当センターに入院した既婚女子糖尿病者で, 重症合併症を有さない患者79名に質問紙法調査を行い, 性障害の実態を調べ, 糖尿病病態や心理社会的要因との関連について検討した.その結果, 性欲の低下が38%, 局所湿潤の低下56%, 絶頂感の低下51%, 性交痛39%に認められた.そこで, 局所湿潤と絶頂感と性交痛の障害度を総合判定し, 性障害のない患者群, 軽度障害群, 高度障害群に分け3群間で比較したところ, 高度障害群では性欲や性交回数の低下, 日常生活上のストレス, 糖尿病発症以前から夫婦関係に問題のある患者が有意に多く, 患者は神経質, その夫は社交的な性格が目だった.一方, 年齢, 糖尿病罹病期間, HbAlc値, 糖尿病性合併症の進展度は3群間で有意な差は認められなかった.
以上より, 糖尿病女子の4~6割に性障害が認められ, その性障害は糖尿病の病態より, 夫との関係や生活上のストレスなどの心理社会的要因との関連が強く認められた.
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