糖尿病
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33 巻, 10 号
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  • 繁田 浩史, 中埜 幸治, 中井 雅彦, 森 裕, 北川 良裕, 金綱 隆弘, 近藤 元治
    1990 年 33 巻 10 号 p. 781-786
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    急性糖尿病BB/Worcester (BB/W) ラットのconcanavalinA活性化脾細胞を用いて, 種々のラットに糖尿病の誘導を試みた.その際recipientの血清中の膵島細胞膜抗体 (ICSA) と補体依存性細胞障害性 (CAMC) を測定し, 膵島炎 (insulitis) と糖尿病発症との関係を検討した.recipientにはMHC適合群として30日齢未満のdiabetes-prone BB/W, および60~90日齢のdiabetes-resistant BB/W, Wistar Furth, F1雑種 (BB×Lewis) を, MHC非適合群として60~90日齢のWistar, Lewis, Nudeラットを用いた.ICSAは125I protein A法, CAMCは51Cr放出試験で測定し, いずれも標的細胞にはラットインスリノーマ細胞 (RINr) を用いた.passive transferによりMHC適合群にのみ糖尿病が誘導されたが, insulitis, ICSA, CAMCはMHCに拘束されなかった-しかし, MHC適合群において糖尿病発症群では非発症群に比し, insulitis, ICSAは高率であり, 糖尿病発症との関連が示唆された.
  • 冠危険因子としての潜在性糖代謝異常
    河口 明人, 織田 裕之, 都島 基夫, 松山 辰男, 原納 優
    1990 年 33 巻 10 号 p. 787-792
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    冠動脈造影と7590GTTを同時に施行された60歳未満の冠動脈疾患患者の中から, 血糖面積が疫学調査による健康成人の平均+1SD未満の患者103名を抽出し, さらにインスリン分泌能の程度によってK-1 (健康成人インスリン面積の平均+2SD未満), K-2 (平均+2SDから4SD未満), K-3 (平均+4SD以上) の3群に分類した.この3群の冠危険因子と各狭窄度に応じて指数化し (1:<25%, 2: 25-50%, 3: 50-75%, 4: 75-90%, 5:>90%), 加算したcoronary atheromatous score (CAS) とを比較検討した.3群の血糖面積に差はなく, インスリン面積はそれぞれ78.3±3.0,133.5±2.6,227.7±17.8μU/ml・hと段階的に有意に増加し (p<0.01), 冠危険因子はK-2群で喫煙頻度本数が低い (P<0.05) 以外に差はなかったが, CASはそれぞれ9.7±1.1, 12.0±1.9, 15.8±2.0と段階的に漸増し (P<0.05), 喫煙, 年齢BMIで補正しても有意であり, 血糖が正常であっても高インスリン血症を呈する群では, 冠動脈硬化が重症であった.
  • インスリン治療への変更指標としての意義
    青木 孝彦, 日高 秀樹, 小杉 圭右, 小島 秀人, 中島 譲, 中村 高秋, 原納 優, 繁田 幸男
    1990 年 33 巻 10 号 p. 793-797
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    食事またはSU剤により治療中の非肥満NIDDM患者で3カ月以上にわたりHbA1値が10%以上である60例を対象に, その後良い血糖コントロールを得るためにインスリン治療を必要とした (insulin requiring, IR) 群30例と必要としなかった (non insulin requiring, NIR) 群30例で血中ケトン体値を比較した.HbA1値は両群に有意差を認めなかったが, 複数回の平均で血中総ケトン体値はIR群225±199μM, NIR群95±54μMとIR群で有意 (P<0.01) に高値を示した.またNIR群では250μMを越えた患者は1例のみであり, さらにインスリン依存性を表す, 私たちの報告したinsulin dependency index (Z値) が0を越える例はNIR群には1例も認められなかった.これらのことは最大量のSU剤で治療されている非肥満NIDDM患者において軽度ではあっても連続的に高ケトン体血症 (250μM) を認めた場合には, インスリン治療の適応であることを示している.
  • 篠原 守継, 竹田 晴生, 岸川 秀樹, 高橋 毅, 須崎 協一, 上野 伸一郎, 小堀 祥三, 七里 元亮
    1990 年 33 巻 10 号 p. 799-803
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病患者14名, 健常者16名を対象として血中リポ蛋白の糖化度をアフィニティカラム法にて測定し, 血中諸因子との関連について検討した.低密度リポ蛋白の糖化率は, 糖尿病群では8.15±0.63%と健常者群の4.39±0.56%に比し有意の高値を示した (P<0.001).一方高密度リポ蛋白の糖化率は, 糖尿病群と健常者群との間に有意差は認めなかった.さらに低密度リポ蛋白の糖化度は, ヘモグロビンA1cその他の各種血糖指標と有意な正の相関を示した.またアポ蛋白Bとも有意の正相関を示した.しかし高密度リポ蛋白の糖化度は, これらの血糖指標と有意な相関を示さず, アポ蛋白AI, 高密度リポ蛋白コレステロールと有意な負の相関を示した.以上の結果より糖尿病患者においては高血糖により低密度リポ蛋白の糖化度が亢進していることと, アポ蛋白AIの糖化が血中高密度リポ蛋白濃度の低下に関連していることが示唆された.
  • 児玉 孝也, 秋葉 真佐子, 岡本 高宏, 伊藤 悠基夫, 小原 孝男, 藤本 吉秀
    1990 年 33 巻 10 号 p. 805-809
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    43例の褐色細胞腫手術例を対象に, カテコールアミン過剰によるインスリン分泌障害について分析した.糖尿病は14例にみられ, 尿中アドレナリン (A) とノルアドレナリン (NA) 排泄量から算出したA+NA/3は糖尿病の存否の良い指標となった.一方, 7590GTTにおける血中インスリン (IRI) 値の総和ΣIRIと血糖 (PG) の総和ΣPGの比ΣIRI/ΣPGおよび糖負荷後30分間のIRI上昇量の血糖上昇量に対する比△IRI/△PGは, log (A+NA/3) ではなく, それぞれ109 (A+NA/9) およびlogAと最も強い負の相関関係を示した (r=-0.700およびr=-0.636).以上の結果は, 血中Aはインスリン分泌抑制作用が強く, そのことが本症でみられる糖代謝障害の重要な原因の一つであることを示している.また, 血中NAはむしろインスリン感受性の低下や肝におけるグリコーゲン分解の亢進といった別の作用によって, 糖代謝障害を引き起こしているものと考えられる.
  • 堺 政和, 岸川 秀樹, 一ノ瀬 賢司, 櫨川 岩穂, 橋本 泰嘉, 宮田 高雄, 荒木 栄一, 福島 英生, 山口 康平, 七里 元亮
    1990 年 33 巻 10 号 p. 811-815
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    遷延する低血糖発作を主訴に来院した22歳の看護婦に見られたfactitious hypoglycemiaの症例を報告した.種々の画像診断で異常を認めなかったが, 低血糖発作時の血液サンプルで血中インスリンの異常高値と血中Cペプチドの低値から外因性インスリンの投与による低血糖 (factitious hypoglycemia) を疑い, 患者静脈血サンプルを高速液体クロマトグラフィーにて分析した.その結果, 患者血中に動物由来のインスリンが存在することを証明し, これにより診断が確定した.本例により, factitious hypoglycemiaは, 欧米と同様に本邦においても健常者に認められる事, 診断に際しては低血糖発作時血液サンプルを高速液体クロマトグラフィーにより分析する事, および血中インスリンと血中Cペプチドの測定が有用である事が示唆された.
  • 堀田 正一, 志賀 菜穂子, 桶田 俊光, 小野 順子, 高木 良三郎, 小村 一寿
    1990 年 33 巻 10 号 p. 817-821
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は21歳女性.1975年 (7歳) バセドウ病, 1979年インスリン依存型糖尿病 (以下IDDM) を発症, 1984年より甲状腺機能低下症の診断のもとに補充療法を開始した.1985年から顔面蝶形紅斑, 多関節炎, 日光過敏症, 口腔内潰瘍が出現するようになり, 抗核抗体陽性を指摘された.1989年より眼球乾燥感が出現全身性エリテマトーデス (以下SLE), シェーグレン症候群 (以下Sjs) の合併例と診断した.
    自己抗体は抗核抗体の他は抗マイクロゾーム抗体のみ陽性で, ICA, ICSAも陰性であった.HLAはA2, Bw54, B40, Cw1, DR4を有していた.本例のごとく, バセドウ病として発症し経過中にIDDM, SLEおよびSjsを合併した例は本邦では報告例がなく, 自己免疫疾患の病因を考える上で興味深い.
  • 自験DKA 25症例における膵酵素異常の検討
    川越 倫, 植田 太郎, 岩崎 直子, 雨宮 禎子, 平田 幸正
    1990 年 33 巻 10 号 p. 823-829
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) で急性発症し, 血中膵酵素の遷延性高値を示したインスリン依存型糖尿病 (IDDM) の1成人例を報告する.症例は47歳, 女性.急激に口渇, 多飲多尿と意識障害をきたし, 血糖850mg/dl, 尿ケトン体強陽性, 動脈血pH6.90のためDKAと診断, 治療により12時間後軽快し, 以後IDDMとして治療中である.本症例は入院時, 腹痛や圧痛など膵炎を思わせる所見はなかったが, 血清アミラーゼ, リパーゼ, エラスターゼ1, トリプシン, PSTIが高値を示し, 30日以上異常値を持続した.過去5年間に経験したDKA25症例において, DKAで初発したIDDM5例では, 全例に1週間にわたる高アミラービ血症 (HA) を認めた.しかし治療中のIDDMあるいはNIDDMの経過中に併発したDKAでは, HAの頻度はそれぞれ2/10例 (20%), 3/7例 (42.9%) と低値であり, またHAはDKAのいかなる代謝パラメーターとも有意の相関を示さなかった.従って, DKAに随伴する膵酵素異常はIDDM初発時の膵外分泌障害を反映する可能性が示唆される.
  • 永瀬 晃正, 則武 昌之, 安友 佳朗, 金谷 政則, 島内 武英, 根本 洋子, 久貝 信夫, 永田 直一
    1990 年 33 巻 10 号 p. 831-833
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    A reduction in red blood cell sorbitol (RBC sorbitol) by supplementation with ascorbic acid (AA) has been reported. Since RBC sorbitol is affected by blood glucose (BG) levels, we examined the levels of BG, HbA1c and RBC sorbitol before and after supplementation with AA 1.0 g/day for 4 weeks in 22 diabetics in order to determine how the effect of AA was influenced by simultaneously measured BG levels.
    On the whole, a significant reduction in RBC sorbitol was observed after AA supplementation without any change in BG levels. The patients were classified into 3 groups from the standpoint of BG changes after supplementation, i. e., group 1; elevation above 10 mg/dl, group 2; changes less than 10 mg/dl, group 3; reduction above 10 mg/dl. RBC sorbitol in all groups decreased or tended to decrease after supplementation. It was concluded that AA decreases RBC sorbitol independent of any change in BG.
  • ブドウ糖クランプ法による検索
    山崎 義光, 関谷 正志, 河盛 隆造, 鎌田 武信, 伯井 信美
    1990 年 33 巻 10 号 p. 835-837
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Insulin sensitivities and secretory responses in middle-aged (57±4yr; mean±SD) non-obese essentially hypertensive patients (HT) were measured simultaneously by means of glucose clamp tests. 75 g OGTT's showed no significant differences in plasma glucose and insulin concentrations between HT and agematched non-obese normotensive volunteers. Hyperglycemic clamps revealed no significant difference in insulin secretion between the two groups. Euglycemic-hyperinsulinemic clamps revealed a significant decrease in the rate of glucose uptake in the HT group without any change in insulin kinetics.
    These data indicated that middle-aged hypertensive patients showed insulin resistance which was not compensated for by an augmentation of insulin secretion.
  • 1990 年 33 巻 10 号 p. 839-847
    発行日: 1990/10/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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