糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
34 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • TG分泌能とアポ蛋白B亜分画比の変化についての検討
    中島 譲, 日高 秀樹, 繁田 幸男
    1991 年 34 巻 3 号 p. 191-198
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    軽度インスリン欠乏非肥満糖尿病における高トリグリセリド (TG) 血症の機序を解明する目的で, 新生児期にストレプトゾトシン (STZ) 処置したNIDDMモデルラットを用い, TG分泌能 (TGSR) とTG-richリボ蛋白 (TRL) のアポB亜分画比 (%Bs) について検討した.空腹時TG値は対照群の46±5mg/dlに比し, 空腹時血漿ブドウ糖濃度 (FPG) 155mg/dl以下の群 (軽症群) で57±6と増加傾向を示し, FPG156-230群で47±6と差はなく, FPG231以上の群で増加を示した.TGSRは対照群0.45±0.02mg/mi瓶に比し軽症群で0.54±0.03と増加を示し, 血糖の上昇した二つの群で低下した.ラットTRL中の%Bsは, STZ糖尿病ラットで増加を示し, インスリン治療により改善した.
    これらのことは, インスリン欠乏型糖尿病ラットの高TG血症は, 軽症でTG産生充進, 重症で異化低下が重要な因子となり, またインスリン欠乏下においてTRL産生への腸管の寄与が相対的に増加していることが示唆される.
  • 20歳以上の全住民を対象とした7年間の集団検診
    関川 暁, 高橋 健二, 間中 英夫, 富永 真琴, 佐々木 英夫, 宮沢 光瑞
    1991 年 34 巻 3 号 p. 199-204
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1982年から1988年の7年間にわたり, 山形県小国町で糖尿病集団検診を行い, 同町における糖尿病の有病率及び推定罹患率を検討した.対象は糖尿病治療中以外の者で住民台帳に登録されている20歳以上の全住民とし, 一次検診は夕食2時間後尿糖検査 (50mg/dl), 二次検診は75g糖負荷試験 (75g0GTT) を施行した.有病率は, 問診で糖尿病とあらかじめわかっている者と検診で糖尿病と診断された者の合計から算出, 訂正有病率は昭和55年の日本人口構成を用いた.推定罹患率は昭和55年の日本人口構成を用いた.推定罹患率は糖尿病と既に診断されている者を除いた全住民を対象に検診を行っているので, 検診開始数年後からはその1年間に新たに発症した糖尿病のみが診断される確率が高いと考えられその数値から推定した.一次検診対象者は7563~8800名, 受診率は77~90%, 二次検診対象者は289~581名, 受診率は45~65%であった.有病率は1988年現在で3.82%, 訂正有病率2.72%, 推定罹患率は0.3~0: 7%であった.
  • 堀出 直樹, 吉川 隆一, 羽田 勝計, 繁田 幸男
    1991 年 34 巻 3 号 p. 205-212
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症で認められる腎糸球体IV型コラーゲン蓄積に対するメサンギウム細胞の関与を検討する目的で, 培養メサンギウム細胞のIV型コラーゲン量をELISAにより測定すると共に, 高糖濃度条件の影響を検討した.培養メサンギウム細胞はIV型コラーゲンを主に培養液中に分泌しており, その分泌量は細胞分画中IV型コラーゲンの約3~6倍であった.また, 両者共に, 細胞増殖期に増加する傾向が認められた.次いで本細胞を高糖濃度群 (27.8mM glucose), 浸透圧を調節したマンニトール群 (5.6mMglucose+22.2mM mannitol), コントロール群 (5.6mM glucose) の3群に分け培養した.総IV型コラーゲン累積量 (分泌量+細胞分画中コラーゲン量) は, コントロール群およびマンニトール群に比し高糖濃度群で, 培養4~12日にかけ, 約1.2~1.5倍の有意の増加を示した.
    以上の結果から, 高糖濃度条件下で, メサンギウン細胞のIV型コラーゲン産生能が充進し, これが糖尿病性腎症における糸球体細胞外基質の増加に関与している可能性が示唆された.
  • 佐々木 陽, 堀内 成人, 長谷川 恭一, 上原 ます子
    1991 年 34 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病死亡例の死亡診断書の精度を検証するため, 当センターの死亡例503名について死亡診断書の記載状況を調査した.原死因, 二次性死因を問わず,「糖尿病」が記載されていたのは213例 (42.4%) であった.記載率は死亡例の原死因と関係し, 悪性新生物の場合は18.7%, 脳血管疾患40.5%, 心疾患46.9%に留まったが, 腎疾患では81.8%に達した.性別には男39.5%に対して女48。7%でその差はとくに心疾患で大きかった.死亡年および死亡年齢との間には有意の関係はみられなかった.一方, 初診時の空腹時血糖値<200mg/dl群の37.8%に対して, ≧200mg/dl群では54.4%, また治療方法別には, 食事療法群24.1%, 経口剤治療群51.4%, インスリン治療群80.7%であった.以上「糖尿病」記載率は合併症および糖尿病の重症度と関係することが明らかとなった.この成績と地域死亡調査の結果と併せると, 糖尿病患者の実死亡数は死亡統計の6.4倍程度はあると推定された.
  • 笠井 富貴夫, 中村 光男, 石井 正孝, 寺田 明功, 工藤 研二, 対馬 史博, 広田 則彦, 武部 和夫
    1991 年 34 巻 3 号 p. 219-226
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胃排出機能とインスリン皮下吸収の食後早期血糖変動への影響を検討する目的で, 胃排出遅延を認めるインスリン依存型糖尿病 (IDDM) 11例にGastrokineticsを投与し, 明らかな胃排出改善の得られた6例 (I群), 改善のなかった5例 (II群) について食前および食後120分までの血糖 (PG) と血中遊離インスリン (Free-IRI) をPEG抽出法で測定した.胃排出機能はアセトアミノフェンとアイソトープ併用の液食一固形食同時測定法で検討した.I群;ΔFree-IRIには全検査時間を通じ, 胃排出改善前後で有意差なく, ΔPGは食後60分以降, 有意な上昇を認めた.すなわちΣΔFree-IRIには有意な変化はなく (2310±1266→2707±6889μU/ml・min), Σ ΔPGには有意な上昇 (1853±3442→4799±2983mg/dl・min, p<0.02) を認めた.II群;ΔFree-IRI, ΔPGともに胃排出改善前後で有意な変化を認めなかった.IDDMではインスリン皮下吸収に有意な変化を認めない場合, 胃排出機能が食後早期血糖を制御する重要な因子であることが示された.
  • 朝日 寿実, 大角 誠治, 沢 丞, 森岡 尚夫, 岡部 源一, 石原 元, 矢野 三郎
    1991 年 34 巻 3 号 p. 227-236
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    呼吸循環応答装置CHEMOTEST531型 (R)(日本電気三栄社製) を用いて85例の糖尿病患者 (食事療法20, SU剤33, インスリン32) と15名の健常者に低酸素および高炭酸ガス換気応答試験を施行した.1) 低酸素換気応答指数Aveは, 健常群, Diet群, SU群に比べInsulin群で有意に低下し (P<0.05), 低酸素換気抑制 (Ave<0) はInsulin群4例, SU群2例に認めた.そのうちの1例は臨床的に呼吸・心停止を経験した.2) AveとCVR-R, 起立時血圧降下度とは相関を示さず, 3) 高炭酸ガス換気応答指数Sveは健常群, 糖尿病各群で差を認めなかった.
    以上の成績より, 突然死の原因となり得る呼吸・心停止を来す可能性を有する低酸素換気抑制症例が糖尿病患者に比較的多数存在し, このような症例は通常の自律神経機能検査では予測が困難であることが示され, 本装置による換気応答試験は容易にしかも安全にこの危険性を有する患者を検出し得る点で有用である.
  • 古野 浩秋, 猪口 哲彰, 伊藤 久生, 島 留美, 石井 浩三, 加地 正郎, 大泉 耕太郎
    1991 年 34 巻 3 号 p. 237-241
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は50歳男性で, 42歳時糖尿病を指摘されたが放置していた.50歳時胃十二指腸潰瘍の手術後, 口渇が出現し, 徐々に意識レベルが低下してきたため入院となった.入院時血糖は836mg/dl, 白血球10,800mm3, BUNは77mg/dl, Crは2.0mg/dl, 血漿pHは7.29, 血漿浸透圧は449mOsm/l, 血清Naは176mEq/l, Kは2.8mEq/l, GOTは39K.U, GPTは32K.U, CPKは946IU (MM型100%), 尿ケトン体は陰性であったため, 高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡と診断した.治療後3日目には意識清明となったが, 両下肢痛とCPKの異常高値 (52,000IU), GOT, LDHの上昇, さらに大腿四頭筋からの筋生検の結果, 横紋筋融解症と診断した.その後3日目には各酵素とも低下傾向を示したが, 四肢筋の萎縮, 筋力低下は著しく, 歩行可能となるまで約1カ月を要し, 前脛骨筋の融解は特に強かったため, その後もsteppage gaitを残した.本症例の横紋筋融解症の原因は, 高度の脱水による末梢循環不全およびその後の輸液が主たるものと考えられた.
  • 黒木 巳賀, 永渕 正法, 山根 章敬, 安西 慶三, 中野 修治, 石橋 大海, 柏木 征三郎, 仁保 喜之
    1991 年 34 巻 3 号 p. 243-249
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシスが急性肝障害の原因と考えられた興味深い症例を報告する.症例は36歳女性31歳時IDDMの診断をうけた患者で, インスリン注射の自己中止により糖尿病性ケトアシドーシスを発症した.入院後も経口摂取不能, インスリン不足のため, pH7.2程度のアシドーシスが約3週間持続し, 肝腫大とともに急激な高度のトランスアミナーゼの上昇をきたした.九大一内科転院後, 十分量の速効型インスリンの持続点滴静注によるアシドーシスの改善とともに肝機能は正常化した.肝炎ウイルス関連マーカーは陰性で, 1年半の経過観察中も肝機能の悪化は認めなかった.生検肝組織像は, リンパ球浸潤は軽微で, 小葉中心性の脂肪変性, 胞体ならびに核の空胞化が主体であった.以上より, 長期にわたって持続した糖・脂質代謝異常に加え, 今回の糖尿病性ケトアシドーシスによる肝細胞の代謝障害が, 肝細胞障害とそれに伴う血清GOT, GPT上昇の原因と考えられた.
  • 伊奈 啓輔, 伊東 康子, 堀田 正一, 織部 安裕, 桶田 俊光, 小野 順子, 高木 良三郎, 北村 裕和, 中村 三雄
    1991 年 34 巻 3 号 p. 251-257
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は21歳男性.意識消失発作を主訴に入院した.血液生化学的検査及び経皮経肝門脈カテーテル法によりインスリノーマと診断し, 膵体尾部切除術を施行し, 4個の膵島細胞腫瘍を確認した.各々の腫瘍について抗インスリン, 抗グルカゴン, 抗ソマトスタチン, 抗ヒトpancreatic polypeptide抗体を用いて免疫組織化学的検索を行った結果, 1個はグルカゴン, 他の3個はインスリンのみを産生していることが明らかとなった.術後さらに経過観察中, 1年半後に副甲状腺機能亢進症を呈し, 画像上多発性副甲状腺腫を認めた.家族歴では, 父にZollinger-Ellison症候群及び高カルシウム血症を, 弟にも高カルシウム血症を認め, 家族性多発性内分泌腺腫症I型のI例と考えられた.
  • 1991 年 34 巻 3 号 p. 259-289
    発行日: 1991/03/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top