糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
35 巻, 5 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 工藤 守
    1992 年 35 巻 5 号 p. 375-379
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 山岸 昌一, 宮腰 久嗣, 西村 泰行, 竹沢 里恵, 油野 友二, 大沢 謙三, 小林 健一
    1992 年 35 巻 5 号 p. 381-384
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    24時間蓄尿検体にて尿糖排泄を認めない肝硬変患者 (LC群) 15名と年齢性をマッチさせた健常者 (C群) 20名を対象として肝機能の血清AGへ及ぼす影響について検討した. LC群の血清AG値は20.0±2.2μ9/mlとC群26.1±1.7μ9/mlに比して有意に (p<<0.05) 低値を呈した. LC群において血清アルブミン値3.59/dl未満 (Alb低値例) あるいは血清コリンエステラーゼ値3.0IU/L未満 (ChE低値例) の血清AG値はAlb, ChE正常値例と比べ14.3±1.0vs23.6±3.5μg/ml or 13.7±1.0 vs 24.0±3.3μ9/mlと有意に (p<0.05) 低値をとり, さらに血清AG値とChE値との間には有意な正の相関関係 (r=0.74, p<0.01) が認められた. 血清Alb, ChE低値例と正常値例との間で空腹時血糖値, フルクトサミン, ヘモグロビンA1などの血糖コントロールの指標やAGクリアランス (1/day) に統計上差異はないことより肝機能の低下そのものが肝でのAG代謝になんらかの影響を及ぼした可能性が示唆された.
  • 小宮 一郎, 高須 信行, 長澤 慶尚, 相澤 徹, 長澤 武志, 大塚 弘巳, 山田 隆司, 吉澤 國雄
    1992 年 35 巻 5 号 p. 385-389
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    血清1, 5-anhydroglucitol (以下AG) は糖尿病ではその濃度が低下し, 治療後に増加するとされる. 血糖コントロール良好な糖尿病患者 (near-normal)(5.5<HbA1c≦6.5: C群) の多様性につき, 血清AGを中心に検討した. また, 未治療患者 (HbA1c>9.0%: A群), ほぼ良好コントロールの患者 (6.5<HbA1c<7.5: B群), IGT (D群) および正常人 (E群) の血清AGも測定した. 血清AGはA群, B群では10μg/ml未満で, D群, E群では10μg/ml以上であった. C群では4.10から27.00と大きな幅を示した. C群の血清AG10μg/ml以上の14名と血清AG10μg/ml未満の6名に75gOGTTを実施した. 前者のうち10名はWHO基準にてIGTに属し, 後者はすべてDMに属した (p<0.025). 血清AGはHbA1c (またはフルクトサミン) に反映しない微妙な血糖コントロールを反映し, near-normalと考えられる群でも血清AG寡多により多様性が存在した.
  • 春日 伸予, 田嶼 尚子, 松島 雅人, 北川 照男, Ronald E. Porte, DERI研究班
    1992 年 35 巻 5 号 p. 391-396
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    小児期発症IDDMの生命予後と患者の居住地の地域特性 (都市性・農村性, 所得の多寡) との関係を検討した. 対象は, 1965~79年に全国で診断され, 1990年1月1日現在の生存状況が判明した18歳未満発症IDDM 1217例である. この1217例から死亡78例 (case群) と性および診断年をマッチさせた生存78例 (control群) を抽出し, case-control studyを行った. 地域特性の指標は, 人口密度, 農家人口の割合, 平均所得指数を用い, case群とcontrol群の間での指標値の差をWilcoxon順位和検定により分析した. その結果, 全ての指標値が有意差を示し, 都市部および所得の高い地域に在住している症例の方が生命予後が良いことが明らかになった. したがって, 今後, 都市部と農村部および所得の高い地域と低い地域の間での, 患者を取りまく環境の違いとその生命予後への影響を検討する必要があると考える. また, さらに, 独り住まいかどうか等の患者自身の特性についても検討することが重要であろう.
  • 8年間の尿中アルブミンと血中ラミニンの経時的推移
    河津 捷二, 伴野 祥一, 加藤 典弘, 清水 美津夫, 福田 まゆみ, 石井 主税, 村田 和彦, 渡辺 敏郎
    1992 年 35 巻 5 号 p. 397-402
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高血圧のないインスリン非依存型糖尿病48例につき, 8年間の血糖コントロールと尿中アルブミンの関係を検討した. 観察開始時の尿中アルブミン排泄指数 (UAI, mg/g・クレアチニン) が正常 (UAI<15.0) の群では, 以後の血糖コントロールが良好 (観察期間中, 常にHbA1<9.0%かつ空腹時血糖値<140mg/dl) の11例では, 8年後に45%(5例) に, 不良の22例では, 59%(13例) にミクロアルブミン尿の出現をみた. また, 初回に微量アルブミン尿 (15.0≦UAI<200) を呈した群では, 血糖コントロール良好の5例では, 8年後もUAIに有意の増加はなかったが, 1例 (20%) にマクロアルブミン尿を認めた. 不良の10例では, UAIが約2~4倍に増加し, 5例 (50%) にマクロアルブミン尿 (UAI≧200) を認めた. 一方, 血中ラミニンP1は, 血糖コントロール不良のもので, 増加をみた (P<0.05). 以上, 糖尿病性腎症の発症・進展に対し, 高血圧の存在とは独立に, 早期からの血糖コントロールが重要と考えられた.
  • 杉本 忠夫, 中西 幸二, 大久保 実, 小林 哲郎, 村勢 敏郎, 小坂 樹徳, 渡辺 五朗, 鶴丸 昌彦
    1992 年 35 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    近年, 膵癌, 胃癌などの根治手術に際して膵全摘出術 (TPax) が行われ, 膵全摘後の二次性糖尿病が増加している. 我々はTPax後長期生存6症例で, TPax後糖尿病の病態の特徴, 治療上の問題点について検討した.
    TPax後糖尿病症例の術後経過期間は12~89カ月であった. その臨床的特徴は, (1) 術後, 食事の摂取不良のため体重が著減し, インスリン使用量は4~10単位/日であった. その後体重の回復にともないインスリン使用量は漸増し, 術後2年以降におけるインスリン使用量はIDDM症例と差は認められなかった.(2) 術後の食事摂取量の低下と消化不良には, 膵消化酵素製剤の投与, 脂肪摂取の制限, 生食の禁止が必要であった.(3) 広範囲TPax後糖尿病の1症例に急激な低血糖昏睡が認められた.
    TPax後糖尿病は膵内, 外分泌機能が同時に完全に欠損した病態であり, 低血糖が遷延するので, 食事のコントロールとともにインスリン投与について特別な配慮が必要である.
  • 低血糖が神経心理機能と事象関連誘発電位に及ぼす影響
    川端 徹, 安田 斎, 寺田 雅彦, 久永 卓, 前田 憲吾, 佐々木 智子, 飯田 英晴, 繁田 幸男
    1992 年 35 巻 5 号 p. 409-416
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の低血糖が高次脳機能障害を引き起こす可能性を検討した. 中枢神経疾患を認めない糖尿病患者46人で注意, 学習, 記憶, 抽象概念操作を評価するサブテストと, 認知機能の客観的評価法として事象関連誘発電位 (P300) を測定し解析した. 低血糖既往群でP300潜時が有意に延長していた. また低血糖既往群の中で血糖コントロール不良患者 (HbA1>10) あるいは血糖変動の大きな患者はより注意集中力 (物語再生) の成績が悪かった. また低血糖既往, 血糖コントロール不良, 血糖日差変動が大の3因子を有する患者 (A群) は2因子を有する患者に比べてP300潜時は延長する傾向を示し, 注意集中力 (順唱逆唱, 物語再生), 学習, 記銘力 (幾何図形再生), 抽象概念思考能力 (積木問題) で有意に成績が悪かった, これらの成績は低血糖に加えて, 血糖コントロール不良と血糖変動が大きいことが高次脳機能を障害させる因子となっている可能性を示唆するものと思われる.
  • 平野 佳弘, 水村 泰治, 中尾 義広
    1992 年 35 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は52歳の男性で大酒家43歳糖尿病を指摘されインスリン投与うけていたが, 昭和63年7月以降治療を中断, 平成元年7月より多飲, 多尿, 体重減少あり, さらに四肢のシビレ感と立ちくらみも加わり平成2年7月当科に入院した. 身長171cm, 体重39kg. 随時血糖494mg/dl, HbA1c14.9%. インスリン14単位/日より再開し血糖値は改善傾向にあったが, 入院2カ月に低Na血症 (109mEq/l) と低浸透圧血症 (236mOsm/l) が出現した. 腎・内分泌 (ADH以外の) 機能は正常, 水制限とdemeclocycline投与で低Na・低浸透圧血症は改善, 水負荷試験で血中ADHは抑制されず水利尿不全を認めたこと等からSIADHと診断した. 悪性腫瘍, 肺・中枢神経系疾患およびSIADHを誘発する薬剤は認めなかった. 入院8カ月には, 神経障害の自他覚所見と水負荷試験は共に改善の傾向を認めた. 糖尿病性自律神経障害の一分症として, Osmoregulationの障害 (SIADH) も存在しうると考えられた
  • 大國 智司, 野津 和巳, 正木 洋治, 加藤 議
    1992 年 35 巻 5 号 p. 423-427
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は34歳, 女性. 19歳でIDDMを発症以後強化インスリン療法により外来通院中であった. 血糖のコントロールは不良であり, 腎症, 網膜症, 神経障害を合併した. 今回, 白内障の手術前の血糖コントロールを目的として入院した. 入院後, 厳重な食事コントロールとCSIIによるインスリン投与に変更した. しかしながら, 黄体期と月経直前に血糖値の上昇とインスリン必要量の増加が規則的に出現することが認められた. グルコース・クランプ法を用いて月経期, 卵胞期, 黄体期のインスリン感受性を比較検討した. 各々のインスリン感受性を示すブドウ糖注入率 (GIR) は8.07, 7.34, 5.80mg/kg/minであり, 黄体期に著しい低下を認めた. 黄体期のインスリン感受性の低下の原因として, プロゲステロンの上昇が関与していることが推定された. したがって女性IDDM患者の血糖コントロールに悪影響する因子の一つとして月経周期によるインスリン感受性の変化が示唆される.
  • 神田 勤, 岩崎 誠, 和田 正彦, 黒飛 万里子, 志水 洋二, 上松 一郎
    1992 年 35 巻 5 号 p. 429-435
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Hypotonia, hypomentia, hypogonadism, obesityを主徴とするPrader-Willi症候群において, 高浸透圧非ケトン性糖尿病性昏睡 (HNKC) およびrhabdomyolysisを合併した本邦第1例を経験した.
    症例は21歳, 女性. 1986年5月II型糖尿病と診断され, 食事療法にて治療されていた. 1989年11月頃より鶴歯のためジュースを多飲.同12月6日糖尿病性昏睡を発症し, 某院入院. 治療を受けるも改善せず, 翌日当院へ転院となった. 転院時に筋脱力, 尿路感染症を認め, 血糖値736mg/dl, 血漿pH7.449, 血漿浸透圧485mOsm/l, LDH1682IU/l, CPK981IU/l (MM型98%), 血清ミオグロビン (MG) 1370ng/ml, 血清Na188mEq/lを示しHNKCと診断した. 治療開始半日後に意識清明となり, 4日後に筋脱力回復し, 10日後にはLDH, CPK, MGは正常値に復した. 以上より本症例ではII型糖尿病に過食と感染症を契機としてHNKCが発症し, 高Na血症, 脱水, インスリン不足が持続・進行したため, rhadbomyolysisが併発したものと思われる.
  • 森 豊, 根本 昌実, 横山 淳一, 西村 正彦, 池田 義雄
    1992 年 35 巻 5 号 p. 437-440
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    チャールズリバー・カナダより購入し大塚製薬 (株) 徳島研究所にて維持されているLong Evansラットのなかに多尿, 多飲を示す新しい糖尿病ラットが発見された.1989年, 河野ら1) は, この糖尿病発症系ラットをLong Evans TokushimaLean (LETL) ラットと命名し報告した. このラットの発症様式はBBラットに類似しているが, Tリンパ球数の減少を認めず, その膵病理組織像では膵ラ氏島へのリンパ球浸潤すなわちinsulitisの像が観察される1~4). 今回, 本ラットの膵ラ氏島浸潤リンパ球のsubpopulationを検討する目的で, 抗ラットリンパ球モノクローナル抗体を用いた酵素抗体法により免疫組織染色を行った.
  • 1992 年 35 巻 5 号 p. 441-449
    発行日: 1992/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
feedback
Top