64KD抗体陽性インスリン依存型糖尿病 (IDDM) 患者10例 (男性4例, 女性6例) において, 64KD抗体とその対応抗原と言われているGABA合成酵素glutamic acid decarboxylase (GAD) との反応性を
35S-methionine標識rat isletを用いた免疫沈降法における吸収試験によって検討した. GADは, 2つのisoform (GAD
65, GAD
67) を含むrat brain GADとrecombinant rat GAD
67を用いた. 10例中7例 (70.0%) において64kDaのバンドはrecombinant rat GAD
67では吸収されず, rat brain GADで完全に吸収された. また, 1例 (10.0%) においてrecombinant rat GAD
67でのみ若干の吸収を認め, 2例 (20.0%) ではrecombinant rat GAD
67, ratbrain GADのいずれにおいても吸収されなかった. IDDM患者血中に存在する64KD抗体は, ほとんどの症例においてGAD
65を認識することが示唆されるが, GADを認識しない症例も認められ, このことは64KD抗体が不均一であることを示している.
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