糖尿病
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38 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 推移と現状
    中原 俊隆, 櫻美 武彦
    1995 年 38 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1995/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 竹越 忠美, 木藤 知佳志, 島田 敏実, 羽場 利博, 平井 淳一, 若杉 隆伸, 嵯峨 孝, 山崎 義亀与, 土井下 健治, 小泉 順二 ...
    1995 年 38 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 1995/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者を糖尿病群 (DM群) と非糖尿病群 (non-DM群) に分け, 動脈壁中のLp (a) を測定し動脈硬化性疾患のrisk factorとの関連性につき検討した. 対象は糖尿病性腎症5例, 非糖尿病性腎不全患者5例で剖検時に大動脈 (胸部) を切り出し, 内膜を分離後細切しPepinらの方法に準じて動脈壁内膜中のLp (a) を測定した. また一部の例でLp (a) モノクローナル抗体およびScavenger receptor抗体による免疫組織学的染色を施行した. DM群ではnon-DM群に比して血中Lp (a) は高値であった. 動脈壁内膜中のLp (a)(Mean±SE) はおのおの165±49, 32±27μg/gwwとDM群で有意に高値であった. 組織学的にLp (a) は主として内膜に認められ, Scavenger receptorの染色部位と同一局在を示した. DM群ではnon-DM群に比して血中および動脈壁組織中のLp (a) 含量は増加しており動脈硬化に促進的に作用していると推察された.
  • 石橋 不可止
    1995 年 38 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1995/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    健常者 (C群) 31名と蛋白尿陰性のNIDDM108名を用い, L-アルギニン負荷でアルブミン (A) の尿細管再吸収 (TR) を阻害してAの糸球体濾過 (GC), TR率 (TRR) およびTR量とAの尿細管負荷量の関係を求め, AのGCとTRのA排泄率 (AER) 決定における重要性を比較した. NIDDMをミクロアルブミン尿の程度で3群 (I;AER≦15.0, II;15.0-49.9, III;50.0-199.9μg/min) に分けると, AのTRRは明らかに段階的に抑制された. AのTR量と尿細管への負荷量は全群で良好な正相関を示したが, 回帰直線はC群とNIDDM-Iで一致NIDDM-IIでは前2群より右に偏位し, NIDDM-IIIでは傾きが1/2以下であり, TRが低下していた. AERとGCはC群とNIDDM-Iで正相関したが, II・III群では相関がなく, かつ3群間に明白な差がなかった. 以上より, AERが正常時は主にTRRで, 一部にGCで決定しているが, ミクロアルブミン尿はもっぱらTRの低下で生ずると思われる.
  • 神経障害の頻度と危険因子
    松本 都恵子, 大橋 靖雄, 山田 信博, 菊池 方利
    1995 年 38 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1995/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性神経障害の危険因子を明らかにするため, 東京大学第三内科のインスリン非依存型糖尿病患者1, 212例を対象とし, 初診時における神経障害の頻度と臨床所見との関連を検討した. 神経障害はdistal polyneuropathyの自覚症状ないしは腱反射消失を陽性と判定した. 神経障害陽性率は全体の28%で, 性差なく, 罹病期間と共に上昇した. 神経障害は年齢, 罹病期間, 過去最大BMI, BMI (負), 診断時自覚症状, 初診前糖尿病治療法, 空腹時ならびにGTT負荷血糖値と関連を認め, 遺伝歴, 飲酒, 喫煙, 血圧, コレステロールと関連を認めなかった. 多変量解析にて空腹時血糖値 (x2=40.1) ならびに罹病期間 (40.0) が神経障害の最大危険因子であった. 本成績により, 糖尿病患者において末梢神経障害の頻度が高率であること, その発症に高血糖ならびに罹病期間が関与することが確認された.
  • 片山 隆司, 島田 孝夫, 清水 佳苗, 溝渕 杏子, 磯貝 行秀, 川上 憲司
    1995 年 38 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 1995/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    既に開発した133Xeクリアランス法を用いた末梢循環血圧 (Peripheral Perfusion Pressure, PPP) 測定法により, 糖尿病例の末梢循環の評価を行い, Lipo PGE1の効果を検討した. 対象は健常例50名, 5年以上の病歴を有する糖尿病例21名である. 糖尿病例のPPPは27.0±15.1cm H2Oで, 健常例の41.9±8.6cm H2Oと比べ有意に低値であり, 病歴の長い症例や合併症進行例でその傾向は著明であった. 糖尿病例のうち9名が正常下限 (M-SD: 33.3cm H2O) より低値であった. Lipo PGE1投与により, PPPは上昇し, 同時に測定した末梢循環抵抗も上昇したが, 皮膚血流量に変化はなかった. 糖尿病の末梢循環障害はASOの合併と皮下動静脈吻合の持続的開大に起因する所が大きい. Lipo PGE1は細動脈レベルより中枢側の比較的太い血管に主として作用し末梢循環障害を改善し得ることが予想された.
  • 鈴木 吉彦, 縦山 幸彦, 渥美 義仁, 片桐 秀樹, 門脇 孝, 岡 芳知, 細川 和広, 木村 満, 松岡 健平
    1995 年 38 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1995/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    多彩な自律障害系の愁訴を持つミトコンドリア (以下Mtと略す) 遺伝性糖尿病の1例を報告する. 症例は48歳, 女性. 38歳で糖尿病を発病し, 以後原因不明の起立性低血圧や膀胱障害を有した. また不定の胸部症状があったが心エコーや心電図で異常を認めなかった. その後, 末梢白血球にてMtのDNAの3243位変異が確認された. また123I-labeled beta-metyl-iodophenyl peatadecanoic acid (以下123I-BMIPPと略す) 心筋SPECT検査で側壁, 下壁, 心尖部に欠損を認め心筋内脂肪酸代謝障害が示唆されたが, その後, CoenzymeQ10治療後に異常所見は消失し顕著に改善した. 以上より, 123I-BMIPP検査はMt遺伝性糖尿病の潜在的心機能異常発見に有効であり治療効果も反映しうる事が分かった. また, 本例はMt遺伝性糖尿病でも自律神経愁訴をもつまれな例と考えられるが, 今後, このような患者には循環器系にMt性の異常が潜在する可能性に留意すべき事が示唆された.
  • 橋本 佳明, 永田 泰自, 四柳 宏, 渡辺 毅, 岡 博, 黒川 清
    1995 年 38 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1995/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は29歳の男性微小変化型ネフローゼ症候群のために, プレドニゾロン治療を受けた. その経過中 (プレドニゾロン50mg投与中, 総投与量5300mg) に, 空腹時の低血糖 (40-50mg/dl) と高インスリン血症 (17~27μU/ml) がみられ, インスリノーマの合併が疑われた. 日内血糖・インスリン変化と75g経口ブドウ糖負荷試験で, 軽度の耐糖能異常と高インスリン血症が認められた. Cペプチド抑制試験では, Cペプチドが3.3から1.2ng/mlまで低下した. CT検査で膵のびまん性腫大が認められたが腫瘤は検知できなかった. プレドニゾロンの減量に伴い空腹時インスリンは低下し, 空腹時血糖もほぼ正常まで上昇した. その後8年間低血糖症状はみられず, また最近の空腹時血糖とインスリンも正常である. 以上の検査および経過より, この症例の空腹時高インスリン血症・低血糖の原因は, インスリノーマではなく投与されたプレドニゾロンであると強く疑われた.
  • 浅野 有, 布井 清秀, 篠原 規恭, 平田 幸正, 中島 裕, 浦上 秀一, 藤島 正敏
    1995 年 38 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1995/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は37歳のIDDMの女性. 1993年2月5日頃から感冒様症状が出現し, 嘔気のためインスリン32単位/日を中止. 2月10日呼吸困難感のため入院. 微熱と多呼吸を認めたが, 血圧, 意識は正常. 血糖501mg/dl, PaO2 99.7mmHgで代謝性アシドーシス, 白血球数増多, CRP強陽性を認めた. 糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) の治療開始後, 呼吸困難感は増強し, 治療開始8時間後より低酸素血症, 白血球減少症が, 12時間後には血小板低下と肺水腫様所見が出現し, 呼吸管理を行ったが約35時間後に死亡. 剖検では, 肺水腫が著明で, 気管支肺炎およびmicroabscessを認めた. 本例は, 急速に成人性呼吸窮迫症候群 (ARDS), DIC, Leucopeniaを合併し, その原因として感染症に加え, 糖尿病による肺毛細血管内皮障害, 高血糖による血液の過凝固状態, 白血球の肺への集積などの機序が考えられた.
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