    1990 年 33 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 陳旧性心筋梗塞症における検討
    小川 明男
    1990 年 33 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    BWが+10%以下で正常血糖曲線を示す, 60歳以上の陳旧性心筋梗塞症 (MI) 患者14例および健常者16例 (N群) を対象に, 虚血性心疾患に伴う高インスリン血症の成因を検討した.759 OGTTのΣIRIは, MI患者のうち6例 (MI-H群) で200μU/ml以上の高インスリン反応を示した.glucose clamp時のinsulin clearance rate (MCR-I) は, MI-H群とN群およびΣIRIが200μU/ml以下のMI患者群 (MI-C群) 間に差はなく, MI-H群に伴う高インスリン反応は, インスリン分泌のk亢進によることが推測された.glucose disposal rate (GDR) は, MI-H群で他の2群と比べ, 最大反応量の低下を認めた.一方, 用量反応曲線の右方移動および赤血球インスリン受容体の障害はなく, インスリンと受容体との結合後の過程に障害のあることが示唆された.また, MI患者のGDRは, 体脂肪率と有意な負の相関関係を認めた.一方, MI-C群とN群間には, MCR-I, GDR, 赤血球インスリン受容体数および結合親和性に差はなかった.
  • 酸素障害の腎症, 動脈硬化症への関与の可能性
    土橋 一重
    1990 年 33 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ストレプトゾトシン糖尿病ラットの肝, 腎, 心筋骨格筋の抗酸化酵素と組織中, 血中の過酸化脂質を検討した.インスリン非投与糖尿病ラットでは, ミトコンドリアの好気性代謝は, 肝と腎で活性化し, 骨格筋では低下していた.ミトコンドリアのスーパーオキシドジスムターゼ (SOD) も, 腎以外ではこれと平行して変動した.細胞質のSODは, 肝と腎で低下した.グルタチオンペルオキシダーゼは, 全組織で高値または高値傾向であり, カタラーゼは, 肝と腎で低下し, 心筋と骨格筋で増加した.過酸化脂質は, 腎と血中でのみ著増し, 酸化的ストレスの増加を示唆していた.糖尿病の腎では, ミトコンドリアの活性酸素産生増加に対してSODの反応性増加がないために過酸化障害が生じ, 腎症の進展に関与する可能性がある.血中過酸化脂質は, 血管内皮細胞に障害性を有するが, 糖尿病ラットにおける血中レベルの上昇は, 動脈硬化を促進する一つの因子と考えられる.
  • 調査方法とその問題点
    田嶼 尚子, 北川 照男, DERI研究班
    1990 年 33 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    全国的な糖尿病患者登録制のない日本で追跡率95%以上の疫学調査を行うためにどのような方法を用いたかを報告する.追跡の対象は, 全国調査 (1970年, 1981年) で集計された18歳未満発症IDDM1428名 (1965~1979年の診断) で, これら症例の1985年1月1日現在の生存状況を, 1) 主治医に対する調査用紙の郵送, 2) 家族や本人に対する電話による調査, 3) 住民票の照会, 4) サマーキャンプ参加者リストの照会, により追跡した.医療機関を通しての追跡率は調査開始5カ月後には45%だったがその後の電話やはがきによる再依頼によって83%まで上昇した.最終追跡率は97.6%で, 地域別, 診断年代別追跡率に差はなかった.追跡率の高い, 信頼のおける糖尿病の疫学研究を行うためには, 診療録及び住民票の保存義務期間 (5年) 以内の間隔で調査を行うこと, 及び患者の性, 年齢, 住所, ことに本籍を診療録に正確に記載することが大切である.
  • 浅野 喬, 二田 哲博, 漢 幸太郎, 蛯原 幸義, 新ケ江 登美夫, 山本 登士, 奥村 恂
    1990 年 33 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    健常者7例にIVGTTを施行し, 反応した血中insulinの肝uptakeをthree compartment (cmpt) モデルを用いて算出した.IVGTTによるprehepatic iusulin secretiOnは, あらかじめ末梢血中C-peptide濃度より算出され, 同時に測定した血中insulin濃度と共に, three cmptモデルへ代入し, hepatic insulin extraction (HE1) を算出した.three cmptモデルのparameter K2~K, は, 各々の症例にmonocomponent insulin注入により求めた.次に同一症例について, 末梢血中insulin濃度よりtwo cmptモデルを用いて, post-hepaticsecretionより差引いてHE2を求めた.three cmptモデルにより求めたHE1は, 3分1.85min-1 (50%), 5分1.28±0.09 (59±4%) であり, 5分以降はほぼ一定のrateを示した.一方, two cmptモデルにより算出された% extractionは, 3分から30分まで, three cmptモデルからの値と比べると, 有意の低下を示した.
    three cmptモデルを用いて, insulinの肝における消費率を経時的に観察することが出来た.
  • 丸山 太郎, 浅葉 義明, 池本 久美子, 馬場 良子, 福沢 素子, 武井 泉, 鈴木 裕也, 片岡 邦三
    1990 年 33 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    抗インスリン自己抗体 (IAA) の意義を明らかにする目的でIDDM患者近親者, 自己免疫甲状腺疾患患者のIAAを測定し, 膵島細胞膜抗体 (ICSA), 抗マイクロゾーム抗体 (McAb), 抗サイログロブリン抗体 (TgAb), 75g-OGTT, HLA, メチマゾール服用歴との関係を調べた.IAAはIDDM患者近親者32名中5名 (16%), バセドウ病患者64名中9名 (14%), 橋本病患者103名中8名 (8%) に認められた.IDDM近親者ではIAAとICSA, McAb, TgAb, 耐糖能障害の有無, HLAとの間に相関を認めなかった.バセドウ病患者ではメチマゾール服用歴を有するものに高率に認められる傾向があった.橋本病患者ではMcAbが25,600倍以上の例で6,400倍以下の例に比べ有意に高率に認められた (x2=6.45, P<0.05).IAAは必ずしも膵島障害を示す指標とはいえず, その意義を明らかにするためにはさらに検討が必要と考えられた.
  • 山内 俊一, 赤沼 安夫, 豊田 隆謙, 葛谷 健, 河合 忠, 河津 捷二, 吉岡 重威, 金澤 康徳, 太田 明生, 馬場 茂明, 小坂 ...
    1990 年 33 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    血清1, 5-anhydroglucitol (AG) 測定の臨床的意義を検討する目的で, 全国11施設, 2,036名の被検者で各種血糖コントロール指標を測定, 比較した.AGは日本化薬 (株) のカラム-酵素法キットで測定した.健常人のAG平均値は男性 (n=332) で26.6±7.2μg/ml, 女性 (n=207) で21.5±6.0μg/mlと有意 (P<0.001) な差が認められた.しかし健常人のcut off値は男女で有意差は認められず, 全健常人より算出されたcut off値14.0μg/mlを共通の正常下限とすることが妥当と考えられた.AGは糖尿病群 (7.3±7.1μg/ml: n=808) では有意 (P<0.001) に低値であったが, 非糖尿病性疾患では, 悪性新生物を除き健常人との間に有意差はなかった.各種血液生化学値や肥満度との問にも有意な相関は見られなかった.同時採血のFPG, HbAlc, フルクトサミン (FRA) との間にはそれぞれ-0.641,-0.612,-0.583の相関があった.AGはHbAlcが6%から10%の間の比較的低い血糖水準で大きく変動する特性をもち, 今後糖尿病の診断やスクリーニングにおいても威力を発揮することが期待される.また連続採血の結果より, AGが血糖コントロール悪化時のearly alarmとなることや, 血糖状態の変化に関するきめ細かい情報を提供することも判明した.
  • 大久保 実, 小林 哲郎, 山田 信博, 杉本 忠夫, 中西 幸二, 石橋 俊, 島野 仁, 村勢 敏郎, 小坂 樹徳
    1990 年 33 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    血清コレステロール値に及ぼす食事性コレステロールの影響を, 毎日卵を少なくとも1個以上摂取しているインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 44例に付き検討した.29例は220mg/dl以上の高コレステロール血症を呈したが, 高トリグリセリド血症 (≧150mg/dl) は9例に過ぎなかった.高コレステロール血症12例について, 卵の摂取を制限し, 2~3カ月後に血中脂質値を再検した.血清コレステロール値は266±20rng/dlより239±30mg/dl (mean±SD, P<0.01) へと減少した.12例中8例では血清コレステロール値は25mg/dl以上減少したが, この減少はLDLコレステロールの減少が主体であり, HDL-コレステロールおよびトリグリセリド値に有意な変化は認めなかった.糖尿病患者の約44%は食事性コレステロールに感受性が高く, 卵の常食により高コレステロール血症が誘発されると推測された.本研究は糖尿病に合併する高コレステロール血症の一因として食事性コレステロール, 特に卵の摂取が重要であることを明らかにした.
  • 松島 雅人, 田嶼 尚子, 横山 淳一, 池田 義雄, 磯貝 行秀, 縣 俊彦, 松本 信雄
    1990 年 33 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳以下発症IDDM32例を対象に, どの様な因子が, 発症後の残存膵B細胞機能傷害に関連するかについて, OGTT時の血中Cペプチドの最高値と基礎値の差 (ΔCPRmax) を指標として, 重回帰分析にて検討した.32例の男女比は, 11/21, 平均発症年齢 (Mean±SE) は, 17.4±0.9歳, 平均罹病期間 (Mean±SE) は, 3.4±0.4年であった.膵B細胞機能に影響を与える可能性のある変数としては, 性, 糖尿病の家族歴, HLA, 発症年齢, 罹病期間, ICA, 発症形式, 肥満歴, 季節性, 血糖コントロール状態を選んだ.重回帰分析の結果, 回帰モデルは有意で (P=0.018), 取り込まれた変数は, 季節性, 発症年齢, ICA, HLADR4, 家族歴であり, IDDM発症後の膵B細胞機能の残存性は, 以上5つの変数の影響を受けている可能性を示唆した.これよりこれらの因子は今後, IDDMの成因の解明, 治療を行っていく上で考慮せねばならない因子と考えられた.
  • 谷川 博美, 小江 俊行, 近藤 鴻一郎, 小串 亮三, 森川 信雄, 山下 泰子, 林田 研司, 平野 長煕, 宿輪 昌宏, 川辺 弘明, ...
    1990 年 33 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は83歳 (発症時) の男性, 1982年7月24日早朝俳徊, 譜妄等が出現し, 10日後当科へ入院した.入院後も異常行動は深夜から早朝に出現し26mg/dlと著明な低血糖とIRIの高値 (最高13130μU/ml) を認めた. 腹部CT, エコー等ではインスリノーマを証明出来なかった.1カ月後血糖67mg/dl, IRI4900μU/ml, 総インスリン>770, 遊離インスリン52μU/ml, 125Iインスリン結合率72%と高値であり, インスリン自己免疫抗体はIgGでL鎖はκ優位を認めたため, インスリン自己免疫症候群と診断した.HLAはCW4が陽性であった. 初診後1及び6年の経過観察でIRIはそれぞれ325, 44μU/mlと改善し自覚症状も消失していた.
  • 伊藤 英章, 西沢 誠
    1990 年 33 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1990/01/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 男性.2年前より糖尿病として経口剤で治療されており, 血糖コントロールは良好であった.平成1年2月10日, 右上腹部痛を主訴に入院した.入院6時間後より, 強度の右上腹部痛, 同部の筋性防御が出現し, 腹部単純X線像上, 胆嚢壁に一致したガス像を認めた.超音波検査では, 胆嚢壁の高エコー帯とその下方に反射エコーを認めた.腹部CTスキャンでは, 胆嚢壁に一致した輪状ガス像を認めた.以上より, 急性気腫性胆嚢炎と診断し, 緊急胆嚢ドレナージを施行した.胆汁培養でClostridium perfringensが検出され, 胆嚢底部の病理学的検討では変性したコラーゲン線維の間にcystic spaceが散在していた.急性気腫性胆嚢炎は腹部単純X線像上, 胆嚢壁に一致したガス像が認められる重症型胆嚢炎であり, 本症の1/3の症例は糖尿病患者である.糖尿病患者で右上腹部痛を訴える場合には本症を念頭におき, 経時的腹部X縦象超音波検査が必要である.
feedback
Top