糖尿病
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34 巻, 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 福満 昭二, 三村 悟郎
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1015-1018
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 矢野 裕, 嶋 照夫, 住田 安弘, 浦 仁志, 江崎 淳, 後藤 浩之, 鈴木 司郎, 三崎 盛治
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1019-1024
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高血圧のない尿蛋白定性陰性のインスリン非依存性糖尿病患者33例について, 2年後の血清7Sコラーゲンの変動と2年間の血圧, 血糖との関係を検討した.血圧とHbA1cを4週おきに測定し, 平均血圧 (拡張期圧+1/3脈圧), HbA1cの値は初回検査前6ヵ月間, 初回検査後2年間のそれぞれの平均値を用いた.平均血圧, HbA1c両者の上昇群のみ血清7Sコラーゲンは有意な上昇を示した (P<0.01).平均血圧, HbA1cいずれか一方のみの上昇群には7Sコラーゲンの有意な変化は認められなかった.以上より, 尿蛋白定性陰性のインスリン非依存性糖尿病患者で, 基底膜組織のIV型コラーゲンの代謝を反映するといわれている血清7Sコラーゲンの2年間の上昇に, 血糖, 血圧両者の上昇が影響を及ぼしていることが示唆され, 臨床上塩圧, 血糖の管理の重要性を示す成績であった.
  • 長坂 昌一郎, 小山 茂, 岩本 安彦, 葛谷 健
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1025-1032
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    東京・山谷地域における, 日雇い労働者の糖尿病の患者調査をおこなった. 対象は昭和62年度に山谷・健康相談室を受診した尿糖陽性者など222名で, このうち166名を糖尿病 (全例NIDDM) と診断した.推定有病率は50~54歳で4.2%と最も高く, 全体で3.2%となった. 糖尿病患者は年齢51±7歳で, アルコール歴を134名 (83%) に認めた.初診時HbA1は11~11.9%をピークとする一峰性分布を示したが, 随時血糖は250~299および500~549mg/dlをピークとする二峰性分布を示した. 26%に網膜症, 34%に蛋白尿, 64%にアキレス腱反射の低下ないし消失を認めた. また併発疾患として肝硬変など肝疾患103名 (62%), 肺結核など呼吸器疾患41名 (25%) がみられた. 山谷地域の糖尿病の有病率, 糖尿病性合併症の有病率は, 日本の一般的な報告と同程度であった. しかし血糖コントロールは不良のものが多く, また併発疾患として慢性肝疾患, 肺結核などの高頻度が特徴的と思われた.
  • 山田 富美子, 小林 正, 李 媛明, 石橋 修, 繁田 幸男
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1033-1038
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当科通院中または入院中のインスリン治療歴のないNIDDM患者のインスリン自己抗体 (IAA), 同時にインスリンレセプター抗体 (IRAb) および膵ラ氏島抗体 (ICA) を測定し, 3年後, その抗体陽性患者の抗体価の変化および臨床経過について検討した.インスリン治療歴のないNIDDM患者185人中, IAA陽性者9人のICA及びIRAbを測定し3年後どのように変化したかを臨床経過の観察を行なった.当初IAA陽性患者9人のうちICA陽性者は2人, IRAbは全員陰性であったが3年後ではIAAおよびICA共陽性は2人, 陰性7人であった.陽性の1人は食後2時間値の血中IRI, CPRは低く, Glibenclamide 7.5mgの治療を要し, 耐糖能の悪化を認めた.以上より1) インスリン治療歴のないNIDDM患者では5%にIAA陽性者が認められ, 2) IAA価は変動し, 3) 依然としてIAA, ICAが陽性の患者ではインスリン分泌が低下している場合もあり, IAAの測定はslowly progressive IDDMのスクリーニングのマーカーのひとつとして有用でありまた測定法も簡便である
  • 倉八 博之, 森寺 邦三郎, 服部 尚樹, 石原 隆, 五十嵐 哲也
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1039-1046
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病者には特殊な関節炎とは関係なく, 手指や肩あるいは股関節の可動制限 (1imited joint mobility; LJM) が報告されているが, 本邦での実態は明らかでない. RA, ANFあるいはLEが陰性の388名の糖尿病者を対象にしてLJMの検討を行った. LJMの頻度は16%(62/388) であった. 62例のLJMの内訳はpainful shoulder with restricted mobility (PSRM) 29, hand syndrome (HS) 16, PSRM with HS 13, restricted hip joint mobility (RHJM) 1, PSRM with RHJM2, PSRM and RHJM with HS 1例であった. LJM発症時の平均年齢は54.1±8.7歳, 平均糖尿罹病年数は9.7±5.6年であった, 血糖コントロールは全体の半数以上で不良 (HbA1≧12.0%) であった. 網膜症の合併が65%に見られ, そのうちの60%で光凝固療法を要した. 糖尿病自体がLJMをもたらすか否か今なお明らかでないが, 関節支持組織の加齢による変性と長期の糖代謝異常が促進的に作用するものと思われる.
  • 中田 宏志, 関口 雅友, 森川 秋月
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1047-1053
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近, 虚血性心疾患のみならず, 糖尿病においても血中Lp (a) が高値を示すことが報告されている. そこで我々は, 糖尿病における高Lp (a) 血症発現の一因を究明するため, 血中Lp (a) 濃度と血糖コントロールおよび糖尿病性合併症との関連性について検討した. NIDDM患者114名 (男性60名, 女性54名), 腎不全合併NIDDM患者20名 (男性14名, 女性6名) および健常人56名 (男性40名, 女性16名) を対象とした. ELISAキットを用いて測定した血中Lp (a) 濃度は, コントロール群の10.8±1.1mg/dlに比し, NIDDM群では, 20.2±1.7mg/dlと有意に高値を示したが, 性差, 年齢差はなかった. NIDDM患者75名において, 1~12ヵ月間における血中Lp (a) 濃度の変化とHbA1cの変化の間には, rs=0.292 (p<0.01) と有意な正の相関を認め, 高血糖が糖尿病における高Lp (a) 血症の一因となっている可能性が示唆された. 合併症との関係では, 腎症の程度との間に相関性が認められ, 腎不全合併NIDDM群では血中Lp (a) 濃度はさらに高値を示した.
  • 玉井 利孝, 嶋田 明彦, 前田 肇, 高橋 貞夫, 鈴木 仁弥, 稲津 哲也, 笈田 耕治, 中井 継彦, 宮保 進, 寺本 路夫
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1055-1061
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    従来, 血漿リポ蛋白代謝に及ぼす食物繊維 (以下DF) の影響に関する研究では, 水溶性DFは良好な効果を示し, 不溶性DFでは期待される効果はないとされていた. そこで, 今回はコントロールの安定した12名のインスリン非依存型糖尿病患者の血漿リポ蛋白代謝に及ぼす不溶性DFの影響について検討した. DF入ウエハース (以下F: 75%が不溶性DF) を投与し, 投与前と投与後2週毎に4~8週間血漿リポ蛋白濃度などを測定した. F投与前後で血糖やHbA1cの変化は認められなかった. 血漿脂質では, コレステロール (以下Ch) が189.5mg/dlより174.1mg/dlへ有意に低下したが, トリグリセリドやリン脂質は変化しなかった. リポ蛋白では, 低比重リポ蛋白中Chは有意に低下した. アポ蛋白 (以下apo) では, apoA-Iの有意な増加とapoBの有意な低下が認められた. 以上より不溶性食物繊維にても糖尿病患者の血漿リポ蛋白代謝上良好な影響が認められた.
  • 蛋白の種類によりhyperfiltrationを誘発する程度に差があることの原因は何か
    中村 宏志, 荒川 直子, 田中 拓, 中川 理, 千葉 泰子, 百都 健, 伊藤 正毅, 柴田 昭
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1063-1069
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    経口負荷した蛋白の種類によりGFRを増加させる程度に差がある原因を探る目的で, 健常人6名と糖尿病患者6名に対し,(1) 蛋白0.7g/kg体重のマグロ,(2) 同量の蛋白を含む卵白,(3) 倍量の蛋白を含む卵白を経口負荷した. 健常人に対する (1) の負荷では, GFRが平均98.7ml/分/1.73m2から134.5ml/分/1.73m2まで増加 (p<0.01) したのに対し,(2)(3) の負荷では, 負荷前後でGFRに有意の変化を認めなかった. 糖尿病患者でも同様の結果が得られた. 健常人, 糖尿病患者ともに (1) の負荷でGFRの増加を誘発するアミノ酸の血中濃度の増加がみられたが,(2)(3) の負荷ではこれらの増加は (1) の負荷に比して有意に低かった. 健常人に対する (1) の負荷で尿中6-keto-PGF 排泄量が平均215pg/分から484pg/分に増加 (p<0.01) した. 以上より, 経口負荷した蛋白の種類によるGFRの増加誘発程度の違いは, 腎血流増加作用を持つアミノ酸とprostaglandinの増加程度の差によるものであることが示唆された.
  • 近田 研, 伊東 克典, 山之内 国男, 前野 仁史, 篠崎 隆, 藤井 了, 西川 寿彦, 清水 省治, 加藤 克己
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1071-1076
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    化膿性筋炎は骨格筋におこる細菌性筋炎であり, 熱帯地方ではしばしば認められるが, 温帯地方では非常に稀な疾患である. 病因に関しては不明の点が多く, 症状に乏しい事から診断に苦慮することが多い. 一方, 血糖コントロール不良糖尿病患者は宿主免疫能低下や白血球機能不全の存在のため, 細菌感染症のリスクは高い, 今回, 著者らはケトアシドーシスの治療後, 右脊柱起立筋の化膿性筋炎と診断し得たNIDDMの症例を経験したので報告する. 本症例は, 海外渡航及び滞在の経験はなく, 患部の疹痛, 腫脹等局所所見も非常に乏しいものであったが, 37℃台の発熱, CRP陽性所見などが血糖のコントロール後も続きCTスキャン, ガリウムシンチグラムにて右脊柱起立筋の化膿性筋炎と診断し得た. 抗生物質の投与による治療後, 食事療法のみで良好な血糖コントロールが得られた. このことから, 化膿性筋炎とケトアシドーシス発症との間に何らかの関連が存在することが示唆された.
  • 本邦過去10年の糖尿病, 重症筋無力症合併例の文献的考察
    水野 治
    1991 年 34 巻 12 号 p. 1077-1081
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    10年の糖尿病 (DM) 罹病歴のある46歳女性が口渇と夕方著明となる眼瞼下垂で入院. 入院時, 左眼瞼下垂・下肢痛覚鈍麻・振動覚低下あり. 眼底Scott II. 空腹時血糖205mg/dl, HbA1c11.6%. edrophonium 10mg静注で眼瞼下垂改善. 抗アセチルコリン受容体抗体陽性. 胸腺腫なし. 筋電図でwaning現象なし. 重症筋無力症 (MG) I型と診断. pyridostigmine 360mgで症状軽快. glibenclamide 3.75mgでDMコントロール良好.
    過去10年本邦でDMとMG合併例の報告5例. 本例を含む6例を検討. 一般にMGは女性に多く70歳以上はまれ. 6例の男女比3: 3.2例が70歳以上. すべてDMが先行. IDDM2例, NIDDM 2例, 不明2例. MGの症状は眼症状のみ3例. DM合併症は比較的軽度. 良性胸腺腫1例. DMの治療はインスリン療法4例. MGは抗コリンエステラーゼ剤のみ4例. 抗アセチルコリン受容体抗体1例のみ陰性. ICSA陽性2例. 3例にHLA-DR4. 両疾患の合併はまれだが, 偶然の合併か否かは, なお検討を要する.
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