糖尿病
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36 巻 , 12 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 折茂 裕美, 大木 由加志, 岸 恵, 入江 学, 山本 正生
    1993 年 36 巻 12 号 p. 897-901
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本人IDDM患者のmicroangiopathyの発現に対する罹病期間の影響を, 全罹病期間と思春期以降の罹病期間にわけ比較した. 対象はIDDM患者63人で, 網膜症はbackground retinopathy 以上を, microalbuminuriaは随時尿のアルブミン30mg/l以上を陽性とした. 網膜症を認めたのは15人で, 生存曲線を用いて, 全罹病期間を思春期前発症群と思春期以降発症群にわけ比較すると, 網膜症は思春期以降の発症群が有意に高率 (p=0.014) であったが, 思春期前を除いた罹病期間では両群に差はみられなかった. microalbuminuriaを認めたのは12人で, 全罹病期間に関しては思春期以降の発症群が有意に高率 (p=0.039) であったが, 思春期前を除いた罹病期間では差はみられなかった. 日本人IDDM患者のmicrovascular diseaseの発現には思春期以前の罹病期間はあまり影響をもたないものと思われる.
  • 鶴岡 明, 松葉 育郎, 尾形 研二, 池田 義雄
    1993 年 36 巻 12 号 p. 903-908
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ラジオイムノアッセイ (RIA) を用いたグルタミン酸脱炭酸酵素抗体 (GAD-Ab) の新しい測定法にて, IDDMにおけるこの抗体の出現率を求め, ICAと比較した. 対象血清は, IDDM35名 (男13名, 女22名; 平均発症年齢16.46歳, 平均罹病期間5.54年) である. GAD-Abの測定は, ブタ脳GADを抗原とするRIAにて行った. GAD-Abの抗体価は, 予め作成した標準曲線を基に定量的に表示し, 8単位以上を陽性とした. ICAの測定は, 間接螢光抗体法にて行った. GAD-Abは, 35名中17名 (48.6%) に陽性であった. GAD-Abの出現率は, 発症1年以内60.0%(平均108.8単位), 1年から3年で50.0%(20.2単位), 3年から5年で62.5%(58.7単位), 5年から10年で40.0%(47.3単位), 10年以上で37.5%(26.1単位) であった. GAD-Ab高抗体価でのICA陽性率が高く, ICAとの相関を認めた. GAD-AbはICAと同様にIDDMの自己抗体として有用であることが示唆された.
  • 三崎 盛治, 嶋 照夫, 江崎 淳, 住田 安弘, 白山 究
    1993 年 36 巻 12 号 p. 909-915
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    尿蛋白定性陰性, 正常血圧のII型糖尿病患者61名, 正常対照者19名の早朝第1尿のalbumin (Alb), transferrin (TF), β2-microglobulin (β2M) を測定し, 血糖コントロール並びに尿蛋白量の程度とAlb尿, TF尿の関係を検討した. なお患者6名の治療前後の1日尿糖Alb, TFの変動をみた. コントロール適切群 (HbA1c<8%) の尿TF, Alb間, 尿TF, β2M間に有意な正相関 (r=0.95, p<0.002, r=0.46, p<0.02) を認めたが, 尿Alb, β2M問に相関はない. またmicro Alb尿群の尿TF/Alb比はnormo Alb尿群にくらべ有意に高値を示し (p<0.01), 尿Albと尿TF/Alb比との間に有意な正相関を認めた (r=0.61, p<0.02). normo Alb尿群のうちコントロール不良群の尿TF, TF/Alb比はコントロール適切群にくらべ有意に高値であった (p<0.05, p<0.01). 治療前の尿糖, 尿TF, TF/Alb比は治療後いずれも有意に低下した (p<0.02). TF尿は血糖の影響をAlb尿にくらべより受けること, 糖尿病腎においてTFはAlbと異なる取扱を受けるものと考えられる.
  • 紀田 康雄, 柏木 厚典, 瀧 秀樹, 中川 浩子, 日高 秀樹, 吉川 隆一, 繁田 幸男
    1993 年 36 巻 12 号 p. 917-922
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    我々は糖尿病患者の下肢虚血の評価に経皮酸素分圧 (TCPO2) 測定が有用な事を報告してきた. 臨床的には末梢血管障害 (PVD) を認めない糖尿病者にも, 既にTCPO2が低下している症例がある. 今回は, 糖尿病者におけるTCPO2低下に関する因子を検討するためTCPO2と各パラメータの関係を調べるとともに, 自覚症状とTCPO2の関係も検討した. 対象は181例のNIDDM (D群) と34例の健常者 (C群) である. D群の56例はPVD合併例である. 1) TCPO2はC群に比べ, D群では有意に低く, 特にPVD例で低値であり, 50mmHgはカットオフ値として適当であった. 2) 間欠性肢行, 安静時疼痛を有する例では無症状例より有意にTCPO2が低値であった. 3) D群のTCPO2低下には加齢, 動脈閉塞, 細小血管障害, 自律神経障害が各々独立した危険因子であった.
  • 鈴木 吉彦, 森永 正二郎, 松岡 健平
    1993 年 36 巻 12 号 p. 923-929
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    後腹膜腫瘍を有する50歳男性. 自発性低血糖と低インスリン血症を認め膵外腫瘍性低血糖症と診断した. 血中IGF-II濃度は高値で大分子量IGF-IIが多く, 結合蛋白複合体の血中存在様式にも異常を認め, 血中IGF-1濃度は低値だった. またブドウ糖静注試験ではインスリン分泌初期相は保たれたが, IRI濃度は時間と共に急激に低下した. ブドウ糖経口負荷試験ではインスリン分泌量は全体として抑制された. グルカゴン負荷試験では完全に抑制され無反応だった. 腫瘍摘出後, 低血糖は消失し, 上記体液因子および検査特性は正常化した. 以上より本例では腫瘍によりIGF-IIとその複合体の濃度や性状が変化し, また膵インスリンが各々の刺激に異なる様相の抑制を受ける事が分かった. これはなんらかのインスリン分泌抑制に関わる因子が, 本腫瘍のもつ固有の特質やIGFIIの作用に関係する可能性を示唆し, 本病態の解明にとって興味ある知見と考えた.
  • 飯野 研三, 吉成 元孝, 児玉 智行, 南 昌江, 岩瀬 正典, 藤島 正敏
    1993 年 36 巻 12 号 p. 931-936
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性網膜症は通常左右両眼対称性に進行し, 内頸動脈が閉塞すると同側の網膜症が増悪する. ところが, 閉塞内頸動脈とは反対側眼のみに前増殖性網膜症の出現をみた症例を経験したので報告する. 6年前にNIDDMと診断された66歳の男性. 高血圧, 閉塞性動脈硬化症, ネフローゼ症候群を合併. 右眼視力低下を主訴に入院. gliclazideを内服しHbA1c8.1%. 右眼に前増殖性網膜症を認めたが, 左眼網膜症なし. 脳血管造影では, 左内頸動脈は完全閉塞し左眼動脈の血流は左外頸動脈から灌流. 一方, 右内頸動脈血流の一部は左大脳半球を灌流し, 右眼動脈の狭窄も認めた. 頭部CTでは右基底核, 左後頭葉側頭葉境界域に低吸収域を, Positron emission CT (PET) で同部分に脳血流量低下も認めたため, 左浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術を施行. 網膜症の左右差は頭蓋内外の動脈硬化症の存在を示唆し, 血行動態を把握し網膜症の進展と脳血管障害の発症を予防することが必要である.
  • 莇 也寸志, 帯刀 圭子, 藤岡 忠治
    1993 年 36 巻 12 号 p. 937-942
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性. 60歳時糖尿病を指摘され通院中であったが, 1991年4月血糖コントロール目的で入院中に発作性高血圧の出現から褐色細胞腫を指摘された.入院中血糖コントロールのためにインスリンを必要としたが, 腫瘍摘出後インスリン分泌の著明な改善とともに耐糖能異常は消失した. しかしその後軽度の体重増加とともに再び耐糖能異常が出現したことから, 一次性糖尿病の素因があるうえに褐色細胞腫を発症して糖尿病が顕性化したと考えられた. また褐色細胞腫に糖尿病性網膜症を合併することは稀であり, 比較的短期間に出現した前増殖性網膜症は, 摘出後の発作性高血圧の消失とともに軽快した. 褐色細胞腫摘出後の耐糖能異常に関する長期予後は不明であり, 本例のように再び耐糖能異常が出現する可能性もあり, 術後も厳重な経過観察が必要と考えられた.
  • 野崎 修, 鈴木 義史, 島田 典生, 橋本 尚武, 平良 真人, 畑中 幸子, 能登谷 洋子, 金城 修, 牧野 英一, 吉田 尚
    1993 年 36 巻 12 号 p. 943-949
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Type Aインスリン受容体異常症について, インスリン受容体機能およびその遺伝子解析を行った. 症例は20歳女性で, 黒色表皮症と多嚢胞性卵巣を伴い, 著明な空腹時高インスリン血症 (130μU/ml) と, インスリン抵抗性糖尿病を認めた. 父親にも, 耐糖能異常と軽度の高インスリン血症を認めた. インスリン結合能は正常であったが, インスリン受容体自己燐酸化能と外因性基質に対するキナーゼ活性は低下していた. ゲノムDNAを用いPCR法にてインスリン受容体遺伝子各エクソンを増幅し塩基配列を直接決定した. その結果, キナーゼメインであるエクソン17にミスセンス変異 (Gly1008→Val1008) を認めた. この変異はヘテロ接合体であり, 父親にも存在した. この変異はすでに報告されているType A北海道と同じ変異であった (小田原らScience, 245, 66, 1989). キナーゼドメインの変異は, 優性遺伝性に, インスリン抵抗性糖尿病をきたすと考えられた.
  • 鈴木 吉彦, 渥美 義仁, 細川 和広, 松岡 健平
    1993 年 36 巻 12 号 p. 951-953
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Patients with diabetes prick their skin for blood glucose monitoring.They subsequently insert a needle for injecting insulin. Because two needle sticks are necessary to complete these maneuvers, a major stress is potentially present for patients anticipating two painful procedures in succession.
    To slove this problem, we suggest a new system, in which a small amount of blood can be vacuumed from the needle insertion site of insulin injection and used for blood glucose measurement. In this paper, we would like to explain our clinical results in humans.
    Eleven healthy men and 23 diabetic patients were studied by comparing blood glucose data obtained by the conventional method and the new method.
    As a result, the blood glucose level obtaned by the conventional method was 165±73mg/dl (mean±SD), and that by the new method was 164±73mg/dl. The correlation was strong (0.99;p<0.001). During the procedure used for the new method, no subjects complained of any pain on vacuuming.
    This indicates that the two maneuvers can be safely accomplished from the same stick.Thus, patients will be able to share in the benefits of the new system, which makes blood glucose measurement maneuvers completely free of additional pain.
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