糖尿病
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33 巻, 4 号
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  • 篠宮 正樹, 渡邊 聡枝, 田所 直子, 神崎 哲人, 森崎 信尋, 村野 俊一, 佐々木 憲裕, 白井 厚治, 齋藤 康, 吉田 尚
    1990 年 33 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    家族性高コレステロール血症 (familialhypercholesterolemia, FH) における動脈硬化性疾患に対する糖尿病の役割を検討した.対象はFH86例で, 糖尿病を伴う15例, 境界型20例, 糖尿病を伴わない51例である.糖尿病群と非糖尿病群で, 血清脂質, リポ蛋白脂質, アポリポ蛋白濃度に差異を認めなかった.糖尿病群でアキレス腱が厚く, 脳血管障害の頻度が高値であった.次に糖尿病を伴うFH15例と年齢, 性, Bodymassindex, 血清総コレステロール値を揃えた非糖尿病FH15例で, 糖尿病の有無による動脈硬化性疾患発症に及ぼす影響を検討した.糖尿病を伴う群でアキレス腱肥厚が強く, 大動脈脈波速度 (Pulsewavevelocity, PWV) の亢進がみられた.糖尿病を伴う群で脳血管障害の発生頻度が高かった.糖尿病を伴う群でこれらの異常のみられた要因について検討したところ, いわゆる種々の危険因子とは異なった, 動脈壁側の要因の重要性が推測された.
  • 高澤 希子, 笠原 紳, 五十嵐 一雅, 中村 宏志, 津田 晶子, 伊藤 正毅, 柴田 昭
    1990 年 33 巻 4 号 p. 287-291
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    尿中Glycylprolyl dipeptidylaminopeptidase (以下GP-DAPと略す) は近年, 腎尿細管障害の指標となるとされている。我々は尿中GP-DAP活性の臨床的意義検討の為, 健常者21名と糖尿病者155名について尿中GP-DAP活性と糖尿病性腎症の重症度を示すとされる尿中Albumin排泄量 (以下AERと略す) を比較検討した.尿中GP-DAP活性は健常群12.30土4.28U/g.cre, 糖尿病者AER≦20μg/min群で16.11±6.50U/g.cre, 20μg/min<AER<200μg/min君羊で30.98±16.82U/g.cre, AER≧200μg/min群で69.86±27.48U/g.creと全ての糖尿病群で上昇し, AERとGP-DAP間にはr=0.697 (P<0.001) の良い相関を認め早期腎症の診断に有用である可能性が示唆された.しかしAER正常群 (AER≦20μg/min) の17%に尿中GP-DAP活性上昇, 尿中GP-DAP活性正常群 (GP-DAP≦20.86U/g.cre) の10%にAERの上昇を認めた。なお本酵素は短期の血糖・血圧のコントロールには強い影響を受けなかった.
  • 岡田 秀一, 大島 喜八, 小内 亨, 馬原 充彦, 佐藤 稔, 森 昌朋, 小林 節雄, 小林 功
    1990 年 33 巻 4 号 p. 293-299
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肥満動物の骨格筋におけるインスリン抵抗性成立への副腎摘出効果を, in situ骨格筋灌流法を用い検討した.実験動物にはgoldthio-glucose (GTG) 投与肥満マウスを用いた.灌流液中のインスリン濃度は0, 0.1mU/mlで行った.GTGマウスの骨格筋のブドウ糖摂取能は双方の濃度で低下しているが, 副腎摘除を行うと, GTG非投与対照群の値にまで回復した.同様に2-deoxyglucose (2DG) の摂取率を2DG-6-phosphateの蓄積で測定した.結果はブドウ糖摂取能と全く同様で, 副腎摘除で対照群の値に回復した.一方GTG投与群では著明な高インスリン血症および高コルチコステロン血症が存在したがこれらは副腎摘除で消失した.以上の事実よりGTG肥満マウスの骨格筋のインスリン抵抗性の一成因として高コルチコステロン血症が関与していることが推察された.
  • 久米 裕昭, 鹿野 昌彦
    1990 年 33 巻 4 号 p. 301-306
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性脊髄神経障害を調べる目的で糖尿病患者に対して後脛骨神経刺激体性感覚誘発電位 (SEP) を測定し, 健常人と比較検討した.皮質SEPは足部感覚領域 (FS) で記録し, 脊髄SEPは第7頸椎棘突起 (C7) および第12胸椎棘突起 (Th12) で記録した.頂点潜時はFS, C7, Th12のすべてにおいて糖尿病群で有意な遅延が認められ, それらの遅延と罹病期間との間に有意な相関が認められた.C7-Th12間の脊髄伝導速度を測定したところ, 糖尿病群では39.9±6.6m/secで健常群44.5±5.6m/secに比べ有意な遅延が認められた。脊髄伝導速度の遅延は, 空腹時の血糖値および罹病期間との間に有意な負の相関が得られた.他の神経学的検査法との関連では腓腹神経感覚神経伝導速度および自律神経テストとの間には有意な相関はなかった.以上より, 脊髄伝導速度の遅延は, 独立した神経障害の可能性が考えられ, 長い病歴を有するものや, 血糖コントロール不良のものに生じやすいことが推察された.
  • 多変量解析を用いての検討
    宮腰 久嗣, 真田 陽, 家城 恭彦, 永井 幸広, 番度 行弘, 臼田 里香, 宮本 市郎, 大沢 謙三, 西村 泰行
    1990 年 33 巻 4 号 p. 307-312
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肝硬変 (LC) 患者に伴う耐糖能異常が, LCによる二次性のものか, 一次性すなわちインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) の合併なのか鑑別するため, LCの経過観察中明らかな糖尿病状態に至った例 (PDM群: 8例) と至らなかった例 (NDM群: 22例) の初回入院時の臨床データを, 多変量解析く判別分析, 数量化II類) を用い比較検討した.判別分析では, アルコール歴, 年齢, 75gOGTT時の負荷前血糖 (BG) 値やIRI値, ΣBG, ΣIRI, 血糖頂値の90分以降への遅れの7つの変数を用い, Internal Checkにおける的中率83.3%と良好な判別が可能であった.数量化II類を用い重みを加えて検討すると, PDM群と判別するのに重要なのは, アルコール歴陽性, 負荷前IRI≧15μU/ml, 60歳以上, ΣBG≧1000mg/dl, IRI頂値の120分以降への遅れの順番であった.以上より, アルコール歴や年齢, GTTにおける血糖やIRI値を指標に, LCに伴う耐糖能異常は, 一次性ないし二次性に鑑別可能と思われた
  • 神崎 哲人, 河野 幹彦, 森崎 信尋, 斎藤 康, 吉田 尚
    1990 年 33 巻 4 号 p. 313-318
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性マクロアンギオパチーの成因を動脈壁平滑筋細胞のフェノタイプの変化との関連から検討した.糖尿病のモデルとしてストレプトゾトシン惹起ラットを使用した.糖尿病ラットの大動脈壁平滑筋細胞は対照のそれに比べて初代培養でのoutgrowth及び継代後の細胞増殖が速かった.この速い増殖能は継代4代目まで失われなかった.またこの性質はストレプトゾトシン投与後3週目より少なくとも12週目まで持続した.糖尿病血清で平滑筋細胞を培養しても速い増殖能は獲得されなかったが, 高血糖下で培養された平滑筋細胞は対象より速く増殖する性質を獲得した.糖尿病ラットをin vivoでインスリン治療すると平滑筋細胞の速い増殖能は部分的に抑制された.以上より, 増殖に関するフェノタイプの変化が糖尿病の平滑筋細胞で起こっておりマクロアンギオパチーに関与していること, 及びその成因として, 血清因子よりも高血糖が関与することが推測された.
  • 国香 清, 板倉 光夫, 山下 亀次郎
    1990 年 33 巻 4 号 p. 319-327
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    HbA1c値とHbA1c生成反応速度定数K1, K-1, K2から, 1日平均空腹時血糖値 ([G]) を予測する計算式の実用性を検討した.不安定性と安定性HbA1c ([H=G] e/[H] と [HG]/[H]) と [G] を, 任意の時点tと一定期間△t (3-35日) 後に測定した.[H=G] e/[H] からはK-1,[HG]/[H] からはK2を求める式の変形 [G]-Lcal.= (K-1 [H=G] e/[H])/K1,[G]-Scal.= (K-1 [HG]/[H])/K1K2tを用い,[G] の予測値を求めた.△ [G] は, 両辺に変化量 (△) を代入した.tにおける [H=G] e/[H] と [HG]/[H] からの予測値と実測値は, y=0.97x+19.0 (r=0.789, n=60), y=0.62x+95.5 (r=0.626, n=60) と, 有意な相関を示した.△t後における△ [H=G] e/[H] と△ [HG]/[H] からの予測変化量と実測値は,[G] の改善症例でy=1.04x+2.9 (r=0.745, n=35), y=1.11x+24.1 (r=0.691, n=26),[G] の悪化症例でy=1.02x+19.4 (r=0.558, n=18), y=1.22x+3.9 (r=0.753, n=14) と, 有意な相関を示した.以上より, 本算定法は糖尿病のコントロールを目指す実地臨床に応用が可能である.
  • 矢島 義忠, 高田 一太郎, 菊地 新, 畑 隆志, 藤田 芳邦, 阿部 好文, 的場 清和, 金森 晃, 河路 晃一, 守屋 達美
    1990 年 33 巻 4 号 p. 329-335
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病に筋緊張性ジストロフィー症 (MD) を合併した1例を報告する.症例は36歳女.24歳時, 口渇, 多尿を認め近医にて糖尿病と診断された.31歳, 筋力低下, 視力低下を自覚した.35歳, 把持したものが離し難くなった.36歳, 当科受診時の血糖値は430mg/dl, HbA1c 12.5%であった.糖尿病性網膜症 (Scott IIa), 末梢神経障害, 蛋白尿白内障を認めた.正血糖性グルコース・クランプ法にてインスリン抵抗性が示唆されたが, 赤血球インスリン結合は正常範囲であった.筋萎縮, grip myotonia, percussion myotoniaを認め, 針筋電図および筋生検にてMDに合致する所見をえた.本例における糖尿病性代謝異常はMDならびに高プロラクチン血症, 性腺機能低下症などにより修飾されている可能性が示唆された.
    糖尿病性細小血管症を伴う確実な糖尿病とMDとの合併例としては国内・外を通じて最初の報告である.
  • 横山 宏樹, 馬場園 哲也, 佐藤 麻子, 吉田 祐樹, 新城 孝道, 植田 太郎, 高橋 千恵子, 平田 幸正
    1990 年 33 巻 4 号 p. 337-342
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は, インスリン依存型糖尿病罹病歴20年, 血液透析歴2.5年の28歳男性.透析導入前より心機能の低下を認め, 維持透析期は心室拡張と著しい心機能低下 (収縮期駆出分画 (EF) 21%) を呈していた.この1つの原因は患者に水制限を含む食事療法を守り切れなかった所にあると考え, 治療上, 腎移植が最善の選択であると考えられた.入院管理下で, 3ヵ月間の集中的な水分制限と血液透析を行い, EFで45%まで心機能の改善を認めたことにより, 腎移植を遂行できた.移植後, 容量負荷の軽減と高血圧の改善に伴い, 心室拡張はとれ心筋収縮能の正常化を認めた。本例は, 本邦糖尿病患者における数少ない腎移植例であるとともに, 腎移植により心機能の改善をみた貴重な症例であると考えられる.
  • 膵臓病変の遺伝型式について
    森 豊, 西村 正彦, 横山 淳一, 池田 義雄
    1990 年 33 巻 4 号 p. 343-345
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    To investigate the mode of inheritance of pancreatic lesions in male WBN/Kob rats, WBN/Kob rats were crossed with DA rats. Pancreata from male rats of backcross generation between Fl and WBN/Kob rats were examined histologically at 12 months of age. In 46 out of 92 (50.0 %) backcross generations, inflammatory cell infiltration and/or pancreatic fibrosis with deposition of hemosiderin, characteristic histological features of WBN/Kob strain, were observed. Namely, the presence/absence ratio of pancreatic lesions was nearly 1: 1 in the backcross generation. However, in another 4 out of 12 (33.3 %) in the Fl generation, pancreatic lesions were observed.
    From the data of back crossing we may conclude that one recessive gene is responsible for expression of pancreatic fibrosis in male WBN/Kob rats. As for the occurrenece of pancreatic lesions in the Fl generation some modification of recessive type of inheritance is necessary. Further investigation is necessary to clarify this phenomenon.
  • 1990 年 33 巻 4 号 p. 347-355
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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